モンブラン【ケーキ】の意味と由来を調査!栗は関係なかった!
数あるスイーツの中でも誰もが知っているモンブラン。イチゴのショートケーキとともに昔からとても人気のあるケーキです。最近では、カボチャやサツマイモを使ったモンブラン、色も黄色や茶色、紫、白など様々な種類が売られています。ところで、モンブランとはどういう意味なのでしょうか?そして、モンブランとはどこの国の言葉でしょうか?今回は人気のモンブランケーキの意味と由来を詳しくお伝えします。
目次
モンブランケーキの意味を知ってる?
デパ地下のスイーツ売場には様々な可愛いケーキが売られています。その中でもイチゴのショートケーキやモンブランケーキは昔ながらの定番として、ほとんどの日本人が知っていることでしょう。そして、モンブランは今ではコンビニのスイーツとして売られているほど、私たちにとって身近なケーキです。その「モンブラン」という言葉はどういう意味なのでしょうか?今回は気になるその意味と由来について、詳しくお伝えします。
モンブランケーキの意味と由来を解説!
モンブランケーキの「モンブラン」という言葉の意味と由来を知っていますか?それを探るためには、まずモンブランが何語なのかを考えてみましょう。英語由来の言葉なのでしょうか?あるいはその他の国の言葉から来ているのでしょうか?
モンブランはフランス語
モンブランは実はフランス語由来の言葉です。モン(Mont)がフランス語で「山」という意味で、ブラン(Blanc)はフランス語で「白い」という意味です。いわゆるモンブランというケーキをフランス語で表すとすると、「MontBlanc aux Marrons(モンブラン・オー・マロン)」となります。
ちなみに、マロンは「栗」という意味の英語だと思われがちですが、フランス語のMarronが由来となっています。フランス語では一般的に食用の栗のことをChâtaigne(シャテーニュ)と言います。Marron(マロン)は本来はマロニエの実を意味するフランス語です。イメージとしては、大きい実がひとつ入っているのがマロンとも言えます。
上の写真はフランスでよく見かけるマロニエの木の実です。栗に似ていますが違います。それなのに実際にフランスでは、下の写真のように、栗(Châtaigne)を使った商品であっても、商品名にMarronというフランス語を使っていますので複雑な話です。
モンブランは英語でなんと呼ぶ?
モンブランは英語由来の言葉ではなく、フランス語由来の言葉だということはわかりました。では、英語ではモンブランのことを何と呼ぶのでしょうか?
英語圏と言ってもいろいろな国がありますが、例えばアメリカでもイギリスでも、いわゆるモンブランケーキ自体をあまり見かけません。フランス語でMont Blancと言っても、ケーキのことだとわかってもらえないでしょう。モンブランは英語で「Mont Blanc Cake(モンブラン・ケーキ)」と言うことができますが、通じないことも多いでしょう。栗のケーキという意味で、chestnut cakeと表現すると伝わりやすいかもしれません。
ただ、chestnut cakeというと上の写真のように栗を混ぜ込んで焼いたチョコレートケーキを指す場合も多あるようです。マロンペーストを絞り出して山のようにしたケーキを期待していると、少し違います。
モンブランは山の名前で栗は関係ない!
モンブランはフランス語MontBlancが由来の言葉で、モン (Mont) は「山」、ブラン (Blanc) は「白」を意味しています。つまりMontBlancは「白い山」という意味になります。そして実際にヨーロッパにある山の名前でもあります。フランスとイタリアの国境に位置して、標高は4810.9mあるヨーロッパアルプスの最高峰です。
このように、フランス語のMont Blancが由来の「モンブラン」という言葉には、「栗」という意味はありません。実際にスイーツのお店に行くと、サツマイモを使って作ったモンブランもあります。チョコレートやかぼちゃ味でもモンブランということになります。モンブランのケーキの上には白い粉砂糖が振りかけられていることがあります。これはモンブランの山の頂上に降り積もった「白い雪」をイメージしているとも言われています。
モンブランの発祥について調査
モンブランがMont Blancというフランス語由来の言葉で、その意味は「白い山」ということはわかりました。実際にMontBlancという名前の山があることもわかりました。それでは、あの栗がのっているモンブランというケーキはどのようにして生まれたのでしょうか?
