ます寿司は富山の美味しい名物!おすすめ人気のます寿司店10選!

ます寿司は駅弁と思っていませんか?駅弁でも間違いではありませんが、ます寿司は富山県の名産品で、その歴史は長く、将軍への献上品として始まったそうです。富山湾に豊富な栄養を運ぶ神通川の流域で、綺麗で良質な水に育まれたマスと、お米から生まれた鱒寿しの店が何店舗もあることや、店によってそれぞれの秘伝の作り方が違い、味付けも様々であること、また、鱒寿しが日本全国にどうして認知されることになったのかなどを紹介したいと思います。

ます寿司は富山の美味しい名物!おすすめ人気のます寿司店10選!のイメージ

目次

  1. 1富山名物ます寿司を1度は食べてみたい!
  2. 2富山名物のます寿司について
  3. 3個性が光る富山で人気のます寿司店10選
  4. 4食べる以外の楽しみも!
  5. 5ます寿司はお店ごとに食べ比べて楽しもう!

富山名物ます寿司を1度は食べてみたい!

全国の百貨店のご当地フェアや、駅弁フェアで必ず売られている程、駅弁の定番として知名度の高います寿司ですが、実は富山県の郷土料理だということをご存知でしょうか?鱒の寿司やますの寿し、ます寿司と違う表記がされるのも、あまり気付いていないのではないでしょうか?知っているようで、知らないます寿司の世界をたっぷりと楽しんでもらいます。

富山市を中心に、ます寿司の業者は20以上あり、店によってそれぞれの特徴があり、食べ比べすると違いが良くわかります。今回は、各店のます寿司の特徴の違いを、細かく説明していきたと思います。現在ます寿司は、地元駅だけでなく金沢駅や東京駅、大阪駅でも購入でき、特急列車の社内販売やスーパー、更にはコンビニでも買えるほど人気の商品です。

それほど身近で手軽に買えてしまうと、ついついます寿司のことを知ったつもりになっていませんか?あなたの知らない、ます寿司の常識が沢山あるのです。これを知ったら、是非富山に行って食べ比べがしたくなることでしょう。富山には、ます寿司のミュージアムもありますので、そちらの紹介も後でしたいと思います。

富山名物のます寿司について

富山名物ます寿司とは

富山の名物、ます寿司は、塩漬けしたマスを使った押しずしの一種で、木製の曲物に笹を敷き詰めて塩漬けのマスを均等に敷き詰めて並べ、酢飯を詰めて押し、最初に敷いておいた笹の葉で包むように折り曲げて、最後に重石をします。ます寿司には、一段と二段があり、笹で包まれたます寿司が一つのものを一段、二つ重ねたものを二段と言います。

当初ます寿司に使われていたマスは、神通川を遡上してきたサクラマスを使用して作られていましたが、漁獲量の減少により昭和30年代以降からは、日本海沿岸のサクラマスや北海道のサクラマスを使用しています。現在、神通川の天然サクラマスは非常に減少しており、富山でもそのマスを使っているます寿司店は、ほんのわずかです。

ます寿司はどんな味?

ます寿司の味は、店によって本当に様々で、地元の各家庭でそれぞれ贔屓の味があるそうです。お店により塩辛い、酢が強めで効いている、甘みがあるなど好みが違うのです。また、使っているマスの厚みが違ったり、ご飯とマスの配置であったり、ご飯の炊き方、酢飯の硬さまでもがそれぞれで、各店が伝統を守りながら、職人の技で秘伝の味を受け継いでいます。

ます寿司の長い歴史

そもそも、ます寿司は、立山からの雪解け水という良質な水に恵まれ、良質な富山米と遡上するマスを組み合わせて生まれた押し寿司の一種です。ます寿司の歴史は1717年、富山藩士であった吉村新八が三代目藩主前田利興に、丹精込めて鱒で作った寿しを献上したところ、大変な称賛を受け,将軍への富山の名物として富山藩からの献上品となったところから始まりました。

