2018年07月23日公開
2024年07月24日更新
ブラックバスを美味しく食べるには?気になる臭いや調理方法まで!
生態系を荒らしている外来種というイメージも強く、その見た目や名前から敬遠されがちなブラックバス。しかし、そんなブラックバスもきちんと下処理をすれば美味しく食べることができると注目を集めています。ブラックバスを美味しく食べるために必要不可欠とも言える、臭いの下処理や調理方法について紹介していきたいと思います。また、ブラックバスを刺身で食べる危険性についてはもちろん、ブラックバスのおすすめレシピについてもまとめてみました。
ブラックバスは食べれる魚なの?
日本では、ブラックバスを対象としたバスフィッシングでも知られるブラックバスは、原産地北米においてコクチバスの稚魚期の体色が黒いことからその名で呼ばれるようになったと言われています。日本では、正式名称としてオオクチバスと呼ばれ知名度の高いブラックバス。商業漁獲対象魚として普及させるため「クロマス」という和名で呼ばれた時期もあります。
ブラックバスはそもそも外来種であり、日本に生息する魚ではありませんでした。しかし、1925年に実業家である赤星鉄馬がアメリカのカリフォルニア州からオオクチバスを持ち帰り、箱根に放流したことがきっかけで日本にブラックバスが生息するようになります。これは、ブラックバスが食用・釣り対象魚として養殖が容易であるということから、政府の許可のもとに行われた試験だったのだとか。
8種のブラックバスのうち、日本ではオオクチバス・コクチバス・フロリダバスの3種が外来種として記録されている。この3種は特定外来生物に指定されている。なお、オオクチバスが世界の侵略的外来種ワースト100に、オオクチバス・コクチバスが日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている。
しかし、ブラックバスは魚食性が強いということから、生態系を脅かす危険が強いとして漁業被害が問題視されるようになりました。そのため、現在の日本では、ブラックバスがいることで在来種が減ってしまったという意見も多く、決してイメージの良くないブラックバス。そんなブラックバスですが、最近では食べてみると非常に美味しい魚であるということで注目を集めつつあります。
ブラックバスこと、オオクチバスはスズキ目サンフィッシュ科に属しているスズキの仲間でもあります。そのため、食べると美味しいと言われるのも納得できます。では、ブラックバスを美味しく食べるにはどのように下処理・調理するのが最適なのでしょうか?さっそく見ていきたいと思います。
ブラックバスを美味しく食べる方法を紹介
生態系をも脅かす外来種としてイメージの良くないブラックバス。魚食性が強いことから、在来種を減らしながらもブラックバスは増え続けるということもあり、今では放流などが法律で禁止されるほどです。しかし、最近では食べると意外に美味しいということで話題のブラックバス。増え続けるブラックバスを駆除してしまうのではなく、美味しく食べるというのは魅力的です。
では、実際にブラックバスはどのように調理するのがベストなのでしょうか?ブラックバスの臭いの下処理はもちろん、料理方法や注意すべき点などを紹介していきたいと思います。ブラックバスの気になる味や、栄養価などにも注目していきましょう。
ブラックバスについて
白身魚として知られるスズキ。そんなスズキの仲間であるブラックバスも、もちろん白身魚です。繁殖性が高く、在来種の存在を脅かすことから、駆除対象魚となることも多いブラックバス。そもそも、食べるものとしてのイメージすらないという方も多いのではないでしょうか?
しかし、きちんと下処理をすることで、白身魚ならではの淡泊でさっぱりとした味わいを楽しむことができます。実際に、北米ではブラックバスは普通に食べるものであり、主に焼き魚として親しまれているほどなのだとか。
身がしっかりとしていて、歯ごたえも抜群であると有名なブラックバス。では、そのように美味しくブラックバスを食べるために必要不可欠とも言える下処理をどう行うべきなのか見ていきましょう。
臭いを下処理で取れば美味しく食べられる
ブラックバスは食べるものではないというイメージや、食べることが出来ても美味しくないというイメージを持たれる理由の一つに、その臭いがあります。ブラックバスのうろこ部分のぬめりにはブラックバス独特の臭いが強くついています。そのため、ブラックバスを調理する前には、まずうろこのぬめりをタワシなどでしっかりと洗い落とす必要があります。
その後、うろこを丁寧に取りましょう。うろこを取った後も、他の魚よりも丁寧に洗う必要があります。うろこを洗い、取り終えたあとはブラックバスをさばくという流れになりますが、うろこを取る作業をしたまな板をそのまま使用してしまうと、せっかく洗い流した臭いが再び付いてしまうため、別のまな板を用意するか一度洗ってから使用するようにしましょう。
また、さばく直前にはきちんと水気を切っておくということも大事です。このように面倒ではあっても時間をかけて丁寧に下処理をしてブラックバス特有のぬめりや臭いをしっかりと落とすことで、食べるものとは思えなかったブラックバスも、驚くほど美味しく食べることができます。
ブラックバスの味は?
