2019年02月13日公開
2024年09月03日更新
キャッサバは毒があって危険?タロイモとの違いやタピオカの原料について
キャッサバは、タピオカの原料にもなる芋の種類です。アフリカを中心に主食としても食べられており、栽培も簡単で、豊富な栄養源としてや人口の爆発的な増加に対しても食料の供給源として期待されています。ただ、シアン化合物(青酸配糖体)といわれる毒性が含まれているので食べる際には注意が必要です。キャッサバに含まれる栄養成分、調理の方法、食べ方やタロイモとの違いについて紹介します。
キャッサバとは?
南米原産の芋の根茎
キャッサバは、南米原産の芋の根茎部分で、トウダイグサ目トウダイグサ科イモノキ属の亜熱帯植物です。和名は、イモノキ(芋の木)といわれていますが、タピオカ、マニオク、マンジョカとも呼ばれています。キャッサバには、苦味種と甘味種があり、苦味種は主にでんぷんへの加工用に用いられ、甘味種が、野菜として食用に用いられます。
形はさつま芋に近いですが、先が細長くとがった感じになっています。表面は固い幹に覆われています。果肉は白く、固く水分が少なく、甘みも少なくたんぱくな味です。粘りは少なく、でんぷんが多いもちっとした食感です。
亜熱帯から熱帯気候で栽培
キャッサバは、アフリカのナイジェリア、南米のブラジル、インドネシアなど東南アジア諸国などサバンナ気候や熱帯地域で栽培されています。栽培はとても簡単で、茎を地中に挿すだけで発根し、育成します。熱帯の都市では、緑地帯の植え込みにも利用され、室内の観葉植物としても利用されています。
酸性土壌や乾燥地でも育つ
キャッサバは、乾燥地や酸性土壌、貧栄養土壌でも育成可能で、今まで農地とされていなかった場所でも栽培ができ、将来の人口増加に対する「食糧問題」や「温暖化問題」の食料の供給源として考えられています。
食用だけだはなく、バイオエタノールやバイオプラスチックの原料となり、接着剤として利用もできます。そのほかには、家畜の飼料や焼酎の原料にも用いられます。キャッサバの用途が多岐にわたるため、供給が追い付かない程、世界的に注目を集めている食材なのです。
キャッサバには毒がある?
青酸配糖体を含有
キャッサバには、有毒な青酸配糖体が含まれています。青酸配糖体とは、有毒な成分「シアン化合物」なので、毒抜きの処理が必要です。また、キャッサバを生の状態で日本に輸入することが禁止されているので、有毒な成分を除去し、加工されているキャッサバのみ輸入することができます。
青酸配糖体での症状
キャッサバを十分な毒抜き処理をせずに食べると、嘔吐、頭痛、めまいといった症状が起こったり、酷い症状になると、体の痙攣、意識混濁、呼吸低下などの症状が起こることがあります。現在では、毒性の低い品種も作られていますが、必ず毒抜きの下処理が必要です。
十分な下処理をしよう
生のキャッサバは、輸入品では規制がかけられていますが、日本国内でも静岡県や沖縄などで生産しているところがあるので、国産のキャッサバは、生で売られていることもあります。しかし、やはり毒性はあるので、しっかりと毒抜きの下処理をしなくてはいけません。
キャッサバの有毒な成分が含まれているのは、表皮と芯の部分なので、皮を厚めに剥き、半分に切ってから黄色い芯の部分を取り除き、水にさらします。そこから、まず2時間茹でさらに水を換えて2時間茹でます。その後水を換えて16時間以上水につけてから調理します。
キャッサバの栄養成分
加熱でも壊れにくいビタミンC
キャッサバに含まれる栄養成分のビタミンCは、風邪の予防や疲労回復、肌荒れなどに効果があります。キャッサバのビタミンCは、ジャガイモと同じようにでんぷんに守られているので、加熱しても壊れにくくなっています。
カルシウム
キャッサバに含まれる栄養成分には、カルシウムも含まれています。カルシウムは、骨や歯を作り、イライラの抑制などの効果があります。また、カルシウムが不足すると、高血圧や動脈硬化などの血管系疾患を招くといわれています。
カリウムやマグネシウムなど
キャッサバには、カリウムやマグネシウムといった栄養成分も含まれています。カリウムは、体内の余分なナトリウムを排出しむくみを予防します。カリウムは、汗をかくと体内から排出されてしますので、カリウム不足になると夏バテの原因にもなります。
キャッサバに含まれるマグネシウムは、カルシウム似た栄養素で、骨や歯を作るのに必要な栄養素です。ストレスの緩和や精神的な安定をもたらす働きもあります。利尿剤を長期間使用したりアルコールやカフェインの入った飲料を飲むことで、マグネシウムが尿中に流れ出しマグネシウム不足になることがあります。マグネシウムが不足すると、イライラしたり神経過敏や慢性的に不足すると狭心症や心筋梗塞の原因になるといわれています。
