お米に虫が湧いた!食べられる?米に虫が発生する原因と対処法
お米を炊こうと米びつを開けたら虫が湧いていた、という経験を持っている人もいるかもしれません。一体どこからやってきたのか、何が原因なのかと驚くほどに大量に発生していることもあります。お米につく虫としては、コクゾウムシなどが有名です。お米に虫がつく理由や、お米につく虫たちはどこからやってくるのか、もしお米に虫が湧いてしまったらそのお米は食べられるのか、お米に虫が湧かないような対策はどうすればよいかなど、お米に虫が湧く原因や駆除などの対処法について紹介します。
お米に虫が湧いても食べられる?
どこからともなく発生する虫、もしお米に虫が湧いてしまったとしても、捨てる必要はありません。きちんと虫を取り除くことができれば、いつも通りにお米を炊いて食べられるのです。その理由は、お米につく虫は人に有害となる毒を持っていないからです。
ただ、虫が湧くときは、1匹だけ湧くということはあまりなく、大量に発生する場合が多いです。そのため、お米を食べられる状態にするには、少々手間がかかります。
美味しくお米を食べるためには、虫を発生させることがないように保存することが大切です。なぜお米に虫が湧いてしまうのか、お米に湧く虫にはどんな種類がいるのか、万が一お米に虫が湧いたときの対処法はどうすればいいのか、などを紹介していきます。
お米の虫はどこから入ってくる?原因は?
米びつを開けて、中に虫を発見してしまったら、とても嫌な気分になります。お米に湧く虫は、何もないところから自然発症してくるわけではありません。虫が湧く原因はさまざまあります。ここではお米に湧く虫がどこからやってくるのか、また虫が湧きやすいお米というものがあるのか、お米に虫が湧く原因について説明します。
お米に虫が湧く理由
お米に湧く虫がどこからやってくるのか、それは外からやってきます。お米に湧く虫は、精米所で保管されている間にお米につくか、家庭で保管されている間にお米につくかのどちらかです。お米にもともとついているというよりは、外界のどこからか、お米を求めてやってくるのです。
虫は大量発生する原因は、お米を保存している温度と関係します。外界気温が20℃前後になると、これらの虫たちの活動が活発になります。お米を保管している袋には、湿気を逃がすために小さな穴が開いています。お米に湧く虫たちは、その穴を通り抜けられるほど小さいので、穴を通り抜けてどこからでも袋の内部に侵入し、卵を産み付けます。1回あたり100個ほど卵を産み付ける虫もいます。
産み付けられた卵は、外界気温が15℃を超えると孵化します。孵化した幼虫は、周りにあるお米を食べながら成長し、メスはまた卵を産みけるというサイクルを繰り返します。
また近年、住宅の性能が高くなり、機密性が高くなってきました。外気温の影響を受けにくく、ある一定の温度と湿度が保たれるようになったため、虫たちは米の中で快適に生き続けることができるようになりました。これも虫が大量発生してしまう理由の1つです。
虫がつきやすいお米とは
お米には大きく分けて、白米と玄米があります。お米に湧く虫たちは、白米より玄米を好みます。その理由は、玄米の方が栄養豊富だからです。白米と玄米の違いは、精米をして糠と胚芽を取り除いているかどうかです。 白米は、糠と胚芽を取り除いて胚乳だけにしていますが、玄米は糠と胚芽がついたままの状態です。
玄米には、ビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれており、健康食品としても日々注目を集めています。 人にとって身体に良いものとは、その他の生き物にとって良いものでもあります。お米に湧く虫たちも、玄米に含まれている豊富な栄養成分を求めてやってきます。そのため、虫は白米より玄米の方がより湧きやすいと言えます。
また、同じ種類のお米でも、保存状態が異なると虫の湧き方も異なります。お米に湧く虫が活動しやすい温度、卵が孵化するのに最適な温度は20℃前後です。これより低くなると、卵は孵化できませんし、成虫も活動することができません。
お米に湧く虫の種類
お米に湧く虫は、数種類存在します。ここでは、お米に湧く虫の種類を紹介していきます。ちなみにどの虫たちも誤って口にしたからといって死に至ったりするわけではありません。その理由は、これらの虫たちは、人間の命を脅かすようなウイルスや毒素を持っていないからです。
コクゾウムシ
お米に湧く虫として最も有名なのが、コクゾウムシです。漢字では「穀象虫」と書きます。穀象は、夏を表す季語としても使われます。 コクゾウムシは、お米だけでなく小麦やアワ、ヒエなどイネ科の穀物を食い荒らす害虫です。「米食い虫」という異名も付けられています。コクゾウムシの歴史は古く、縄文時代から主食である米を食い荒らしていたとも言われています。
