おせち料理の詰め方の基本は?お重の二段・三段別に丁寧解説!

おせち料理は、詰め方などに決まり事があって面倒と思われるかもしれません。基本を理解すれば自分なりのおせち料理にチャレンジもできます。本来の姿は五段重ですが、現代では少子化や核家族化の影響で二段や三段が主流となり、洋風や中華風などのおせちも一般的になりました。新しい年の福を願うのは勿論ですが、現代のように冷凍やハウス栽培のない時代から受け継がれてきたおせち料理は、その季節にとれる食材や、乾物にして冬まで保管できる食材を使った日本の風土にあった知恵が生きています。おせちの詰め方の基本を紹介します。

おせち料理の詰め方の基本は?お重の二段・三段別に丁寧解説!のイメージ

目次

  1. 1おせち料理を詰める重箱を選ぼう
  2. 2おせち料理の重箱はどの段に何の料理を詰めるの?
  3. 3おせち料理の詰め方の基本をおさえよう
  4. 4おせち料理のきれいな詰め方とは?
  5. 5おせち料理の詰め方のバリエーションとは?
  6. 6おせち料理の保存方法・保存期間
  7. 7おせち料理の詰め方をマスターして新年を迎えよう!

おせち料理を詰める重箱を選ぼう

おせち料理は重箱に詰めるのが基本です。重箱の素材については特に決まりはありません。もともとは五段が基本ですが、最近は少子化や核家族化が進み、食べる人数も少なくなっていることから、二段や三段、場合によっては大きめの一段重とすることも多いようです。販売されている重箱もほとんどが三段です。どのように重箱を選んだらよいのでしょうか?

おせち料理を重箱に詰める意味とは?

おせち料理を重箱に詰めるのには「福を重ねる」という意味があります。また、実用的な意味としては、種類ごとに段を分け、匂いや味がうつるのを避けるという意味もあります。重ねてしまえばいろいろな種類の料理をつめてもコンパクトに収める事ができます。おせち料理は実用的な意味と、縁起の面での両方の意味を持って重箱に詰める形で伝えられてきました。

重箱のサイズの選び方とは?

重箱のサイズは5寸から6.5寸くらいが一般的です。1寸は約3cmですので、単純に考えると15㎝角ではあるのですが、重箱の内側の長さである場合と外のサイズである場合があり、深さもまちまちなので実際にモノをみてみないとどのサイズで何人前と言えない部分があります。ただ、5寸のものは縦横高さが15cmピッタリの物が多く、この大きさで大人3人前といったところです。

大きさが6寸、あるいは6.5寸になると、縦横の長さもお店によってメーカーによって多少違いがあります。6寸だと1辺が18~18.5cm、高さが三段で17cmほどのものが多くなっています。6.5寸だともっと差が開き、1辺が19.5cmから21cmくらいと幅が出てきます。高さは6寸以上のものは、高さはほとんど変わりはありません。6寸で4~5人前、それ以上だと6人以上の家族やお客様の多い家が適しているでしょう。

重箱はほとんどが三段で売られています。二段で使う場合は三段の一段を外して使うようになります。二段で使うのが決まっている場合には、側面の模様が二段になってもおかしくないものを選びましょう。サイズの面で考えると、二段にする場合は5寸のもので2人前、6寸のもので3~4人前と考えるとよいでしょう。料理の保管などを考えると木に漆塗りがよいのですが、手入れなどを考えるとABS樹脂にウレタン塗装のものが簡単です。

重箱の形も昔は「角を立てない」という意味から角が丸められたフォルムのものが多かったのですが、最近はデザイン性重視で、はっきりと角のあるシャープなシルエットの重箱も好まれるようになりました。食卓やインテリアなどを考え、好みの形を使っても素敵なおせち料理が出来上がります。料理の色合いとの相性も大切です。自分がイメージしている詰め方に合わせて選びましょう。

初心者には仕切り付きの重箱がおすすめ

仕切りのない重箱に、葉蘭などの飾り葉だけを使って詰めるのは初心者には至難のわざです。うまく配置出来ずにごちゃごちゃになったり、味や匂いが移って料理の風味を損なう原因にもなります。初心者のうちはお重に仕切りをつけるか、あるいは中子(仕切りカップ)などを使うのがおすすめです。

家族がみんな好きで早くなくなってしまった料理などをストックから補充するときや、傷みやすいものをそこだけ取り出して冷蔵庫に保管するときにも便利です。

中子は単体でも販売されており、料理をいれて、中子をの配置を変えることでも簡単にレイアウトを変えることができます。汁気のあるものも、中子にいれておけば、使い終わった重箱をお手入れしてしまう際にも手間が少なく済みます。おせち料理だけでなく、運動会のお弁当などを詰めるときにも便利です。

おせち料理の重箱はどの段に何の料理を詰めるの?

