海苔は消化に良くない?「海苔を消化できるのは日本人だけ」の真相を調査!
海苔は、日本人にとって欠かせない食べ物のひとつです。海苔の歴史は古く、すでに8世紀頃には食べられていたといわれています。海苔にはさまざまな種類があります。ここでは、生の海苔から加熱した焼き海苔までその違いや海苔に含まれている栄養についても調査していきます。また、海苔は消化に悪いといわれていますが、本当に消化に悪い食べ物なのか?日本人だけが海苔を消化できるという話は真実なのか?その真相は日本人の持つバクテリアに秘密がありました。では、詳しくみていきましょう。
海苔が消化に良くないと言われるのはなぜ?
消化できない海苔の種類
日本人の食卓に欠かせない海苔の歴史は古く、8世紀頃には日本人はもうすでに海苔が食べられていたといわれています。海苔とひとことでいっても海苔には、生海苔、乾のり(ほりのり)、焼き海苔、味付け海苔、韓国の韓国のりなどさまざまな種類があります。栄養もありヘルシーな食べ物として人気がある海苔ですが、海苔の種類によって消化ができるもの、また日本人にしか消化できないものなどの違いがあるようです。
加熱してある海苔、例えば、焼き海苔や味付け海苔などは、適量食べる分には特に心配する必要はありませんが、生海苔や乾のり(ほしのり)のような加熱していない海苔を食べて消化できるのは日本人だけという研究結果がフランスで発表されました。その理由は、日本の歴史と海苔の関係、日本人の腸内だけに存在する海洋性バクテリアの働きに真相が隠されています。早速、詳しくみていきましょう。
海苔の消化に腸内のバクテリアが必要
2010年にフランスの海洋生物学の研究チーム、ロスコフ生物学研究所が、「生の海苔を消化できるのは世界で日本人だけ」という研究結果を発表しました。
生の海苔を分解、消化するには、海洋性のバクテリアを体内に取り込む必要があります。生の海苔は、とても固いポルフィラン多糖という細胞壁で作られています。その細胞壁は、歯で噛み砕くことができないほど強固なもので、体内に入ってからも消化液だけでは分解することができません。そんな消化しづらい生の海苔をなぜ日本人だけが消化できるのでしょうか?
海苔を消化できるのはなぜ日本人だけなの?
日本人の腸内にだけバクテリアが存在
なぜ世界で日本人だけ生の海苔を消化できるのか?その理由は、日本人の腸内にのみ存在する、生の海苔を分解できる海洋性バクテリアの存在によるものです。生の海苔が分解できないのは、ポルフィラン多糖の成分にあります。このポルフィラン多糖を分解することができる酵素を海洋性バクテリアが持っているのです。
バクテリアとは、単細胞の微生物で、日本人が海苔などの海藻類を分解できるのは、多糖類の分解酵素を出す遺伝子を持ったバクテリアを取り込んでいるからなのです。では、どうしてこのバクテリアは日本人にしか存在しないのでしょうか?
日本は、海に囲まれた島国です。海苔や海藻類を昔から食べていた歴史は8世紀頃までさかのぼります。海藻類を食べ続けた食文化、歴史によって、日本人でも消化できなかった海藻類も栄養分として取り込むためのバクテリアが腸内に生まれたのです。
フランスの海洋生物学の研究チームによる研究によって生の海苔を消化できるバクテリアが発見されたのは、世界中で日本人の排泄物だけだったことから、「生の海苔は、世界で日本人しか消化できない」という研究報告が発表されました。
日本人と海苔の歴史
日本人にとって欠かすことのできない食べ物の海苔。その歴史は古く、日本最古の701年制定の大宝律令に朝廷に納める税金として海苔が使われていたと記録されています。当時は、高級な食品として食されていた海苔は、鎌倉時代に入って精進料理で海苔が多様されるようになったのをきっかけに、次第に庶民の食卓でも食べられるようになります。
さらに江戸時代には、庶民の間で海苔巻きが大流行、海苔は日本の食文化を語るうえでも重要な食べ物になっています。
加熱した焼き海苔なら誰でも消化できる
海苔は、日本人にしか消化できないという発表がフランスでありましたが、それは生の海苔に含まれている成分ポルフィラン多糖によるものです。ポルフィラン多糖は熱に弱く、海苔を加熱することによってポルフィラン多糖の固い細胞壁が壊れ、消化がよくなります。加熱した海苔であれば日本人ではなくても消化することができます。加熱された海苔の種類は、焼き海苔や味付け海苔、韓国のりなどです。
離乳食として使うなら1歳を過ぎてから
海苔は、栄養豊富でヘルシーな食べ物です。つい離乳食に与えても大丈夫と思いがちですが、海苔は種類によりますが、念のため1歳を過ぎてから与えるようにしましょう。特に注意したいのが、味が付いている焼き海苔です。味付け海苔には、さまざまな添加物が入っている可能性があります。また、海苔がのどや上あごなどにくっついて窒息などを起こす危険性もあります。
海苔は栄養豊富で体に良い食べ物!