コクゾウムシの成虫は、体長2mmから3mmほどで、黒色をしています。そのため、お米にコクゾウムシの成虫が湧いた場合はすぐに駆除などの対策をすることができます。しかし、卵や幼虫は白色なので、気づくことが難しいです。コクゾウムシは、18℃以下で活動を停止し、23℃以上で活動を始めると言われています。
ノシメマダラメイガ
ノシメマダラメイガは、体長7mmから8mmほどの焦げ茶色の蛾です。ノシメとは、着物の柄の一種です。着物の肩や胸元、裾などに、横縞を入れた模様を「熨斗目(のしめ)」と言います。ノシメマダラメイガの成虫の翅の柄が、この熨斗目に似ているという理由から、この名前がついたと言われています。
ノシメマダラメイガの幼虫は、玄米の胚芽や糠の部分を好んで食べます。そのためノシメマダラメイガの幼虫は、「芯喰い虫」とも呼ばれています。また、ノシメマダラメイガは米だけでなく、チョコレートや唐辛子など、植物油脂が豊富な種子を好んで食べます。このような理由から、稲作農家に限らず農業一般的な害虫として忌避されています。
コクヌストモドキ
コクヌストモドキは、体長3mmから4mmの昆虫です。成虫は赤褐色をしています。背中の部分の外骨格は頑丈に発達しており、甲虫に分類されます。カブトムシやクワガタムシなどが、甲虫の代表的な種類です。
コクヌストモドキも、お米だけでなく様々な穀物を食い荒らす害虫です。この被害は日本だけでなく世界中で報告されています。コクヌストモドキの寿命は3年以上と言われているので、一度発生してしまったら、被害が長期化する恐れがあります。
お米に虫が湧いた時の対処法
ここまでは、お米に湧く虫の種類や、お米に湧く虫がどこからくるのか、虫が湧いてしまう原因について説明していきました。ここからは、お米に虫を湧かせない対策や、もしお米に虫が湧いてしまったときの、駆除などの対処法について紹介していきます。
ざるに入れて振る
お米に湧いた虫を駆除したいからといって、殺虫剤を噴射するという対処法は使えません。もちろん虫は駆除することができますが、殺虫剤がかかったお米は私たちの体を害する恐れがあり、食べることができません。だからといって、お米に湧いた虫を1匹ずつ取り除いていたら、いつまでたっても食べられる状態にはなりません。
お米に虫が湧いてしまったときの対処法で最も簡単なのが、お米をザルに入れて振ることです。お米に湧く虫の体長は大きくても7mmから8mmほどです。そのため、お米が落ちない程度に粗目のザルを使います。お米を入れてしっかりと振れば、卵や小さい虫は落ちてくれます。ザルの目より大きく、ふるっても落ちない虫だけを、手で取り除いていきます。
米をよく洗う
お米をザルでしっかりふるって、ある程度虫を取り除くことができたら、洗米に移ります。ザルでふるっても、完全に虫が取り除かれているとは限りません。確実に虫を駆除する対策として、いつも以上に念入りに洗米する必要があります。
洗米時にお米と虫を分けるときは、水に浸した時に浮くかどうかで判断します。お米を水に浸しても沈んだままですが、虫は水に浸すと水面に浮いてきます。水面に浮いてきた虫を丁寧にすくって取り除きけば食べられるお米となります。
容器をきれいに洗う
お米の保存に米びつなどを使っている人も多いと思います。虫が湧いてしまったお米を入れていた容器は、きれいに洗ってから使う必要があります。その理由は、たとえお米からきれいに虫を駆除できたとしても、容器に成虫や卵が残っていたら、また虫を発生させる原因になります。
また、お米に湧く虫は、湿度が高い条件も好みます。容器を洗ったらしっかり乾燥させて虫が再びやってこないような対策を施します。
米を干して虫を駆除する
ザルでふるったり、洗米したりするだけでは駆除できないほど大量に虫が湧いてしまった、虫が湧いてしまったお米が大量にあるという場合の対処法として、米を天日干しして虫を駆除するという対処法があります。 天気の良い日に新聞紙やあレジャーシートを広げて、そこへお米を薄く広げます。あとは、1時間ほど天日干しをするだけで虫を駆除することができます。
お米につくコクゾウムシなどの虫は、外界からお米を求めてやってきます。天日干しをしている間に、余計に虫が集まってきそうと感じる人もいるかもしれませんが、コクゾウムシは光を嫌う性質を持っています。そのような理由から、天日干しをしている間にお米から逃げ出していくのです。
天日干しをする際は、どのお米にも万遍なく日が当たるように、できるだけ薄く一定の厚さでお米を広げます。また、成虫は光を嫌がって自力でお米から逃げて行きますが、卵は駆除することができません。天日干しのあとは、ザルでしっかりとふるってから念入りに洗米する必要があります。
食べても害はない
