アラカブとは?カサゴと違う?その生態から料理方法まで詳しく解説
釣りに行き、釣った魚の名前を聞くと時々「アラカブ」という名前が出てきますが、普段の生活の中ではあまり聞くことのない魚の名前です。また、アラカブを写真で見るとカサゴそっくりの姿かたちをしています。今回の記事では、アラカブはカサゴとは違うのか?アラカブとはどういった生態をしている魚なのか?などといった基本的なことから、アラカブの料理の方法についてなどを調べて詳しく解説します。
目次
あまり名前を聞くことのない魚「アラカブ」とは?
釣りを趣味にしている人でないと、中々聞くことがない「アラカブ」という魚の名前。ただ名前を聞いただけだと、アラカブとはどんな魚なの?料理して食べることができるの?他の魚との違いはあるの?と、疑問がつきません。今回はそんないつも聞きなれない名前のアラカブとは果たしてどういった魚なのか、見た目が一緒のカサゴとの違いなどについて調べてみました。
アラカブはカサゴとは違いがあるのか?
アラカブの分類としてはスズキ系スズキ目カサゴ亜目メバル科カサゴ属となっています、またはカサゴ目フサカサゴ科に属するという記述もあります。つまりアラカブとは全国的な名称として名の通っている「カサゴ」という魚と同じなのです。また、アラカブは基本的には、メバルやハタ系の魚と同じようにスズキ系スズキ目に属している魚です。
アラカブという呼び名について
アラカブとはカサゴの別名なのですが、更に他に「ガシラ」とも呼ばれています。関西や全国的に広く呼ばれているのが「カサゴ」、四国の辺りで呼ばれているのが「ガシラ」、主に九州などで呼ばれているのが「アラカブ」となっています。つまり、アラカブとはカサゴの地方での呼ばれ方、俗にいう地方名なのです。
アラカブの生息地域や生態について
アラカブは基本的に日本全国に広く分布しているため、他にも「ガシラ」「ボッコウ」「アカメバル」など数々の地方名も多く存在しています。日本の北海道南部から日本全国、そして朝鮮半島、中国、中国、台湾およびフィリピンまでの幅広い海域で生息しています。また、海岸近くや防波堤場所から水深200メートルくらいまでの岩礁域に生息しています。
アラカブはメバルなどと違い、それほど泳ぎ回ることがなく、海底で生活することが多い魚です。特に物陰が好きで昼間は根の中などの物陰に潜んでいることが多く、夕方~夜にかけて餌を探して泳ぎ出します。なので、釣りをする人でアラカブを釣るなら夜釣りがおすすめです。また、アラカブは肉食性で、ゴカイやエビ、カニなどの甲殻類、小魚などを捕食しているので、アラカブ釣りの時はそれらのエサを選んでください。
アラカブの見た目と特徴について
アラカブの最大サイズは全長30センチほどで全長に対して頭部のしめる割合が大きいのが特徴です。また、見た目は比較的に目が小さめで口が大きくなっています。海釣りで沖の深場などで釣ったアラカブは赤みが強く、水圧の変化でかなり目が飛び出しているというのも特徴の1つです。逆に堤防など浅い海で釣った場合は体色が岩や海藻の色に合わせて、黒褐色が多く混じっています。住む場所の違いで体色の変化がある面白い魚です。
釣りなどの対象魚としてのアラカブについて
アラカブは根がかりなどに注意すれば、岩場や防波堤からも比較的容易に釣れる上に、瞬発力のある引きが面白く、釣りの対象魚として人気の高い魚です。また、船釣りの対象魚としても人気があり、サバの切り身などをエサにした胴突き仕掛けで手軽に釣ることができます。最近ではソフトルアーを使ったルアーフィッシングの好対象魚となっていて、比較的手軽に釣れるので「ロックフィッシュゲーム」と称され人気が出ています。
しかし、アラカブは遊泳性が低く、活動が活発ではない魚で、あるエリアで釣られると他所からの流入によって起こる個体数回復が進みにくく、「釣られ尽くし」の状態が起きやすいという点には注意したいところです。釣り人が多く集中する都市近郊ではこの傾向が顕著であるために、同じ傾向をもつ魚と共に各漁協や公益法人、地方自治体などによる種苗養殖および放流も行われている現状も知っておきたいところです。
アラカブ釣りのときには毒魚に注意!
