2019年09月07日公開
2024年09月25日更新
メンマの原料は竹・たけのこ・割り箸の内どれ?気になる材料を解説
ラーメンやおつまみ等に使われるメンマの原料を徹底究明します。この記事ではメンマの原料は割り箸だと言うネットの噂の真相を解明。メンマの原料のたけのこ、そしてその竹について説明とメンマが実際に出来るまでを一つずつ解説していきます。
メンマの原料が割り箸というのは間違い
メンマの原料を知っていますか?ラーメンの上に乗っていたり、コンビニエンスストアやスーパーでおつまみとして売られているメンマです。メンマの原料を知っている人は少ないでしょう。
ネットではメンマの原料が割り箸だと噂され、未だにジョークで「メンマの原料は割り箸だ」と言う方がいるほどです。この記事では噂の検証からメンマの原料、乾燥メンマの作り方や戻し方に至るまで詳しく解説していきます。
ネットで広まった噂
割り箸がメンマの原料という噂は間違いなく嘘です。割り箸はメンマの原料にはなりません。人間は木繊維の主な成分の一つである、セルロースを消化する酵素を持ち合わせていませんので、もし刻んで食べたとしても消化せずにそのまま体外に排出されます、味も人間にとって好ましいくはないので、割り箸は食用には成り得ません。
何故こんな噂が広がったのか、それはネットでのブログ記事が出回ったためです。初めはネタとしての嘘の情報でしたが、他の方がどんどん面白がってSNSで広めていくうちに、「メンマの原料が割り箸だ」と言う噂を本気で信じてしまう人が現れてしまいました。
噂はエープリルフールのジョーク!?
メンマの原料が割り箸だという噂が広まった原因の一つが、エイプリールフールのネタとして掲載された嘘レシピです。割り箸が原料のメンマの記事は、2007年4月1日にブロガーの高瀬克子さんによって書かれました。
割り箸が原料のメンマの作り方は、割り箸を1口大の大きさに切り、紹興酒に1晩漬け置き、火にかけ灰汁を抜きまた1晩おいておきます、そこから塩や醤油など色々な調味料で味付けした後、3日3晩火にかけ瓶に詰め1か月ほど冷暗所に置いてしんなりしたら完成、というものでした。
この記事は一見では本当にメンマがこう作られると思うほど精工に書かれており、記事の最後の「エイプリールフールのネタです」という文を見逃してしまえば、メンマの作り方を知らない人であれば、メンマの原料が割り箸だと信じてしまいそうなほどです。
この記事はメンマの本場中国でも話題になり、中国のネットでは「私たちが食べていたメンマの原料は割り箸だったのか」「割り箸でメンマを作ってみたんだがおいしくならない」と一時期ちょっとしたパニックになったそうです。実際にこのレシピで割り箸を調理しても割り箸は木ですので、食べることができません。
麻竹と呼ばれるたけのこを使用
本来のメンマの原料は麻竹と呼ばれる竹で、葉がとても大きく重いです。幹から垂直に生えた枝が、葉の重さによって垂れさがるのが、特徴です。7月から10月にかけて10cm~12cmぐらいに大きくなったたけのこを収穫して、乳酸発酵させ、加工した食品がメンマの正体です。
メンマの原料、麻竹は中国内で採れるので、今の日本のメンマの国内消費は99%中国からの輸入品になっています。日本でも、日本で取れる原料でメンマを作っているところはありますが、やはり中国と比べると圧倒的に数は少なくなっています。
昔は原産国が中国や台湾でしたので「支那竹」と呼ばれていましたが「支那」という単語に台湾政府が差別的であると抗議したため、今の日本ではほとんど使われることはありません。
メンマの語源は、支那竹という言葉が使えなくなったので、丸松物産株式会社の創業者である松村秋水さんが「ラーメンの上に乗せるマチク」を略しメンマという名前を作りました。
日本では戦後間もないころから中国からの輸入でメンマはあったのですが、その知名度が上がったのは1968年に桃屋から発売された「味付けメンマ」でした。
麻竹の原産は東南アジア
麻竹は何処で取れるのでしょうか?それは麻竹の原産は南アジアのミャンマーだといわれています。今では主に東南アジアの亜熱帯地域、特に中国や台湾で多く栽培されています。
麻竹と日本のたけのことの違い
