ささげ(大角豆)の秘密を徹底解剖!見た目がインゲンで豆は小豆に似てる?
「大角豆」を何て読むか知ってますか?「ささげ」と読みます。では、ささげを知ってますか?外見はインゲンで、中の豆は小豆に似てる野菜です。インゲンとの違いは何?小豆とどう見分けるの?どうやって食べるの?分からないことが多いので、生産地や語源、栄養面など、いろいろな観点から、「ささげ(大角豆)」がどんな野菜なのか、徹底解剖してみたいと思います。また、外見が似ているインゲン、豆が似ている小豆との違い、見分け方も調べてみたいと思います。
目次
ささげってどんな野菜?
ささげはささげ属の一年草で、サヤはインゲンのようで、豆は小豆に似てる野菜です。サヤの状態では、インゲンに比べあまりスーパーに並ぶ事は少ないですが、農協や道の駅などでは見られることが多いようです。豆の状態は、袋詰めされ乾物売り場などで販売されていることが多いです。サヤの旬は、6月~8月頃の夏の時期になります。
ささげのタイプの違い
出典: http://noupro.jp
ささげの中にもタイプの違いで分けられます。まず、つる性のものとつるのない物。あとは、若いサヤを食べるものと完熟した種子(豆)を食べる物とに分けられます。
ささげの歴史
アフリカ東部のエチオピアが原産と言われています。温暖な地方で栽培されていて、アフリカからインドへ渡り、シルクロードを通り、中国、日本と渡ってきたようです。
日本での歴史は?
平安時代には「大角豆」の記録が残っていて、さらに江戸時代、1697年出版された最古の農書「農業全書」には、「豇豆」の名で栽培方法や種類が記録されていたと言われています。
ささげの語源
サヤが上向きで付き、物を捧げる手つきに似ていることから付いた説。又は、サヤを牙に見立て「細々牙(さいさいげ)」と言ったからと云う説、と幾つか諸説あるようです。「大角豆」と書かれるようになったのは、豆の端が少々角張っていることから付いたと云う説があります。
ささげの特徴
茎の高さは低く直立、もしくは匍匐し、枝を張ったり、絡みついたりと、成長の仕方には様々な特製が見られます。穀物用種は、サヤは10㎝~30㎝ほどになり固く、豆は1㎝ほどの腎臓のような形です。
ささげはいろいろな種類がある
サヤで比較的知られているのが、豆を食べる「金時ささげ」と、やたら長い「三尺ささげ」だと思います。30㎝くらいになります。地域によっては愛知や岐阜で伝統野菜とされている「十六ささげ」と呼ばれ、「長ささげ」、「ふろう豆」などと呼ばれることもあります。十六ささげは長いもので100㎝ほどになる物もあるそうです。長さは違いますが、見分けるのは難しいです。
いくつかのささげを紹介
金時ささげは小豆に似ており、赤飯に使われているささげです。つる性で支柱を立てて育てます。
十六ささげはつる性で、サヤインゲンを長くしたようなもの。サヤは30㎝~50㎝ほどになる物もあるそうです。そのサヤの中に豆が16粒も入っているという事からこう呼ばれています。サヤが柔らかく、炒め物や和え物などにして食べられます。
三尺ささげは日本向けに改良され、従来のささげより味が良いと言われています。つる性で、サヤは60㎝以上になり房状につきます。育てやすいため、全国各地で育てられています。若いうちに収穫するのが美味しく食べるコツで、お浸しや煮物など万能です。
ささげ豆はカラフルで可愛い
豆の色は、小豆に似ているので赤褐色だと思われがちですが、種類によっては白、黒、様々な色の斑点の付いたものなど、カラフルな豆が出来るようです。白い豆に黒い色素が出来、まるで目のように見えるので「黒目豆(ブラック・アイ・ピー)」と呼ばれている豆もあります。
花の形は蝶に似た形で、色は、種類によって藤色、紫色、ピンク色などあるようです。
インゲンって?
本来、インゲンとは完熟した豆自体(インゲン豆)のことをいい、ささげと似ていると言われているインゲンは、正しくはサヤインゲンのことで、インゲン豆の食用の若いサヤのことです。東北地方では、「ささぎ」とも呼ばれるそうです。
インゲンはインゲン豆属に該当する一年草です。古代から南北アメリカ大陸で主要作物になっていて、スペイン人がヨーロッパに持ち込み、中国に伝わり、17世紀に日本に伝わったと言われている。明の隠元禅師が日本に持ち込んだとされることからインゲンと呼ぶようになったとされています。
主な産地は北海道で、ツル有とツル無の品種があります。赤インゲン豆(金時豆)、白インゲン豆(毛亡又は手亡、大福豆)、うずら豆、虎豆(共に斑紋入り)は「インゲン豆」に含まれ、また、キドニービーンズ、ピントビーンズはそれぞれ赤インゲン豆、うずら豆のことですが、輸入品がこう呼ばれるそうです。サヤの旬は7月~11月頃と秋までと長く出回っています。
種類によって白やピンク、薄紫などの花が咲きますが、中には紅花インゲンのように赤い花が咲く種類もあります。
小豆って?
