うぐいす豆とはどんな豆で名前の由来は?甘煮の作り方も解説!
うぐいす豆という名前を聞いたことがありますか?豆の甘煮にはいろいろな種類がありますが、この緑色の豆はどんな種類の豆なのでしょうか?今回はうぐいす豆の種類とその名前の由来を紹介します。さらには、気になるカロリーや栄養、甘煮の作り方やそのアレンジ、市販の美味しい甘煮など役立つ情報もいっぱいです。この機会に、身体にいいと言われている豆類についての知識を深めましょう。
目次
うぐいす豆はどんな豆?
うぐいす豆という名前を聞いたことがありますか?下の写真では、三色の煮豆が彩りよく盛られています。誰もが一度は見たことがあるような豆ですが、その名前を3つとも言えますか?正解は、赤い豆がうずら豆、白い豆が白いんげん豆、そして緑色の豆がうぐいす豆です。
では、うぐいす豆という煮豆は、どんな豆から作られているのでしょうか?今回はうぐいす豆はどんな種類の豆であるのか、そして江戸時代までさかのぼって名前の由来を見ていきます。さらには、うぐいす豆の甘煮の作り方やそのアレンジ、カロリーや栄養、市販の美味しいうぐいす豆まで紹介します。
うぐいす豆はアオエンドウ!
うぐいす豆は、アオエンドウの熟したものを収穫して甘煮にした食品です。アオエンドウは名前のとおりエンドウの一種です。
エンドウには、莢(さや)が柔らかい軟莢種(なんきょうしゅ)と莢(さや)が硬い硬莢種(こうきょうしゅ)があります。軟莢種(なんきょうしゅ)は莢(さや)がまだ未熟なうちに収穫してサヤエンドウとして利用します。また、乾燥前の豆を上の写真のようにグリーンピースとして利用します。
それに対して、莢(さや)が硬い硬莢種(こうきょうしゅ)は昔から完熟し乾燥した実が利用されていて、アオエンドウは煮豆などに加工され、アカエンドウはみつ豆などに加工されます。そのアオエンドウを甘煮にしたものがうぐいす豆です。この豆についての記載で、サヤエンドウ、グリーンピース、アオエンドウの順に出世魚のように変化するという解釈を見かけますが、実際に栽培しているのは厳密には別の品種だと言われています。
うぐいす豆の名前の由来
うぐいす豆の名前の由来が、鳥の「ウグイス」であることは容易に想像がつきます。けれども実際のウグイスの色とうぐいす豆の色には鮮やかさにかなりの違いがあります。ここでは煮豆の歴史からうぐいす豆の名前の由来について考えてみましょう。
煮豆を行商人が売る商売というのは、江戸時代にはすでにあったと言われています。企業として煮豆を作って行商人に卸すという商売が始まったのは明治時代です。竹内さんという人が、アオエンドウの煮方や味付をいろいろと考えて、上手に煮て売り出すことに成功しました。その時に煮上げた豆の色がちょうどウグイスの羽の色のようだったのが、うぐいす豆の名前の由来と言われています。
昭和になると、うぐいす餡が和菓子や洋菓子に使われるようになりました。うぐいす餡というと、そのイメージはうぐいすということもあって「春」でした。それまではほんのりと緑色をおびた茶色っぽい色だったうぐいす餡は、着色料により明るい春のイメージの緑色に変えられていきました。うぐいす豆の名前の由来はもちろんウグイスですが、その名前がつけられた当時は、豆と鳥の色は今よりは似ていたと考えられます。
うぐいす豆のカロリーは?
うぐいす豆の名前の由来がわかったところで、今度は気になるカロリーを見ていきましょう。豆類やイモ類は意外とカロリーが高い上に、さらにお砂糖を使ったこのうぐいす豆の甘煮はどのくらいのカロリーがあるのでしょうか?
こちらの写真のふじっ子のうぐいす豆のカロリーが、100gあたり199kcalです。とは言え、1度の食事の際に食べる量は100gまでは行かず、30gくらいでしょう。そうすると実際に摂取するカロリーは60kcalほどです。ちなみに同じフジッコから出ているうずら豆の場合は、100gあたりのカロリーが187kcalですのであまり変わりはありません。
こちらは別のメーカーであるソフトデリの商品です。100gあたりのカロリーは159kcalとなっていますので、ふじっ子の商品と比べると低カロリーです。昔に比べると煮豆の味付けは砂糖を減らす傾向にあります。ただ一般的なことですが、薄味にするとそれだけ日持ちはしません。自分で家で作る場合は糖分を控えて作ることができますが、美味しいうちに早めに食べてしまうことをおすすめします。
うぐいす豆の甘煮は食事の際には大量に食べるものではありませんので、カロリーは気になるほどではありません。けれども糖質ダイエットをしている人にとっては、甘い味付けの豆となるとやはり注意が必要です。特に市販のパンや菓子類でうぐいす豆がたっぷり入っている商品は本当に美味しいものですが、高カロリーですので気をつけましょう。
うぐいす豆の栄養は?