海苔には、さまざまな栄養素が含まれています。ここでは、海苔の栄養と効果をみていきましょう。市販されている海苔の全型は1枚当たり約20cm角で重さは約3gです。その重さの約3~4割は、良質のタンパク質です。植物性食品では、高タンパクな食品です。タンパク質には、筋肉や臓器、肌や髪、爪などを健康に保つために欠かせない栄養素のひとつです。ほかにも、旨み成分のグルタミン酸やアスパラギン酸が多く含まれています。
海苔の栄養は、他にも植物には珍しい、EPAやタウリンが含まれています。EPAには、血液をサラサラにする効果があるので、心筋梗塞や脳卒中などの予防になります。また、胃潰瘍の予防になるビタミンUも含まれています。さらに、海苔に含まれているポルフィラン多糖には肥満抑制効果があるのでは?と今、注目されている成分です。
海苔に含まれている栄養素による効果は、美肌効果、免疫力の向上、便秘解消、貧血予防、生活習慣病の予防などが期待できます。では、海苔に含まれている主な栄養素を紹介していきます。
ビタミンCはみかんの約1.5倍
海苔には、意外にもビタミンCがたっぷり含まれています。その量はみかんの約1.5倍です。ビタミンCの主な働きは、ビタミンCに含まれる抗酸化作用によって体の酸化を防ぎ、風邪予防や免疫力を高める効果、コラーゲンの生成を助ける働きやメラニンの合成を防ぐ働きによって美肌効果やストレスに強い体作りにも役立つ栄養素です。
また、海苔には鉄分も豊富に含まれています。ビタミンCには、鉄分の吸収を助ける効果もあります。さらに、海苔に含まれているビタミンCは、熱に強いので、加熱した焼き海苔などにもビタミンCが含まれています。
ビタミンAはほうれん草と同じぐらい含まれる
海苔には、さまざまな栄養素が含まれていますが、その中でもビタミン類が豊富で約12種類のビタミンが海苔の中に含まれています。海苔に含まれているビタミンAには、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあります。また、夜盲症の予防、病原菌などの侵入をブロックする免疫力を高める効果があります。
海苔を2枚食べると1日に必要なビタミンAを摂ることができるほど、海苔にはビタミンAが豊富に含まれています。近年、ビタミンAにがん予防効果が期待できると注目されている栄養素のひとつです。ただし、海苔の食べすぎは、下痢や便秘、消化不良の原因になるおそれがあります。食べすぎには充分注意しましょう。
鉄分は海苔5枚でほうれん草1束分
海苔に含まれている栄養素には、女性に不足しがちなミネラル、鉄分が豊富に含まれています。鉄分の主な働きは、体内の鉄の60~70パーセントは赤血球のヘモグロビンと結合して、肺から取り入れた酸素を全身に運んでいます。
鉄分が不足すると、赤血球を造れなくなるので鉄欠乏なり、貧血になりやする可能性が高くなります。貧血予防に効果的な鉄分を海苔で手軽に補給できるのは、特に女性にとって嬉しい情報です。小腹が空いた時などに、焼き海苔をおやつ代わりにいかがですか?
海苔の1/3は食物繊維
海苔に含まれている栄養、その約3分の1が食物繊維です。食物繊維は、現代人にとって不足しがちな栄養素のひとつです。食物繊維の働きといえば、便の量を増やして便秘を防ぐ効果は有名ですが、最近のデトックスは、生活習慣病の予防にも効果があることが分かってきました。
また、ご飯と一緒に食べることが多い海苔、血糖値が急激に上がりやすい白米に対して、海苔の食物繊維の働きによって血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できます、海藻は食物繊維が多く低カロリーな食品なので食べすぎ予防やダイエット効果も期待できるでしょう。ご飯と海苔を一緒に食べるのは、とても理にかなった食べ方です。
海苔の消化の秘密は腸内のバクテリアだった!
海苔は消化に良くない?「海苔を消化できるのは日本人だけ」の真相を調査!いかがでしたか?日本人と海苔、その歴史は古く、生の海苔を食べ続けた結果、私達日本人には、生の海苔を消化できるバクテリアを生み出すまでに進化していました。それは日本人だけが持つ海洋性のバクテリアです。海苔が日本人にとって必要な栄養素であることを意味します。これからも海苔を大切に食べ続けてバクテリアと共存していきましょう。