2018年06月20日公開
2024年07月19日更新
どじょう鍋がおすすめの東京のお店を紹介!味や食べ方もご紹介!
暑い日が続くと夏バテ気味になる方も多いと思いますが、今回はそんな夏バテを乗り切るためのスタミナ食の一つ、どじょう鍋について紹介します。東京には江戸時代から続く老舗や名店など、どじょう鍋を食べられるお店がたくさんあります。そこで、それぞれのお店のメニューや味、またどじょう鍋の食べ方を説明したいと思います。栄養バツグンのどじょう鍋を食べて、暑い夏を乗り切りましょう!
どじょう鍋を東京で食べたい!
「どじょう鍋」と聞くと、どじょうって食べられるの?美味しいの?と思う方も多いかもしれませんが、実は古くから夏のスタミナ食として重宝されてきた魚なのです。そこで今回は、抵抗感を持っている方でも美味しく食べられる東京のどじょう鍋店を紹介します。
そもそも「どじょう」とはどんな魚?
どじょうとは、淡水魚の一種で、日本全国の水田や湿地などに生息している魚です。雑食性で、昆虫の幼虫などを主食としています。大きさは成魚で10〜15cmほどになり、水田中の泥の中に好んで生息しています。江戸期から戦前にかけては東京郊外の水田でいくらでも獲れ、低湿地で水田が多かった東京の北東部地域の郷土料理となっています。
スタミナ抜群!どじょうの持つ栄養価
どじょうは、昔から俗に「うなぎ1匹、どじょう1匹」とも言われ、わずか1匹でうなぎ1匹分に匹敵するほどの高い栄養価を得られる食材とされてきました。養殖うなぎに比べて脂質の量が1/19と少なくヘルシーでありながら、疲労回復や滋養強壮効果がある良質なタンパク質はうなぎと同じ量が含まれています。
また、ビタミンB群、各種ミネラルをバランス良く含んでいるため、ダイエットにもおすすめの魚です。さらに、貧血を予防する鉄分は養殖うなぎの11倍、カルシウムは9倍も多く、魚介類の中ではトップクラスになります。豊富なビタミンB2は動脈硬化や心筋梗塞を予防し、脂質の代謝を促進してくれます。このように、ダイエットにも夏バテにも効果のある栄養を持った優秀な魚なのです。
どじょう鍋は江戸時代から東京で食べられてきた
どじょう鍋の歴史は古く、江戸時代の文化元年(1804年)に、東京の浅草駒形で「駒形どぜう」の初代当主、越後屋助七が創り出したのが起源とされています。うなぎに比べて安く、スタミナが付くということから、当時の江戸で働く労働者達に愛され、今なお親しまれている料理です。実はどじょう鍋の元祖は東京の浅草で、多くのどじょう料理店が老舗として残っているのです。
ちなみに、お店の暖簾やメニューに「どぜう」と書いてあるのをよく見かけますが、これは老舗のどじょう料理店である「駒形どぜう」の初代当主の発案とされています。旧仮名づかいでは「どぢやう」あるいは「どじやう」が正しいのですが、四文字では縁起が悪いという理由から、発音の近い「どぜう」の文字を使用したとされています。字面は「どぜう」であっても発音はあくまでも「どじょう」になります。
文化元年(1804年)に浅草駒形で越後屋が創始したとされる。
どじょう鍋を食べるならここ!東京のおすすめ店を紹介
それでは東京でおすすめの、どじょう鍋料理店を紹介していきたいと思います。それぞれのお店で味付けや調理法も違うので、自分の好みに合いそうなお店を見つけてみて下さい。
どじょう鍋の元祖!創業1801年の老舗、浅草「駒形どぜう本店」
浅草駅から徒歩5分ほどにお店を構える、元祖どじょう鍋を創り出した「駒形どぜう本店」。なんと200年以上も前からどじょう鍋を作り続けてきた老舗で、現在も創業当時の料理法を守り続けています。営業時間は年中無休で11:00~21:00となります。メニューは、どぜう鍋(¥1,800)の他にくじら鍋(¥1,750)やどぜう蒲焼き(2,100)など、様々な料理があります。
こちらの「どぜう鍋」は、割り下があっさりしていることが特徴です。どじょうの泥臭さを一切残さないように丁寧に下処理することで、あっさりした味付けでも最大限にどじょうの旨みを楽しむことが出来ます。老舗の歴史と伝統を感じさせる奥深いどじょう鍋となっています。
永井荷風の愛した「どぜう飯田屋」のどじょう鍋
つくばエクスプレス浅草駅から歩いて1分ほどにある「どぜう飯田屋」。創業は明治36年(1904年)頃で、こちらも100年以上の歴史を持つ老舗です。もともとは「飯田屋」の看板で、どじょう料理の他にも様々な定食を提供していたのですが、徐々にどじょうやうなぎ料理を専門に扱うようになり、昭和40年(1965年)に「どぜう飯田屋」の屋号へ変更しました。
耽美派の作家である永井荷風は、なんと73歳の頃に浅草の「どぜう飯田屋」に半年で57回も通ったことが、彼の日記から分かっています。荷風をそこまで虜にさせたこちらの「どぜう鍋」(¥1,550)は毎日でも食べられるような上品な甘辛さの割り下が特徴です。
