2019年10月19日公開
2024年09月30日更新
有機酸は有機化合物の酸の総称!種類と効能を調査!使用されている食品は?
食品添加物として広く使われている有機酸について詳しく説明します。色々な有機酸の種類とその効能についても紹介しています。有機酸は、健康に良い種類も豊富です。有機酸が多く使用されている食品を知って、健康に役立てましょう。
有機酸とは?
有機化合物の酸の総称
有機酸は有機化合物を含む酸の総称で、ほとんどがカルボン酸です。カルボン酸とは、構造式にカルボキシル基をもつ有機酸をさします。有機酸にはクエン酸や酢酸、ギ酸、シュウ酸などがあります。中でもクエン酸や酢酸は、食品に含まれていることが多く、私たちの生活に身近な有機酸です。
有機酸は、防腐剤として食品に添加されることがあります。防腐剤や食品添加物と聞くと、安全性が気になる人が少なくありません。しかし、ほとんどの有機酸は人の体に対して安全です。有機酸は自然界に多く存在しており、人の体内にも多く含まれています。有機酸の種類と効能を知って、健康的な生活に役立てましょう。
果実に多く含まれている
有機酸は果実に多く含まれており、果実の酸っぱさは有機酸によるものです。主にクエン酸やリンゴ酸などです。レモンやライムの柑橘系に多く、収穫時期が早いほど有機酸の含有率は高くなります。収穫時期が遅くなると、有機酸は減り、糖度が高くなります。有機酸を多く摂取したい場合は、熟れた果実よりも早摘みのものがおすすめです。
柑橘類の他にも桃、洋ナシ、パイナップル、キウイ、メロン、イチゴ、りんご、チェリー、バナナ、グァバに多くの有機酸が含まれています。果実のさっぱりした清涼感は、有機酸による演出です。食品添加物の有機酸は、果実から抽出されることも多く、天然の有機酸は健康にも良い効果をもたらします。
有機酸の種類と効能
クエン酸
クエン酸はレモンなどの酸味の成分として知られています。疲れた時に酸っぱいものを食べると元気になるのは、クエン酸の効果によるものです。クエン酸はレモン、みかん、グレープフルーツなどの柑橘類や梅干しに多く含まれます。
クエン酸には様々な効能がありますが、代表的な効能は疲労回復です。疲労によって溜まった乳酸を分解し、新陳代謝を助ける働きがあります。代謝が上がることで、ダイエットや美肌にもつながります。また、クエン酸はビタミンやミネラルを吸収しやすくし、酸化を抑え、老化予防の効果を発揮します。
リンゴ酸
リンゴ酸はその名の通り、りんごに含まれる有機酸の一つです。りんごの他にぶどう、バナナ、梨などの果物に多く含まれています。クエン酸の1.2倍の酸味があり、フルーツ味のゼリーやジュース等に酸味料として使用されます。
クエン酸同様、体に溜まった乳酸を分解する作用があり、疲労回復の効果があります。また、歯のホワイトニング効果も期待でき、歯磨き粉に使われます。傷んだ髪の毛を酸性に戻して、ダメージをケアする効果もあるので、シャンプーなどに含まれることもあります。添加物のリンゴ酸は合成化合物の物が多く、DL-リンゴ酸と表記されます。
酒石酸
酒石酸はぶどうやレモンに含まれる有機酸の種類です。ワインの醸造過程で、樽の中の沈殿物または結晶が発見されたのが始まりです。やや渋みがある無色透明の固体で、水やアルコールによく溶けます。ワインの中では酒石酸カリウムとして存在していて、塩味と清涼感を演出しています。
酒石酸は主に清涼飲料水やゼリーの酸味料に使われることが多いです。消化吸収されない物質で、摂取してもそのまま排出されます。科学的なデータは少ないですが、疲労回復や整腸作用の効果があるとされています。ラットを用いた実験では、リンやカルシウムの吸収を阻害するというデータがあります。
コハク酸
コハク酸は貝類に含まれるうま味成分で、コハク酸ナトリウムになると、うま味を感じる作用が強くなります。また、アルコール発酵の副産物でもあり、ワインやビールに塩味、苦味、酸味を与えます。調味料として食品に用いられる他、医薬品のpH調整剤、工業用のメッキ、炭酸ガスを発泡する入浴剤に含まれています。。
最近の論文でコハク酸がダイエットに有効であるという発表がありました。肥満のラットにコハク酸を混ぜた飲料水を飲ませると、消費エネルギーが多くなり、体重減少が確認されたというものです。ヒトに対するダイエット効果は発表されていませんが、コハク酸にはエネルギー消費を高める作用が期待できます。
