2022年08月17日公開
2024年11月27日更新
ニガカシュウとはどんな植物?特徴やむかごについても合わせて紹介
ニガカシュウという、むかごをつける植物を知っていますか?この記事では、ニガカシュウとはどんな植物なのか、むかごは食べてもいいのか、似ている植物と見分けるポイントはどこかなどを紹介します。むかごを自分で採って食べてみたいという方は参考にしてください。
「ニガカシュウってどういう植物なの?」
「ニガカシュウのむかごって食べてもいいの?」
「ほかの植物と見分けるポイントは?」
このように、ニガカシュウという植物についてくわしく知りたいと思ったことはありませんか。
この記事では、ニガカシュウの外見上の特徴や、変わった名前の由来、むかごは食べられるのかなどについて紹介しています。
記事を読むことで、ニガカシュウという植物の基本情報がわかり、同じようなむかごをつけるほかの植物との区別ができるようになるでしょう。
植物に興味がある方や、食材としてのむかごを自分で採って食べてみたいと思っている方は、実際に採取する場合に植物の種類を見分けるヒントとして役立つので、ぜひ読んでみてください。
ニガカシュウとは
ニガカシュウは、本州の関東地方以西・四国・九州・沖縄に野性で生育する、つる性の多年草です。
山すそや林縁、川沿いなどによく生える植物で、日本以外ではアジア・アフリカ・中南米の湿潤な熱帯・亜熱帯地域に広く分布しています。
雌花と雄花を別々の株につける雌雄異株で、日本においては雌株は少ないものの、むかごによる繁殖が可能です。
塊根(ふくらんだ根の部分)は扁球形でひげ根が多く、外皮が黒い色をしています。
ニガカシュウはヤマノイモ科の植物
ニガカシュウはヤマノイモ科ヤマノイモ属の植物で、分類上は山芋や長芋などの仲間です。
そのため、それらの芋類に葉や花が似ているほか、むかごを作るという共通点もあります。
しかし、ニガカシュウの塊根(芋にあたる部分)はとても苦みが強く、きちんとアク抜きをするなどの処理をしない限り、食べることはできません。
ちなみにニガカシュウには「カシュウイモ」という栽培品種があり、こちらはおいしく食べることができます。
ニガカシュウの名前の由来は?
ニガカシュウは、漢字で書くと「苦何首烏」となります。この名前の由来となっているのは、ツルドクダミという植物の根を使った漢方薬「何首烏(かしゅう)」です。
ツルドクダミはタデ科なのでヤマノイモ科のニガカシュウとは分類が異なりますが、葉や塊根の形状などがニガカシュウと似ています。
見た目は似ていてもニガカシュウは塊根やむかごの苦みが強いことから、苦い何首烏の意で「苦何首烏」の名がついたという説が有力です。
ニガカシュウの葉の特徴
ニガカシュウの葉の形は、先端が少しとがった丸みのある心臓形です。無毛で、葉のふちにギザギザはありません。縦に走る葉脈と葉脈の間には、さらに細くはっきりした葉脈が横に走ります。葉は茎に1枚ずつ互い違いにつき、葉柄の両端にひだがあるのが特徴です。
それに対し同じヤマノイモ科の仲間である山芋の葉は、細長い心臓形をしていて、茎の同じ段に2枚ずつ葉をつけます。また、ニガカシュウのような葉柄のひだはありません。
ニガカシュウの花
ニガカシュウの花は、雄花・雌花ともに穂状の小さな花の集まりが垂れ下がるようにつきます。花が咲く時期は8~9月で、花の色は白く、つけ根部分から徐々に紫がかった色に変わっていくのが特徴です。
ニガカシュウの仲間である山芋の場合は、雌花は垂れ下がってつきますが、雄花は直立し、垂れ下がりません。ニガカシュウと同じように小さな白い花が集まって咲きますが、花は丸みをおび、色はほとんど変わらないまま咲き続けます。
ニガカシュウのむかご
ニガカシュウは、9~10月頃になると葉のつけ根のあたりにむかごを作ります。ニガカシュウのむかごの特徴は、表面に凹凸があり、ごつごつしていることです。
これに対して、山芋や長芋のむかごは表面がなめらかであることが多く、ニガカシュウのむかごと見分けることは特に難しくはないでしょう。
むかごは栄養分が蓄えられた塊であり、これが地面に落ちることでそこから新たな芽を出し、子孫を増やしていくという役割があります。
むかごは食べられる?
むかごは、芋ができるのと同じ仕組みで茎の一部がふくらんでできたもので、食感や味も芋に似ています。
山芋や長芋のむかごは、味のクセもなくおいしく食べられることから、炊き込みご飯やおつまみなどさまざまな料理の食材として人気です。また、皮ごと食べられるため栄養分をまるごととれるというメリットもあります。
ただしむかごをつける植物はいろいろあり、すべてのむかごが食べられるというわけではないので注意が必要です。
ニガカシュウのむかごは食用に向かない
ニガカシュウのむかごはとても苦く、食べることはできません。
また多少の毒性があり、食べると口の中がしびれたり、苦みが長く残ったりしてしまう可能性があります。毒キノコのように強烈な毒ではないので、少し口にしたくらいで体に深刻な影響が出るわけではありませんが、食べないようにするのが無難です。
ニガカシュウは、自然環境において山芋や長芋の近くに生えていることもあるため、間違えないよう見分ける必要があります。
ニガカシュウのむかごは食べないように注意しよう
ニガカシュウの仲間である山芋や長芋のむかごは、芋の部分と同じようにおいしく食べられる食材ですが、ニガカシュウのむかごは苦すぎて、食べることはできません。深刻なものではありませんが、多少の毒性もあるため、食べないように気をつけてください。
もし自分で食用のむかごを採る場合には、葉や花なども合わせた特徴をしっかりと見分け、食べられないニガカシュウのむかごを間違えて採ってしまわないように注意しましょう。