江戸前寿司とはどんな寿司?関西寿司/江戸時代の寿司との違いなど

江戸前寿司って、良く耳にするけれどどのような寿司なのでしょうか?今や海外でも愛され、世界中で人気の日本の寿司、寿司と言っても握り・ちらし・海鮮丼と様々な形式があるけれど、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?。また、東西によって文化の違いがある関東の江戸前寿司と関西寿司では、どのような違いがあるのでしょうか?言葉は似ているけれど、江戸前寿司と江戸時代の寿司とでは何が異なるのでしょうか?似ているようで異なる様々な寿司の意味も調べてみたいと思います。

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目次

  1. 1江戸前寿司について知りたい!
  2. 2江戸前寿司とは?
  3. 3江戸前寿司と江戸時代の寿司の違い
  4. 4江戸前寿司と関西寿司の違い
  5. 5江戸前寿司のちらしと海鮮丼の違い
  6. 6関東と関西の寿司の違い
  7. 7江戸前寿司の意味や違いを知って粋に食べよう!

江戸前寿司について知りたい!

今や世界中でヘルシーであるという事もあり、人気になったのがお寿司です。回転寿司から高級店まで多くの人々に愛されている寿司ですが、良く耳にする言葉である寿司、本来の江戸前寿司ってどのような寿司なのでしょうか?江戸前寿司について調べてみたいと思います。

江戸前寿司とは?

良く江戸前寿司という言葉を耳にしますが、江戸前寿司とは、何を示し何か特徴などがある寿司なのでしょうか?調べてみましょう。

江戸前寿司とは、江戸という名前の通り日本の江戸ことで、今の東京を意味します。現在の東京23区付近で生まれた寿司を江戸前寿司と呼びます。この江戸前寿司は、現在の握り寿司の原点となっていて、握り寿司を中心とした、江戸の郷土料理です。

江戸前の意味

江戸前というのは、①江戸の前面の海、つまり東京湾(江戸湾)で採れた魚介類と②江戸風、江戸前の仕事を意味します。②に関しては、冷蔵や冷凍技術そして交通手段も整っていなかった江戸時代では、寿司ネタに味や鮮度を保つための工夫をこらしてお客に提供していました。

①も②も江戸前寿司の意味として正しいのですが、ここでは江戸の前面の海を表し、江戸湾で獲れた新鮮で豊富な魚介類をネタにした寿司のことを江戸前寿司と意味しています。

ネタに施された仕事

江戸前寿司といえば、細工がほどこされた匠の職人技というのが特徴です。魚を酢や塩で締めたり、煮たり、蒸したり、漬けたり、タレを塗ったりと、生魚に様々な加工を加えてネタを工夫していることが特徴です。

マグロの漬けや穴子に煮切りを塗ったり、青魚の締めたものなどは代表的な技となります。寿司職人が出して下さった握りを醤油などを付けずにそのまま食べられるように味つけが出来ている状態で、そのまま召し上がって下さいと出されます。

シャリの特徴

シャリという言葉は寿司屋の隠語で寿司飯を表します。本来は寿司職人が使う言葉で、お客が使う言葉ではないことを知っていますか?ですが、ここではあえてシャリという言葉で紹介していきます。

江戸前寿司のシャリは、ネタ自体に仕事がされていて味つけされたり、タレを塗ってあったりしている為、シャリは味のバランス上、甘さ控えめになっています。寿司酢を効かせてはいるものの砂糖は少なく酢飯を作っている為、さっぱりあっさりしているケースが多いのです。

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江戸前寿司と江戸時代の寿司の違い

言葉は似ていますが、江戸前寿司は東京湾の魚介類を使った地域的なものを意味し、江戸時代の寿司は時代的なものを意味するので別物になりますので、当然2つの意味には違いがあります。

江戸時代のネタ

江戸前寿司のネタは、こはだ・エビ・白魚・いか・たこ・たい・アナゴが人気でした。人気というよりこれくらいのネタしかなかったのです。また、ネタもシャリも現在の倍くらいある大きなものだったのです。現在のガリの役割をしていたのは殺菌作用がある、たで(蓼)という植物や酢生姜でした。

現在の大人気のマグロですが、昔は脂身が多く美味しくないと不人気で低級の魚として嫌われていましたが、天保3年(1832年)の豊漁の際に、日持ちさせるために漬けにしてタダ同然の値段で売り出したところ、案外おいしいと評判になり、定番メニューになったそうでこれが機になり、マグロのイメージが変わりました。
 

大トロは不人気だった

今では高級ネタとなっている人気の大トロは、腐りやすいのと油っぽさが当時では嫌われていました。輸送手段が発達していなかった江戸時代では輸送にも時間がかかったり、冷蔵や冷凍技術もありませんでした。管理状態の良くない状態で長時間をかけて運ばれるマグロは味が悪かったのです。