美味しく食べるための下処理について知ったあと、続いて気になるのはブラックバスの味ではないでしょうか?調理する前にどのような味なのかが分かっていれば、他に食べるものとの合わせ方や、どのような料理に活用しようかということもイメージしやすくなります。
結論から言うと、ブラックバスは白身魚です。また、スズキ目サンフィッシュ科に属するスズキの仲間であるブラックバス。そのため、ブラックバスはスズキに似た白身魚特有の淡泊てあっさりとした味わいのある魚です。うろこに付いているぬめりや臭いを下処理の段階で丁寧に落としておけば、ブラックバス自体は本来クセのない魚であるため、意外にも食べやすいと言われています。
そのため、最近ではブラックバスの下処理などをより多くの人に知ってもらい、食物連鎖を脅かす外来種として駆除されてしまうのではなく、食用として多くの人に美味しく食べてもらおうと、イベントやカフェでブラックバスを使った料理などが振舞われる機会も多くなりました。
実際に、バスフィッシングが有名で全国から多くの釣り好きの方が集まることでも知られている琵琶湖では、増えすぎたブラックバスを駆除するのではなく、美味しい魚であるということをより多くの人に知ってもらおうと、琵琶湖名物とも言える「バスバーガー」を売り出しています。このハンバーガーは、ブラックバスをフライにしたハンバーガーで、あっさりとしていて美味しいと注目を集めています。
焼き魚だと、そもそもの好き嫌いが分かれてしまいますが、ハンバーガーだと幅広い世代から親しまれているため、手に取りやすく、ブラックバスの味を知るとても良いきっかけになるとも言えるのではないでしょうか?実際に、ブラックバスは駆除すべき魚ではなく、美味しく食べるものというイメージを持った方も多いはずです。
ブラックバスのおすすめの料理方法は?
下処理をきちんと行うことで美味しく食べられることが分かったブラックバス。滋賀県では、ブラックバスを用いたハンバーガーなどが注目と人気を集めるほどです。では、ブラックバスを食べるにあたって、おすすめの料理方法はあるのでしょうか?ブラックバスに適した料理方法について紹介します。
スズキ同様に白身魚であるブラックバス。これまでのイメージとは裏腹に、あっさりとしていてクセのない味が魅力が話題を呼んでいます。そんなブラックバスに最適な料理方法は、意外にも“洋食”なのだそうです。フリットや揚げ物はもちろん、ソテーなどもおすすめなのだとか。ブラックバス本来の味をシンプルに味わうためにも、洋食が最も適していて食べやすいと言えるのかもしれません。
ブラックバスを食べるには、フリットや揚げ物にするのが良いということを考えると、ブラックバスをフライにしてハンバーガーとして売り出した琵琶湖のバスバーガーが注目を集めて人気なのも納得です。
ブラックバスは高タンパク低脂肪でヘルシー
駆除すべき魚であって、食べるものとしては扱われてこなかったブラックバス。しかし、ブラックバスには、スズキに似ていて美味しいというその味以外にも驚くべき魅力が隠されていました。
そのブラックバスの驚くべき魅力の一つに、栄養価があります。ブラックバスは、他の白身魚と比べて高タンパクで低脂肪なだけではなく、アミノ酸のタウリンが豊富であることが分かったのです。栄養価は高い上に、低脂肪でヘルシーなブラックバス。そんなブラックバスは、現在食べるものとしてだけではなく、健康を維持するために必要不可欠なものとしても注目を集めています。
実際に、滋賀医大医学部付属病院ではブラックバスの特徴を生かして、入院患者にブラックバス料理を給食として出しているのだとか。特に、メタボリックシンドロームを気にする人にもおすすめであるとして、病院関係者の中でも話題を集めているブラックバス。今後、駆除すべき魚ではなく、食べるものとして、ヘルシーな魚としてますます注目を集めることは間違いなさそうです。
ブラックバスの臭いの処理とさばき方
美味しく、栄養価も抜群でヘルシーなことでも注目を集めているブラックバス。特にブラックバスが有名な滋賀県では、ブラックバスは今や食べるものとして当たり前の魚とも言えます。
では、ブラックバスを美味しく食べるにあたって必要不可欠な臭いの処理について、改めて詳しく説明していきましょう。同時に、ブラックバスのさばき方についても動画を交えて紹介していきたいと思います。
ブラックバスの臭いを取るには?