鱒寿しに欠かせない良質の天然サクラマスの漁が盛んだった神通川ですが、今ではサクラマスの減少により、北海道産のサクラマスやノルウェー産のマスが使われたりしています。

ます寿司は将軍吉宗も大絶賛

富山藩の藩主が、八代将軍徳川吉宗にます寿司を献上したところ、将軍は大変称賛されたと伝えられておりますが、当時はマスでなく鮎寿司でした。富山藩士の吉村新八が藩主の前田利興に鮎寿司を献上し、それを徳川吉宗に献上したというわけです。吉村新八が作った鮎寿司の作り方も残されています。

神通川で獲れた新鮮な鮎を20日間塩漬けにした後、お酒で洗い塩出しします。それから米飯と塩に12日間漬け込み、提供する前日に取り出してから、新しいご飯に塩と酒で味を付け、鮎と一緒に提供します。鮎寿司の後にます寿司も作られるようになり、富山の名物になったそうです。

ます寿司の上手な食べ方

ます寿司の美味しい食べ方は、裏返しにして笹皮ごと蓋の上に置きます。そして、そのまま包丁で八つにきり、取り分けて3日以内に食べます。本来、ます寿司は冬場で一週間日持ちがする寿司で、夏場でも3,4日は大丈夫でした。現代人の好みにより酢が弱くなり、日持ちのしない生に近い、ます寿司も生まれています。

ます寿しの消費期限

ます寿司の消費期限は、商品や店の加工の仕方によっても多少の差はありますが、常温でおおよそ2~3日が目安です。握り寿司とは違い、昔ながらの保存食でもありますので、多少日持ちのする製法で作られています。昔、冷蔵庫の無かった時代に歩いて、或いは馬で遠方へ移動していたわけですから、酢や塩を使って保存する為に広まった料理でもあります。

ます寿しの原材料サクラマスの栄養と効能

ます寿司の事を紹介するついでに、ます寿司の主な材料であるサクラマスの健康効果について説明をしたいと思います。サクラマスのビタミンB1は、糖質の代謝を促してエネルギーを作るので、疲労回復の効果があります。ビタミンB2は新陳代謝を良くし、粘膜や皮膚の成長や機能を維持する役割を果たします。

そして、ナイアシンとビタミンB6は、脳神経の働きを正常にします。パントテン酸は、動脈硬化を防ぎストレスを緩和してくれます。ビタミンB12と葉酸は赤血球を作るのを助け、貧血の予防と細胞の生まれ変わりを助けます。さらに、ビタミンCとビタミンEは抗酸化ビタミンですから、抗酸化作用があり動脈硬化の予防、血管の老化を防ぎ、免疫力アップに役立ちます。

まだまだサクラマスには、優秀な栄養素があります。歯や骨を作るのに必要なミネラルであるカルシウムとリンやマグネシウムです。それから、利尿作用や高血圧症に効果のあるカリウムも含まれます。血液をサラサラにするDHAやEPAも含有しており、血管の健康や高血圧の予防に作用します。

また、良質なたんぱく質や、美容によいと近年注目され化粧品などにも配合されているレチノールも含まれています。そして天然の色素成分の赤色であるアスタキサンチンも含まれており、強い抗酸化力があるとされています。体内の酸化物質を無害化する力を抗酸化力と言い、抗炎症作用、眼疾患の予防、生活習慣病の予防、認知機能への作用など優れた効果が得られます。

ます寿司は、酢も使用していますので、酢の健康効果も多くあり優れた健康食であることが分かったと思います。

個性が光る富山で人気のます寿司店10選

長い間、富山で愛され受け継がれてきた、ます寿司はのお店は富山に沢山あります。店ごとに違う味や作り方があり、お互いが尊重し合い守り続けてきた文化とも言えるでしょう。富山市の観光公式サイトにも、ます寿司マップがあることからも、富山の伝統料理としての、ます寿司の人気ぶりが伝わってきます。

