「じゃがいもは野菜ではない」というのは本当?分類は穀類?イモ類?

じゃがいもは野菜ではないという説が本当かどうか検証しました。野菜の定義や、じゃがいもが穀類やイモ類に分類されるのかをまとめました。また、じゃがいもの歴史や栄養素、米やイチゴやスイカの分類についてチェックしていきましょう。

「じゃがいもは野菜ではない」というのは本当?分類は穀類?イモ類?のイメージ

目次

  1. 1じゃがいもは野菜なのか紹介!
  2. 2じゃがいもは野菜ではない?
  3. 3じゃがいもの栄養素
  4. 4じゃがいも以外の食材の分類
  5. 5じゃがいもは野菜ではなくイモ類に分類される!

じゃがいもは野菜なのか紹介!

じゃがいもはよく食べる食材の1つです。野菜室に常備している家庭も多いことでしょう。ポテトサラダや煮物、フライドポテトにマッシュポテトとレシピもたくさんあります。そんなじゃがいもが、実は野菜ではないという説がありますが、本当でしょうか?

スーパーでは野菜コーナーに置いてありますが、じゃがいもを食べているからといって野菜を十分に摂っているとは考えにくいです。野菜ではないとすると、何に分類されるのかが気になります。主食として食べられている国もあるので穀類でしょうか?そもそも野菜の定義とは何でしょうか?本記事ではじゃがいもの分類についてまとめました。

じゃがいもは野菜ではない?

じゃがいもの原産と歴史

じゃがいもの原産地は、南アメリカの3000~4000m級のアンデス高原と言われています。アンデス高原にはインカ文明の元となるいくつかの文明が存在しました。その食生活を支えたのが、同じく南米原産のとうもろこしとじゃがいもでした。

当時は野生のじゃがいもでしたので、アク抜きして粉にしたり、乾燥したものを水に戻して食用としていました。16世紀末にインカ遠征の際、スペイン人がヨーロッパにじゃがいもを持ち帰りましたが、当初は観賞用の花としてフランスの宮殿で栽培されていました。

その後、冷涼な気候でも丈夫に育ち、土中に実ることからヨーロッパ全土に広がりました。オランダの海外進出とともに、食べ物として世界中に広まっていきました。18世紀後半にはじゃがいもは主要な作物として認められ、生産が盛んになっていきます。

じゃがいもは日本へは約400年前に入ってきました。インドネシアのジャカルタを拠点にしていたオランダ人が、長崎の出島に持ち込んだのが始まりとされています。そのため、じゃがいもの名前の由来にジャカルタが関係しています。

日本に入ってきた当初は、淡泊なじゃがいもの味が嗜好に合わず、あまり普及しませんでした。徐々に飢饉の時の救荒作物として寒高冷地広まっていきました。その後、明治時代になって北海道開拓が始まると、新品種などの導入も始まって生産性も向上していきます。

最も早く導入されたのが男爵薯です。函館の川田竜吉という人がイギリスから導入したのですが、この人物が爵位を持っていたことから、男爵芋と呼ばれています。この品種は食味と貯蔵性に優れており、作りやすいので全国的に広がりました。現在でも、日本の代表品種となっています。

じゃがいもの分類

じゃがいもの分類は役所によって異なります。農林水産省の野菜生産出荷統計等では根菜類で、食料需給表ではイモ類になります。総務省の家計調査では生鮮野菜、厚生労働省の国民健康・栄養調査ではイモ類になります。ここでのイモ類は野菜とは別の独立したカテゴリです。

まとめると、農産物や植物学では野菜に分類され、食品や栄養としての分類であればイモ類になります。1日に野菜を350gとりましょう、という有名な基準があります。この野菜の中にじゃがいもは含まれていません。

また、さつまいもは食品や栄養としての分類はじゃがいもと同じイモ類になります。しかし、農産物としての分類は普通作物とされ、野菜ではない穀類扱いになっています。理由は、さつまいもはでんぷん原料としても利用され、エネルギー源でもあるためです。

税法上は野菜の扱いの国が在ったり、穀物等の主食や所謂炭水化物やデンプンの供給源の為に別の扱いになってる国や役所が在ったり、書類上の都合と言うか農政や税法上の都合が色々見え隠れする主要作物の一つとなっています。

でんぷんと言われることもある

じゃがいもはそのまま調理して食べるだけでなく、でんぷんにも加工されます。現在流通しているほとんどの片栗粉が、じゃがいもから抽出されたでんぷんです。じゃがいもがあれば、簡単なレシピで片栗粉は手作りできます。このじゃがいもの性質から、食品成分表ではいも及びでん粉類に分類されています。

野菜の定義

野菜の定義も役所によって異なり、共通的・統一的なものはありません。農林水産省の生産・ 出荷の統計では、一般に野菜とは、食用に供し得る草本性の植物で、加工の程度の低いまま副食物として利用されるものと定められています。

一方で、厚生労働省の国民健康・栄養調査では、日本食品標準成分表の分類を基礎としており、食品の調理や摂取の形態に着目して分類されています。
 

イモ類は野菜ではない?