モンブランはフランスの老舗カフェで誕生
ヨーロッパには昔から様々な郷土菓子があります。アルプス山脈を望むフランスのサヴォワ地方あたりではモンブランと呼ばれるお菓子が、イタリアのピエモンテ州などではモンテビアンコと呼ばれるお菓子が食べられていました。モンテビアンコのモンテは山という意味で、ビアンコは白という意味ですので、フランス語のモンブランと同様です。この郷土菓子がおしゃれになっていって、現在のモンブランになったという説が有力です。
昔からの郷土菓子は、マロンペーストに泡立てた生クリームを添えたものです。1900年に刊行された「グラン・キュイジーヌ」という本には、モンブランという名前のこのお菓子が紹介されています。マロンペーストをドーナツ状に絞りだして、その真ん中の窪みに泡立てた生クリームを絞ったお菓子です。上の写真は、イタリア菓子専門店のモンテビアンコ(白い山)です。現在のモンブランとは違いがあることがわかります。
郷土菓子であったモンブランあるいはモンテビアンコがパリで洗練されていって、現在フランスで食べられているようなモンブランが出来上がったと考えられています。上の写真は創業1903年のアンジェリーナというフランスのお店です。当時アンジェリーナで働いていたパティシエの妻がイタリア人でした。彼女がイタリア郷土菓子モンテビアンコをもとに、現在も人気のモンブランを作ったと伝えられています。
フランスでは、モンブランの正式名称はMontBlanc aux Marrons(モンブラン・オー・マロン)です。「栗のモンブラン」ということになります。下の写真のように、アンジェリーナのモンブランは茶色いマロンクリームが絞り出されています。日本で昔からあるモンブランは、黄色いクリームの上に黄色い栗がのっていますのでかなり違いがあることがわかります。
そして、アンジェリーナのモンブランと日本のモンブランとのもうひとつの違いは、その大きさです。 アンジェリ-ナ本店のモンブランは大人の拳ほどの大きさがあります。日本にもアンジェリーナのお店があるのを知っていますか?銀座のアンジェリーナでも、パリ本店と同じ大きさのモンブランを食べることができます。さらに日本向けとして、オリジナルサイズの半分の大きさのモンブランもあります。
日本で最初のモンブランは自由が丘の名店で誕生
それでは次に、日本におけるモンブランの歴史を見ていきましょう。日本で初めてモンブランというケーキを売り出したのは、東京自由が丘の名店「モンブラン」というお店です。1933年に迫田千万億という人が開業したのが始まりで、その後1945年10月に現在お店がある自由が丘に移転しました。当時は戦後の焼け野原であったその場所に移したわけですので、長い歴史のある名店です。
モンブランという店名は、登山が好きだった創業者が渡欧した際に、シャモニーからモンブランという山を見て感動したことからつけられました。シャモニーの市長さんにも会いに行って、自分のお店にモンブランという名前を付ける許可を取ってきています。そして、フランス菓子のモンブランを元に、日本独自の「モンブラン」が開発されました。
切り口の写真を見ると、このモンブランがどのように作られているのかがわかります。フランスのモンブランの土台がメレンゲだったのに対して、こちらのモンブランは土台にカステラを使用しています。カステラをくり抜いたところにはカスタードクリームと生クリームが絞り出されて、栗が一粒詰められています。その上にはバタークリームとマロンクリームを重ねて、さらに1番上には雪を表すメレンゲがのせられています。
アンジェリーナのマロンクリームは茶色い色でしたが、こちらのお店ではフランス産のマロンペーストを使いませんでした。日本人になじみのある黄色い栗の甘露煮を使っていることがポイントです。今でも創業当時のままのレシピで作り続けているのですから、こだわりを感じさせます。
日本独自のこのモンブランというケーキは日本各地の洋菓子店で真似して作られるようになりました。今では誰もが知っている人気のケーキとなっています。ここまで広がっていったのには、モンブランというお店の創業者の思いが感じられます。彼が「モンブラン」という屋号は商標登録したけれど、「モンブラン」という洋菓子は商標登録しなかったおかげで、その名前で販売することができると言えます。