どの店が人気かどうかではなく、どの店が自分の味かを見つけるのに、それぞれのお店のます寿司の特徴を紹介しますので、富山へ行かれる際の参考にしてみてください。

こだわり食材と肉厚のます寿司「まつ川」

肉厚の鱒が人気のまつ川の、ます寿司は鮮やかな桜色と米の艶で、目を楽しませ、頬張った時にとろりと、とろける熟成の旨味に拘っています。また、富山米の甘味を熟成させ、酸味を抑えたますの旨味が特徴です。ぷりぷりの鱒の歯ごたえと、もっちりとした寿司飯で、米とマスの間から熟成した旨味があふれ出します。

値段は、ます寿司一段重ねが1,500円、2段重ねが2,900円です。まつ川のこだわりは、「熟成」です。米とマスそれぞれの独立した旨味が重なり、一つの深い旨味として感じられます。どこにも真似のできない熟成の味を作り上げること、マスの強い旨味をしっかりと受け止めることのできる、力強い米から熟成される、絶妙のバランスが、まつ川のます寿司の醍醐味です。

鱒と米の味が独立してしまわないように、甘みの強すぎる最高級のコシヒカリではなく、やや大粒で粘り強い歯ごたえで、爽やかな甘味が特徴の富山米てんたかくを使用することにより、鱒の旨味を米がしっかりと受け止め、熟成の旨味をトロリととろけさせ、納得の鱒の厚みも受け止める富山米で、熟成の溶けるような旨味が人気のます寿司です。

酸味が特徴のさっぱります寿司「青山総本店」

本物の素材に拘った人気の青山総本店の、ます寿司は素材に拘った、人気の特選シリーズのます寿司も販売しています。天然サクラマス、こだわりの純白米、薫る杉わっぱ、最大限の心配りをモットーに、京都の千鳥酢や特別栽培米のコシヒカリ、熊笹、天然杉の曲げ物を使用し、銘々包みで提供されています。

青山総本店は、富山県富山市の北陸富山駅から徒歩3分のところにあるので、電車の待ち時間の帰る寸前に買えて、新鮮なます寿司をできるだけ、新鮮なうちに持ち帰るのに便利な立地にあります。朝7時から夕方6時までの営業で、日曜日が定休日です。酸味の効いた寿司飯は、大人向けの味といえるでしょう。

青山総本店の、ます寿司は定番シリーズが1,500円~2,900円で、銘々包みという既に8等分された、ます寿司を笹で個々に包んであり、食べやすくしてあるものもあります。粋な心づかいです。そして、素材に拘った特選シリーズは、2,600円~5,400円で、数量限定の販売となっています。

甘味と旨味のバランスが絶妙のます寿司「高田屋」

鱒の寿し 吉田屋は、創業明治5年で130年以上の歴史のある老舗です。富山県富山市の富山地方鉄道富山軌道線の丸の内停留場近くにあります。朝7時からの営業ですが、無くなり次第終了するほど人気のます寿司店です。ます寿司の値段は1,500円~2,900円です。高田屋のます寿司は、厚く切った鱒と寿司飯の仕上がりが重要と考えています。

水加減や湿度、気温などの条件によって変わる炊き上がりです。ます寿司であるがための炊き上がりを伝統の技で受けついでいます。お米は100%富山の最高級コシヒカリとテンタカクをブレンドしています。ます寿司用にブレンドした絶妙な甘味のお米を毎朝5時から仕込みます。鱒は、脂ののった上質なものだけをふんだんにつかいます。

笹は、新潟県村上産のものだけを使い、煮沸消毒し、笹の香りでます寿司を引き立てるために、丁寧に手洗いします。水は富山の井戸水の汲みたてを使用しております。また、フランス三ツ星レストランで修業したシェフであり、ソムリエである職人が作る、高田屋のます寿司は極上の味で、食通にも人気のます寿司です。