カロリーのお話に続きまして、うぐいす豆の栄養について詳しく見ていきましょう。豆は健康によいイメージですが、実際にはどうでしょうか?先ほどのふじっ子のうぐいす豆の例で紹介します。100gあたりで、食物繊維4.5g、タンパク質5.3g、ナトリウム171㎎、脂質0.5g、食塩相当量0.4g、糖質41.0g、カルシウム26㎎となっています。タンパク質はリジン、シスチン、アルギニン、アスパラギン酸などのアミノ酸が豊富に含まれます。
一般的にうぐいす豆は、食物繊維、ナトリウム、鉄を多く含み、タンパク質、炭水化物、脂質、銅などが含まれています。また、ビタミンK、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ミネラル系ではカリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛なども含んでいるため、身体に必要なさまざまな栄養成分をうぐいす豆から摂取することができると言えます。
うぐいす豆の甘煮の作り方
忙しい毎日の中で、乾燥した豆を水で戻して甘煮を作るということはないかもしれません。前の晩から準備する必要がありますが、段取りさえ考えれば案外簡単なのが煮豆です。用意する材料は、青えんどう豆100g、水300ml、塩少々、重曹ひとつまみ、砂糖100gです。
作り方は、まず豆を水で洗います。水に豆を浸した状態で一晩そのままにします。翌日は漬けた水ごと火にかけ、沸騰したら塩と重曹を加えます。アクをていねいに取ります。中火にし、柔らかくなるまで煮ます。煮上がったら、いったんお湯を切ります。2カップの水を豆が入った鍋に入れ、砂糖も加えます。沸騰したら弱火にして、水気が半分以下になるまで煮詰めたら出来上がりです。
うぐいす豆の甘煮のコツ
うぐいす豆のレシピは豆を煮るだけという簡単なレシピですが、いくつかのコツがありますのでここでまとめて紹介します。
豆は一晩水にひたしますが、あまり長くひたしているとかえって硬くなるので一晩までにしましょう。鍋は厚めのものを使いましょう。重曹を少量加えないで煮ると、出来上がってしばらくすると硬くなってしまうことがあります。煮あがったらお湯を捨てて新しい水を入れるのは、アクを取り除くためです。砂糖で味をつけるタイミングは、豆が柔らかく煮あがってからです。
うぐいす豆の甘煮のアレンジレシピ
出来上がったうぐいす豆の甘煮はそのまま食べてももちろんいいのですが、さらにアレンジすることもできます。写真のように、うぐいす豆を使ったパンや和菓子はさまざまな商品が売られていて美味しいものです。ここでは、人気のうぐいす豆のパンの作り方と、簡単和菓子の作り方を紹介します。
リュスティックなうぐいす豆パンの作り方
市販でも人気ですが、うぐいす豆はなぜかパリッとしたハード系のパンとよく合います。紹介する作り方は、こねたり成型したりという手間がほとんど必要ないので、難しくはありません。イーストを少なくして、発酵時間を長くするのが粉の美味しさを引き立たせるポイントです。用意する材料は、強力粉140g、全粒粉30g、薄力粉30g、ドライイースト1~2g、砂糖2g、塩4g、水160㏄、うぐいす豆60gです。
作り方は、まずボールにうぐいす豆以外の材料を入れ混ぜ合わせます。次にうぐいす豆を加えて混ぜ合わせます。まとまったらラップをして、室温25度くらいのところに2時間置いて一次発酵させます。やさしくひっくり返し15分置きます。もう一度ひっくり返し、さらに15分置きます。ボールから取り出して、ベンチタイムとして20分休めます。打ち粉(強力粉)を使用し、乾燥しないようラップをかけておきます。
生地を6コ(約65g)に分割して、二次発酵として30分発酵させます。霧吹きをした生地を250℃に予熱したオーブンに入れ、220℃にしてから18分焼きます。お好みで、斜めに1本切れ目を入れてから焼いてもいいでしょう。皮はパリッと、中はもちっとした美味しいリュスティックなうぐいす豆パンの出来上がりです。リュスティックとは「素朴な」という意味で、まさにこちらのうぐいす豆入りのパンにぴったりなネーミングです。
日本茶にあう!うぐいす豆のパウンドケーキの作り方
用意する材料は、18×8パウンド型1台分として、無塩バター100g、砂糖100g、卵2個、うぐいす豆120g、おから40g、薄力粉70g、ベーキングパウダー小さじ1、バニラエッセンス少々です。