最近は、二段重や三段重のおせち料理が多いのですが、もともとのおせち料理は五段重が一般的でした。お重に詰める内容は地方によっても多少違いがありますが、中身の内容は概ね次のような内容です。壱の重は、お屠蘇と一緒にいただく祝肴です。弍の重は口取です。三の重は海の幸や焼き物です。与の重は山の幸や煮物です。五の重は年神様から福を頂くためのスペースです。

もともとこういった縁起物では、偶数は割れる数として凶数とされてきたので、五段という形になったのではないかといわれています。今ではあまり見かけることはありませんが、四段以上の重箱にはふたが二枚ついています。煮物などの温かいものを他の重から離す意味合いがあったようです。

縁起物としてのおせち料理の基本のものは主に一段目と二段目に入っています。ここがおせちの顔になります。年神様とお屠蘇を飲み交わしながら、縁起の良いものが多く詰められます。おせちに入る基本的なものを紹介します。

田作りは、肥料に小イワシが使われたことから豊作を願っています。黒豆は、まめに暮らせるようにです。昆布巻は「よろこぶ」からきています。栗きんとんは、漢字で「栗金団」となることから金運上昇です。伊達巻は、巻いている形状から反物を連想させ「着るに困らない」という意味です。

紅白なますは、紅白はめでたさの象徴であり、水引きに似ているからです。数の子は、卵がたくさんついていることから子孫繁栄の意です。蓮根は、穴が空いており「先を見通せるように」です。海老は、「腰が曲がるまで長生きする」長寿の願いを込めています。

二段の重箱でおせち料理を詰める場合

おせちを二段の重箱に詰める場合は、五段重の壱の重と弐の重を一段目に、三の重と与の重の内容を二段目に入れます。簡単に考えると、焼き物と煮物は弍の重に、それ以外を壱の重に入れればよいのです。一段目の料理の品数が多くなる詰め方です。酢の物も入るので味移りや匂い移りが起こりやすいので、仕切りや中子、飾り葉などを上手に使いましょう。

三段の重箱でおせち料理を詰める場合

四段に分けて売れる重のうち、三の重の与の重の内容を三の重にまとめて入れます。つまり、焼き物と煮物を三段目にまとめて入れる詰め方です。焼き物や煮物はお吸い物やご飯のおかずにもなるので、お正月中に比較的に出番の多い料理になります。その日食べる分を三段目にいれておいて、残りは鍋や大きめのタッパーにいれて冷蔵庫などに保管するのが良いでしょう。煮物はできれば毎日1回は火をいれておきましょう。

おせち料理の詰め方の基本をおさえよう

お重のどの段に何を入れるのかを説明しましたが、詰める内容や詰め方にも若干のルールがあります。おせちは年神様と一緒に頂くという縁起物ですので、入れ方にも縁起を取り入れて彩りや見栄えがよい状態で詰めていきましょう。基本のルールを守っていけば、細かいところは自分でカスタマイズしてもよいでしょう。おめでたいお料理ですので、美味しそうにみえることが一番です。

おせち料理はいつから詰め始めればいいのか?

昔は、旧暦の12月13日に『正月事始め』としてお正月の準備を始めるのが習わしでした。この日は暦上、何かを始めるのに必ず吉となるという鬼宿日のため、年神様を迎えるのにふさわしいとされていたからです。ですが、今のお正月は旧暦ではありませんので、年末近くの都合の良い日から開始してよいでしょう。ただし、早く準備を始める場合も、食べられる状態にして詰めるのはぎりぎりまで待ちましょう。

おせちは品数も多く、詰めるのもかなり手間がかかります。実際にはいつから詰め始めればいいのでしょうか?おせちは比較的日持ちのする料理は多いものの、食卓に出しておけば人間が過ごせる気温になっていますからどんどん悪くなってしまいます。冷蔵庫にお重をまるごと入れられるスペースがあるのであれば、年末のうちに詰めて、冷蔵庫に保管しておいてください。もし、早起きが可能であれば、元日の朝早起きして詰めます。