高田屋のます寿司の特徴は、米の甘味と鱒の旨味や風味の強い主張が絶妙に重なり、全体的にまろやかであっさりとしています。酸味は控えめで、甘みと旨味のバランスがとても良く、鱒の程よい水分ともともちとした米の旨味が特徴の、人気でおすすめのます寿司です。

昼には売り切れる予約必須の肉厚なます寿司「扇一 ます寿し本舗」

富山の人気ます寿司店、扇一 ます寿し本舗のます寿司は、酢で締めすぎない半生タイプで、鱒の身が厚いのが最大の特徴です。よって、富山県外にはあまり流通しません。寿司飯と鱒の厚さが同じかと思うくらいの厚さがあります。予約をしておかないと、すぐ売り切れになるそうですから、予約をしてから買いにいくことを、おすすめします。

また、電話で予約をすると、食べる時間まで聞いてもらえ、その時間に丁度美味しくなるように、逆算して作ってもらえるところが嬉しい心づかいと、美味しいものを美味しいタイミングで食べて欲しいという職人の想いが伝わってきて、人気の理由がわかりました。お店の場所は、富山市小泉町です。以前の場所から移転されたようですので、お間違いのないように。

守り続けてきた秘法を受け継ぐます寿司「元祖せきの屋」

元祖せきの屋は明治11年創業の老舗です。現在の主人は5代目で音楽の才能もお持ちの方のようです。富山地方鉄道富山軌道線の丸の内停留場近くにあります。中越米をふっくらと炊き上げ、氷見から取り寄せた熊笹、神通川の鱒を使い作られてきた秘法を守り抜く職人魂を受け継いできた、元祖せきの屋です。

笹は添え物でなく、ます寿司にほのかな芳香を漂わせる無くてはならないもだそうです。立山山麓や氷見さん幹部のクマザサを、夏の土用の間に採り天日で乾燥させて保存しているそうです。使用する際に、熱湯にくぐらせれば、鮮やかに青々とした笹がよみがえり、防臭の効果も果たしているとのことです。

人気の、元祖せきの屋のます寿司は、鱒を強めに締めてあり、臭みもなくとてもさっぱりした味です。ます寿司が初めての人や、しっかり締めた寿司が好きな人に人気の、ます寿司です。一重が1,500円、二重が2,900円です。また、人気のミニサイズもあり、480円と求めやすい値段でおすすめです。食べ比べには丁度いいサイズです。

芳醇で肉厚ジューシーなます寿司「川上鱒寿し店」

次に紹介する人気の、ます寿司店は、創業大正12年、現在3代目が営む川上 鱒寿し店です。90年に渡り、「お客様と共に造り上げたもの」と川上のます寿司の味を表現されています。伝統を守りつつ、常に新しく、喜ばれる味が未来の伝統となるという想いの味は、まろやかでコクがあり、ジューシーなます寿司です。

川上のごだわりは、芳醇であることです。しっかりとした造りでありながら、ベタベタせず鱒の旨味が染み出てくるような鱒の寿しで、柔らかい酸味にフルーティな香りと、歯ごたえのあるプリっとした舌ざわりの、鱒の旨味が溢れる仕上がりとなっているところが、おすすめです。

ノルウェー産の鱒を厚めに切り、創業当時と同じ甘酢でしっかりと漬け込んだ、柔らかくさっぱりとしているのが川上のます寿司の特徴です。また、ジューシーに仕上がっているところが人気の理由の一つでしょう。川上では、お客からウェディング鱒の寿しの依頼を受けて作られたこともあるそうです。

厳選したハラミのみを使用した特選鱒の寿し「吉田屋鱒寿し本舗」

次のおすすめのお店は、吉田屋鱒寿し本舗です。この店は全工程を手作りで行っており、仕込みから発送まで、全て自分たちの手で行うことにより、商品管理をきちんとされています。そして、創業当時からの製法と味を守り、作っています。吉田屋のます寿司で、少し珍しいのが昆布鱒寿し1,800円です。寿司飯の下側におぼろ昆布が包み込まれています。

