ムツという魚は美味しい?値段や種類・おすすめ料理を詳しく解説

ムツという魚を食べたことがありますか?魚の中では最高級クラスのムツは、ちょっと良い料理屋さんなどで食べる事が出来る魚ですが、脂がふんだんに乗っていて最高に美味しい魚です。小ぶりなものはスーパーなどでも手に入ることが出来ますが、あまり馴染みがないので食べる機会がなかったという方もいるでしょう。見た目は少々イカツイですが、とろけるような身が非常に美味な魚です。ムツという魚の味と種類、値段や、おすすめの料理などを紹介しながら、ムツの魅力を深堀りしていきます。

ムツという魚は美味しい?値段や種類・おすすめ料理を詳しく解説のイメージ

目次

  1. 1ムツは高級魚として扱われている魚!
  2. 2ムツは美味しい?種類や値段も紹介
  3. 3ムツのおすすめの料理を紹介
  4. 4ムツをさばくのは簡単?さばき方を解説
  5. 5ムツの絶品の味を堪能してみよう

ムツは高級魚として扱われている魚!

ムツは、ふんだんに乗ったこってりとした脂が、火を通すととろけるような食感になり最高に美味しい魚だと食通の間で広く知られています。深海魚であるムツは漁獲量も限られており、その身の美味しさと貴重さから、高級レストランや料亭などでも扱われている程の高級魚です。一年を通して大変美味しい魚で、特に関東の食べ方では煮付けの最高峰として人気が高く、珍重されています。

ムツは、昔は庶民でも手の届きやすい魚で、いろいろな食べ方で気軽に食されていましたが、近年では値段が高値で安定していて、なかなか庶民が口にすることが出来ない高級魚となってしまいました。大きいものは超高級魚とされ、家庭では縁遠い物になっています。小さい物はスーパーなどで見かける事もありますが、買うのを躊躇してしまう程の値段で売られていることが多いです。

ムツの特徴

ムツの体長は、成魚になると60センチから大きいものだと1メートル位になります。目と口が大きく発達して、とがった下あごが前に出ています。深海に生息し、肉食性でエビやカニなどの甲殻類、小魚など幅広く捕食します。産卵期になると、水深100m付近まで移動し、産卵を行います。幼魚時代は浅瀬の岩場で過ごし、成長につれ深い場所に移動し、生後3年ほどで成魚になります。

ムツは、ずんぐりとした体形でギョロッとした目の大きさと、顔の怖さで、正直あまり美味しそうには見えません。胃袋が大きく、深海魚特有の引き上げた時に口から胃袋が飛び出していたり目が飛び出ている様は中々のグロテスクさがあります。また、ムツは歯が非常に鋭く、誤って口の中に指を入れてしまうとスッパリ切れてしまう程なので、さばく時は注意が必要です。

ムツは美味しい?種類や値段も紹介

ムツは脂の乗りが非常に良く、とろけるような食感が究極の美味であると、食通の間で言われている程の高級魚です。そこまで言わせしめるムツは、色々な種類があり、様々な食べ方ができる魚です。大きさや産地によっても値段が大きく変わるムツの種類と、市場に出回る時の値段を調査しました。

なぜそんなに脂が乗っているの?ムツの脂乗りの謎

魚の中では最高級魚の地位に君臨するムツ。その美味しさを決定づける、たっぷりと乗った脂肪は、なぜそんなに多く蓄えられるのでしょうか?それは、ムツの生息している環境にあります。ムツは深海200m~700mの場所に生息しており、深海の水圧に耐えられるよう脂肪を蓄えています。キンメダイなどと同じく深海魚なので、上質な白身に脂が乗った非常に美味しい魚なのです。

ムツの種類は?

