鱧(はも)の旬は夏じゃない?産地や値段・美味しい食べ方まで解説

鱧の旬は一年中が旬だと言う人もいますが、実はちゃんと美味しい旬の時期があるのです。それも二回ほどあります。鱧は京都・奈良などの料亭で出される高級魚の一面もありながら、骨切りといった下処理などが非常にやっかいです。今回鱧についてその旬の時期やどこで獲れる魚なのか?値段やどう料理して食べたら美味しいのかなど、解説していきます。ここで鱧の事を良く知り、美味しい鱧を堪能してください。

鱧(はも)の旬は夏じゃない?産地や値段・美味しい食べ方まで解説のイメージ

目次

  1. 1鱧といったら奈良・京都の高級料理
  2. 2鱧の本当の旬はいつ?
  3. 3鱧の産地はどこ?
  4. 4鱧の値段はどのくらい?
  5. 5鱧の美味しい食べ方
  6. 6旬の鱧料理を味わってみよう

鱧といったら奈良・京都の高級料理

鱧はウナギ、アナゴ、ウツボと大きな分類で分けると同じ仲間です。見た目も似ています。鱧はウナギ目ハモ科になります。生息地は水深100mから沿岸部砂泥地に生息しています。体は細長く2mもあるものがあります。とても暖かい海を好み、鋭利な牙で魚、エビ、イカ、タコ、カニを餌にしています。生命力がある魚で冷凍技術がない昔でも内陸部の京都まで大阪や明石から、生きたまま届いていました。エネルギッシュな魚です。

奈良にしても同様で奈良は険しい山々に囲まれた場所だけに生きた海の魚は大変貴重だったのです。京都や奈良の料亭では鱧は高級料理として扱われています。鱧の、名の由来ははむ、つまり食うや噛むといったから、または、はむ(蝮)に似ているところからきているそうです。いつの時代も鱧の、下処理の骨切りは大変手間がかかります。ですから高級料理とされている部分もあります。調理できる職人も京都や奈良に多いはずです。

鱧は祇園祭にはかかせない魚です。祇園祭は別名で鱧祭りと呼ばれているほどです。いつから鱧は食べられていたのかというと、鱧は縄文時代から食べられていた事が各地にある貝塚に鱧の骨が出てくる事からも分かります。江戸中期に出た書物海鱧百珍には100種類以上の鱧料理法が記載されていて、食べ方や骨切りについても詳しく書いてあるそうです。古くから食べ方や調理法がある歴史ある魚が鱧なのです。

相撲の番付風に魚を紹介した書物では1位は鯛で2位は鱧と書かれているものもあり、人気のほどが分かります。明治以降になると、きもの問屋が多く集まる京都室町通では祇園祭に集まってくる客を鱧寿司でもてなす風習があり、知名度が上がる貢献をしました。過去・現代にかけていつも人気があった魚のようです。

鱧の本当の旬はいつ?

鱧は一年中楽しめる魚

鱧の美味しい時期がいつからかというと、一年中楽しめる魚とも言えます。美味しい時期、旬があるといえばあるのですが、明確にいつ不味いという時期はないようです。夏旬を迎えると言われるのは、昔普通の魚だと夏は傷んでしまい内陸の京都に運べないが、鱧は水から放り出されても24時間生きている事もあるほど生命力が強く、京都の料理屋がそこに目をつけ夏に、頻繁に鱧を仕入れるようになったのが元とも言われています。

鱧の旬は年2回?

基本的にいつからというわけでもなく1年中楽しめる鱧ですが、いつが旬かと問われると、年に2回旬があると言われています。一度目の旬は6月から7月の初夏です。気温も上昇していって鱧の行動力も活発になり、身が引き締まっていきます。梅雨は水を大量に飲むので、それが原因で美味しくなるとも言われています。

鱧の活動が活発になれば餌も多く食べ、水も大量に飲むおかげで、白身のタンパクな味わいに磨きがかかった風味の豊かで上品な鱧になるというわけです。

この時期に行われる祇園祭は鱧祭りとも呼ばれ、なぜそう呼ばれるかというと、流通が限られていた昔の京都で暑さが厳しい夏の中、新鮮な魚を食べる事は簡単な事ではなく、明石や瀬戸内海で獲れたほとんどの魚が死んでいく中で鱧だけが元気に生きていた事、その時期が梅雨から梅雨明け~夏が始まる祇園祭の季節だった事もあり、昔から祇園祭では鱧がよく食され、結果旬の時期なったようです。2回目の旬は秋の10月頃になります。