それからもう一つ変わり種の、ます寿司が鱒の寿し両面2,000円です。こちらは、名前の通りに表だけでなく裏にも鱒が敷かれています。鱒が好きでちょっと贅沢に鱒を味わいたい人におすすめの商品です。その他には、鱒の寿し一重1,500円、二重2,900円、特選鱒の寿し1,900円があります。

特選鱒の寿しは、厳選した鱒のハラミを肉厚で使用し、贅沢に仕上げたもので裏メニューだったものを、お客の要望で商品化したそうです。大変おすすめの商品ですので、是非食べてみてください。数量限定ですので、前日までに予約が必要です。

天然サクラマスのみ使用した拘りの鱒寿し「庄右衛門 元祖関野屋」

川魚の風味を熟成させて作るます寿しには、天然サクラマスのみを使うことに拘り作っています。サクラマスの持つ仄かな香りを熟成させ、クルミのような濃厚なます寿司となります。調味料に頼らないサクラマスの旨味を追求して、お客様と共に作り上げた伝統の味とのことです。

北海道の寿都産のサクラマスを使用しておられますが、この寿都産のサクラマスは滑らかでキメが細かいしっとりとした身をしており、弾力もあり芳香や旨味も、国産天然サクラマスの中でも秀でているそうです。米は富山の最高級コシヒカリを使用しており、熟成に重要な押した時に一定の弾力が必要で、甘みと旨味のバランスが良い、契約農家の米です。

また、関野屋のサクラマスへの情熱や知識には、感心させられます。春のサクラマスは芳香と旨味を楽しめます。夏のサクラマスは30分~1時間冷蔵庫で冷やして食べることをおすすめします。一旦冷やすことによって熟成を深めるとのことです。これは天然物だからこその、臭みのない脂によって可能な食べ方だそうです。

そして秋のサクラマスは新米の季節で、鱒と米が最も相性のよくなり、美味しい鱒寿しが頂ける季節です。気温の低い冬、熟成の幅は狭くなりますが、乳酸菌は低温で実力を発揮し、熟成は弱いが、まろやかなコクと深い熟成を味わうことができるそうです。

今井商店

優しく、さっぱりとした味で仕上げています。半生で鱒の香りが、甘い富山のコシヒカリと相まって、しっとりとした食感と風味が特徴です。仄かな笹の香りも鱒寿しを引き立てています。柔らかく優しい、しっとりとした食感と風味は、幅広い年齢層の人に喜ばれる味です。

酢が効き過ぎず、甘すぎず、鱒もきっちりと締めてある、鱒の寿しの王道中の王道でしょう。ます寿司を食べたことのない人は、まず今井商店のます寿司を食べてから、食べ比べをしようと言うくらい、伝統の味を忠実に守り続けている味です。富山で食べ比べするなら、最初にここで食べることをおすすめします。

なみき鱒寿し店

富山で鱒寿しと言えば、なみきやさんと地元の人も言うくらい、おすすめの鱒寿し屋は、なみき鱒寿司店です。日本海で獲れた最高級のマスの最も美味しい部位のみ使用します。そして鮮やかな桜色という条件も満たしていなければ使用されません。なみき鱒寿し店のます寿司は、逆さ造りで、蓋にひっくり返した時に上に鱒がくるようになっています。

寿司飯は硬すぎず柔らかすぎず、もちもちとしています。鱒は、しっかりとした見た目のわりに、食べてみると生のマスのような食感で、塩加減が絶妙で鱒の甘味を上手く引き出しています。取り立てて特徴がないのが番人向きで飽きのこない味付けなのです。これが実は一番難しいのかもしれません。

外食ばかりだと飽きるのに、家庭の食事は飽きることなく食べられるのと同じで、きっちりと基本に忠実に、受け継がれた伝統を守り、やり過ぎないことで飽きのこない味を保ちつづけてきた、富山でおすすめの鱒寿し店です。

食べる以外の楽しみも!