他にも、パリッとした食感と絶妙な渋みが日本酒にバッチリ合う、どぜう唐揚(¥880)や、どじょうの蒲焼きを乗せた「どぜう丼」(¥1,850)など、様々などじょう料理を味わうことが出来ます。一品料理が豊富なので、お酒好きな方には色々な料理を選べる、おすすめのお店です。水曜日が定休日で、営業時間は11:30~21:30となっています。浅草駅に近いため、仕事帰りに軽く一杯、という飲み方もおすすめです。
どじょう鍋以外のメニューも充実した「たつみ屋」
「たつみ屋」は、浅草のシンボルである雷門から徒歩3分ほどの所にあります。こちらも老舗で、戦後70年の建物をそのまま残した、趣のある店構えとなっています。また看板には「東南屋」と書かれていますが、これは「たつみ屋」が浅草寺からみて「東南」に位置し、干支の方角では「辰巳(たつみ)」であることから来ています。こういう所にも、江戸っ子の洒落た雰囲気を感じられます。
こちらの「どぜう鍋」(¥1,580)は臭みがなく、程よい食感のどじょうを味わえます。出汁はやや薄めに抑えられているため、どじょう本来の旨みを満喫することができます。江戸鍋の居酒屋として営業しているので、どじょう鍋以外にも、すき焼き(¥4,800~)やしゃぶしゃぶ(¥4,800~)、軍鶏鍋(¥4,800)、鯛柚子鍋(¥3,800~)など様々な鍋料理を楽しむことができます。
さらに、店主が厳選した80種類以上の日本酒が常備されているので、日本酒好きな方なら足繁く通いたくなるお店です。また、一人前用のちび鍋もあるので、カップルやご家族で来店される際はそれぞれ好みの鍋を選べることも魅力です。営業時間は年中無休で平日は11:30~22:00、土・日、祝日は11:30~21:30となっています。
アットホームな雰囲気が魅力の「桔梗家」のどじょう鍋
JR総武線の両国駅から徒歩5分に店を構える、昭和8年(1933年)創業の「桔梗屋」。こちらは家族経営の小さなお店ですが、その分アットホームな雰囲気の中で、和やかにどじょう鍋を食べることができます。桔梗屋さんの「どぜう鍋」(¥1,200)は、産地にこだわったどじょうを丁寧に下処理することで臭みのない繊細な味わいになっています。
特筆すべきなのは、どじょう鍋に使う出汁には、その日の朝一番にかんなで削ったかつお節を使用するという点です。この削りたてのかつお節のおかげで、風味が格段に上がり、香ばしく奥行きのある味わいとなるのです。コース料理もあり(¥2,500~)、どじょう鍋の他にご飯・味噌汁、どじょうのきも焼・かぶと焼と、どじょうのフルコースを満喫することもできます。
定休日は日曜日・祝日で、通常時は昼の部11:00~14:00、夜の部16:30~21:00ですが、両国国技館の近くということもあり、大相撲の東京場所開催中(1月・5月・9月)の日曜日・祝日は17:00~21:00となります。
天然物のどじょう鍋!「どぜう ひら井」
こちらも、1903年創業の老舗のどじょう料理店です。本所吾妻橋駅から歩いて4分ほどの所にあります。こちらの「どぜう鍋」(¥2,170)に使われるどじょうは、茨城、千葉、新潟産等の天然物を使うというこだわりようで、天然のどじょうの風味豊かな旨みを味わうことができます。つゆはそれほど濃くなく、さっぱりと美味しくいただけます。
また、天然物のどじょうを串に刺して、秘伝のタレを付けながら焼き上げた「どぜう くりから焼」(¥1250)もおすすめの逸品で、鍋で食べるどじょうとは一味違った、香ばしい風味とカリカリの食感を楽しむことができます。日曜日が定休日で、営業時間は昼の部11:30~14:00、夜の部17:00~21:30となっています。
最古の居酒屋で味わうどじょう鍋!「みますや」
出典: http://gotrip.jp
JR神田駅から歩いて8分の「みますや」は創業1905年の老舗の居酒屋で、現存する最古の居酒屋として知られています。歴史を感じさせる佇まいと、店先に下げられた赤ちょうちんが趣を感じさせます。昭和20年の東京大空襲の際には、隣家まで火が迫って来たところを、お店の常連さんたちが「呑むところがなくなっては困る」と必死に食い止めたという逸話も残っているほど、地元の人々に愛される大衆居酒屋です。
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そのおかげで、外観も内装も当時のままを保つことができ、ノスタルジックな雰囲気を楽しみながら、ほっこり暖かい時間を過ごすことができます。こちらのどじょう鍋は、目の前で鍋を火にかける物ではなく、調理場で煮込んだ物を小振りの器に入れて提供するスタイルです。みますやの「どぜう丸煮」(¥600)は、味付けが濃く、しっかり煮込んでいるため身はほろほろとして食べやすい一品です。
