2019年05月21日公開
2024年09月16日更新
チコリはおしゃれで栄養満点な野菜!生でも焼いても美味しいレシピを紹介
チコリは日本ではまだまだ馴染みのない野菜ですが、ハーブ好きの人ならば知っている人もいることでしょう。チコリは栄養豊富な野菜ではあるものの、苦味が強かったため食べ方やレシピが限られていて、もともとはサラダに使うことはできない野菜でもありました。ですがチコリは栽培方法を工夫するだけで苦味を抑えることができ、今ではサラダなどの生での食べ方にもいろいろなレシピが増えてきました。そんなチコリの栄養が持つ効果効能を始め、チコリのサラダなど野菜としての食べ方やレシピも紹介します。
チコリとは?
チコリは日本ではまだ馴染みの薄い野菜ですが、コカ・コーラの爽健美茶にも使われているように、栄養豊富な野菜でもあります。そんなチコリは日本ではまだまだ馴染みの薄い野菜ですが、ヨーロッパでは古くからハーブとして馴染みの食材であると同時に、イタリアでは品種によっては高級野菜でもあります。
日本でも国産のチコリは栽培されていますがその歴史は浅く、北海道や岐阜県で生産されていますが、日本国内で流通しているチコリの多くは、チコリの生産が盛んなベルギーやオランダ産が中心です。そんなチコリがどんな野菜なのか、まずは基本的なことから紹介します。
ヨーロッパ原産のキク科の葉野菜
チコリの原産地はヨーロッパから中央アジア、北アフリカにかけての地域といわれるキク科の多年草です。古くは魔力を持ったハーブと考えられていた野菜でした。北アメリカに持ち込まれたチコリは帰化植物となっていて、道路わきの雑草の中からチコリが生えていたりします。
チコリは日本語ではキクニガナ(菊苦菜)といいますが、ヨーロッパ各地でもさまざまな呼び名があり、イタリアではチコーリアの他に、栽培品種化したチコリを総称してラディッキオ(Radicchio)と呼びますが、フランスでは近縁種でもあるエンダイブを指すアンディーブ(endive)の名で呼ぶ場合があります。
日本ではチコリの他に、チコリーやフランス流にアンディーブやトレビスと呼ぶこともあります。アンディーブ(エンダイブ)はチコリとは近縁種ではあるものの、全く別の野菜でもあるため、混同しないよう注意が必要です。
名前の由来や花言葉
チコリの属名である「Cichorium」は、ギリシャ語の「畑」を意味した「kichorion」に由来しています。チコリは元々ヨーロッパで野生化していた野菜ですが、ギリシャ・ローマ時代から栽培していたことから、「畑」という意味になったと考えられています。
チコリの花言葉はいくつかあり、「質素」「倹約」「節約」「待ちぼうけ」です。先の3つは全て類語ですが、これらの花言葉は第二次世界大戦中、ヨーロッパでコーヒーが輸入できなかったことから、コーヒーの代用品としてチコリコーヒーを飲んでいたのが由来です。
もうひとつの花言葉の「待ちぼうけ」は、ドイツ名の「ウェグワート」から来ています。意味は「道端で待ちわびる人」「捨てられた恋人」だといわれます。チコリの花の色が青いことから、青ざめて悲しげに見えることから、約束した恋人を道端で毎日待ち続ける少女のようで物憂げだ、とされているのが由来です。
日を当てずに栽培される
チコリは光を当てない軟白栽培という方法で、新芽を白く育てたものを売っています。そのため形は小さい白菜のような見た目をしています。光を遮断して白く育てることで、苦味を和らげる効果があるのです。ただしチコリの仲間の中でもリーフチコリやサラダチコリなど、葉を食べるタイプのチコリもあります。
イタリアのチコリの栽培品種であるラディッキオの中には、葉の色が赤い品種もあります。ラディッキオ・ロッソと呼ばれる赤い品種群は高級食材とされ、その新芽は生のままサラダなどに使われます。
味や香りなどの特徴
チコリの葉には独特の強い苦味があるため、慣れていないと生食はできません。そのため光を遮断して軟白栽培することで、チコリの独特の苦味を抑えているのです。売っているチコリの新芽は、ちょっとした苦味が特徴的で、その歯ざわりは良く、かすかに甘味を感じる野菜です。