アラカブ釣りのときに注意したいのがハオコゼ、オニカサゴ、ゴンズイなどの毒魚です。ハオコゼは波止のアラカブ釣りのときにもっとも遭遇しやすい魚です。毒棘に刺されると強烈な痛みを伴うので、直接魚に触れることなくリリースすることのできる釣りの道具、フィッシュグリップを用意しておくことをおすすめします。
また、同じく毒魚であるオニカサゴ類は普段は深場に生息しているのですが、若い個体などは堤防でも釣れるうえに、アラカブと良く似ているので色や形に注意が必要です。そして、ゴンズイは夜のアラカブ釣りで特にかかりやすい毒魚です。ハオコゼと違い主に夜にかかる魚ですが、ハオコゼ同様かなりの頻度で釣れ毒棘に注意が必要な毒魚です。
アラカブの釣りの時期について
アラカブは基本的に釣りのシーズンというものが存在しないほど1年中釣れる魚ですが、活性は夏のほうが高いようなので、釣ったときに同じサイズであっても引きが強く感じられます。また、冬場の釣りの場合は、岸から釣れる魚が少なくなるのですが、アラカブとメバルはそんな冬場でも堤防から釣ることができ、釣り人には嬉しい魚です。
食材としてのアラカブについて
アラカブは締まりのいい白身に脂がのっていてとても美味しいために、和洋中など様々な料理に幅広く使われる食材です。アラカブの旬は冬でよくダシの出る魚ですので、和食としては鍋料理やみそ汁といった汁ものを中心に、煮つけや塩焼きが好まれます。また小さいサイズであれば、カラっと揚げたから揚げとしても人気です。洋食としてはブイヤベースやアクアパッツァなどによく用いられます。
アラカブのさばき方について
アラカブを見ると「アラカブとはとてもトゲの多い魚だな」と思われる印象のままに、非常にさばきにくい魚としても知られていますので料理をする際にはケガに十分注意してください。魚をさばくのに慣れていない人は先にヒレをカットしましょう。カットするところは顔の横のトゲ、背ビレ、腹ビレ、尻ビレの4か所です。カットしておくことでケガを防ぐことができます。できることなら軍手をつけて作業することをおすすめします。
トゲをカットし終わったら、次は通常の魚をさばくのと違いはなく、ウロコ、エラ、ハラワタを取り除き水洗いします。その後、頭をおとし3枚におろし、皮を引いたら好みの大きさに切って料理に使ってください。また、アラカブとはいい出汁がでることでも有名な魚ですので、おとしたアラカブの頭や骨は取っておいて、みそ汁などに使うことをおすすめします。
その他注意点について
アラカブを料理する際のその他の注意点としては、アラカブとは口が大きく獲物を丸のみしてしまう魚であるので、釣り針を飲み込んでいることが多いということを覚えてください。ですので、エラやハラワタなどを取り出すさいに指で引き出してもいいのですが、釣り針がないかどうか、よく確かめてから指でつかんで作業してください。
アラカブの料理方法について
アラカブのおすすめ料理方法・揚げ物
アラカブの料理方法として人気の高い料理方法は「から揚げ」です。カラッと揚がったアラカブのから揚げはまた食べたくなるおすすめの料理方法です。ただし、アラカブは体長の割に極めて肉厚で骨太な魚なので、単にハラワタを取り除いた状態でどんなにじっくりと揚げても、とても中骨まで食べつくすことはできません。しかし、ちょっとしたコツを掴めば、骨までガリガリと食べることができるのでおすすめです。
アラカブのから揚げを骨まで食べられるようにカラッと揚げるためには、ウロコ、エラ、ハラワタ、トゲなどを取り除いた後に、背びれから背骨まで切れ込みを入れ、裏返して同じように切れ込みを入れるのが重要なポイントです。後は、全体的に塩コショウと小麦粉をまぶし、じっくりと2度揚げをしたら完成です。揚がったアラカブを上から見ると骨を中心に身が左右に開くようなっていたら、骨までカリっと揚がっているはずです。
個人で釣るアラカブは小さいサイズが釣れることもしばしば、煮つけにしても食べるところが少ないので、料理方法の一番人気はやはりこの「アラカブのから揚げ」です。上手に揚げることができれば、ヒレや骨までバリバリと食べられるので、カルシウムもたくさん摂ることができます。アラカブの料理に迷ったときはぜひ1度「から揚げ」をお試しください。
アラカブのおすすめ料理方法・刺身
自分で釣ったり、釣ったアラカブをもらったりと、新鮮なアラカブを手に入れた時にはやはり、魚の味の違いがよく分かる刺身にして食べたくなります。アラカブはキレイな白身で「刺身」にすると、プリプリとした歯ごたえがたまらない人気の高い料理方法です。ただし、ある程度大きい(約30センチ前後)アラカブでないと、身が上手に取れないこともあるので注意してください。