ブラックバスの下処理として必要不可欠なのは、その臭いを取り除くことです。うろこについているぬめりを取り除くように洗ったあとは、うろこを剥がし、さらに水でよく洗う必要があります。この際に、こまめにまな板や自身の手を洗うようにすることで、ブラックバスの臭いが付いたり残ってしまったりということを防ぐことができます。
丁寧に洗ってもまだ臭いが気になるという方は、洗う際にブラックバスを塩もみしながら洗うと、より臭いが落ちやすくなります。洗い終えたあと、臭いがついていないか確認しつつ、きちんと水気を切るようにしましょう。その上で、調理に入るようにすると臭いを気にすることはありません。他の白身魚同様に美味しく調理し、食べることができます。
ブラックバスのさばき方
ブラックバスの臭いが取れたら、続いてはさばき方です。他の魚をさばく手順と特に変わりはありませんが、ここでは一番簡単だと言われているさばき方を動画で紹介したいと思います。さっそく、ブラックバスのさばき方について見ていきましょう。
動画内では、水で洗うだけで大丈夫だとされているブラックバスですが、こちらの動画で使用したブラックバスは小型のものだということなので、そのブラックバスの状態を考慮しながら念のために洗っておくと安心かもしれません。さばき方に関しては、骨の位置を意識しながら丁寧に刃を当てていく必要があるようです。
ブラックバスを丁寧にきちんとさばき、フィレの状態にしたものを調理すると全く臭みを感じないということなので、ブラックバスに合っているということはもちろん、初めてブラックバスを調理する方にもおすすめのさばき方と言えます。綺麗にさばけると、他の魚同様に刺身で、魚そのものの味を味わいたくなるかと思いますが、ブラックバスの刺身に関しては注意が必要です。ブラックバスの刺身に潜む危険性について見ていきましょう。
ブラックバスの刺身はおすすめしない!
意外にも美味しく、今や食べるものとして知名度を上げつつあるブラックバス。栄養価も高くヘルシーで、今では病院内の給食としても活用されるほどです。しかし、ブラックバスを食べるうえで、注意点があります。それは、ブラックバスの刺身はあまりおすすめしないということです。
刺身をおすすめしないその理由は、ブラックバスには顎口虫(がっこうちゅう)と呼ばれる恐ろしい寄生虫が潜んでいる可能性が高いからです。顎口虫は釣り魚の寄生虫の中でも有名で、アニサキスよりも恐ろしいと言われており、そのサイズは非常に小さく、目視で確認することは不可能だと言われています。顎口虫に寄生されてしまうと、浅い皮膚の下に蚯蚓腫れが出来たり、胃に穴が開くこともあるのだとか。
万が一、眼球に寄生してしまった場合には失明に至る恐れがあり、脳に寄生した場合には脳障害を起こすと言われています。ここまで危険で恐ろしい顎口虫ですが、寄生された場合の有効な治療法は現時点ではなく、自然に顎口虫が死滅するまで待つという対処療法しかないのが現実です。そのため、こうしたリスクを避けるためにもブラックバスは刺身の状態で食べるというのを控えるのがおすすめです。
顎口虫の予防として適しているのは、やはり加熱です。顎口虫は熱に弱いため、焼く・茹でる・煮るなどして火を十分に通すことで死滅させることが可能となっています。また、冷凍の場合では-20℃で4・5日で死滅するのだとか。どうしても刺身の状態を食べたいという場合は、一度冷凍して時間を置く必要がありそうです。
ブラックバス以外にも、他の魚や鶏肉や豚肉などの哺乳類の刺身・生食によっても感染の可能性がある顎口虫。生で食べるものとして美味しい魚の刺身も多くありますが、ブラックバスに関しては刺身で食べることは避け、十分に加熱し、顎口虫に寄生しないよう対策する必要があります。安全のためにも刺身は避けたほうが無難と言えます。
ブラックバスを使ったレシピ紹介
刺身で食べることは避けたほうが良いという点や、下処理についてなど、あらゆるポイントを押さえれば他の魚同様に美味しく食べることができるブラックバス。ここからは、ブラックバスを使った刺身以外のおすすめレシピを紹介していきたいと思います。
シンプルで美味しい!ブラックバスの「塩焼き」