ムツという語源は、むつっこい・むつい・むっちりなどと言った脂っぽいという意味の言葉がなまって「ムツ」と呼ばれるようになったと言われています。現在、一般的にムツと呼ばれる魚は三種類あります。ムツ(本ムツ)、黒ムツ、赤ムツ(ノドグロ)です。どの種類のムツも大変に美味な高級魚として、市場で取引されています。

ムツは、地方によって色々な種類の呼び方があります。ロクノウオ(仙台)、ムツメ(神奈川)、オキムツ、カラズ(富山)、モツ(高知)、クジラトオシ(福岡)、メバリ(長崎)、ムツゴロウ(鹿児島)、クルマチ(沖縄)など、本当に様々な名前で呼ばれ珍重されています。

仙台地方では、江戸時代からムツは別名「ロクノウオ」と呼ばれています。それは、仙台の伊達家、君主の「陸奥守(むつのかみ)」と、魚が同じ名前で呼ぶことがはばかられるという事で、むつを六つとして、六の魚(ろくのうお)となったとの事です。何もそこまで気を遣わなくてもと思いますが、昔の人の大変さが垣間見える、面白い名前です。

ムツの特徴は、何と言ってもその脂肪分を多く含んだこってりとした身にあります。今では脂の乗った魚が味しい魚の代名詞となっていますが、その昔は魚の脂が価値を下げるマイナス要素とされていて、安値で取引されていたそうです。特にマグロのトロは「猫もまたぐ」と言われ、何と捨てられていたという事。実にもったいない話です。

赤ムツは別物?

非常に美味な魚として珍重されている3種類のムツですが、「赤ムツ(のどぐろ)」だけは種類が別物です。本ムツ・黒ムツはスズキ目ムツ科の魚ですが、赤ムツはスズキ目スズキ科の魚で、厳密にはムツではありません。北陸地方の赤ムツはブランド科されており、能登の「のどぐろ」は全国的に有名です。またのどぐろは口の中を覗くと、本当にのどが真っ黒なのが特徴的です。

黒ムツと赤ムツは、まず生息地が違います。黒ムツは太平洋側に生息しているのに対し、赤ムツは主に日本海側に分布しています。赤ムツの体長は黒ムツに比べて小型で、大きくても50cm程度です。北陸地方では超・高級魚「のどぐろ」という名前でブランド化されるほどの赤ムツが、他の種類のムツより高級である理由は何なのでしょうか?それは、やはり味の違いにあります。

黒ムツは、赤ムツに比べて味が劣るという事は決してないのですが、やはり赤ムツの美味しさは群を抜いています。美味しさのカギである赤ムツの脂身は、ムツの特徴の「むつこい(脂っぽい)」イメージとは違い、しつこさが全くなく、それでいて味わいは黒ムツより濃厚です。濃厚さも決していやらしくなく、とろけるようなその味は「脂のしつこさがない高級ステーキ」などと例えられ、美食家たちの舌をうならせています。

銀ムツはムツではない

因みに「銀ムツ」という名前もスーパーなどで目にすると思います。同じく脂の乗りが良く美味な魚ですが、こちらは全く種類が違う魚です。銀ムツはスズキ目トノテニア科に属する「メロ」という種類の魚で、銀ダラの代用品として食べられるようになり、南極周辺の深海に生息する輸入魚です。銀ダラと同様の食べ方で、味噌漬けや醤油漬けがとても美味しい魚で、味の良さからムツと呼ばれた「あやかりムツ」なのです。


 

以前は銀ムツという名前で流通していましたが、2003年JAS法改正により銀ムツという名前では販売できなくなりました。現在は「メロ」という標準和名で流通しています。店頭では「銀ムツ(メロ)」という表記でも売られています。今となっては、メロは代用品とされた銀ダラよりも市場価値が上がっています。美味しいメロもだんだん採れなくなって来ているそうで、将来ムツ並みの扱いを受ける日も来るかもしれません。

絶対に食べてはいけない「バラムツ」「アブラコムツ」

どの種類のムツも、脂が乗り非常に美味しいのですが、絶対に食べてはいけない種類のムツがあります。それは「バラムツ」「アブラコムツ」です。これらのムツに含まれている多量の脂は人間の体が消化できない「ワックスエステル」といものが大半を占め、食べると100%激しくおなかを壊します。しかし困ったことにどちらも大変美味しく、割と釣りやすい魚との事で、おなかを壊すのを覚悟で釣りに行く人もいるのだそうです。

