アンゼリカとは?気になる味やお菓子への使い方!【製菓材料】

アンゼリカは製菓材料の一つです。鮮やかな緑色のアンゼリカの砂糖漬けは、他のドライフルーツやナッツなどと一緒にブランデーケーキやスコーンなどに焼きこんだり、トッピングにも使われます。しかし、ヨーロッパで使われるアンゼリカはセリ科のハーブで女性特有の症状を和らげたり、万能薬としても利用されてきた植物です。そんなアンゼリカの味や、ハーブとしての使い方を見ていきましょう。また、日本人になじみの深いアンゼリカの砂糖漬けの作り方やそれを使ったお菓子なども紹介します。

アンゼリカとは?気になる味やお菓子への使い方!【製菓材料】のイメージ

目次

  1. 1アンゼリカとはどんな食べもの?
  2. 2お菓子で使われるアンゼリカのもとはハーブ
  3. 3アンゼリカのお菓子の使い方
  4. 4アンゼリカの作り方
  5. 5アンゼリカを使ってレトロで可愛いお菓子を作ろう!

アンゼリカとはどんな食べもの?

アンゼリカはお菓子の飾りに使われる

アンゼリカというハーブを知っていますか?お菓子の飾りに使われている、鮮やかな緑色の砂糖漬け、と聞くとピンとくる方も多いのではないでしょうか。お菓子の彩りに欠かせないアンゼリカは、ケーキやクッキーのトッピングや、ブランデーケーキやスコーンの生地に混ぜ込んだりして使われる、独特の風味と食感が楽しめる食材です。

でもこのアンゼリカ、一体どうやってできているのでしょうか?アンゼリカという名前はどういう意味?実は日本で私たちが普通に目にしているアンゼリカは、本来のアンゼリカとは別のものなのです。アンゼリカについて、詳しく見ていきましょう。

アンゼリカの製造方法

お菓子に使うアンゼリカの作り方は、「アンゼリカ(セイヨウトウキ)」というセリ科植物の茎を砂糖で煮つめて、グラニュー糖をまぶす、というものです。独特の香りと鮮やかな緑色が特徴のアンゼリカは、ヨーロッパ諸国では古くからお菓子の材料として使われ、ブランデーケーキやスコーンなどに用いられてきました。美しい緑色のアンゼリカを使ったケーキは、宝石のような輝きを放ち、高級感あふれる雰囲気に早変わりします。

セイヨウトウキ、と聞いて、漢方薬の「当帰(トウキ)」を思い出す方もあるでしょう。東洋ハーブの当帰とセイヨウトウキは近縁種です。

しかし、セイヨウトウキはあまり日本では栽培されていません。実は、日本では手に入りにくいセイヨウトウキの代替品として、お菓子にはフキが使われてきました。セイヨウトウキの茎と同じような空洞のあるフキの茎を砂糖で煮て緑色に色付け、グラニュー糖をまぶしたものをアンゼリカと呼んでお菓子に使ったのです。フキで作ったアンゼリカは、見た目や食感は本来のものに似ていますが、特徴的な香りはほぼありません

アンゼリカの味は?

アンゼリカ

本来のアンゼリカは、少しスパイシーな香りに特徴があります。セロリやアニス、あるいはジャコウに似た香りがして、苦みの中に甘みがあると言われています。砂糖漬けのアンゼリカの食感は、柔らかくモチモチとした感触の中に少し繊維を感じられる、甘く煮た固めのゼリーのような感じです。

お菓子で使われるアンゼリカのもとはハーブ

アンゼリカの起源や由来

アンゼリカはアルプス、ピレネー、ヒマラヤ、シベリアが原産地。寒冷地に自生する二年草です。ヨーロッパでは悪魔を退けるハーブとして神聖視されており、アンゼリカという名前はラテン語で天使に由来しています。ヨーロッパで疫病が流行した時、修行僧の夢に現れた天使ミカエルがアンゼリカが効くことを教えてくれたという伝説があり、その天使ミカエルの日(5月8日)にアンゼリカは花を咲かせるそうです。

アンゼリカは「天使の根」または「天使のハーブ」と呼ばれ、万能薬として重宝されてきました。その使い方は、ハーブティー、魔法や占い、悪霊払いなど、多岐にわたります。花や葉を乾燥させてポプリや入浴剤として使ったり、葉を茹でて料理の付け合わせにしたり、薬効だけでなく風味を楽しむ使い方もされています。
 

アンゼリカの効果と効能

女性の病気に

ヨーロッパでは、アンゼリカは「全ての病を治す」と信じられてきました。アンゼリカには女性ホルモンの分泌を調整して、女性に特有な症状を緩和する働きがあります。生理痛をやわらげたり、生理不順、月経過多、貧血などにも効果を発揮します。

その他にも、血行を促進し身体を温める作用や、発汗・利尿作用、ぜんそくや気管支炎による痰を取り除く作用、胃腸の働きを促進する作用、リウマチや坐骨神経痛の痛みの緩和作用、精神安定作用などがあると言われています。

