スイカの育て方と栽培のコツは？種まき・摘芯や初心者向けプランターを使った方法

夏を代表する野菜であるスイカは、充実した夏休みを送る上では欠かせない存在だと言えますが、スーパーで買うだけでは高上がりな上に味気ないと思っている人も多いのではないでしょうか？あるいは家で何か初心者でも可能な野菜を栽培したいと考えている人もいると思いますが、そんな人にこそスイカの栽培はぴったりかもしれません。

スイカは実った姿がかなり巨大なだけにあそこまで成長させるのは難しいと思ってしまいがちですが、実はスイカの育て方は初心者でも案外簡単だと言われています。今回は、そんなスイカの育て方について種まきや苗植えから、肥料のやり方やプランターの有無など、気になる点を掘り下げるのでぜひ参考にしてスイカを楽しく育てていきましょう。

スイカの育てていく上では、栽培において重要となる種まきや苗植え、摘芯から収穫までの各過程においてどのように世話をすればよいのかを、具体的に把握しておく必要があります。特に野菜を家で育てたことがない人にとってスイカは関門だとも言われていますが、結実したスイカが大きいからと言って栽培を億劫がる必要は全くありません。

確かにミニトマトやいちごなどと違い、実が大きいからこそその栽培はかなりハードなように思えますが、結論から言うとスイカは初心者でも育てることが可能ですし、プランターを使ったスイカの簡単な育て方も存在するものです。もちろん、種まきから収穫まで、重要なポイントをおさえておかないとうまく結実しない可能性も十分にあります。

しかし、しっかりポイントをおさえて栽培を行えば、予想以上に簡単にスイカを実らせ自宅で楽しむことも可能です。プランターなどでも栽培しやすい小玉スイカなどもありますし、肥料なども定番のものを適度なタイミングで与え、あとは摘芯から受粉まで一つ一つの過程を怠らずに行えば、スイカを家族皆で頬張る日はそう遠くありません。

スイカの育て方を知る上でまずチェックしておきたいのは種まきの時期ですが、スイカの種まきの時期は3〜4月とされています。畑などでスイカを栽培する際には大量に種まきするケースもありますが、家の小さい面積で育てる場合には、少量の種を効率よく蒔くのがおすすめとなります。しかし、ベランダ栽培では苗植えから行うことも多いです。

マンションのベランダなどの小さな面積でスイカを栽培する場合には市販の苗を買ってそこから育てるというのが初心者向けだと言われていますが、苗植えに適している時期は4月の下旬から6月上旬だとされています。これにはその年の気候なども関係していますが、初心者の人は5月の上旬〜中旬の間に植え付けを終えるのが望ましいでしょう。

そして後述する育て方のコツを守り順調にスイカが成長していけば、7月中旬〜8月下旬までにはスイカを収穫できる可能性が高いでしょう。尚、スイカを育てるのに適した気温は23〜30度だとされており、霜が当たると枯れてしまうようです。一方で暖地であれば7月中に美味しいスイカを楽しめることも多いので、適切な手順で栽培しましょう。

スイカの育て方はポイントをおさえれば案外簡単ですが、初心者の人にとっては種から育てるのはなかなか難しいかもしれません。そのような場合には種まきからではなくホームセンターなどで購入した苗から育てるのがおすすめであり、マンションやアパートなどに住んでいる人でもプランターを使ってベランダで育てることも可能です。

プランターを使ったスイカの栽培は、育てるスイカのサイズによっても適したプランターは異なるものです。しかし、初心者の人は60cm以上の大型で深めのプランターを使用するのがおすすめとなります。プランターの代わりに大きめの植木鉢を使うのもアリですが、重要なのは一つのプランターに一株のスイカを栽培して育てることです。

狭い空間でもできるだけ多くのスイカを収穫したいと思って一つのプランターに何株ものを植えてしまうと、結果として収穫できるスイカの数は逆に減ってしまいますし、美味しいスイカを作ることが難しくなるので注意が必要です。庭や畑がない人でも、プランターをうまく使って苗植えからスイカの栽培を楽しんで行っていきましょう。

スイカを育てる上で初心者にとって第一の関門となるのは、やはり種まき・苗植えです。初心者の場合は種まきから行うのは難易度が高いため、市販の苗を買ってプランターに植え付けるのがおすすめとなります。まずホームセンターなどでスイカの苗を選ぶ際には、本葉が4枚以上で濃い緑色をしたもので茎が太いものだと理想的だと言えます。