鱧の2回目の旬である落ち鱧・金鱧・松茸鱧

鱧の、旬の2回目はいつかというと秋の10月になります。産卵が終わり、食欲が増え、餌をガツガツ食べて肥え太ります。これを秋の落ち鱧といい、脂ののりがとてもよく、タンパクな味わいの、初夏の鱧とはまた違った味わいがあります。晩秋になると体表が金色に輝き金鱧とも呼ばれます。秋は魚だけでなく、山菜も実り豊かで、この時期の、鱧の食べ方として高級食材の松茸と組み合わせた松茸鱧は絶品です。

松茸鱧の食べ方として祇園の老舗に松茸と鱧の土瓶蒸しを出してくれる所があります。鶏肉と松茸の土瓶蒸しから鶏肉を鱧に変えたこの土瓶蒸しは秋の鱧の脂が松茸の香りに負けず舌にのり松茸の風味と共に、秋の味をたっぷり堪能できる一品になっています。このように秋の味覚と秋の鱧料理は抜群に相性が良いのです。他にも食べ方として鱧松という鱧と松茸のお吸い物が特に有名です。

鱧の産地はどこ?

鱧は温かい南側の海岸部に多く生息

産地は紀伊水道、瀬戸内海、九州などが名産地として有名です。鱧は暖かい海水を好みます。東のアナゴ、西のハモと呼ばれるように関西地方、京都大阪で重宝されている魚です。世界ではインド洋や西太平洋の熱帯、温暖域に生息しており、日本だと本州の中部から南以降に生息しています。生命力が強いので昔の京都では大阪湾や明石海域で獲れたものを生きたまま京都に運べました。

鱧の出荷量が多い県

鱧がよく出荷されているのは和歌山県、徳島県、愛媛県、山口県、長崎県での漁獲量が多くなっています。和歌山県では戸坂の鱧が有名で、紀伊水道の中心にある戸坂の延縄漁で釣り上がる鱧は、旬には京都の老舗高級料亭でも使われる高級品です。紀の川の恵みで育った鱧は独特のタンパクな味わいでありながら栄養豊富で大変美味でしょう。ビタミンも多く含まれていて、夏バテ効果もあります。

鱧は関西ではよく食べられ京都や大阪の祭りでは欠かせない料理になっていますが、関東ではあまりなじみがない魚のようです。原因は中部以降の暖かい海に鱧が生息していて、東日本では漁獲漁が少なく、関東では鱧の他にも穴子など似た魚や様々な種類の魚が食べられる事からわざわざ小骨の多い下処理のめんどうな鱧を食べようとする文化が浸透しなかったともいえます。

鱧は輸入もされている

日本では、鱧は淡路港や淡路島が産地として名をはせています。鱧鍋も淡路島が発症の地だそうです。国外から、特に中国、韓国から輸入している鱧は国内のものより安価で流通しています。韓国産など国内の物より身が柔らかいと言う人もいるそうです。しかし食の安全を考えると多少高くても国内産を選ぶ方が多いかもしれません。関東で鱧が流行らないと理由についても触れましたが、より詳しい理由を説明します。

いつからか近年では関東でも鱧を見かける事が増えました。しかしいまだに関東は関西より鱧の認知度が高いとはとても言えません。最大の理由を探すと決定的な原因は関東から北の海、日本海では鱧が獲れないという事実でしょう。そういった事が原因で関東は鱧を食べる習慣がなくなっているのです。食べ方も鱧はめんどうな魚です。関東は関西より小骨を切る事のできる技術をもった料理人が少ないのも、原因の1つになります。

鱧の値段はどのくらい?

鱧の値段は月別で大きく変動します。築地市場での鱧の1kgあたりの卸売価格、つまり値段を見てみると、過去5年ほどの値段平均は3月から4月にかけて1kgおおよそ1000円から1500円、旬の時期と言われる6月から7月あたりは1kg2000円から2500円ほどで推移しるようです。やはり祇園祭などが行われる時期、旬の時期はいつにもまして値段が跳ね上がります。月、季節、旬と呼ばれる時期により値段はかなり流動的です。

ネット通販で調理、下処理された鱧の値段を数件紹介します。購入を検討されている方は参考にしてください。食材市場やまもとというブランドでは下処理済み骨切り鱧は1kgあたり2200円ほどで売られているようです。しっかり骨切りされてあるとのことで、食べ方としては湯引きにしてもよし、薄つくりなどにしても良いようで、中国産の、鱧のようです。

大手ネット通販楽天市場では活〆骨切済み鱧1kgが2300円ほどの値段で販売されているようです。中国産ですが、何度か書いたように鱧の骨切りは難易度が高いです。その下処理をしてあるのですぐ調理できるのがお得です。ちなみに湯引きしてないので完全解凍を待って湯引きすることにより、見た目も美しい、花が咲いたような鱧料理ができあがります。