ます寿司を全国に広めた「ますのすし本舗源」

マス寿司を全国に広めた、ますのすし本舗 源は、江戸時代には旅館と紙屋を営み、旅館の主人の源梅山(みなもとばいざん)は、茶人としても有能であったそうです。明治に入ると初代源金一郎は天人楼・日新楼を営んでおり、お濠(水をはった堀)を渡って店に行くという贅沢な演出をした店がまえでした。

1900年(明治33年)に初代源金一郎は料理旅館・富山ホテルを開業しました。そして明治41年には富山市に鉄道が開通するとともに、富山駅で駅弁を販売しはじめました。明治45年(大正元年)今から約100年前に、まだ富山の名物があゆずしだったころに、源一族のます寿司の美味しさを富山を代表する食に育てたいという想いから、富山駅の駅弁「ますのすし」が生まれました。

しかし、世界恐慌や満州事変など、経済状況はあまりよいとは言えず、駅弁業も思うように売り上げを伸ばしていませんでした。昭和7年には、ます寿司の駅弁は45銭(現在の値段で1,350円~1,800円)で販売しておりましたが、まだまだ富山名産として広まっておらず、旅館業とあゆずし、あんころ、蕎麦饅頭などの菓子業で生計を立てていました。

昭和11年、日満産業大博覧会が富山で開催されたことにより、折詰の注文が増えて、源の戦前での最盛期となりました。昭和14年第二次世界大戦が始まりましたが、昭和19年軍隊弁当の注文が急に入り忙しくなりました。しかし、富山大空襲があり富山駅や源のます寿司の工場は全焼しました。

そんな境遇の中にあっても、鉄工所の炊事場を借り、リヤカーで弁当を駅まで運んでいました。戦後の昭和23年、富山ホテル支店、料理旅館の再開を果たし、昭和24年にはます寿司を戦前のスタイルの「ますのすし」一重110円、二重210円で販売を再開しました。昭和32年には、富山の誇れる鰤を使い、「ぶりのずし」が三代目源初太郎によって考案されました。

ます寿司50周年となる昭和37年、現在の形状である箱詰めは、この年に生まれました。またパッケージに描かれている越中神通川ますとりの図は、そのまま引き継がれております。全国駅弁大会で、富山の名産品、土産物として定着し、西の横綱と称されました。昭和40年、ます寿司をこよなく愛した中川画伯の絵がパッケージに採用されました。

昭和41年、高岡市に高岡ステーション店をオープンし、昭和43年には高岡地下店をオープン、昭和46年には名古屋駅地下街に名古屋エスカ店をオープンさせました。昭和47年には東京進出を果たし、昭和51年に富山インター店をオープン、昭和59年には富山空港で、ますのすしの販売、つまり空弁の開始となりました。

その後も店舗展開を続け、平成7年に愛称を「ますのすし本舗 源」にしました。平成8年、ますのすし伝承館を増築オープンさせインターチェンジや駅、百貨店に店舗展開し、平成20年に創業100周年を迎えました。この様に、苦しい時代を乗り越え、源一族のます寿司への情熱で、ます寿司の認知度は上がり、富山の駅弁と言えばます寿司というところにまでなりました。

ますのすし本舗 源は、平成21年に、ますのすしミュージアムを開設させ、源のますのすしの技や伝統を紹介しています。

ますのすしミュージアムで楽しい体験も

ますのすし本舗 源は、料亭から130年の伝統と、駅弁業として100年の歴史を持ち、ます寿司を全国に広めた、源一族の熱い想いを長年引き継いできた老舗です。富山を中心として全国に店舗を持っており、源の想いの詰まった「ますのすし」が、いつでも美味しく食べられるようになりました。

ますのすし本舗 源がオープンさせた、ますのすしミュージアムでは、ますのすし伝承館や、工場見学ができたり、お食事何処 さくら亭、天人楼、旅と食の文化史コレクションや、映写室などがあり、また、ますのすし手作り体験もできる、充実したミュージアムとなっています。