これらのムツを大量に食べるとどのような症状に陥るかと言うと、人体に取り入れられなかった油脂が皮膚から染み出てくる「皮脂漏症」を起こしたり、消化されなかった油脂が肛門から漏れだす、もしくは激しい下痢や腹痛を起こす、などの重篤な症状を起こします。絶対に食べるべきではない魚ですが、この魚の美味しさたるや相当な物だそうで、釣り人の中では紙おむつをはいてまで食べる人もいる程との事です。

これらの危険な種類のムツは、食品衛生法に基づき売買が禁止されているので、日本の店頭に並ぶことはありません。しかし、アメリカ・韓国・中国などでは白マグロやホワイトツナと呼ばれ、食べ方は主に寿司の大トロとして広く出回っており問題になっています。寿司のように少量食べるだけでは被害は少ないかもしれませんが、海外旅行先では気を付ける必要があります。釣り好きな方も間違って食べないように要注意です。

ムツの生息地や旬の時期は?

本ムツ・赤ムツ(ノドグロ)は、北海道以南から台湾北部にかけての日本海近海に分布しており、黒ムツは北海道南部から駿河湾・新島にかけての太平洋側に分布しています。水深200~700mの岩場に生息し、小魚やエビ・カニなどを好んで食べます。非常に大型の魚で、黒ムツは大きいものでは体長70cm程になり、大きければ大きいほど高級になります。

本ムツ・黒ムツは、日本海側と太平洋側に別れて生息しており厳密には違いがありますが、とても似通っているので市場では特に区別なく取り扱われています。より体の黒いものが「黒ムツ」と呼ばれ、希少性が高く脂の乗りも良いようで、高値で取引されています。新鮮さが命の黒ムツは、房総半島、伊豆諸島、相模湾など産地で特に高く取引されています。

ムツは養殖できる?

ムツは養殖するには難しい魚です。定置網の中で体がすれ合うと、うろこがほとんど剥がれてしまい弱りやすく、また鋭い歯で体を傷付け合って死んでしまったり、大きな眼球に異常が起こって餌を食べなくなったり等、様々な問題があります。まだまだ養殖は研究がされている最中で、これらの課題を克服できれば、近い将来、家庭の食卓にもムツが登場する日も来るかもしれません。

ムツの旬

ムツが最も美味しくなる季節は、晩秋から冬にかけてと言われています。寒い冬に食べる、脂の乗りに乗ったムツの鍋はまさしく冬のごちそうで、とろける食感が驚くほどの美味しさです。冬が旬とされるムツですが、夏場のムツも十分その脂を楽しむことができ、一年中美味しく食べられる魚となっています。

ムツの旬は様々の説があります。口にする人の好みにもよるようで、一般的には11月~3月の冬場と言われますが、産卵前の脂肪を蓄えた7~8月の夏場が一番美味しいという人もいます。それだけ通年味の変化が少ない、大変美味しい魚だということに間違いはないのですが、強いて言えばたっぷりの脂を楽しみたい食べ方で、焼き物・鍋物にするときは冬場、上品な脂を楽しみたい食べ方で、刺身や寿司などの料理には夏場のムツがおススメです。

ムツの子供は恩知らず?

普段は深海に住むムツですが、幼魚期は浅瀬で過ごします。ムツの子供は「オンシラズ」という若干不名誉な名前で呼ばれており、それは子供が親と一緒に過ごさないことから由来しています。オンシラズもの食べ方も、煮付けや焼き物、刺身など、様々な調理法で、大変美味な魚です。

ムツの味はとても美味しい?