チコリの根は炒った後に細かく刻んで、コーヒーの風味付けや代用品にも使われます。実際アメリカのカフェデュモンドのコーヒーには、チコリが配合されていることで有名です。ベトナムコーヒーにもチコリ入りが多いように、チコリは広くコーヒーに使われているのです。
歴史
チコリは先にも紹介したように、ギリシャ・ローマ時代から栽培されてきた野菜です。古代エジプトでも利用されていたといいます。ヨーロッパでは13世紀ごろには栽培が普及していましたが、現在のような軟白栽培は19世紀にベルギーで行われたのが始まりです。
日本には江戸時代末期の幕末から明治にかけて伝わりましたが、その独特な風味が好まれずに広まりませんでした。最近になってイタリア料理やフランス料理などでよく使われることから段々認知度も高まって、スーパーなどでも売られるようになっています。
チコリの栄養の効果効能
チコリにはさまざまな栄養が含まれているため、健康への効果効能も高い野菜です。ですがチコリの健康への効果効能が高いといっても、具体的にはどんな栄養が含まれているのでしょうか?チコリに含まれる栄養とその効果効能についてまとめてみました。
水溶性食物繊維
チコリには豊富な水溶性食物繊維が含まれています。食物繊維は「第六の栄養素」とも呼ばれていて、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。チコリに多く含まれているのは水溶性食物繊維ですが、その中でも特に特筆すべき栄養素が、「イヌリン」という食物繊維です。イヌリンの効能にはどんなものがあるのでしょうか?
イヌリンでデトックス効果
イヌリンは砂糖やでんぷんなどの糖類の仲間ですが、人はイヌリンを分解する酵素を持たないために、イヌリンを含むチコリを摂取してもほとんど吸収されることなく、体外に排出されてしまいます。そのためイヌリンは他の炭水化物の1/3~1/4のエネルギー量にしかならず、水溶性食物繊維に分類されている栄養素なのです。
イヌリンは腸内で水分を吸収してゲル状になり、腸内をゆっくり移動することで腸の蠕動運動を促進します。イヌリンは腸内の細菌によって発酵分解されてフラクトオリゴ糖に変化し、善玉菌の餌となって腸内環境を整えます。便秘の解消にも役立つため、腸内の老廃物を排出し、デトックスにも効果効能を発揮する栄養素なのです。
イヌリンで血糖値の上昇を抑制
イヌリンには腸内で水分を吸収してゲル状になることで、一緒に摂った糖質を吸着して吸収を抑制する効果効能があります。糖質の吸収速度を緩慢にすることで、食後の急激な血糖値の上昇を抑える効能があるのです。血糖値の上昇が緩やかになることで、インスリンが過剰に分泌されることも防げます。
インスリンの過剰な分泌を防げることは、すい臓の負担を下げて糖尿病の予防にも効果効能が期待できるだけではありません。インスリンには余った血糖を脂肪細胞に溜め込む作用があるため、糖質が脂肪に変換されにくくするイヌリンの効果効能は、ダイエットにも効果効能が期待できるのです。
チコリ酸
チコリに含まれるチコリ酸(Chicoric acid)はチコリの特有成分とされ、チコリから最初に単離された成分でもあるのです。チコリ酸とはポリフェノールと酒石酸(酒石酸水素カリウム)が結合した抗酸化物質であることから、健康にさまざまな効果効能があるといわれています。チコリ酸の効果効能についてまとめてみました。
肝機能の向上
チコリ酸の抗酸化作用には、肝機能の向上促進や、脾臓や胆のう、腎臓といった臓器の浄化作用もあるといわれ、内臓機能保持をサポートしてくれる効果効能があると考えられています。チコリ酸には肝臓を刺激して、肝臓を元気にしてくれる効果効能があるのです。
活性酸素の抑制と除去
チコリ酸は抗酸化物質であることから、活性酸素の抑制と除去にも役立つと考えられています。活性酸素は健康な細胞を酸化させたり傷つけたりして、身体の機能の低下や老化を引き起こします。そんな活性酸素を除去してくれるチコリ酸には、アンチエイジング効果も期待できるのです。
解毒作用