竹は世界で600~1200種もの種類があるといわれており、大きく温帯性竹類、亜熱帯性竹類、熱帯性竹類という種類があります。麻竹はこの多くの竹の種類の中の一つで、亜熱帯生竹類に分類されます。
なお日本で食用として使われる竹の種類は、孟宗竹(モウソウチク)や真竹(マタケ)ですが、これは温帯性竹類に分類されます。
日本のたけのこが柔らかいのは、まだ土の中の若いたけのこを収穫するからです。ですが、麻竹のたけのこは、少し大きくなっても鎌で切りとれるほどの柔らかさがあり、質感も全く違います。
原料のたけのこからメンマが作られるまで
輪切りにしてボイルする
ここからは、実際にたけのこからメンマができるまでの流れを紹介します。まず、原料のたけのこの皮を剥き、食べることができない固い節の所を切り落とします。
次に、灰汁をとるために60分~90分ほどボイルします。たけのこの灰汁はとてもえぐみが強く、下処理がなければとても食べることができません。ボイルしたたけのこを食べても灰汁が十分に抜けておらず、食品としてはまだ食べられません。
発酵して乾燥させる
次の段階ではたけのこを発酵させます。発酵用の樽に敷き詰め重しを置き放置、一か月以上かけて十分に発酵させます。たけのこに含まれる、天然甘味と酸味が、発酵中にその相互作用と自然変化を起こし完全殺菌されるので、腐ることがなく発酵されます。
発酵後から3日~4日程度天日で乾燥させ水分を抜くと、保存がしやすくなり、更にうまみ成分が凝縮されます。乾燥すると曲げれば、ふにゃりと曲がるぐらいの硬さとなりますので、これをカットし成形します。これで乾燥メンマの完成です。
ここまで来るのに数か月かかります。乾燥状態ですと、メンマは常温で1年、冷蔵庫などに入れておくと2年は腐らずおいしくいただけます。
昔の中国は今ほど食品の保存技術や配達速度がありませんでした。なので食材を長く持たせるため乾燥や発酵などでの保存食品の技術が特に発達しました。有名な物ではフカヒレやツバメの巣、ザーサイなどです。
メンマもまた同じで長期保存するために、収穫後蒸し、塩漬けにして発酵させた後、細かく割いて天日で干して長く保存できるようにしたのです。
水に戻してできあがり
乾燥メンマの戻し方についてです。中国の他の乾物にも言われることですが、乾物を戻すのは時間と手間暇がすごくかかります。手間をかけた分だけおいしくなるので、根気強く食材と向き合うことが大切です。
①乾燥メンマを水に浸す
乾燥メンマを10倍の量の水に1日浸します。メンマは乾燥して小さくなっていますので、目安としては最終的に、乾燥メンマは10倍ほどの重量まで戻ります。
②1回目のボイルをする
1回目のボイルをします。水を入れ替えて、常温の状態から茹でていきます。沸騰したら火を弱め、1時間ほど煮込んで火を消しそのままお湯が常温に冷めるまで待ちます。ここでのメンマの戻り具合は、原料の乾燥メンマの重量から約3〜4倍といった所になります。
③2回目のボイルをする
2回目のボイルをします。1回目と同じように水から煮ていきますが、できるだけ多くの水で煮たほうが戻りやすくなります。目安としては、原料の乾燥メンマの20倍ほどです。これもまた沸騰したら弱火にして、1時間ほど煮込んでいきます。
煮込んだものをそのまま一晩放置します。放置するとメンマが水を吸い、原料の乾燥メンマの約6倍の重量となります。
④メンマを流水して完成
これで最後です。一晩放置したメンマを流水につけ灰汁抜きをします。ここでメンマの硬さを決めます。メンマをしっかり戻すために、できれば1日流水につけておきます。仕上がりで原料の乾燥メンマより10倍の重さになれば完成です。
ここから味のついてないメンマを原料とし、醤油やお酒で味付けして、パックや缶詰に詰められたものが私たちの手元に届き、ラーメンの具材やおつまみとして食べられるメンマになります。あのスーパーなどでよく見るメンマは実はすごい手間暇がかかっているのです。
メンマの原料は間違いなくたけのこ!
メンマの原料は割り箸ではなくたけのこでした。ラーメンに載っていたり、お酒のおつまみとして食べるメンマには、長い歴史と人の食に対する努力、作る手間暇がかかっていました。今後メンマを食べる際には、これらのことに思いを馳せながら食べてみるのもいいかもしれません。