海の幸と呼ばれている物には、高級食材が沢山あります。代表的な物でいえば、フグやカニなどが思い浮かぶとは思いますが、ムツは知名度は劣るものの、まさしく海の幸の最高級クラスと言えます。味もトップクラスで、フグよりも白身にしっかりとした味わいがあり、カニよりも繊細でうま味が濃厚です。

特に関東では煮付けの最高級魚として人気の高いムツは、小さくても脂が乗っていて、大変美味な魚です。その脂肪分の高さは、煮るとトロリとした柔らかさを持ちつつ煮崩れせずに、食べごたえがあります。焼くと脂肪分がカリッと香ばしく、中身はほどけるような食感が非常に美味です。刺身にすると、甘くこってりとした脂が舌に絡みつくような濃厚さがあります。どのような食べ方でも脂の深い旨味を味わうことが出来ます。

究極のムツは鹿児島にあり

鹿児島県で水揚げされるムツは究極のムツと言われ、一般的なムツをはるかに上回る脂肪分を蓄えていています。味も驚くほど美味しいと言われ、「泥ムツ」と呼ばれ、超・高級魚として扱われています。泥ムツの最高の食べ方は握りです。まさに至福の味わいで、他のムツの比にならないほどだと言われています。誉れ高き鹿児島の至宝、泥ムツを一度は食べてみたいものです。

ムツの卵は超高級食材

ムツは3月~5月に産卵期を迎えます。産卵直前のムツの卵巣「ムツ子」は、さらに高級食材として珍重されており、甘辛く煮付けにして食べると至福の美味しさです。漁師さんの間で特に愛され食べられているムツ子は、市場にほとんど出回ることがなく、ムツ子の究極の食べ方・ムツ子の煮つけを味わえるのは、漁師さんの特権と言えます。

ムツは、晩秋から春にかけて、産卵のために深海から水深100m程の所まで移動してきます。産卵直前のムツの卵巣「ムツ子」は市場では更に珍重されており、煮付けにすると腰が抜けるほど美味しいと言われています。そんなに美味しいのなら何が何でも食べたいと思ってしまいますが、そのほとんどが現地で消費されてしまうか、あっても超高級料亭クラスで、一般人にはなかなか手の届かない幻の食材です。

ムツの値段について

その身の美味しさと貴重さから、驚くほどの高い値段で取引されているムツ。種類や産地、大きさによって価格は変動しますが、黒ムツの場合、1キロ当たり¥4000~5000となっており、他の魚と比べて圧倒的な高い相場で取引されています。高級ステーキ肉に匹敵するお値段です。大きな個体ほど値段は高くなります。小ぶりなものはスーパーや魚屋さんでも稀に見かけることがありますが、それなりのお値段は覚悟が必要です。

黒ムツを上回るお値段を付けるのは、赤ムツです。北陸地方の名産で、かの有名な「のどぐろ」のことで、高級魚の王様として君臨しています。厳密にいうと、赤ムツはムツ科ではなくスズキ科の魚で種類が違うのですが、同じく高級魚ムツの最高峰として珍重されています。黒ムツより脂が濃厚で、その濃厚さもしつこさがなく、甘くとろけるような味わいが、美食家を虜にしてやみません。

のどぐろは、漁獲数が変わっていないにも関わらず、年々値段が高騰しています。それだけ市場に食べたいという人が増えたという、ニーズが増えているという事でしょう。海の赤いダイヤモンドと呼ばれる程、超・高級魚ののどぐろは、目を疑う程に高額です。大きさや産地によっても値段は変動しますが、小ぶりの200~300グラムの個体でも¥2000程、大きい600グラム超の個体は¥10000以上の値を付けています。

のどぐろの料理をお店で食べようと思うと、目玉が飛び出るほどの高額となってしまいます。扱っているお店も限られていますので、のどぐろ料理は中々口にできるチャンスがありません。そこまでの金額は出せないけれど、のどぐろを食べたい場合は、魚屋さんで注文することも出来ます。それなりのお値段は張りますが、お値段以上の価値はあります。のどぐろは煮つけにすると最強に美味しいそうです。

ムツを釣って食べてみよう

ムツは、超高級でなかなか庶民の口には中々入らない魚だと紹介してきました。それなら、自分で釣って食べるとう方法があります。深海釣りなので難易度は高いですが、夜間は比較的釣りやすい浅い場所、といっても水深100m位ですが、捕食の為に上がってきますので、夜釣りが狙いやすいです。エサはイカやサバの切り身、冷凍コイワシなどで、上下にゆっくり動かすアクションで狙うと効果的との事です。