チコリ酸に肝機能向上効果があることから、チコリ酸には肝臓の解毒能力を向上させる効果効能もあると考えられています。肝臓は身体に有害な物質を分解し、無毒化する機能があるのです。チコリ酸にある肝機能向上効果は、全身を浄化する効果効能でもあるのです。
タラキサステロール
チコリに含まれているタラキサステロールという成分には、胃腸を活発に動かすことで、消化不良や食欲不振といった消化器系の不調を改善するだけでなく、駆風作用による腸内に溜まったガスの排出を促す効果効能もあります。このタラキサステロールはチコリの苦味成分のひとつでもあります。
タンニン
チコリにはタンニンも豊富に含まれています。タンニンとはカテキンが多重結合したものであり、緑茶やコーヒー、ワインなどにも多く含まれるポリフェノールの一種です。タンニンというと鉄と結びついて貧血の原因になると思われていますが、さまざまな研究から食後1時間経っていれば影響はないことがわかっています。
そんなタンニンにはポリフェノールらしいさまざまな健康効果もあります。タンニンの美容や健康への優れた効果効能をまとめてみました。
肌を引き締める
タンニンにはメラニンを作り出す細胞の働きを抑制して、シミを予防する効果効能があります。さらにタンニンには収れん作用があるため、毛穴や肌を引き締める効果効能があります。美白効果と肌の引き締めの相乗効果で、美しい素肌を作る効果効能が期待できるのです。
高血圧や動脈硬化の予防
タンニンにはポリフェノールの代表的効果である抗酸化作用もあります。チコリ酸の抗酸化作用との相乗効果で、活性酸素による血管や心臓などの循環器系の組織や器官の損傷を防いでくれます。そのため動脈硬化の予防や、高血圧などの循環器系の病気の予防にも効果効能があるのです。
カリウム
チコリはカロリーの低さに対してカリウムの量が多く、100gあたり170mgのカリウムを含んでいます。さらにチコリ酸による肝機能向上効果から、むくみの改善やデトックス効果をサポートしてくれます。肝臓で分解されて無毒化された老廃物を、カリウムの利尿作用で体外に排出してくれるのです。
過剰摂取は脱水症状も
チコリにはカリウムなどの利尿効果もあるため、ハーブティーやチコリコーヒーとして飲みすぎたり、サラダレシピなどでカリウムが豊富な食材と合わせた食べ方をしたり、アルコールなどの利尿効果のある飲み物と飲み合わせたりすると、脱水症状を引き起こす可能性があるため、1日3杯までで間隔を開けて飲むようにしましょう。
またチコリコーヒーはノンカフェインであることから、妊娠中・授乳中に適した飲み物として紹介されることもありますが、便通促進から子宮収縮を促して流産の危険があるという意見もあります。キク科にアレルギーのある人はもちろん摂ってはいけません。
ラクチュコピクリン
チコリに含まれるラクチュコピクリンはポリフェノールの一種であり、チコリ酸やタンニン同様に抗酸化作用があります。そのため身体の老化予防に効果が期待できます。さらにラクチュコピクリンにははっきりとした根拠はないものの、沈静・催眠作用があるといわれストレスや不眠の軽減に役立つという声もあります。
チコリの美味しい食べ方/レシピ
チコリにはわずかに苦味はあるものの、サラダレシピを始めとした生での食べ方はもちろん、加熱した食べ方でも美味しく食べられる野菜です。チコリの食べ方に慣れていない人でも簡単に作れる、サラダを始めとした生での食べ方レシピや、サラダ以外の加熱調理のレシピなど、おすすめの食べ方やレシピを紹介します。
甘エビと帆立のチコリボード
- ホタテ(刺身用)4個
- 甘エビ(刺身用)12尾
- トビッコ大さじ2
- チコリ6枚
- A・塩コショウひとつまみ
- A・レモン汁小さじ1
- A・オリーブオイル大さじ1
- ホタテを3等分に切って、エビの尻尾を取り除きます。
- ボウルに1とAを入れてざっくりと混ぜ合わせます。
- チコリを並べて2を均等に盛り付け、トビッコをトッピングして完成です。
チコリのおもてなしサラダ
- チコリ1個
- A・クリームチーズ大さじ3
- A・はちみつ(なくても可)小さじ1/2~1
- A・黒コショウ少々
- トマト1/2個
- きゅうり1/3本
- 生ハムお好みの量
- 黒コショウ少々