マグロは「漬け」のように醤油漬けなどのように下味がつけられていますが、これは防腐のための処置でしたが、脂分が多いトロは醤油が染み込みにくかったので寿司ネタとしては使用しにくく、畑のコヤシか捨てるという事になってしまい、大トロなどは不人気なネタでした。江戸時代には、マグロは下魚扱いだったようです。

シャリの特徴

江戸時代のシャリは、伝統的な製法で作られた赤酢と塩のみを使い、砂糖は使用しないことがこだわりでした。 江戸時代では、酒粕を原料として作られた色の濃い酢のことを赤酢と意味していました。

 赤酢は江戸時代からの伝統的な方法で作らているので、 現代の砂糖や化学調味料も使って作られるシャリに比べて、口当たりも柔らかく、硬くなくふわっとしています。江戸時代のシャリは、 美味しくしかも塩分も少なめなので高血圧などの成人病予防などの健康的にも良かったのです。

さっと食べる

江戸時代では、寿司といえばファストフードであり、庶民の味で屋台でサッと食べる立ち食いでした。カウンターを挟んで板前さんと向き合い、立ち食い出来るスタイルの寿司。江戸前の魚をサッと調理してとれたての魚をサッと提供される屋台の寿司は気軽に立ち寄ることができるため、せっかちな江戸っ子の気質にぴったりだったのでしょう。

江戸前の握り寿司が誕生した当初は岡持ちに入れて売り歩く行商スタイルでしたが、屋台が登場し、気軽に立ち寄れて注文するとすぐに出てサッと食べてすぐ帰れる、という屋台のスタイルはせっかちな江戸っ子気質にピッタリで、粋な食べ方として庶民に広まりました。当時の寿司は現在の2~3倍あり、3~4個食べれば満足できたのでした。

江戸前寿司と関西寿司の違い

関東の江戸前寿司と簡裁の関西寿司では、違いがあるのでしょうか?違うとしたらどのような違いがあるのでしょうか?解り易く大きな差でいうと、江戸前寿司は握り寿司で、関西寿司は棒寿司や箱寿司のことを指します。関東と関西で寿司に詳しどのような違いがあるのかを調べてみましょう。

関西寿司とは?

関西地方では、江戸時代から更に歴史をさかのぼり、寿司の原型となる調理方法が 平安時代に生まれています。 江戸前寿司とは異なったスタイルの寿司で発酵寿司となり長期熟成を行うなれ寿司は、木型で成形して時間をかけて作り、保存性も高くなっています

使用していた魚は、アジやサバ、サンマといった大衆魚で、その後、瀬戸内の魚と厚焼き玉子、エビやアナゴなどを寿司飯とともに木枠の押し型に敷き詰めて美しく整形した箱寿司が生み出され、関西寿司の原型となっています。

押しずしや箱寿司

関東とは違い、関西寿司はサンマ・アジ・サバといった定番の大衆魚を発酵させたり漬けたりして、木型で押して成形する押し寿司でした。そこに瀬戸内の魚や穴子、海老、さらに具として厚焼き玉子や煮椎茸等を加え、木枠に美しく敷き詰めて形作る箱寿司が生み出されました。

箱寿司は見た目にも模様が美しく、味も美味しい、食べるのも楽しみという存在として関西寿司の名物となりました。そして後に箱寿司のみでなく、大きな意味で巻き寿司・バッテラ・棒寿司の普及と共に総称して関西寿司と呼ばれるようになりました。

日持ちするものが多い

関東では、すぐに食べきってしまうファストフードとしての江戸前寿司がうまれましたが、関西では趣旨が違い、時間や作る手間はかかりますが、すぐ食べなくても大丈夫な保存性の高い寿司に進化しました。

関西寿司は保存することを目的とするため、江戸前寿司に比べて砂糖を多く使用しています。そして江戸前寿司は余分な酸味を蒸発させるために、ご飯と酢を合わせた後うちわなどで急激に冷ましますが、関西寿司はゆっくりと冷まし、酢をしみ込ませます。酢がしっかりと染みていることも日持ちが良い要因になります。

行楽用

ファストフードの意味合いを持つ江戸前寿司に対し、関西寿司は店頭で食べる物ではなく、折り詰めとして持ち帰るテイクアウトが主流でした。このファストフードの位置付けとレイクアウトの位置付けというシチュエーションの差こそが東西での大きな違いです。

花見・芝居見物の幕間・行楽のお供として食べられることが多かった箱寿司には、見た目の美しさやある程度の保存性が求められたのです

江戸前寿司のちらしと海鮮丼の違い

江戸前の寿司の中の華やかなちらしと海鮮丼にはどのような違いがあるのでしょうか?ちらしも海鮮丼もご飯の上に魚介類をのせたご飯なのですが、何が違うのでしょうか?