程よい苦味と濃いめの出汁が重なってお酒の肴にぴったりな美味しさです。定休日は日曜日・祝日で、営業時間は昼の部11:30~13:30、夜の部17:00~22:30となります。
上級者向けの「川松」のどじょう鍋
大田区の糀谷駅から徒歩5分ほどの所にお店を構える「川松」。こちらのお店のこだわりは、第一にどじょうの大きさにあります。通常のお店で使われるどじょうの1.5倍ほどの食べ応えのあるどじょうを店主自ら仕入れています。そのため、こだわりのサイズのどじょうを仕入れられない時はどじょう料理は出さないそうです。
第二に、どじょうの鮮度の良さが挙げられます。店先に置かれた桶の中には、生きたどじょうが泳いでいます。注文を受けてから、この活きの良いどじょうを使って「どぜう鍋」(¥1,000)を作るのです。そして第三に、下処理の仕方が昔のスタイルを貫いていることです。
多くのどじょう料理店では、下処理の段階で圧力鍋を使うことで、どじょうの骨を柔らかくしています。しかし「川松」では圧力鍋を使わず、そのまま似ているのです。こうすることで、どじょう本来の持つ苦味や歯ごたえを損なわずに、濃いめの甘辛いつゆとマッチして江戸時代当時の滋味あふれる味わいとなっています。
浅草のどじょう鍋では物足りなくなった方には、ぜひ一度足を運んでいただきたいお店です。定休日は月曜日で、営業時間は昼の部11:30~13:30、夜の部16:30~22:30となっています。
どじょう鍋の食べ方や味は?
どじょう鍋の食べ方は大きくわけて3種類
東京は浅草発祥のどじょう鍋ですが、一口にどじょう鍋と言っても、その食べ方には大きく分けて3種類の料理法があります。それぞれの食べ方で好みも別れて来ますので、ここで一度どじょう鍋の食べ方を整理してみましょう。
どじょう丸ごとを入れる「丸鍋」
「丸鍋」とは、どじょうに包丁を入れずに、そのままの姿で煮て食べる鍋のことを言います。「丸ごと」、「丸々」が由来のようです。手順としては、生きたままのどじょうを酒に入れて蓋をして、酔わせます。最初は暴れますが、おとなしくなったところで鉄鍋に移します。お店によっては下処理として一度味噌汁で煮た後に、甘辛い割り下を注ぎ、本格的に煮込んでいきます。
同時にどじょうの上にたっぷりとネギを乗せて約5~10分ほど煮込んでいき、山椒や唐辛子をかけていただきます。これがいわば、浅草オリジナルのどじょう鍋で、どじょうの旨みを丸ごと味わいたい方にはおすすめの食べ方となります。ネギを大量に乗せることで、どじょうの臭みが消えて消化を助けてくれますし、ネギの持つスタミナ成分を効率的に摂取することができます。
どじょうを開いて骨を抜いた「抜き鍋」
「抜き鍋」は単に「抜き」あるいは「裂き」とも呼ばれる食べ方です。この調理法は「丸鍋」から約20年後に生まれました。どじょうを背開きにして頭を落とし、小骨を抜いた状態でゴボウと一緒に煮込みます。ゴボウがどじょうの臭みを消し、丸鍋と比べて見た目もよく、食べやすいどじょう鍋になります。
切腹につながる腹開きではなく、背開きにしたのは、武士の中心地だった江戸ならではの調理法という説もあります。どじょうは小さな魚ですが、丸鍋では見た目も迫力があるため、「抜き鍋」はどじょう鍋の初心者の方にはおすすめの食べ方になります。
開いたどじょうとゴボウを卵で綴じた「柳川鍋」
「抜き鍋」からさらに10年ほど後に創り出されたのが「柳川鍋」です。「柳川鍋」は、背開きにしたどじょうとゴボウを割り下で煮て、卵で綴じる料理法です。ゴボウによってどじょうの臭みが抑えられ、卵の甘みが加わるため、どじょう鍋の中でも最も食べやすいものとなります。
「柳川鍋」という名前の由来には諸説あり、初めて「柳川鍋」を出したと言われる「柳川屋」から来ているという説や、鍋に並べたどじょうが柳の葉に似ていた、あるいは料理に使う鍋が福岡の柳川焼だった、などが主な由来です。
どじょうを食べることに抵抗感のある方でも、比較的に食べやすい料理なので、どじょう鍋を食べてみたいけれど、どうしようかな…と迷っている方にはおすすめの食べ方です。しかし、本格的などじょう鍋とは違う料理と考える向きもあるので、まずは柳川鍋でどじょうに慣れてから、「丸鍋」や「抜き鍋」に挑戦してみるのもおすすめです。
どじょう鍋は夏のスタミナ食!東京で味わってみよう
「どじょう」や「どじょう鍋」は俳句では夏の季語として使われているように、古くから夏の暑さを乗り切るためのスタミナ食材でした。浅草を始め、江戸時代の人々は広くどじょう鍋に親しんで来たのです。栄養価も高くダイエットにもおすすめのどじょう鍋を、ぜひ東京で味わってみましょう!