ムツは北海道以南の東シナ海・太平洋までの海域で、黒ムツも北海道以南の太平洋の本州中部まで分布していて一年中釣ることが出来ますが、ベストシーズンは秋~冬にかけてになります。3月~5月はムツの産卵期ですので、市場には殆ど出回らない、腰が抜けるほど美味しいと言われる幻のムツの卵巣・ムツ子に出会えるチャンスです。

因みに、ムツを釣り上げている最中に、サメのご飯になってしまうことも多いようで、サメに横取りされて頭だけ釣りあがって来る事も良くあるそうです。エサに付けているサバやイカには見向きもせず、ムツだけを狙って食いついてくるとのことなので、サメもなかなかのグルメで舌が肥えています。

ムツの幼魚「オンシラズ」は、浅瀬の岩場などに生息していますので、港内や堤防などで釣ることが出来ます。オンシラズは小さくても脂の乗りは十分で、大変美味しい魚です。食べ方は、塩焼き、煮付け、から揚げなどどんな料理でも美味しくいただけ、もちろん刺身もとても美味です。

ムツのおすすめの料理を紹介

ムツがいかに美味しい魚であるかという事が解りました。ムツの魅力を存分に理解したところで、貴重なムツに出会った時に、どんな食べ方で味わうのが良いのでしょうか?ムツは脂肪を沢山蓄えているので、バターや生クリームといったコッテリとした物を使わない料理で食べるのがおススメです。ムツは、やはり和食の味付けが合います。煮ても焼いても、刺身でも至福の美味しさのムツ料理を紹介します。

大きいムツは特に美味しい「刺身」

ムツの美味しい食べ方でまず挙げられるのは「刺身」です。ムツの身には多くの脂が乗っています。身が非常に柔らかく、さばくのが少々大変ですが、刺身にすると美しい桜色の輝きを放っています。家庭で口にすることは難しいかもしれませんが、高級料亭などでは新鮮な状態のムツを刺身にすることが出来ますので、お値段は張りますが機会があれば是非味わってみてください。キラキラとした甘い脂が醤油に浮き、感激の美味しさです。

脂が多く身が柔らかいムツを刺身にする場合は、2~3キロの個体が扱いやすく、味も良いようです。新鮮さが命というのは言うまでもありませんが、刺身は2日程寝かせると魚独特の臭みがなくなり、ムツ本来の美味しさをより味わうことが出来ます。ムツの刺身は、言うなれば白身のトロです。その美味しさは本マグロのトロも霞むほどと言われます。

ムツの刺身の皮も香ばしい「あぶり刺し」

ムツの刺身で、もう一つ上を行く美味な食べ方が「あぶり」です。皮目をあぶり、皮の下の脂を浮き上がらせて香ばしさが上積みされたムツのあぶりは、さらに甘みが増して、もう涙が出るほどの美味しさです。あぶりを食する時は、味の濃い醤油ではなく、軽く塩を振っていただくというのが、ムツ本来の味わいを堪能できるのでおススメです。

ムツをあぶりにする場合は、小型のムツがおススメです。作り方は、ムツを三枚におろし、皮は引かずに、バーナーで皮を香ばしくあぶります。氷水に付けて締め、切り分けていただきます。小さくても脂は十分に乗り、あぶることで甘みが引き出されます。柔らかい身に対して、皮の香ばしさがアクセントになり、実に美味です。

煮汁の浸透が良く美味しく仕上がる「煮つけ」

ムツは、関東地方での食べ方で、古くから煮つけの定番として愛されてきました。脂の乗った柔らかい身は、火を通しても身が固くなることがありません。煮崩れをしにくく作りやすいという利点があります。煮汁の味が良く乗るので、濃厚で味わい深い煮つけを楽しむことが出来ます。運よく卵が入っていたら、一緒に煮つけにすると美味しすぎて腰が抜ける程だと言われます。