ブラックバスのおすすめレシピ一つ目は、シンプルな「塩焼き」です。アメリカでは水産資源としてブラックバスは扱われており、日常的に塩焼きにするなどして食べられているのだとか。シンプルではあるものの、ブラックバス本来の味を味わうことのできる定番のレシピと言えます。
調理方法としては、下処理をしたブラックバスに塩をもみこみ焼き上げるだけです。とても簡単で挑戦しやすいのではないでしょうか。塩焼きだけでは少し物足りないという場合は、大根おろしを一緒に添えるなどして食べるのもおすすめです。焼き魚好きにはたまらないレシピとなっています。
しっかりと下処理して味わう「ムニエルバターソース」
続いて、ブラックバスのおすすめレシピ二つ目は、ブラックバスの「ムニエルバターソース」です。料理方法は、まずブラックバス全体を小麦粉で包みます。こうすることによって、臭いの元となる粘液を吸収してくれるため、そのまま5分ほど置きます。臭みが吸収できると、次に小麦粉は付けたままうろこを取ります。うろこが取れたら、三枚おろしにして塩コショウ。そして再度、小麦粉をまぶします。
皮が縮まるのを防ぐためにも、切れ込みを入れておくのも忘れないようにしましょう。ここまで出来たら、ブラックバスの皮を下にして、バターを入れて熱したフライパンで焼くだけです。バターを加えることで、子供でも食べやすいまろやかな味わいになるため、おすすめです。
臭いを気にせず食べられる「ブラックバスの唐揚げ」
ブラックバスのおすすめレシピ三つ目は、子供も大好きな「唐揚げ」です。高たんぱくで低脂肪というヘルシーさでも注目を集めているブラックバス。お肉を使うのではなく、ブラックバスを使うことで健康的に唐揚げを楽しむこともできます。また、ダイエット中の方にもおすすめと言えます。
料理方法は、基本的に家庭で作っている唐揚げと同様の味付けで問題ありません。生姜・にんにくを下したものと、醤油などの調味料をお好みで混ぜ合わせ、そこに下処理を終えたブラックバスを入れ混ぜ合わせます。ある程度味が染み込んだら唐揚げ粉や片栗粉・小麦粉など、普段唐揚げを作っているように粉をまぶします。熱した油の中に入れ、揚げれば完成です。白身魚の唐揚げなどと同じように、美味しく食べることができます。
子供にもおすすめ!「フィッシュ&チップス」
ブラックバスのおすすめレシピ最後の一つは、子供にもおすすめの「フィッシュ&チップス」です。料理方法は、まず下処理をしたブラックバスに軽く塩コショウをまぶします。天ぷら粉・コンソメ・マヨネーズ・水で作った衣にブラックバスをつけ、180度に熱した油できつね色になるまで揚げます。
両面が綺麗に揚がったらブラックバスの「フィッシュ&チップス」の完成です。一緒に玉ねぎやじゃがいもなどを揚げると、子供も色々な味を楽しめて美味しく食べてくれるのではないでしょうか。魚が苦手な方にも比較的食べやすいおすすめのレシピです。
ブラックバスを釣ったら料理にチャレンジしてみよう
そもそも、養殖し易いということから、食用のためにと海外から持ち込まれたブラックバス。しかし、ブラックバスは想像を超える繁殖力とその強さで、在来種を捕食してしまい、生態系を脅かす存在として長年疎まれてきました。次第に、ブラックバスは食べるものではなく、駆除すべき魚として知られるようになり、バスフィッシングを楽しむ方でも、持ち帰って調理するという方はほとんどいませんでした。
しかし、最近ではバス釣りで有名な琵琶湖のある滋賀県を中心に、ブラックバスは食べるものであるとして美味しいブラックバス料理が注目を集めるようになり、ブラックバス料理を取り扱う店舗も増えてきました。同時に、ブラックバスを美味しく食べるための処理や調理方法なども注目を集めつつあります。
まだまだ、食べるものとしてのイメージはそう強くないブラックバスですが、今後はより多くの方にその味を楽しんでもらえるようになるのではないでしょうか?近い将来、ブラックバスが全国のスーパーで食べるものとして当たり前に並んでいるという日もあり得るかもしれません。
また、釣りに興味を持っている方や、バス釣りが好きだという方は、釣ったブラックバスは持ち帰って料理にチャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか?丁寧に下処理し、料理することで美味しく食べることができるのは間違いなしです。寄生虫が潜んでいる可能性を考慮し、刺身にして食べるのは避けるようにしましょう。