料理方法としては、ヒレをカットし、ウロコを取り、エラを切ります。その後、ハラワタを取り除き、頭を落としてから3枚おろしにします。後はまな板に、切り身の皮部分を下に向けて魚を置き、皮と身の間にゆっくりと包丁を入れ、皮に身がつきすぎないようにキレイに皮と身を切り離したら、アラカブの刺身の完成です。大根のツマや、大葉などの青い菜を敷くと見た目がよくなり、おもてなしなどにもおすすめです。
アラカブのおすすめ料理方法・塩焼き
アラカブの塩焼きは、誰でも気軽に手軽に作ることができるのでおすすめの料理方法です。手順としては、まずアラカブのウロコとハラワタをきれいに取り除きます。それから、焼く途中の皮の収縮を最小限に留める意味で、飾り包丁を適度に入れておきます。その後、塩を自分の好みの量つけてからグリルで火加減を弱~中程度で焼きすぎないように焼きます。全体的にキレイに焼くことができたら完成です。
グリルで手軽に塩焼きにできるアラカブですが、グリル焼きとの違いを出したいなら、炭火で焼く方法もあります。塩焼きの場合は、内臓を取る際に「壺抜き」という、箸を魚の口からエラにかけて差し込み回して、内臓を絡ませ抜く方法使うと焼いたときにキレイに見えるのでおすすめです。炭火で焼く場合は金串を目の後ろから刺してから、身をくねらすように刺して焼いてください。大根おろしやレモンを添えると美味しそうにできます。
アラカブのおすすめ料理方法・煮つけ
アラカブの煮つけはアラカブの料理方法の中でも人気が高く、定番の料理方法です。煮つけの方法は、アラカブのウロコとハラワタを取り、身の中ほどに2本の飾り包丁をいれます。鍋にスライスしたショウガと水、日本酒、しょうゆ、砂糖で作った調味料を入れ、落し蓋をして中火~弱火で煮汁が半分になるまで煮ます。1度中を取り出し、ネギをさっと煮ます。お皿にアラカブとネギやショウガを添え、残りの煮汁をかけたら完成です。
アラカブは白身魚なので、少しこってりとした甘辛い味の煮つけが人気です。また、サイズが比較的に小さいのでフランパンでも煮つけをつくることができます。フライパンで作る場合は、ウロコ、ハラワタを取り除き、水、みりん、砂糖、しょうゆを合わせフライパンに入れ沸騰させて魚を入れ、更に1分沸騰させてから中弱火で10分煮ます。魚の目と身が白くなったら、スプーンで煮汁をすくって魚にかけるを繰り返し完成です。
アラカブのおすすめ料理方法・みそ汁
魚で作るみそ汁の中では、「アラカブで作るみそ汁が最高!」という人もいる位の人気がある料理方法です。コツとしてはアラカブの骨や身から旨味たっぷりの出汁が出るので、市販の出汁を使わないことです。また、アラカブの新鮮さが旨味のポイントですので、できるだけ新しいものを選ぶという点もポイントの1つです。大根やネギなどを加えると、よりあっさりとして食べやすいみそ汁になります。
作り方はとても簡単なアラカブのみそ汁。まず、新鮮なアラカブをさばき、ブツ切りにします。スライスした大根とともに少量の砂糖と料理酒、ショウガを入れて煮る。煮立ったら灰汁を取り、味噌を加えてとろ火で20~30分間煮ます。椀につぎ、刻みネギをふりかけてできあがりです。1度食べたら病みつきになるというほど人気のアラカブのみそ汁。釣りなどで新鮮なアラカブが手に入ったらぜひ1度試して欲しい料理方法です。
アラカブのおすすめ料理方法・アクアパッツァ
アラカブを色々な具材と炒めて作るアクアパッツァは、材料さえ揃っていれば簡単に作れる人気の料理方法です。まずアラカブをさばき、両面に切れ目を入れて全体的に塩をして少し置き、熱したフライパンにオリーブオイルを入れ、ニンニクの香りが出るまで炒め、アラカブとワインを入れて蓋をして一気に蒸し焼きにします。アラカブに8割ほど熱が通ったら野菜とアサリを入れてさらに過熱後、塩コショウ、ドライパセリをふって完成。
アラカブを使ったアクアパッツァ自体もとても美味しいのですが、残ったスープにパスタなどを絡めると、無駄のない絶品料理が1品できあがります。加える野菜を変えてみたり、アレンジ自在の料理方法なので、いつもと違うアラカブ料理を試してみたいときなどにおすすめです。
アラカブとはどういう魚かを詳しく調べた結果
今回はアラカブとはどういう魚なのか?カサゴとの違いは?また、アラカブの生態や料理方法などについて詳しく調べてみました。その結果、アラカブとカサゴの違いは名前だけでその他の違いがなかった点は大きなポイントです。釣りをする場合には釣りやすく人気の魚で、簡単な料理方法もいくつもあるので、アラカブを手に入れた時には今回の記事を参考に、ぜひ気軽にアラカブ料理を楽しんでみてください。