キャッサバとタロイモの違い
タロイモは草の地下茎
キャッサバとタロイモの違いは、タロイモは東南アジア原産のサトイモ科のに属する多年草です。オセアニア、インドネシア、台湾、インド、アフリカなどで栽培される食用の芋です。日本で栽培される里芋と同じ種類です。タロイモとキャッサバの大きな違いですが、タロイモは亜熱帯植物の根や地下茎の部分が肥大し栄養を蓄えた芋類ですが、キャッサバは常緑低木の根茎である芋類です。
タロイモの根茎が肥大化した部分が芋の部分として食べられますが、葉も茎も食べられ、非アレルギー食材です。アジア全体からインド、中近東、アフリカなどで主食として食べられています。タロイモは、芋類の中では、低カロリーで、さつま芋の半分程度のカロリーです。パンやご飯に比べてヘルシーなオーガニックフードとして注目されています。
タロイモには痒み成分のシュウ酸カルシウムがある
タロイモは、キャッサバと違い毒性はありません。ただ、えぐ味成分であるシュウ酸カルシウムが、タロイモの皮を剥くことで針状の結晶に変化し、この針が手に刺さることによってかゆみを感じるのです。里芋を剥くと手がかゆくなるのと同じです。
タロイモは加熱調理が必要
キャッサバとタロイモの違いは、タロイモにはキャッサバのように毒性はありません。しかし、タロイモはえぐ味や渋みが強いので、水にさらすでけでは食べられません。必ず加熱調理してから食べなければなりません。
タロイモの味は、茹でたり蒸したりするとくせが少なく、ほんのり甘い味がします。あっさりとしたジャガイモのような味わいです。タロイモの食べ方は、里芋と似たモチモチとした食感が楽しめるので、煮っころがしやグラタン、サラダ、汁物やニョッキなどとして調理されます。
キャッサバの食べ方!タピオカの原料にも!
調理の前に毒抜き
キャッサバには毒があるので、調理の前に必ず毒抜きをしなくてはいけません。毒は、キャッサバの皮と中心の芯の部分にあり、皮の部分に毒の90%が集中しています。調理前に毒抜きをすれば、安心して食べることができます。
調理前のキャッサバの毒抜きの仕方は、キャッサバの皮を厚めに剥き、縦に半分に切り、中心の黄色い筋の部分を取り除き、よく洗いに水にさらします。水にさらしたキャッサバを2時間茹でます。2時間茹でたらゆで汁を換え、さらに2時間茹でます。合計4時間茹でたら、水を換えて16時間以上水につけておきます。
キャッサバの毒抜きで、茹でる手間をかけたくないのであれば、キャッサバを水につけておく方法もあります。皮を厚く剥き、中心の黄色い部分を取り除いたキャッサバを4日から6日間水につけ、柔らかくなるまで煮込むと毒抜きができます。
パンやケーキに煮物
キャッサバの食べ方としては、毒抜きしたキャッサバの根の皮を乾燥、粉砕したキャッサバ粉があります。キャッサバ粉を使ってカリブ海の島々での食べ方は、パンやケーキ、クッキーなどを焼きます。ナイジェリアやガーナでの食べ方は、キャッサバ粉に蒸したさつま芋を合わせ、煮物として食べられています。日本では生で出回ることが少ないですが、素揚げにしたり、ふかし芋にすることもあります。
タピオカの原料として
キャッサバと聞いて、タピオカを連想する人も多いと思います。キャッサバは、タピオカの原料として使われています。キャッサバを無毒化して抽出されたでんぷんから作られています。作り方は、キャッサバの根を水に溶かしながら粉砕し、繊維質を濾して水に溶けだしたでんぷん質を抽出したのがタピオカ粉なのです。
タピオカ粉の調理の仕方は、タピオカドリンクだけではなく、タピオカ粉を使ったパンやケーキ、クッキーやわらび餅など、もちもちした食感を楽しむ食べ方が人気を呼んでいます。
キャッサバは毒抜き処理されているものを食べよう!
キャッサバとタロイモの違いについて紹介しましたが、どちらも栄養価が高く、主食として食べられている食材です。調理の仕方によって食べ方も変わってきますが、モチモチとした食感に人気があり、どちらもパンやケーキなどに用いられています。
タピオカの原料にもなるキャッサバは、毒性が強いので生のまま輸入されることはありませんが、日本でも栽培されているところがあります。日本では、あまり見かけることはないかもしれませんが、海外に行かれた時や購入するときは、必ず毒抜きの処理がされているものを食べるようにしてください。