また、初心者の人は接ぎ木苗を使用すると、連作障害や害虫などの被害を被りづらくなるのでそちらもおすすめだと言えます。適切な苗を選んだら、大きめのプランターに培養土を入れて苗植えの時期を待ちます。培養土は赤玉土・腐葉土・バーミキュライトを混ぜたものが望ましく、苗植えを行う2週間前までには土作りを完了させましょう。

プランターに入れる培養土の量は、8分目ほどを目安とします。その上で苗植えは晴天の日の気温が上がった時間帯に行い、子葉が隠れない程度の浅植えにします。植え付け時に根を傷めてしまうと生育に影響が出るので、ポットから苗を取り出すときには細心の注意を払い、植え付けたあとはホットキャップをかぶせて保温をしましょう。

スイカを育てる上ではやはり水やりが重要になりますが、まず最も基本的なこととして覚えておきたいのは、スイカは水をやりすぎない方が甘くなるため望ましいということです。日照りがかなり続くといったケースは別ですが、そうでない場合には降雨のみでも十分に育ちます。そのため、水をやりすぎないように十分に注意したいものです。

ベランダでスイカを育てる場合でも、土の色が白くなったら水やりをするということを習慣づけておくだけで十分だと言えます。ただし、植え付け直後だけはたっぷりとスイカの苗に水を与えることが重要なようです。また、花が開いてからは3日に1度ほどの頻度を基本としながら、やや乾燥気味に育てるのが望ましいと言えそうです。

また、収穫の10日前ほどはかなり水やりを控えて乾燥気味に育てるのが望ましいです。こうすることで果実の水分量を減少させることができるため、甘い美味しいスイカができやすいのです。スイカ栽培の初心者ほど水やりを頻繁にやりがちな傾向にありますが、乾燥気味というのを基本とした方が美味しいスイカはできやすいので覚えておきましょう。

続いてスイカの育て方に関して知っておきたいのは、肥料についてです。お伝えした通りスイカを栽培するための土は市販の培養土でも十分ですが、自分で肥料をブレンドする場合には赤玉土・腐葉土・バーミキュライト・石灰・化学肥料を混ぜたものを使用し、この土作りは苗植えの2週間前までには必ず済ませておくことが重要です。

また、スイカの追肥に関しては、そこまで頻度高く行う必要はありません。プランターでスイカを育てている場合に追肥は2回となり、つるがだいぶ伸びてきてはじめの結実が確認できる前に1回、果実がある程度大きくなったときに1回というのが望ましいです。果実がソフトボール大になった頃に追肥するのが適切なタイミングだと言えます。

1株あたりの追肥の量は大さじ一杯ほどで化学肥料を与えるのが望ましいでしょう。株元から60cmほど離れた場所に追肥するのがよいため、株元にあまり近い位置に肥料をまくのは避けましょう。スイカの栽培においては追肥を行い過ぎる必要はありませんから、一株ごとに適切な量の肥料を与えていき、美味しいスイカを育てていきましょう。

スイカを育てていく上で鬼門となるのが、摘芯です。スイカは雌花に花粉がつくことで結実しますが、雌花は子弦・孫弦につく傾向が高いため、本葉の枚数もチェックしながら摘芯することが重要です。本葉の枚数が6〜8枚以上になる前には、3〜4本の威勢の良い子弦を残して他を摘み取り、親弦の頂点も指でつまみ取ってしまいましょう。

本葉が6〜8枚ほどになるのは5月中旬〜6月上旬頃だとされていますから、この時期に摘芯をするのが望ましいと言えます。また、プランターを使って元気な子弦を3〜4本ほど支柱に誘引し、他の子弦は剪定してしまうのがよいです。初めてスイカを栽培する上ではこの摘芯の作業が鬼門となりますが、タイミングを見計らい落ち着いて行いましょう。

また、整枝に関しても孫弦は基本的に切り落としてしまうというスタンスで問題ないと言えます。スイカの苗植えを無事終えて、適度な頻度で水やりと肥料やりを行っていればすくすくとスイカが育っていく様子をみるのは楽しいと思いますが、この摘芯・整枝などの作業も面倒がらずに着実に行い、美味しいスイカを育て上げましょう。