野菜の定義は現状ではっきりと定められていません。イモ類が野菜に含まれるのか、それとも独立しているのかについても、はっきりとした統一の見解は現在ではありません。栄養的には野菜とは異なるイモ類に分けられます。一般的に、健康のために野菜をたくさん食べましょうという場合、イモ類はそこには含まれません

穀物と野菜の違い

じゃがいもは主食として食べられている国もあるので、穀類ではないかという考えもあります。じゃがいもは食品としての分類では、穀物に準ずる主食となる農産物になりますが、穀類ではありません。

穀物というのは、種子の部分を食べるものであり、野菜は植物の葉や根、茎、花、つぼみ、果実の部分を食べるのが一番の違いです。穀物は高カロリーで栄養価が高いのが特徴で、米、トウモロコシ、小麦が世界三大穀と呼ばれています。

食品としての分類であればイモ類で、穀物ではありませんが穀物に準ずる主食となる農産物になり、野菜とは一線を画します。穀物でも野菜でもないとするのが正しいでしょう

じゃがいもの栄養素

ビタミンC

じゃがいもにはビタミンCが豊富に含まれています。その量はホウレンソウやミカンと同じ位です。じゃがいもに含まれるビタミンCはデンプンに守られているため、加熱しても壊れにくい特徴があります。ビタミンCは、風邪の予防や疲労の回復、コラーゲンの生成を促す、鉄やカルシウムの吸収を高める、などの効果が期待できます。

カリウム

じゃがいもにはカリウムが豊富に含まれています。カリウムを含む食材は多々ありますが、じゃがいものようによく食卓に並び、それなりの量を食べる食材はあまりありません。カリウムはミネラルの一種で、ナトリウムを排出する作用があります。塩分の摂り過ぎを調節する上で重要な栄養素で、むくみや高血圧に効果があります。

その他の栄養素

じゃがいもはビタミンCとカリウムの他にも、体を健康に保つための栄養素が多く含まれています。食物繊維は、普段私たちが食べている白米よりも多く含まれています。また、葉酸などのビタミンB群や鉄、マグネシウムなども含有しています。ビタミンB群は疲労回復に効果があり、鉄は貧血予防に、マグネシウムは骨や歯の形成に役立ちます。
 

じゃがいも以外の食材の分類

お米は野菜ではない?

お米は植物である稲に実るため、野菜ではないかという考えもあります。米は、食物としての分類なら穀物で、生物の分類なら1年性植物となります。食用の植物全般を野菜と捉えることもあるので、野菜ではないとは言い切れないですが、一般的には穀類として認識され扱われています。

一方で、米を主食としないヨーロッパなどでは、ライスコロッケやライスサラダといったメニューもあり、野菜感覚で食べられることもあります。

イチゴやスイカの分類は?

イチゴやスイカも、分類の仕方によって野菜と果物に判れます。農作物としては野菜に分類されます。食品の分類としては、果実類となります。ここでの果実類は野菜とは別の大分類です。

野菜と同様に果物の定義もはっきりと定まっていません。農林水産省では、概ね2年以上栽培する草本植物及び木本植物であって、果実を食用とするものを果樹としています。イチゴやスイカは苗から1年で収穫でき、木に実らない点で野菜に分類されています。メロンも同じ理由から、果実的野菜として扱われています。

じゃがいもは野菜ではなくイモ類に分類される!

食品の分類は国によっても違い、日本でも生産・流通・消費などの分野で分類の仕方が異なることがわかりました。じゃがいもの分類は複雑で、農作物や植物学では野菜として分類され、食品や栄養としての仕分けではイモ類となります。じゃがいもは種子を食べるものではないので穀類には分類されません。

さつまいもやイチゴやスイカの分類も役所によって異なります。一般に重要視されるのはじゃがいもの食品や栄養としての分類になりますので、じゃがいもはイモ類と認識しておけばよいでしょう。ただし、野菜ではないとは言い切れませんので、時と場合により柔軟に考えることも必要です。

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