料理の詰める数は奇数が基本

日本には偶数は割れる数だから凶という考えが根強いようです。凶という字も箱の中に棒が2本入った形になっています。おせち料理にも3や5や7などが使われる事が多いようです。ただ、8だけは末広がりで吉とする場合もあります。9は苦につながるということから避けるときもありますが、おせちでよく使われる市松は9に区切って入れる詰め方ですので、おせち料理では9はあまり気にされないのかもしれません。

料理は奥から詰めていく

おせちをつめるためには、まず正面を決めます。正面を決めたら奥の方から前の方に順に料理を並べて配置していきます。市松の場合で仕切りがないときは、中央に中子にいれた黒豆やいくらなどをおいてからやるときれいに配置しやすくなります。

似た色合いの料理は離して詰める

色合いも美しいおせち料理ですが、壱の重は特に縁起物が多くなり、色合いも鮮やかです。きんとんや伊達巻、数の子や錦玉子など黄色いものが多いので似たような色が重なりがちですが、隣に並べないようにするのがコツです。伊達巻などは焼き目を上に向けると黄色ではなくなります。また、近くても斜めなら色が離れて見えます。どうしても似たような色が隣になってしまう場合には、飾り葉や薬味などでアクセントをつけましょう。

イラストで配置をイメージしておこう

入れるものが決まったら、イラストに書いて詰め方をイメージしてみましょう。考えながらやると案外時間がかかるものです。計画的に詰めていきましょう。上手なイラストでなくて構いません。イラストがかけなかったら、四角い図を区分けして、それぞれの色を塗って素材の名前を書くだけでも構いません。

ペーパークラフトで実際に詰めて工夫する方法もあります。飲料メーカーのキリンから無料のペーパークラフトの型紙が配布されています。また、布製のおせちのおもちゃなども販売されています。お子さんがいらっしゃるお家では楽しいかも知れません。おもちゃでおせちのレイアウトを考えることで、好き嫌いのあるお子さんも興味をもっておせち料理を食べてくれるかも知れません。

おせち料理のきれいな詰め方とは?

おせち料理は彩りが華やかで、配置の仕方でイメージが変わります。基本の配置がいくつかありますが、それ以外のオリジナルの並べ方をしたり、飾りを添えて色味を増やしても個性的で美味しそうなおせちとなります。きれいに詰めたおせち料理をInstagramにアップしているひともいます。飾り葉や薬味などのあしらいや、中子などについて紹介します。

飾り葉や薬味で見栄えを華やかにしよう

おせちには緑色の食材が少ないことから、あしらいに飾り葉をいれるとアクセントになります。飾り葉などのあしらいには、見た目がだけでなく防腐作用という意味合いもあります。上手につかうことで見た目がぐっと華やかになり、上品なおせちに仕上がります。

おせちによく見かける、細かい葉がたくさんついた飾り葉は「裏白」と呼びます。裏表のない正直さあを表し、白い裏面を表にして添えます。

赤い実のついた小枝は南天です。「難を転ずる」ということから、これも縁起物として加えられます。はっきりとした鮮やかな赤が、おせちに色を添えます。小さな葉のついた枝先もあしらいに使われます。

松葉は常緑で樹齢が長いことから長寿の願いを込めて使われます。銀杏や黒豆などを刺して添えられることもあります。本物の松葉を使うだけでなく、竹で作った楊枝を松葉に見立てて先を2つに割って料理に使われることもあります。松葉を豆に指すときは、先に楊枝で豆に穴をあけておきましょう。

葉蘭と熊笹は、ともに料理の下に敷かれたり、仕切りとなったり、飾り切りして使われるものです。葉蘭のほうが葉が大きく厚みもあります。お寿司屋さんでチビた包丁で飾りしてくれるのも熊笹です。葉蘭はお弁当の仕切りにつかうバランの語源となった葉です。良い香りがして防腐作用もあります。葉蘭や熊笹ほどは大きくありませんが、椿の葉などもあしらいに使われることがあります。

仕切りがなくても葉蘭などで間を仕切り、中子などを上手に使うときれいなおせちに仕上がりますが、この詰め方は、慣れないとバラバラな感じになってしまいます。仕切りのないお重詰めは上級者向けかもしれません。