お米に虫が湧いてしまっても、ザルでふるったり、念入りに洗米したり、天日干ししたりすることで、食べられるようになります。しかし、このように念入りな対処法で駆除したとしても、虫が米に残ってしまうという可能性も無いわけではありません。もし虫が残ったままのお米を食べるとどうなるのか、と心配に感じる人もいるかもしれません。
結論から言うと、万が一虫を口にしたからといって、私たちが死ぬことはありません。お米に湧く虫は、私たちの命を脅かすようなウイルスや毒などは持っていません。ただし、虫の体も私たちと同じようにタンパク質からできています。稀に、この虫の体を構成するタンパク質に対してアレルギー反応を起こしてしまう人がいます。
私たちの命に影響が無いといっても、虫を口にするというのは気分が良いものではありません。できるだけ虫を発生させないよう対策をすること、万が一発生した場合は、速やかに完璧に駆除することをおすすめします。
虫が湧いたお米を美味しく食べるには
虫が湧いてしまったお米は、虫を駆除することができさえすれば食べられるのですが、通常の方法で炊飯するとパサついた食感になってしまいます。そのため、虫が湧いたお米を美味しく食べられるようにするためには、少し工夫が必要になります。
まずは、炊飯に使う水の量を、通常より少し多めにすることです。そして水に浸漬する時間を長めにします。そうすることで、お米の中に水分がしっかり吸収され、ふんわり、もっちりとした食感になります。
お米に虫が湧くのを予防するための対策
ここまではお米に虫が湧いたときの対処法を紹介しました。万が一虫が湧いてしまっても、適切に対処すれば食べられるのですが、虫を湧かさないように対策することが重要です。ここからは、お米に虫を発生させない対策を紹介します。
冷蔵庫で保存する
お米に虫が湧くことを予防する対策の1つ目は、冷蔵庫、中でも野菜室に保存することです。虫の発生を抑えられる理由は、温度にあります。コクゾウムシをはじめ、お米に湧く虫は20℃を超えると活動が活発になります。一方、18℃を下回ると活動を停止します。また更に温度が下がると卵も孵化しなくなります。
冷蔵庫内の温度は3℃から6℃、となっています。お米に湧く虫にとっては冬のような環境です。そのため虫の活動、増殖を抑えることができ、虫が湧くことを予防することができます。
お米は、空気に触れることによって酸化がすすみ、食味がわるくなる原因となります。冷蔵庫で保存する際は、冷気の吹き出し口の付近に保存しないように注意が必要です。
密閉容器に入れる
お米に虫が湧くことを予防する対策の2つ目は、密閉容器に入れて保存することです。コクゾウムシなどお米に発生する虫たちがどこから来るのかというと、外からやってきます。そのため、密閉容器に保存して、お米に虫を近づけさせないことが、対策の第一歩です。
またお米は空気に触れることによって酸化が進みます。お米の酸化は食味を悪くする原因の1つでもあります。密閉容器に保存することで、お米が空気に触れることを防ぐことができます。
米びつは、お米の保存に用いる容器として最も一般的です。最近は、密閉できる米びつや、ボタンを押すだけで自動計量してくれる米びつなど、様々な種類の米びつが販売されています。また米びつを買わなくても、密閉できる保存袋や容器を多数あります。自分のライフスタイルに合ったお米の保存容器を探してみてください。
米びつに唐辛子やにんにくを入れる
お米に虫が湧くことを予防する対策の3つ目は、米びつに唐辛子やにんにくを入れることです。
唐辛子には辛味成分であるカプサイシンが含まれています。このカプサイシンは、痛みの受容体を刺激して、体内で熱の産生を促すことでエネルギー消費量を増加させる効果が期待されています。エネルギー消費量の増加は、ダイエットに繋がると考えられ、サプリメントなども登場しています。
またにんにくの臭い成分として、アリシンが知られています。アリシンは自然のにんにくは持っておらず、にんにくを刻むことで酵素反応によって合成されます。 カプサイシンやアリシンは、忌避剤としての効果を持っています。米びつに入れておくだけで虫よけすることができます。
米びつに入れるときは、臭い移りを避けるために、唐辛子やにんにくをだしパックなどに入れてから入れます。
お米に湧く虫に正しく対処しよう
お米に湧く虫がどこから来るのか、お米に虫が湧く理由、虫が湧かないようにするための対策についてお伝えしました。お米に虫が湧く原因はさまざまあり、お米の保存状態が悪ければ、虫はどこからでもやってきます。もし虫が湧いても食べられるのですが、虫を湧かさないように密閉した容器で低温で保存するが対策の基本です。
しかしどれだけ対策していても虫が湧いてしまうこともあります。そんなときでもお米を捨てる必要はありません。対処法はあります。もし虫が湧いてしまっても、適切に駆除し、炊き方を一工夫すればお米は美味しく食べられます。お米に湧く虫に正しく対処し、無駄なく美味しくお米を食べましょう。