ちらしはちらし寿司と寿司がつくけれど、海鮮丼は丼。そのあたりに違いのヒントはあるのでしょうか?

江戸前寿司のちらしとは?

江戸前のちらしの語源は、寿司飯の上や中に様々な具を「散らす」という意味から来ています。江戸前寿司においては、白い酢飯の上に、魚介類を醤油に付け込む・塩や酢で締める・煮るなどの調理が施された、にぎり寿司に用いる寿司種を並べたものを指します。シャリと具材のバランスとネタへの仕事が、江戸前寿司のちらしとなります。

江戸前のちらし寿司を楽しむと、その店の仕事の力や技を知ることが出来ます。江戸前のちらしはネタの上から醤油を全体にかけるのは野暮で、醤油を使う場合はネタを小皿に取りながら食べるのが粋な作法とされています。これは用いられるネタの多くが酢締めや煮しめなど江戸前寿司の仕事を施されたものであるためです。

海鮮丼とは?

ちらしと海鮮丼の大きな違いはネタの下のご飯にあります。海鮮丼はちらしと違い白いご飯なのです。気付いていない方も多いかも知れませんが酢飯ではないのです。

海鮮丼とは、魚貝類の刺身などを白飯の上に盛りつけた丼物料理を意味します。 海鮮丼は戦後に誕生した料理で、北海道、東北など北日本から全国に広まったという説と、江戸前のちらし寿司から派生したものという説があります。 江戸前寿司における海鮮丼は、一般的には酢を加えない温かい白飯を台とします。

関東と関西の寿司の違い

関東では、しめた後の魚を少し寝かせてから使うところが多く、寝かせることで身が柔らかくなり、また魚の旨みも出てきます。

一方、関西地方では、しめた魚は新鮮なうちにすぐに使用することが多く、新鮮な魚の状態を「活(い)かっている状態」と呼びます。この活かっている状態の魚は身がプリッとしていて歯ごたえが非常に良い点が特徴です。

寿司の発祥は関西

関西寿司の歴史は古く、平安時代の寿司の原型である塩と飯で漬け込み熟成させる「熟れ鮨(なれずし)」の伝統を受け継いで進化しました。魚を発酵させ長期熟成する熟れ鮨は、作る時間がかかりますが、保存性も高いことが特徴です。

このなれずしが現代の寿司のもととなり進化を遂げ、関西・関東を初め各地で独特な寿司文化が発展しました。

握り寿司の発祥は関西

千年以上の歴史がある、日本の寿司の原型といわれているのが近江(現在の滋賀県)の鮒寿しと云われています。滋賀県の琵琶湖の一帯、特に湖北と湖東に多い馴れずしで、この近江の鮒寿しを起源として今日の各地の寿司は、発達、分化していったものと考えらますので現在の握り寿司は関西地方が発祥と考えられます。

なれずし(熟れ鮨、馴れ鮨)は、文字通り熟している馴染んでいるというように、主に魚を米飯と塩で乳酸発酵させた食品です。現在の寿司は酢飯を使用しますが、なれずしは乳酸発酵により酸味を生じさせたもので、これが本来の鮨(すし)の形態でした。現在の主流である握り寿司を中心とした江戸前の早ずし(江戸前寿司)とは全く違ったのです。

関東は白身が少ない

関東はマグロにこだわる職人やお店が多いのに対して、関西はタイやヒラメなどの白身にこだわる職人やお店が多いのです。

もともと東京湾では白身魚が入手しにくい。今でも江戸前にこだわる寿司店では、「鯛だけは兵庫の明石産にかなわないから」と鯛そのものを出さない店もあります。逆に江戸前の象徴と言えばマグロで、マグロの質が店の格を決めると言っても過言ではないのです。

江戸前寿司の意味や違いを知って粋に食べよう!

関東の江戸前寿司・関西の関西寿司、それぞれの特徴があり職人の匠の心意気を感じ、どちらのお寿司も食べ比べしてみたいものです。江戸前寿司の握り寿司・ちらし寿司と海鮮丼は酢飯ではないなど、何気ない違いを理解し改めてちらし寿司や海鮮丼を味わってみて下さい。

江戸前は無粋な事を忌み嫌います。江戸前の意味や違いを理解して、さり気なく粋に寿司を食べたいものです。皆さんは寿司職人の魚介類に施された技巧を楽しむ関東の江戸前寿司派?  それとも、素材そのもの良さを堪能する関西寿司派ですか?どちらともにそれぞれの魅力がありますので、違いを理解して粋に寿司を食べてみて下さい。
 

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