独自の黄色いモンブランが愛されていた日本で、本場の茶色いモンブランが注目されるようになったのが1984年と言われています。プランタン銀座にアンジェリーナの日本第1号店がオープンした年です。アンジェリーナと言えば、前述のように、パリで初めてモンブランを売り出したと伝えられているお店です。その後、日本中のあちらこちらのお店でも、本場のような茶色いモンブランを見かけるようになりました。
1903年創業のパリのアンジェリーナは老舗サロンとして、ココ・シャネルをはじめ多くの著名人や貴族階級の人々に愛されてきました。パリまで行かなくてもアンジェリーナ銀座店では、ケーキを購入できるだけでなく、落ち着いたサロンで本格的なフランス料理やお茶の時間を楽しむことができます。パリからの直輸入のマロンペーストを使ったモンブランを、銀座の街並みを眺めながら味わうのはいかがでしょうか。
モンブランの基本の作り方
今では、昔ながらの黄色いモンブラン、栗そのものの色を生かした茶色いモンブラン、さらにはサツマイモやカボチャのモンブランなど様々なアレンジのケーキを見かけます。ここでは、おうちで作れる、モンブランの基本の作り方を紹介していきます。ビスキュイ生地、生クリーム、マロンペーストの3つに分けて説明します。
ビスキュイ生地を作ろう
ビスキュイ生地の材料は、卵1個、砂糖25g、薄力粉30gです。卵は室温で、薄力粉はふるっておきます。卵に砂糖を入れてハンドミキサーで固く泡立てたら、薄力粉を何回かに分けてさっくり混ぜ合わせます。生地を絞り出し袋に入れて、直径6㎝の丸型に9個絞り出します。スプーンで形づくってもOKです。
予熱した180℃オーブンで8分焼きます。あら熱が取れたら、生地の乾燥を防ぐ為ビニール袋に入れておくか、ラップをかけておきます。
生クリームを作ろう
材料は生クリーム200g、砂糖13.3gを用意します。生クリームに砂糖を入れてツンと角が立つ程度泡立てます。77gはマロンクリームにとっておきます。絞り袋に入れます。
お手軽マロンペーストを作ろう
マロンペーストを生栗から作る場合は、剥き栗250gに牛乳600ccを入れて弱火でアクを取りながら柔らかくなるまで煮ます。栗だけをフードプロセッサーにかけて砂糖70gと合わせ、レンジにかけ砂糖を煮溶かします。仕上げにバター20g・チョコ30gを混ぜて冷ましておきます。
市販のマロンペーストを使って、マロンクリームを作ることもできます。上の写真はフランスのサバトン社のマロンペーストです。サバトン社は栗やフルーツの加工品で有名なフランスのメーカーです。特に日本市場では、マロンの関連製品のトップブランドとして知られていますので、比較的、手に入りやすい商品だと思われます。
こうした市販のマロンペーストを使って、手軽にモンブラン用のマロンクリームを作ることができます。マロンクリームの材料は、サバトンマロンペースト240g、ラム酒小さじ1.5、牛乳小さじ3、泡だてた生クリーム77gです。マロンペーストに牛乳とラム酒を混ぜて練ります。クリームを混ぜて、絞り袋に入れます。
ビスキュイ生地に栗の渋皮煮のシロップを塗って、クリーム、栗、クリーム、マロンクリームを絞りだします。栗の渋皮煮を上に飾って完成です。栗の渋皮煮を使うか、あるいはお好みによっては栗の甘露煮を使うこともできます。
モンブランをアレンジして楽しもう!
続いては、栗のかわりにかぼちゃやさつまいも、苺を使ったモンブランのレシピを紹介します。モンブランという言葉には栗と言う意味はありませんので、自由な発想でアレンジを楽しむことができます。材料を混ぜて焼くだけのケーキではありませんので、少しだけ手間がかかります。材料を裏ごしするとなめらかなクリームになりますが、家庭でのおやつとして簡単に作る場合にはつぶすだけでも大丈夫です。
秋のスイーツでほくほく美味しい「かぼちゃのモンブラン」
生地の材料は、ホットケーキミックス1/2袋(100g)、無塩バター50g(大さじ4強)、かぼちゃ(皮、種を除いた状態)25g、卵1個(50g)です、かぼちゃクリームの材料は、かぼちゃ(皮、種を除いた状態)225g、砂糖30g(大さじ3強)、無塩バター20g(大さじ2弱)塩少々(ひとつまみ)生クリーム(牛乳で可)約30cc(大さじ2)※かぼちゃの水分により調整、シナモンパウダー(お好みで)適量。