スイカの受粉は風によって自然に行われることも多いですが、風通しの悪いベランダなどでプランターでスイカを育てている場合には、人工授粉を無理なく行うのも望ましいと言えます。人工授粉することでスイカの実がなる確率をかなり上げることができるので、初心者でも一年目から美味しいスイカを食べたい場合には人工授粉が望ましいです。

人工授粉を行う時期としては6月中が望ましいようです。人工授粉の方法は至極シンプルであり、雄花を雌花にこすりつけることで受粉がなされるので、初心者でもかなり簡単だと言えるでしょう。雌花は花の付け根あたりが膨らんでいるという特徴がありますが、雄花はそのような特徴がないので、その違いを比較して的確に人工授粉をしましょう。

雄花の花弁を切り取って指でもち、雌花の柱頭に雄花をこすりつけることで人工授粉は行われます。畑などでスイカを多数育てている場合には別株同士の雄花の花粉を雌花に人工授粉するのが望ましいとされていますが、人工授粉を終えたあとは受粉させた日をメモしておくと、結実・収穫までのマネジメントが楽になるのでおすすめです。

スイカの育て方のポイントとしては、玉直しも忘れるわけにはいきません。玉直しは果実の形を整えるために行う作業であり、まずは果実がソフトボール大になった頃合いを見計らって雌花が付いていた部分を下に向けるようにします。その上でスイカの実の下に発泡スチロールなどを敷いて、健康的な実を収穫するための玉直しを行いましょう。

果実がソフトボール大になった頃には同時に追肥も行うのが望ましいので忘れないようにしたいものですが、収穫前には果実の色が異なる部分に日光が当たるように玉直しを行いましょう。これは収穫の1週間〜10日前までに行うのが望ましく、果実全体が同じような色になるようにし、味もスイカ全体ができるだけ均一な甘みになるようにします。

また、プランター栽培の場合には、スイカの実がソフトボール大にまで成長した頃に果実を支柱に吊り下げるのもポイントとなります。これはスイカの実が垂れ下がらないようにするために行う作業ですが、プランター栽培のスイカも収穫の1週間ほど前には果実全体が満遍なく綺麗な色になるように、日光の当たる場所を調節しましょう。

ここまで種まきから玉直しまでスイカの育て方の重要なポイントを順を追ってみてきましたが、いよいよ収穫というときには数ヶ月かけて愛情を込めて行ってきたスイカ栽培のクライマックスともいうべき瞬間でしょう。そんな収穫の前にはまず、1本の弦に対して2個以上の果実がついた場合に悪いものを摘み取ることなども重要です。

また、スイカを収穫するのはタイミングが非常に重要となりますが、収穫時期は大玉スイカ・小玉スイカによっても異なります。大玉スイカの場合には受粉から約45日、小玉スイカの場合には約35日というのを目安にするとよいでしょう。収穫をする際には、スイカの果実の柄の部分をハサミで切り取り、いよいよ食卓にお披露目となります。

また、収穫タイミングの他の目安としては節の巻ひげが茶色くなって枯れてきた頃や、果実を叩いてみてボンボンと濁った音がするようになった頃、あるいは花落ちのへこみが深くなってきた頃なども目安となります。受粉からの日数に加えてこれらのポイントも収穫タイミングの目安として参考にし、ぜひ熟したスイカを堪能しましょう。

ここまでスイカの育て方を種まきから収穫まで、重要なポイントを詳しくお伝えしてきました。スイカの育て方は摘芯や追肥などの忘れてはならない作業を適切なタイミングで行うことで初心者でも一年目から美味しいスイカを実らせることも可能ですが、スイカは天候や湿度などに左右されやすいため、そのこともしっかりと把握しておきましょう。

スイカが苦手とする環境は高温多湿であり、スイカは雨に当たりすぎてしまうと病気になりやすくなったり果実のつき方に影響が出たりするので、雨の当たらない場所で育ててタイミングを見計らって水やりをするというのもアリです。特に梅雨の時期は注意が必要ですが、水はけがよく日当たりのよい環境でこそスイカは甘く育ちます。