汁気のあるものは竹筒やゆず釜を活用しよう

汁が多かったり、形が崩れやすいもの。いくらや黒豆のような粒の小さいものは中子などにいれます。柚子の中をくり抜いた柚子釜にいれると柚子の香りが風味に加わって美味しさが増し、黄色の色が入るため華やかになります。柚子の香りが苦手な人は、柚子の形に似せたプラスチックのカップを使っても良いでしょう。

竹筒も昔からある伝統的な中子です。プラのカップなども販売されています。本物の竹を使うことも出来ますが、プラスチックなどは洗うのが便利で入手も容易です。夏には水ようかんやゼリーなどの容器として使うこともできます。竹筒や柚子釜にいれたものは、お重の詰め方を変えるのにも便利ですし、夜はそこだけ外して冷蔵庫に保管することもできます。

魚やエビは頭を左むきに揃えよう

焼き魚や煮魚を盛り付けるのと同じように、魚やエビの頭は左側になるように揃えます。ごまめなどの小さいものではあまり厳密にいわれませんが、ある程度大きさがあって揃えて見栄えが良い場合は左側に頭を向けて並べます。日本では昔から左上右下ということがいわれており、左側に来るもののほうが位が上とされることから、魚の盛り付けもそうなったといわれています。

おせち料理の詰め方のバリエーションとは?

おせちの詰め方には、伝統的な形がいくつかあります。重箱の仕切りもそれに合わせて作られているものが多く販売されています。仕切りがない場合には、この形をイメージに配置をしていくときれいにしあがります。おせち料理の食材のサイズはバラバラですので、先に大きなものの配置を決め。それを中心に小さなものや特定の形があるものを上手に配置していきましょう。

正方形に仕切る「田の字」や「一松」

市松の詰め方で縦横2列に詰めたものが田の字です。このまま仕切りごとに一品だと品目が偶数になってしまうので、区切りに2種類入れる場所を作ったり、あしらいをそえて奇数に調整してください。基本的な詰め方で初心者にもおすすめです。

市松は市販のおせちの一の重に最も多く取り入れられている詰め方です。仕切りがあれば仕切りごとにいれてもおせちらしい仕上がりになりますし、仕切りがなくても中子や葉らんをうまく使うことできれいな仕上がりになります。奥からつめるのが基本ですが、容器に入ったものや伊達巻やかまぼこのようなはっきりとした形のあるものの間に、崩れやすいものや不定形(きんとんのような)のものを詰めていくと上手に仕上がります。

横一文字で仕切る「段詰め」

奥から横一文字で料理を配置していく詰め方です。3段か5段が一般的ですが、横一列同じものである必要はないので、写真のように横に配置しながらいくつかのものを並べてずらしていくことで、市松とはまた別の雰囲気のおせちができあがります。

おせち料理の保存方法・保存期間

おせちはもともとが節句のときに仕事を休み、かまども休ませるものでした。みんなで会食するのが目的であることから、日持ちのよい料理が多く入っています。ですが、ひとが出入りしたり過ごす環境は比較的温度が高いため、食べるとき以外は10度以下の環境で保管することが望ましいものです。冷蔵庫で保管しましょう。上手に保管しても、手作りのものや百貨店や料理やで作られた冷蔵品は3~4日で食べきってしまいましょう

衛生的な環境で真空パックされてものは、冷蔵品に比べると少し消費期限が長くなります。消費期限は品物によって違いますが、期限が長いものも食べないときは冷蔵庫に保管するのは冷蔵品と同じです。真空パックのものも開封後は1週間以内に食べきるのが基本です。また、冷凍品などは解凍後は比較的劣化が早い傾向があります。解凍後は2~3日で食べきりましょう。

おせち料理の詰め方をマスターして新年を迎えよう!

自分できれいに詰めたおせち料理は、なんとなく達成感もあり誇らしいものです。全部作るのは大変ですが、市販品も多く出ており、セットになっているものを使いながら自分の好きなものだけ手作りという方法もあり、全部セットのおせちに比べて経済的です。伝統的なおせちだけでなく、オリジナルの洋風おせちやスイーツおせちもなかなか楽しいものです。ことしはおせち料理をぜひご自身でつめてみましょう。

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