2018年06月07日公開
2024年07月16日更新
しょっつるとはどういう調味料?使い方やナンプラーとの違いも!
『しょっつる』という調味料を知っていますか?まだまだ知名度が低いしょっつるですが魅力がいっぱいの調味料なのです。なかなか近所のスーパーなどで見かけることはないと思いますがインターネットが普及している今、通販で簡単に購入できます。いろいろな魅力を秘めたしょっつるを今回徹底解剖していきます。もちろんしょっつるを使った料理レシピも紹介しますのでぜひ試してみてください。
しょっつるとは?
『しょっつる』とは秋田県で作られている魚醤のことで『塩魚汁』とも書きます。秋田県の伝統的な調味料で江戸時代初期から製造されてポピュラーに使われている調味料です。
漢字をみてもらえばわかるように、一般的なしょうゆは大豆が原料なのに対ししょっつるは『魚』が原料です。秋田県でよくとれるハタハタなどの原料魚に塩を加え、1年以上かけて熟成させて作るしょうゆでうまみと特有の風味がクセになる調味料です。
時期によって使う魚が変わる
しょっつるが作られ始めた当初は、臭みが少なく捕獲量も高かったハタハタを主原料として製造していたが、ハタハタの捕獲量が減ってきてしまったために、いろいろな魚を主原料として使うようになりました。現在ではハタハタの捕獲量も回復してきたため、再びハタハタを主原料としたしょっつるが作られるようになってきました。
また、魚には旬があるために捕獲時期もさまざまで、現在では『ハタハタは12月にとれたものが1番適している』『アジは癖がなくタンパク』『サバはうまみがあるが刺激臭がある』などといった魚それぞれの特徴を生かし熟成期間に合わせた魚を主原料として使うようになりました。
秋田ではポピュラーなしょっつる
江戸時代初期から製造されてきたしょっつるですが、海沿いの民家ではそれぞれの家庭でしょっつるが作られていて20世紀前半ぐらいまで作り続けられていました。販売目的の商業的生産としては明治初期ごろに始まったといわれています。
出典: https://vokka.jp
各家庭で家庭で作られていたほどポピュラーなしょっつるですが残念ながら生産量が徐々に減ってきてしまっていて1970年代には200klだったのに対し近年では100トン以下となってきてしまっています。
しょっつるとナンプラーの違い
魚醤と聞くと、ナンプラーを思い描く方がほとんどだと思いますがどちらも同じ魚醤です。ですが、国や地域が変わればとれる魚も全く違ってくるので当然味も風味も変わってきます。ナンプラーはイワシ(カタクチイワシ)を原料としているために甘みがありますが、しょっつるはハタハタ100%の場合甘さは少ない傾向があります。
甘みが欲しいときはナンプラーを使い、甘みを抑えたいときはしょっつるを使ったりとその料理に合わせて使い方をわけると、使える幅が広がって使いやすくなります。最近のアジア料理の普及のおかげもあり、ナンプラーはかなり手に入れやすくなりましたが、しょっつるはスーパーなどでは手に入れにくいため、しょっつるを手に入れたときには違いを実感してください。
しょっつるの種類
秋田県のしょっつるは石川県の『いしる』香川県の『いかなご醤油』と並ぶ三大魚醤の一つです。ハタハタ100%のものがほとんどですが、熟成年月はさまざまあり、中には10年熟成したものもあります。
しょっつるの使い方
ここからはしょっつるを使った料理を紹介していきます。秋田県の食材を使ったものもあるのでしょっつるをゲットした際には秋田県の食材を使っていつもとは違う食卓を楽しんでください。しょっつるはいろいろな使い方ができる万能調味料なので普段の醤油とは違った使い方で楽しんでください。
しょっつる鍋
しょっつるを使った定番の料理が『しょっつる鍋』です。しょっつるの原料でもあるハタハタやタラといった魚をメインとした海鮮系の鍋でたくさんの野菜と煮込むとかなりおいしいです。しょっつるのクセでもある特徴的な風味は鍋にするとまろやかになり、うまみとコクが凝縮されます。
お好みの味の濃さに仕上げるためにしょっつるを水で薄めて鍋にするのもいいですし、昆布などのだしをきかせたなべのつけ汁としてしょっつるをつかっても楽しめます。火を通さないしょっつるの使い方は風味をがいいのでしょっつる好きにはたまらない使い方です。
しょっつる貝焼き(かやき)
天気のいい日は外でバーベキューなんていいです。お肉中心になってしまいがちなバーベキューですが海鮮を盛大に焼くのも楽しみの一つです。しょっつる貝焼きはそんなバーベキューにぴったりの料理です。