全国からの、地方新聞社厳選のお取り寄せサイト47CLUBで販売されている大分県の鱧しゃぶセットは豊後水道で獲れた鮮度の高い鱧を調理しており、骨切りもしっかりされていて舌触りも良く、お吸い物にしても良いです。値段は5400円ほどとなっています。特定の料理用で販売されている鱧は人数も4~5人用からと多人数で食べられるようにしてあるものが多く、値段も高めです。

鱧の美味しい食べ方

鱧は下処理が済んだものを買ってこよう

鱧はスーパー、通販、魚屋で下処理をされた物を買うのがベストでしょう。なぜかと言うと、鱧の下処理の骨切りが素人には無理だからです。鱧の食べ方として内蔵と骨、ヒレを取り除いても身に小骨が残ります。取り切れない小骨を身と共に一緒に細かく上の写真のように切っていきます。切っていくといってもただ切ればいいというわけではありません。ミンチ状になってしまっては意味がないです。

開いた鱧の身にmm単位で刃を入れていき、達人の職人ともなれば皮と身の間を1mmという僅かな感覚で刃を入れていき小骨と身を共に切っていきます。鱧は身のギリギリまで骨があるのでこのような達人技が必要になるのです。切れ味がよく重い骨切り包丁で皮のギリギリまで身を切っていく、その様は一種のパフォーマンスの域でしょう。皮一枚残し、およそ3mmの感覚に25回ほどの刃を入れてようやく職人として一人前だそうです。

鱧の食べ方はそれぞれあるとして下処理だけはどれも同じでかかせません。骨切りに失敗して身を両断してしまったり、上手く小骨が切れてなかったりすると味や舌に乗せた感触が悪いものになってしまいます。鱧の骨切りは完璧に、できるようになるまでおおよそ10年はかかると言われています。それを素人が簡単にできるわけでもないので手軽な食べ方としては店で食べるか、下処理済みの物を店で購入する事をおすすめします。

鱧の蒲焼

鱧の、蒲焼の作り方を紹介します。材料は比較的大きめの鱧の切身を2枚用意し、市販の蒲焼のタレを用意するだけです。20cmほどに切って串を刺し、鱧は焼くと丸くなっていくのでバッテン印、つまりX型になるように串を刺してください。蒲焼のタレを染み込ませていきます。骨切りされた部分に十分タレが染み込むように塗っていきましょう。ガスコンロのグリルを使い焦げないように焼いていき、2分に一度はタレを塗って焼きます。

十分に中まで火が通り焼きあがったら、まだ熱いうちに串を抜きます。指で串を掴みくるりんと回しながら引き抜くと抜きやすいです。最後は皿に盛ってさらに蒲焼のタレをかけましょう。ポイントとして焦げないように焼く事が重要です。焦げてしまうと苦味になってしまうからです。鱧の脂はウナギほどキツくないのでヘルシー志向の方はウナギの蒲焼より鱧がおすすめです。

鱧の湯引き

鱧の、湯引きの作り方を紹介します。材料は2人分を想定します。骨切りされた鱧を一尾、大葉2枚、みょうが一個です。次にタレの材料ですが、比較的大きめの梅干しを2個、市販の出し汁大さじ1杯、酒、みりん各小さじ1、醤油小さじ1/2を用意します。次に作り方ですが、鱧を2cm感覚で切り分けていきましょう。そして鍋で熱湯させた湯に塩少々入れます。そこに2cmに切り分けた鱧を入れます。

茹でるのは少しで構いません。さっと湯に鱧を通し、身がクルクルと丸まったら氷水につけます。その後、ザルに身を上げ、さっと水気を取ったあとキッチンペーパーで残りの水分を吸い取ります。そして冷蔵庫に入れておきましょう。次に大葉の軸を切り、みょうがは縦に千切りし、水にさらし歯ごたえが出るようにします。その後で水気を取りましょう。

梅干しの種を取り、包丁で叩き、ペーストの形にします。そのペーストに残りの調味料を加え、混ぜ、梅干しダレの完成です。盛り付けは器に大葉を敷いて、冷蔵庫に入れてあった鱧の身を大葉の上に乗せ、みょうがを鱧に飾り、梅干しダレをかけて完成です。7月あたりになると鱧がスーパーや魚屋でみかけるようになります。滋養がありビタミン豊富な鱧は夏バテ防止の料理としてぴったりです。なんと貧血予防もあるようです。

旬の鱧料理を味わってみよう

鱧は関西では欠かせない料理です。特に鱧の旬と言われる京都の祇園祭の時期は鱧祭りと呼ばれ、いつの時代からか鱧で客人をもてなす習慣まであります。ですが、その長年修行してようやくできるようになる鱧の骨切りはまさに料理職人の技であり、職人なくして鱧料理は味わえません。鱧は下処理してあるものでも十分美味しく、体に良いビタミンも豊富なので是非食べてください。初夏の鱧、秋の鱧が旬で特におすすめです。

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