小豆は、ささげと同じささげ属の一年草で、中国原産と言われているが、野生種(ヤブツルアズキ)が日本からヒマラヤの照葉樹林帯に分布していて、また栽培種の小豆は極東のヤブツルアズキと同じ遺伝子の特徴があるため、東アジアの各地で独自に栽培が始められた可能性があると予想されています。日本の小豆は、滋賀県の粟津湖底遺跡(紀元前4000年ころ)や登呂遺跡(弥生時代・紀元1世紀ころ)などから発見されています。
生産の4分の3を北海道が占めており、「大納言」「中納言」「白小豆」「黒小豆」など数種類ある。語源は、「あ」は赤を意味し、「ずき」が溶けることを意味し、他の豆より調理時間が短いことから、付けられたと云う説。また、地方では、「あず」とは崩れやすい意味であり、煮崩れしやすいことから付けられたとも言われています。赤粒木(あかつぶき)から小豆となったと云う説もあるそうです。
小豆の花は黄色い可愛い花です。ちなみに、黒小豆の花は紫色とされていますが、正しくは黒小豆ではなく黒ささげなので紫色なんです。
ささげとインゲンの違いや見分け方
ささげとインゲンの違いは…?パッと見た限りでは区別はつかないです。ただ、ささげの方が細長い感じです。食感も、調理方法もサヤごと茹でてお浸しにしたり、炒めたり、天ぷらや煮物の彩に使える万能な野菜です。そんなところもインゲンと似てます。ちなみに、右側が三尺ささげで、左側がインゲンです。
ささげとインゲンの栄養面の違いは?
サヤささげとサヤインゲンの栄養
栄養面の違いも見てみましょう。ささげもインゲンもはサヤ、豆、どちらでも食しますが、似ているのはサヤなので、サヤささげとサヤインゲンで比べてみたいと思います。また、生で食すことも無いと思いますので茹でた後の栄養での比較をしていきます。まず、カロリー、水分、脂質、炭水化物、灰水に関しては大差ないですが、たんぱく質はサヤささげがサヤインゲンの約12.5倍あります。
他の栄養素もにていますが、サヤささげがサヤインゲンのパントテン酸約2.5倍、食物繊維約1.5倍の含有量です。さらに亜鉛約2倍、葉酸約3倍になります。
葉酸は俗に「造血ビタミン」と言われ、パントテン酸と共に水溶性ビタミンB群に属します。B12と協力し血を作り、また「代謝」に必要で、DNAやRNAなど核酸やタンパク質の合成を助けます。不足すると細胞分裂や成熟が十分に行なえないので、血液成分形成や正常発達には不可欠で、妊婦さんには嬉しい食材です。
ささげと小豆の違いや見分け方
見た目はインゲンに似ているささげですが、中の豆は小豆に似ている野菜「ささげ」。では、上の写真、どちらがささげで、どちらが小豆か分かりますか?並んでいれば違いは分かりますが、別々にされたら見分け付かないです。正解は左の写真がささげです。小豆より色が濃いのだそうです。
上の表にもあるように、見た目の違いでは、豆全体の赤みの違いと、豆の凹んだヘソの部分(白い部分)の違いが見分けるコツになるようです。
ささげと小豆の栄養面の違いは?
ささげ豆と小豆の栄養
ささげと小豆の栄養面の違いも紹介しましょう。ささげも豆を食す種類もあるので、ささげ豆と小豆で比較します。また、生で食すことはないので、茹でた後での栄養で比較します。カロリー、水分、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰水に関しては、差ほど大きな違いはありません。
他の栄養素の違いも、大きな差はありませんが、特に違うのは、ささげ豆が小豆のリン約1.5倍、亜鉛約1.5倍、葉酸約2倍です。リンと亜鉛は、無機質ミネラルに属します。サヤインゲンとの比較でも記した葉酸と同様に、亜鉛も妊婦さんには進んで摂取してほしい栄養素です。
赤飯はささげ?小豆?
お赤飯の中の豆は小豆だと思われてる方もいると思います。もちろん間違いではないですが、一般的にはささげを使って作るそうです。
何故赤飯にささげを使うかというと、ささげは煮た時に煮崩れしにくいのです。昔、小豆は皮が破けやすく「腹が切れる=切腹」をイメージすることから、江戸の武士の間で縁起が悪いという事で、腹が割れないささげを赤飯に使用するようになったと言われています。
まとめ:ささげを食べてみてみよう!
見た目「インゲン」、中身「小豆」。二つの顔を持つ野菜「ささげ」のそれぞれとの違いや見分け方を検証してみました。サヤも豆も栄養面では数字的には大差はなさそうですが、亜鉛と葉酸はささげが上回ってるようです。サヤで食す場合、インゲンよりささげの方が柔らかいと言われるので、子供でも食べやすいのはささげでしょう。料理によって使い分けてみてください。