ミュージアムにある、ますのすし伝承館では、ます寿司の製作工程を見ることが出来ます。天然のサクラマスの身の捌き方や、国産天然塩や酢をその日の温度や湿度を肌で感じて加減すし、食べる瞬間までを想像して行われる職人の技には、つい見入ってしまいます。サクラマスは3キロ以上のものだけを使用し、魚の状態と季節に合わせた塩打ちは、最低5年はかかる職人技です。

マスの部位や脂ののりに合わせ、最高の旨味を引き出すために、切り身が淡い紅色に変わっていく様子を確認しながら酢から引き上げる作業は、絶妙なタイミングが難しいので、熟練の職人にしかできません。機械では出せない味なのです。このミュージアムでしか見ることのできない、伝統の技を間近で見ることをおすすめします。

また、ミュージアムで人気の工場見学では、一日に数千個作られるます寿司の笹付けやパッケージ詰めなどを見ることができます。また、旅と食の文化史コレクションには、全国から集められた駅弁のかけ紙の日本地図があったり、江戸~昭和の珍しい弁当容器も陳列されています。その他、旅の携帯品を多数展示してあります。このミュージアムならではの展示品です。

ミュージアムには映写室もあり、ます寿司の歴史や、伝承館のこと、ますのすしの製造工程やますの身と笹の話し、すし飯と水の話しやパッケージの話し、そして駅弁と源の歴史などを、子供も大人も楽しめるストーリー仕立てで紹介しています。このミュージアムでは家族でも楽しく、ます寿司のことを知ることが出来ますので、是非見られることをおすすめします。

更に、ミュージアムでは予約をしておけば、職人がます寿司作りを伝授してくれる、手作り体験が60分でできます。料金は1,000円です。自作のます寿司をお土産にするのも、おすすめのアイデアです。ますのすしミュージアムは、富山県富山市南央町37-6にあり、朝9時から夕方の5時まで利用できます。見学は無料です。

また、ますのすしミュージアムでは、レストハウスで食事をすることもできますし、富山の特産品を買えるお土産コーナーもあります。ミュージアムでの職人による、ます寿司作りは実演してない場合もあるそうですので、事前にミュージアムに問い合わせてみると良いでしょう。また、ミュージアムのお土産コーナーには、ミュージアムだけの限定商品もあるそうです。

富山の知っておくべきこと

富山でます寿司を食べ、ミュージアムを見たら、もう一か所ミュージアムではありませんが見ておくべき場所があります。富山県立イタイイタイ病資料館です。富山県の神通川流域で過去に起こった、日本の四大公害病の一つであるイタイイタイ病のことを知ることが出来る資料館です。同じ過ちを繰り返さない為にも、知っておくべき負の歴史です。

ます寿司はお店ごとに食べ比べて楽しもう!

富山のます寿司のことを沢山紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?そもそも、富山の名産品でこんなに多くの店と味があることを知らない人も、これを機会にどこかの駅や百貨店、スーパーやコンビニでます寿司を見かけたら、どこの店のます寿司か気にかけてみてください。一つ買って食べてみて、自分の好みでなければ次は、是非富山へ食べに行ってみてください。

そして、長い歴史の中で忠実に受け継がれてきた、伝統の技で作り出される匠の味であるます寿司の旨味をしっかりと味わってみてください。また、大変すぐれた栄養素を持つサクラマスの効果を知っていただけたと思いますので、健康食としても優れていると思えば、なおさらます寿司の価値も高まったかと思います。

友人や知人から、ます寿司をお土産に頂いた時にも、今まで以上に喜びを感じることでしょう。このように、各地域に長年伝承され続けている食べ物には、それぞれの意味や価値があるからこそ受け継がれているということも、判っていただけたのではないでしょうか?

関連するまとめ

新着一覧

最近公開されたまとめ