そのため、スイカが美味しく実るためには高音・乾燥・強光という三要素が必要になることを頭に入れておくとよいでしょう。既述の通りスイカの適切な生育温度は23〜30度となっており、12度以下になってしまうと生育がストップしてしまうほか、霜が当たってしまっても枯れる可能性があるので、十分に注意してスイカを育てましょう。

スイカを育てる上での注意点としては、害虫も挙げられます。スイカは連作障害を引き起こしやすいウリ科の植物であり、同じ場所で栽培する場合には5年以上の期間を空ける必要があるとされています。ベランダのプランターで育てる場合にも同じ土で二年連続美味しいスイカを育てることは難しく、連作によって害虫の可能性は高まってしまいます。

スイカが被る可能性の高い害虫被害としては、うどんこ病やウリハムシ、ウリノメイガなどが挙げられます。うどんこ病は、うどんの粉をまぶしたようにスイカの葉や茎が白くなってしまう病気であり、カビが原因となっています。高温の時期に被りやすい害虫被害ですが、この病気にかかると栄養分を奪われてしまうので注意が必要です。

また、ウリハムシというオレンジ色の虫はスイカの葉や果実を食べてしまうことで知られており、農薬に耐性を持っている可能性もあるので手作業での駆除が必要となります。また、ウリノメイガはスイカの株を食べてしまう可能性のある蛾であり、幼虫・成虫ともに注意が必要ですが、その被害を防ぐためには防虫ネットなども効果的です。

スイカの育て方を実践していく上では、既述の通り高温多湿や害虫などにも十分に注意したいですが、もう一つ注意しておきたいこととしては、スイカの連作障害が挙げられます。連作障害は連作を行う中で成長不良などに見舞われる現象ですが、ウリ科の植物には特によく見受けられるため、スイカを栽培する上でも細心の注意を払いましょう。

連作障害は畑の同じ箇所や同じプランターなどで同じ科の植物を育てたときに起こりやすく、ウリ科はその対象となりやすいデメリットがあります。連作障害になると、科特有の病気などにかかりやすくなり、それによってうまく結実しないなどの成長不良に陥ります。そのため、連作は避けて輪作にするのがスイカを毎年楽しむポイントです。

スイカだけでなく同じウリ科の野菜としてキュウリなどを家庭菜園で楽しむ人は多いですが、キュウリなどを育てた後に今度はスイカにチャレンジしようというときは、特に注意が必要だと言えるでしょう。スイカは連作障害を避けるために必要な期間が5年ほどだと言われていますから、長くスイカ栽培を楽しむにはこの点も考慮しましょう。

ここまで種まきから収穫までスイカの育て方に関する重要なポイントを具体的にチェックしてきました。スイカの育て方はプランターを活用したものであれば初心者でも案外簡単ですが、各ポイントをしっかりとおさえて栽培を行うことが重要です。そんな自分で育てたスイカは、なんと言っても収穫して食べるときがなによりの楽しみでしょう。

多湿を得意としないスイカは水やりを控えめにした方が甘くなるという傾向もありますが、初心者の場合はなかなかスイカが甘くならないこともあるでしょう。それでも初めてであればスイカを収穫できただけで喜びも大きいものですが、あまりにも甘くない場合にはガムシロップとレモン汁を加え撹拌してスムージーのように楽しむのもアリです。

夏の風物詩として多くの日本人に親しまれているスイカはβカロテンやシトルリンなどの栄養素を豊富に含んでおり、夏バテ解消にもってこいの野菜だと言われています。そんなスイカは自分で育てたからにはぜひ自分で楽しみたいですが、スパイスをかけたりサラダやケーキ類にしたりするなど、アレンジ方法は案外豊富なのでそちらも試しましょう。

今回は、気になるスイカの育て方のコツや栽培方法について具体的にみてきましたが、いかがでしたでしょうか？スイカの種まきの時期は3〜4月となっていますが、初心者の場合は市販の苗を買って育てるのがおすすめであり、もしあまり広いスペースが確保できないようであればプランターでスイカを育てることも不可能ではないようです。

スイカは夏になると無性に食べたくなるものですが、自分で愛情を込めて育てたスイカは格別の味わいでしょう。子供の自由研究などで観察を兼ねてスイカを栽培するのも面白いですし、実ったスイカを子供とシェアできるのは嬉しいものです。ぜひ初心者でも今回紹介した栽培法を参考に、スイカを楽しみながら育ててみてください。