乳酸
乳酸は乳製品や漬物などの発酵食品に多く含まれる有機酸です。クセが少ない酸味が特徴で、pH調整剤や酸味を与える食品添加物として多くの食品に使われています。たんぱく質に柔軟性を与えたり、日持ちを長くするなどの効果があります。乳酸の主な効能は、腸内環境を整え、免疫力を活性化させることです。
味噌や醤油などの調味料、ヨーグルトやチーズなどの乳製品、その他多くの食品に含まれています。赤ワインの醸造過程では、乳酸菌を利用して酸味の強いリンゴ酸を除去して乳酸を作り、酸味を調整して味を調えています。医薬品や化粧品に使われることも多くあり、私たちの生活に馴染み深い有機酸の種類です。
酢酸
酢酸は酢に含まれる有機酸の一つで、酸味と揮発性のある刺激臭が特徴です。調味料の酸味調整や、香料の原料として使われています。強い殺菌作用があるので、食品の防腐剤としても古くから利用されてきました。
酢酸には脂肪の蓄積を抑える働きがあるため、ダイエットに効果があります。また、腸内の悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を整える効果もあります。食欲を増進させるので、夏バテにも効果的です。酢酸は酸度が強いので、過剰に摂取すると、知覚過敏の原因や胃痛の原因になるので注意しましょう。
アスコルビン酸
アスコルビン酸は栄養素のビタミンCとして働く有機酸の一種です。食品の酸化防止剤として広く使用されています。ビタミンCは皮膚や骨、血管の生成に欠かせない成分で、シミの原因であるメラニン色素を抑える効果があるのが特徴です。
また、抗酸化作用により体の抵抗力を高める効果も期待できます。鉄分の吸収をよくする効能もあるので、貧血の時に鉄剤と一緒に処方されることがあります。アスコルビン酸は美肌や貧血防止に効果的な有機酸といえます。アスコルビン酸が多く含まれる食材は、アセロラやグァバなどの果物、トマトやピーマンなどの野菜です。
有機酸が使用されている食品
調味料
貝のうま味成分であるコハク酸を含んだ調味料は、味噌や醤油、清酒などです。酢酸を3~5%含んだものが食酢として家庭用の調味料食品になります。乳酸は味噌や醤油、食酢、みりんの発酵を助ける役割があり、清酒やソースの酸味成分としても使用されています。
味付けの調味料食品としてだけでなく、食品添加物としての調味料でも有機酸は広く使われています。コハク酸はシーフード風味のインスタントラーメンや魚肉製品、水産物の佃煮などに添加されていて、独特のうま味を演出する役割を果たしています。
飲料
清涼飲料水の酸味料として乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などがあります。ヨーグルト風味もまろやかな酸味の清涼飲料水には乳酸が多く、レモンのような刺激のある酸っぱさにはクエン酸が使われます。りんごのような爽やかな酸味の飲料には、リンゴ酸が多く使用されています。
これらの有機酸は酸味を調整するだけでなく、食品中のpH値を調整したり、酸化を防止して腐りにくくする役割も担っています。リンゴ酸やコハク酸は、天然の物でなく合成化合物の場合が多いです。人工的な物質を避けている人は注意してください。
食材
クエン酸はジャムやキャンディの酸味料、pH調整剤として使われますが、主に柑橘系の味の物に多いです。ぶどう味のキャンディやゼリーには酒石酸が含まれていることが多く、クエン酸やリンゴ酸と併用されている場合もあります。漬物やアイスクリームに多い有機酸は乳酸です。
アスコルビン酸は果実加工品や漬物、惣菜、パンなどの酸化防止剤として使用されることが多く、変色や風味の劣化を防止します。また、栄養強化の目的で使用される場合もあります。
有機酸の特徴を知って健康に役立てよう!
私たちが普段口にしている食材には、色々な有機酸が含まれています。果物や野菜などに多く含まれ、健康的な生活のサポートしています。また、食品添加物としても多く利用されています。食品添加物と聞くと、健康に有害な物質と考える人も多いですが、健康に良い効能を与える有機酸も存在します。
私たちは、知らず知らずのうちに様々な有機酸を口にしています。身近な食品の中に使われている有機酸の種類と効能を知って、健康な食生活に役立てましょう。