- オリーブオイル少々
- チャービル(お好みのハーブ)適量
- お好みの野菜適量
- チコリの中心以外を剥いて水洗いしたら、キッチンペーパーなどで水気を切っておきます。
- チコリ以外の野菜は洗ってから小さめの角切りにして、こちらもキッチンペーパーなどで水気を切っておきます。
- Aを良く混ぜ合わせます。
- 2に小さくちぎった生ハムとオリーブオイルと黒コショウを混ぜ合わせておきます。
- チコリの中心部分はお皿の真ん中に、3をチコリの内側に塗ったら、野菜とハーブを乗せて完成です。
チコリで簡単おつまみ
- チコリ1個
- A・生ハム(細かく切ったもの)50g
- A・玉ねぎ(みじん切り)30g
- A・粒マスタード大さじ1
- レモン(なくても可)適量
- Aの材料を混ぜ合わせます。
- チコリを1枚ずつ剥がしてお皿に盛ったら、1を乗せて完成です。お好みでレモンをかけても美味しくいただけます。
チコリのオレンジ煮 温サラダ風
- チコリ1個(80g)
- 砂糖小さじ1
- バター10g
- オレンジジュース20ml~25ml
- 白ワイン(辛口)小さじ2
- タイム1枝
- 塩コショウ少々
- チコリは洗って半分に切ります。
- フライパンで砂糖を熱して溶け始めたら、バターを入れます。バターが溶けたらチコリの切った面を下にして、バターを絡めるように焼きます。
- オレンジジュースを入れて強火にして、白ワインを入れます。タイムも入れてスプーンで汁を上からかけます。
- 2分~3分で煮詰まってくるので、塩コショウで味を調えて完成です。
チコリの温前菜
- チコリ1個
- ベーコン2枚
- マッシュルーム4個~6個
- チコリは葉を切り分けて耐熱容器の上に並べます。マッシュルームは縦に3等分して同様に並べます。
- ベーコンを並べる前に塩コショウ(分量外)少々を振りかけます。ベーコンは適当な大きさに切り分けてから、チコリの上に並べます。
- ラップをしたら550Wの電子レンジで5分間ほど加熱します。チコリが柔らかくなって、ベーコンが香ばしくなったら完成です。
チコリの卵とじ
- チコリ3個
- 卵2個
- A・オイスターソース大さじ2
- A・砂糖(三温糖)大さじ1
- A・鶏ガラスープ(粉末)小さじ1
- A・コショウ少々
- ごま油(炒め用)大さじ1
- チコリは縦半分に切って、苦味の素である芯を取り除きます。芯を取り除いたものを縦にもう半分に切ります。それを横に3等分します。
- フライパンにごま油を入れて火にかけ、温まったらチコリを入れて炒めます。
- 全体がしんなりしてきたらAを加えて混ぜます。混ざったら溶き卵を流し入れて、大きくかき混ぜます。
- 卵が程よく絡んだら火を止めて、器に盛り付けて完成です。お好みで刻みネギを振るのもおすすめです。
チコリの選び方と保存方法
チコリはまだまだ馴染みの薄い野菜のため、レシピでの使い方や食べ方同様に、選び方や保存方法も良くわからない、という人のほうが多いのではないでしょうか?サラダに適したチコリの選び方や、チコリの栄養を効率良く摂りたいときの選び方を、保存方法と合わせて紹介します。
選び方
チコリの選び方は、芯がきれいな白色をしていて、葉先の色は鮮やかな黄色か赤色をしているものを選びます。全体的にツヤがあるだけでなく、巻きがしっかりしていて締りがあり、さらにふっくらした形のものが良品です。根元の切り口が瑞々しくて変色していない、葉先が萎れていない、重みがあることも大切なポイントです。
保存方法
チコリは乾燥に弱い上に日持ちも悪い野菜です。保存するときには軽く濡らしたキッチンペーパーで包んだ上からラップをピッタリと巻いて、冷蔵庫の野菜室に立てて入れるようにします。きちんと保存しても3日以内に食べるようにし、冷凍保存にも向かないため、食べる分だけ購入するようにしましょう。
チコリはおしゃれな上に栄養価も高い
チコリは栄養価が高く、サラダやチコリコーヒーなどお洒落なレシピや食べ方も多く、楽しみやすい野菜でもあります。チコリは栄養価が高いからこそ注意すべき点もありますが、おしゃれに食事に取り入れてその健康効果を実感してみてください!