箸を入れるとほろりと崩れる濃厚なムツの煮つけは、脂が乗って柔らかく、適度に食感もあって大変に美味です。白身魚なのに脂が乗っているのは、深海魚の特徴でもあります。身の質が良いので冷めても美味しいですが、煮魚はやはり、作りたてが一番美味しいので、店頭で手ごろなサイズのムツを見つけたら、是非家庭で料理して、至福のムツの煮つけを堪能してください。

作り方は、鍋に砂糖・醤油・みりん・酒・水を入れ火をかけ、煮汁が煮立ったところに内臓を取り飾り包丁を入れたムツ、ぶつ切りにした長ネギを入れます。落し蓋をして5分位煮付けたら、生姜の薄切りを加えて更に3分程煮ます。煮上がったムツと長ネギを皿に盛り付けます。残った煮汁はとろみがつくまで煮詰めて、仕上げにムツにかけていただきます。絶品のムツの煮つけは、出来立てがおススメです。

脂であげたような仕上がりになる「塩焼き」

ムツの食べ方は、塩焼きも絶品です。焼くとふっくらと柔らかく、甘みがあって実に美味しい魚です。ムツの持つ脂が焼くと表面に溶けだして身を覆い、まるで揚げたように香ばしくなります。他の魚とは異なり、焼いても身の柔らかさが損なわれることがなく、脂もさっぱりしているので、魚の脂身のしつこさが苦手な人でも存分に美味しさを楽しむことが出来ます。

小ぶりのままなら丸焼きで、大型の物は切り身にして塩焼きにしますが、どちらも非常に美味です。小ぶりのムツは稀にスーパーなどにも出ていることがありますので、家庭でも絶品のムツの塩焼きを味わう事が出来ます。大型のムツの塩焼きはお店で味わうことになりますが、刺身に比べて置いているお店も多く、比較的、庶民の口にも入りやすい料理です。

身崩れしにくく、柔らかな身とダシが絶品「ムツ鍋」

高級魚のムツを鍋にするというのは、いささか勇気がいる行為かもしれませんが、漁師さんの間ではムツを味わい尽くす最高の料理として、良く食べられているそうです。身からもアラからも非常に良いダシが出て、そのダシを吸ったほかの具材もまさに絶品です。ムツの上質な肉質は、脂が乗って柔らかい上煮崩れがにしくい為、鍋料理には最適な食材です。

ムツを煮ると、その身は甘く、脂が程よく乗ってほろりと口のなかでほどけます。身やアラから出た、濃厚なダシがまた絶品で、最後は雑炊にして一滴残らず味わいたい逸品です。

ムツのだしで作る「あら汁」

ムツを美味しくいただく食べ方として、あら汁は外せません。ムツは、身からもアラからも非常に良いダシが出ますので、そのあら汁たるや天下一品、実に美味しいと美食家達をうならせています。上質の脂がキラキラと汁の表面に浮き、濃厚なうま味が凝縮されたあら汁は格別です。刺身にして余ったアラは捨てないで、是非あら汁に料理して最後まで頂いてください。

上品な味わい「酒蒸し」

こちらも、ムツの絶品ダシを味わえる食べ方です。好みの野菜を一緒に酒蒸しにします。ムツは脂がふんだんに乗っているにも関わらず上品甘みがあり、上質な白身は蒸しても身崩れしにくく、口の中でほどける奥深い味わいです。一緒に蒸しあげられた野菜も、ムツから出た絶品のダシをたっぷり吸って、実に美味しいです。

濃厚な白身が美味しい「天ぷら」

ムツは脂肪分の多い魚ですが白身ですので、様々な揚げ物料理にも、とても良く合います。天ぷら、から揚げ、フライにしても、大変美味しく頂けます。中でも天ぷらは絶品で、ふわふわで濃厚な身が食欲をそそります。高級店や専門店でしか味わえないムツの天ぷらですが、子ムツ(オンシラズ)は、夏場に関東の浅瀬でも良く釣れるという、釣り師の間でも人気の魚です。沢山釣れたら天ぷらにしてみてはいかがでしょうか。