下準備として、かぼちゃは種を取って皮をむき、約250g用意します。2~3cm角に切って耐熱皿に並べ、ラップをして竹串が通るくらいの柔らかさまで電子レンジにかけます(500Wで約5分)。上にのせる飾り用のかぼちゃ(分量外)も皮付きのままいっしょに電子レンジにかけ、柔らかくなったらお好みの形にカットしておきます。火を通したかぼちゃをボールにあけて麺棒などでつぶし、裏ごしにかけてそのまま冷まします。
柔らかくしたバターをボールに入れて泡立て器でクリーム状にし、裏ごししたかぼちゃのうち25gを加えてよく混ぜ合わせます。別のボールに卵を溶きほぐした中に少しずつ加えて混ぜ合わせます。さらにホットケーキミックスを加え、ゴムべらで粉っぽさがなくなるまでサックリと混ぜます。生地をカップの8分目まで流し入れます。180℃のオーブンで約15分焼いて、完全に冷ましておきます。
次にカボチャクリームを作ります。残りのかぼちゃペーストに砂糖、塩、湯煎にかけて溶かしたバターを加えて混ぜ合わせます。お好みでシナモンパウダーを加えます。ペーストが絞り出せるくらいの柔らかさになるまで生クリームを加えます。かぼちゃクリームを星口金をつけた絞り袋に入れ、ケーキの上に外側から中心に向けて円を描くように絞っていきます。お好みで上からシナモンパウダーを振りかけて、飾り用のかぼちゃをのせます。
あるもので簡単に「さつま芋モンブラン」
クリームの材料は、柔らかくしたさつまいも200g、柔らかくしたバター・砂糖・牛乳20gずつ、生クリーム10g(なければ牛乳で15gで)、バニラオイル少々です。さつま芋シフォン生地の材料が、卵2個、卵黄・砂糖10g、柔らかくしたさつまいも40g、油15g、牛乳20g、薄力粉40g、卵白砂糖20gです。
出典: https://note.mu
クリームの材料をすべて合わせて、ブレンダーで滑らかなペーストにします。次にシフォン生地は、卵は卵黄と卵白に分けて卵白は冷凍庫へ入れます。卵黄と砂糖をすり混ぜてからオイルを加えて、牛乳とさつま芋を加え混ぜ合わせます。振るった粉類も入れてよく混ぜ合わせます。
冷凍庫の卵白を別のボールに入れて、砂糖を加えながらかためのメレンゲを作ります。出来上がったメレンゲをひとすくい生地に加えて、馴染むまでヘラでよく混ぜ合わせます。馴染んだらメレンゲのボールに流し入れます。型に流し入れ、160℃のオーブンで約15分焼きます。串で刺してみて生の生地がつかなければOKです。冷めたらクリームを絞り袋に入れて絞ります。
まるごと苺で贅沢に「抹茶とイチゴのモンブラン」
次に紹介するのは、大人も子供も大好きな苺がまるごと入った抹茶モンブランです。材料は、卵2個、薄力粉60g、砂糖60g、生クリーム300g、抹茶3g、砂糖30g、イチゴです。オーブンは180度に予熱しておいて、スポンジ作りです。ハンドミキサーで卵を白っぽくなるまで混ぜます。そこに砂糖を入れてしっかり混ぜます。さらにふるった薄力粉を加えて、ゴムベラで切るように混ぜます。
しっかり混ざったらプレートに平らに広げて、予熱しておいたオーブンに入れて25分ほど焼き、しっかり冷まします。抹茶クリームを作ります。生クリームを角が立つまでハンドミキサーで混ぜ合わせます。そこに砂糖と抹茶を加えてよく混ぜ合わせます。焼けたスポンジを3個に型どり、ひとつを2枚にスライスします。スポンジの上にイチゴをのせます。
抹茶クリームはモンブラン用の絞り口がついた絞り袋に入れます。イチゴをのせたスポンジの上に抹茶クリームを絞っていきます。このように、生クリームは栗だけではなく様々なアレンジが考えられます。また、スポンジ生地は丸く焼いてもいいですし、このレシピのように大きい四角で焼いて、あとから丸く型どる方法もあります。いろいろなアレンジを楽しんでみてください。
モンブランの意味を知ると一層モンブランに愛着が沸く!
今回はモンブランの意味と由来についてお伝えしてきました。モンブランは英語ではなくフランス語が由来であること。そして、その意味は「白い山」であって、栗という意味はないことがわかりました。モンブランはフランスやイタリアの郷土菓子から生まれたと言われ、日本に伝わってからは私たちに親しまれる洋菓子として広まっていきました。
そんなモンブランの意味や由来を知ると、これまで以上にモンブランを美味しく食べることができそうです。栗だけではなく、サツマイモやカボチャなど様々なアレンジがあるモンブランとともに、素敵なティータイムをお楽しみください。