オーブンは170度に予熱しておきます。バターをクリーム状に練って砂糖を加え、白っぽくなるまですり混ぜます。卵を1つずつ溶きほぐし加えてよく混ぜます。バニラエッセンス、おからの順に加えてよく混ぜます。薄力粉とベーキングパウダーを加えて、ゴムベラでさっくりと混ぜます。
うぐいす豆に薄力粉大さじ2(分量外)をまぶし、大さじ2ほどを上にのせる分として残して加え、さっくりと混ぜ合わせます。型に流し入れて、取り分けておいたうぐいす豆を生地の上に散らし、予熱しておいたオーブンで約45分焼いたら出来上がりです。
電子レンジで簡単!うぐいす豆大福の作り方
こちらは切り餅とうぐいす豆を使って簡単にできる、大福の作り方です。用意するのは、うぐいす豆170g、切り餅2個、砂糖大さじ3、水大さじ2、打ち粉用片栗粉適量です。
作り方は、うぐいす豆をざるに上げてシロップを切っておきます。この時に24粒はあらかじめ取り分けておきます。ボールに残りのうぐいす豆を入れて、木べらでなめらかにつぶし6等分に丸めます。耐熱ボールに切り餅、砂糖、水を入れて、ラップをふんわりかけたら電子レンジで1分加熱します。電子レンジから取り出して、ゴムべらでかるく混ぜます。続いてラップなしで再び電子レンジに入れ1分加熱します。
電子レンジから取り出して、全体になじむようによく混ぜます。打ち粉をしたまな板に餅の生地を移し、片栗粉をまぶしながら手で平らにします。 粗熱がとれるまで待ちます。包丁で生地を6等分にして、手で丸くのばし、中央にうぐいす豆とあん玉をのせて、包んで丸めたら完成です。上の写真のように、電子レンジ加熱したジャガイモを使って生地を作り、フライパンで焼いて仕上げるという簡単なおやつの作り方もあります。
おすすめの市販のうぐいす豆は?
手作りのうぐいす豆の甘煮は美味しいものですが、ここでは市販のうぐいす豆の人気商品とその名前の由来を紹介します。山形の郷土菓子に、青えんどう豆をふっくら炊き上げた「富貴(ふうき)豆」というものがあります。甘さは控えめで、口に入れるとふわっと溶け、豆本来の味と香りが味わえます。なぜ「富貴豆」と呼ばれるようになったのか、名前の由来を見てみましょう。
富貴豆の始まりは明治の末ごろです。名前の由来は、製造工程で豆を「蒸かす(ふかす)」ということから「ふき豆」と呼ばれるようになったのが始まりと言われています。それに縁起の良い「富」「貴」をあて、現在の「富貴豆」になりました。豆を蒸かし皮を取って甘煮にするという、シンプルな作り方ゆえにごまかしが効かないお菓子です。収穫された時期によって、豆の茹で時間が1時間変わってくることもあるそうです。
まめやの「元祖富貴豆」
山形には富貴豆のお店がいくつもありますが、こちらのまめやさんが元祖だと言われています。その始まりは百年ほど前の明治後期。初代は髪結い床(理髪店)の主人で、お客様の待ち時間に青えんどう豆の甘煮をお茶請けに出したところ、その素朴な味わいが評判となって、菓子店に転業したのが始まりだそうです。今も昔と全く変わらぬ製法で、時代を超えて本物の味を守り続けています。
まめやの元祖富貴豆の原材料は、青えんどう豆、砂糖、塩だけです。保存料、添加物、着色料などは一切使用していないので日持ちはしません。冬期は常温5日間、夏期は常温2日間で食べるようにとなっています。この素朴な味わいが、多くの人たちに長い間にわたって指示されています。
長榮堂の「富貴豆」
こちらは長榮堂の「炊きたて富貴豆」です。青えんどう豆の皮を全部取って、職人さんの匠の技で煮崩れしないようにアルカリイオン水と砂糖で丁寧に炊き上げられた富貴豆です。保存料や着色料は使われていないので、富貴豆は真空パックで販売されることが多いのですが、こちらの商品は、煮あがりの風味そのままに箱詰めされています。第24回全国菓子大博覧会で、最高賞の「名誉総裁賞」を受賞した逸品です。
【まとめ】忘れかけていたお豆、うぐいす豆を食べよう!
今回はうぐいす豆の種類とその名前の由来を紹介しました。さらには、カロリーや栄養、甘煮の作り方、市販の美味しい甘煮などの情報もお伝えしましたので、ぜひ役立ててください。
お時間のある方は自分で豆から煮てみるのもいいですし、お忙しい方のためには市販の美味しいうぐいす豆があります!長榮堂の富貴豆のように皮を取り除いた職人による逸品が724円で食べられるのですから、催事などで見かけたらぜひお試しください。