洋風での食べ方なら「アクアパッツァ」

アクアパッツァは、白身の魚とアサリなどの貝類、トマトなどをオリーブオイルなどと共に蒸し煮にしたイタリア料理です。非常にオシャレですが、もともとはイタリアに伝わる豪快な漁師料理です。ムツのとろけるような脂と絶品ダシが、アクアパッツァを最高の料理に格上げしてくれます。店頭で手頃なサイズのムツが手に入ったら、アクアパッツァにして、今晩のご馳走にしてみてはいかがでしょうか。

ムツをさばくのは簡単?さばき方を解説

ムツは脂の多い魚ですので、さばくのが少々大変ですが、身が柔らかいのでコツを掴めば簡単にさばくことが出来るようです。煮付けに適した魚の下処理の方法と、刺身にするためのさばき方を紹介します。

丸ごとの煮付け・焼き物にするための下処理

ムツは、まずうろこを取ります。ムツのうろこは剥がれやすく、簡単に採ることが出来ます。まんべんなくこそげ落としたら、流水で良く洗います。歯が鋭いので、触れないように気を付けてください。

エラを取ります。腹を手前にして置き、指でエラぶたを開き、包丁を差し込んでエラを引き出します。ムツのエラは頑丈で少し力がいりますので、包丁の先と、ムツの鋭い歯で手を切らないように注意します。引き出したエラは、付け根を包丁で切り取ります。

内臓を取ります。ムツのおなかを切り開き、包丁で内臓を引き出します。内臓を出したら、おなかの中を流水で良く洗います。次に、ムツの身に飾り包丁を入れます。魚の皮は火を通すと縮み、引っ張られて身が割れてしまうので、それを防ぐために深めの切込みを入れていきます。

次に、煮魚の下処理の基本、霜降りをします。黒ムツに熱湯をかけ、表面が白くなったら冷水をかけて冷やし、流水で優しく洗いながら、ヌメリと汚れ、残ったうろこなどを取ります。これで煮魚にするための下処理は完了です。

ムツの刺身用のさばき方

刺身にする場合のさばき方です。ムツの身は非常に柔らかいので、さばく際は優しく扱います。まずうろこを取って頭を落とします。頭を落とす際は、歯が大変に鋭いので口の中に手を入れないようにします。ムツの歯は、万が一触ってしまえば指がすっぱり行くほどの切れ味なので、十分気を付けましょう。

腹を切り開き、内臓を出して、流水でキレイに洗います。水けをよくふき取って、おろしていきます。頭を右に向け、背骨にそって身を切り進めます。裏返して同様に切り3枚おろしの状態にします。腹骨があるので包丁ですき取って、のこりの目立つ骨はピンセットで抜きます。

包丁を使って皮を引きます。皮も身と同様に柔らかいので、ゆっくり優しく引いていきます。ムツの刺身は柔らかいだけではなく、もちもちとした食感があります。それは脂がたっぷりと乗っていることを表しています。脂が乗っているのは、ムツが深海魚であるがゆえで、高い水圧から身を守る為に脂を蓄えているのです。ムツの刺身の味は、マグロのトロに匹敵するほどの美味しさです。

ムツの絶品の味を堪能してみよう

ムツという魚は美味しい?値段や種類・おすすめ料理を詳しく解説してきました。魚の中では最高級とされているムツ。その味は、マグロの大トロをしのぐ程だと言われています。どんな味なのか気になりますが、なかなか庶民の口にはいる機会がありません。ムツは、大きいサイズほど高級になります。小さい物なら、稀にスーパーや魚屋さんに出ている事もありますので、見つけた時は是非お家で堪能してみてください。

ムツの旬は、一般的には晩秋~冬場と言われています。しかし、一年中脂の乗りがよく、非常に美味な魚です。特に鹿児島の「泥ムツ」と呼ばれるものは、一般的なムツより遥かに多い脂を蓄えていて、究極に美味しいそうです。赤ムツは「のどぐろ」と呼ばれ、特別に美味で、その味は高級ステーキに例えられるほどです。値段も驚くほど高いですが、時には贅沢をして、その究極の味に舌鼓を打ってみてはいかがでしょうか。

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