アンゼリカはハーブティーにも

アンゼリカティー

ハーブティーとしての使い方は、アンゼリカの根を細かく刻み、5分間煮出します。あるいは、熱湯を注いできれいに漉してから飲む、という使い方もできます。食欲不振や、更年期の不調に効果があり、扁桃腺やのどの痛みに対するうがい薬としても使われます。アンゼリカティーには強い苦みと香りがあるので、他のハーブとブレンドして使うといいでしょう。ただし、妊娠中の人はアンゼリカの使用を控えたほうがよいそうです。

アンゼリカのお菓子の使い方

カラフルな「スコーン」

いつものスコーンの生地に、アンゼリカやドレンチェリー、パイナップル、パパイヤなどの好きなドライフルーツを混ぜ込んで、カラフルなスコーンを作ってみましょう。フルーツの香りがいっぱいの華やかなスコーンができあがります。ドライフルーツは3mm角に刻んでさっとお湯をかけてからラム酒に3日以上漬け込んでおくと、スコーンの他にもマフィンやバターケーキなど、いろいろな使い方ができて便利です。

レトロな洋菓子「ブランデーケーキ」

ドレンチェリーとアンゼリカの組み合わせは、昭和レトロな懐かしい雰囲気がいっぱい。ブランデーケーキの作り方は簡単です。バターケーキの生地に、刻んだアンゼリカやドレンチェリー、ブランデーに漬けたドライブルーベリーを混ぜ込んで焼き上げます。焼きあがったら表面が熱いうちにブランデーを刷毛でたっぷり塗り込みましょう。

ブランデーを塗ったケーキはラップで包んで2日ねかせます。ねかせている間に、ブランデーが生地やフルーツと馴染んでいき、まろやかな風味のブランデーケーキができあがります。たっぷり浸み込ませたブランデーのおかげで日持ちもするので、少しずつ、味の変化を楽しみながら食べていけるケーキです。

宝石箱のような「ゼリー」

カラフルなドライフルーツや缶詰のチェリーなどをちりばめたゼリーは、宝石箱のような美しさでパーティーの一品にも。作り方は、型に好みのフルーツをしいておき、リンゴジュースにアガーを混ぜたゼリー液を流し込み、粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やし固めます。表面にフルーツを散らす場合は、固まりかけてきたタイミングを見計らってそっと載せていきましょう。アンゼリカの緑色が映えるゼリーです。

ホームパーティーに「クリスマスのシュトレン」

洋酒漬けフルーツがたっぷり入ったシュトレンは、クリスマスらしさいっぱいでパーティーを盛り上げるのに一役買うこと間違いなしです。切り口に見えるアンゼリカの鮮やかな緑とドライクランベリーやドレンチェリーの赤、レーズンの紫、レモンピールやオレンジピールの黄や橙が、楽しいクリスマスに華を添えてくれます。クリスマスカラーのアンゼリカとドレンチェリーを見せる使い方が決め手ですね。

なお、ドイツ語でシュトレンとは「坑道」の意味で、トンネルのような形をしていることから名前が付いたということです。焼き上げられたシュトレンには真っ白に粉砂糖がまぶしてあり、その形が幼子イエスが産着にくるまれているように見えると言われています。

アンゼリカの作り方

材料

本物のアンゼリカは日本では手に入りにくいので、フキで代用する作り方を紹介します。太めのフキ、砂糖、重曹を用意しましょう。砂糖は、フキの重さの半分の量です。鮮やかな色を付けたい場合は緑の食用色素を使います。仕上げにまぶすグラニュー糖は、フキと一緒に煮る砂糖の重さのさらに半分ぐらいが必要です。

作り方

フキで代用するアンゼリカの作り方です。フキは適当な長さに切り、重曹を少し入れた湯で2回煮ます冷水にさらして皮をむいたら、さらに冷水に3時間ぐらいさらしてアクを抜きます。鍋に適量の水とフキの半量の砂糖を煮つめてシロップを作って食用色素で色を付けその中にしばらくフキを浸しておきます。フキを取り出してシロップだけを煮詰め、またフキを浸します。

この作業を何回か繰り返すことでフキのクセを抑えることができます。フキに充分な色がついたら取り出して乾燥させます。この時、フキの穴にシロップが残らないように斜めに立てておきましょう。天候や湿度にもよりますが、1~2日しっかりと乾かして、表面が少しべたつくぐらいになったら、グラニュー糖をまぶします。そのままもう1日ほど乾燥させると、フキのアンゼリカの出来上がりです。

最近では、製菓材料としてアンゼリカを扱っているところが少なくなり、手に入りづらくなっていますので、アンゼリカを手作りしてみるのも面白そうです。

アンゼリカを使ってレトロで可愛いお菓子を作ろう!

昭和レトロで可愛いお菓子作りには欠かせないアンゼリカが、本来は西洋で万能薬として用いられていたハーブで、日本ではフキで代用されてきていたとは驚きでした。機会を見つけて、本物のアンゼリカの香りも体験してみたいものです。

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