作り方はいたってシンプルで大きなホタテ貝の貝殻を鍋にして魚・山菜・キノコ類などをしょっつるで煮ながら火を通して食べる料理です。自宅の庭先などで七輪をおいてこじんまりとつまみながらお酒を楽しむのもいいです。
焼きそばにしょっつる
調味料としての使い方としてぜひ試してほしいのが『しょっつる焼きそば』です。お好みの海鮮をたくさん入れてハタハタしょっつるで味をつけることによって磯の風味が一層強まりしょっつるを堪能できます。また、秋田県では粉末わかめと昆布だしを練りこんだ薄緑色の麺があり、それを使うとさらにおいしい焼きそばを作ることができます。
一般的な焼きそばの麺でも十分おいしくできますがチャンスがあれば先ほど紹介した麺も試してみてください。普段のソース味の焼きそばとは全く違う焼きそばが楽しめます。
しょっつるの応用編
しょっつるをメインとした使い方を紹介してきましたが、ここからはちょっと変わったしょっつるの使い方を紹介していきます。
卵料理の代表だし巻き玉子
まず紹介するのはお弁当のおかずの代表格『だし巻き玉子』です。通常だし巻き玉子は昆布やかつおのだしで味をつけて焼いていきますが、しょっつるはハタハタを原料としているのでだし要素は申し分ないぐらい風味豊かです。
ナンプラーと違い甘みもあるので他に何も入れなくても風味豊かなだし巻き玉子が焼けます。火を入れることによってコクも増すのでご飯がすすむこと間違いなしです。
パスタにも合うしょっつる
秋田発祥で花はないのですがしょっつるはパスタにも合います。おすすめはやはりシーフード系のパスタです。しょっつるは加熱すると風味がまろやかになり、コクが増すためにニンニクをしっかりきかせたシーフードにパスタを絡め仕上げに火を通しながらしょっつるで味付けするととてもおいしくしあがります。
先ほど紹介した焼きそばとは違い、こちらは普通のパスタを作る要領で一味違ったパスタが楽しめます。焼きそばよりも時間はかかりますが、ホームパーティーの1品などに加えると見栄えも非常におすすめです。
しょっつるは肉料理にも合う
ズバリその肉料理とは『からあげ』です。下味をつけるときに大豆系のしょうゆではなく、しょっつるをつかうことで十分な塩味がえられるので、しょうがを一緒につけて鶏肉の臭みをとってあげれば簡単に下味をつけることができます。揚げることで火が入り、より一層コクがでて一味違う唐揚げが楽しめます。
ナンプラーだと甘みが少ないため味が薄くなってしまいますが、しょっつるは甘みがあり味をしっかりつけることができます。最初は味が濃くなってしまいがちですが、何度か使うことによってすぐ加減できるようになります。
漬物にも最適
しょっつるは塩のみで作られているため実は漬物に最適です。お好みの野菜をジップロックなどの密封容器にいれて、お好みの量のしょっつるを加えてよくもみこみます。あとは冷蔵庫で30分から1時間ほど寝かせればしょっつる浅漬けの完成です。お酒のおつまみにもいいですし、食事の箸休めとしても最適です。
しょっつるの作り方
ここで少し観点をかえて昔では各家庭で作られていたしょっつるを実際に作ってみましょう。醤油作りは大変と思いがちですが、各家庭で作られていたぐらいポピュラーなしょっつるは意外と簡単に作ることができます。しょっつる作りに欠かせないのは『塩』です。すなわち、しょっつる作りに必要なのは新鮮なはたはたと塩だけなのです。
作り方は、ハタハタを塩漬けにして漬物用の樽に入れ、重石をのせて時々かき混ぜて、空気にふれさせるように温度や発酵状態を確認し、あとは置いておくだけです。1~2年たつと、発酵によりたんぱく質がアミノ酸に分解され、身は液状に溶けてきます。どろどろの原液をろ過すると、琥珀色の液体ができますのでそれを加熱処理してしょっつるが完成します。
1~2年と完成までに長い年月がかかりますが、ろ過したときに琥珀色の液体ができたときは感動します。自分でつくったしょっつるで料理を作ればより一層うまみが増します。また、塩とハタハタだけのレシピですが季節に合わせて原材料となる魚を変えて楽しむのもおすすめです。
しょっつるは使い方次第で魅力がいっぱい
ここまでいろいろなしょっつるの使い方やご当地グルメを紹介してきました。しょっつるを試したくなった方はぜひデパートなどで行われている物産展やインターネットで見つけてみてください。いろいろな使い方ができ、味もしっかりしているのでご家庭に1本あると料理のバリエーションがかなり広がります。
また、塩とハタハタのみで簡単に作れるので長い期間をかけて自家熟成させたしょっつるをいろいろな料理で活躍すること間違いないですが、使い方はアイデア次第で無限に広がっていきます。是非しょっつる作りからチャレンジしてしょっつるの万能性を実感してください。