ブリアサヴァランというチーズの特徴!おすすめの食べ方・ワインを紹介
ブリアサヴァランというチーズを知っていますか?本格的なチーズは苦手という人でもクリームチーズのような食べやすい味わいの中にしっかりとした素材の味を感じられ、チーズ初心者から上級者までさまざまな人におすすめできるチーズです。ブリアサヴァランは料理からデザートまでアレンジして使うことができます。おすすめの食べ方や合わせるワインを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ブリアサヴァランとは?
フランスの有名な美食家の名前にちなんで命名されたというチーズのブリアサヴァランはそれほど長い歴史を持つわけではありません。しかし、今では世界中で名前が知られるようにまで有名なチーズになりました。まるで甘味を控えたチーズケーキのような味わいがあり、幅広いファンを持つチーズです。
ブリアサヴァランと名の付くチーズは実は2種類あります。フレッシュタイプのものはブリアサヴァラン・フレと呼びます。このフレに熟成を施したのがブリアサヴァラン・アフィネと呼ばれています。
トリプルクリームのチーズ
ブリアサヴァランは、クリームを加えて濃厚にしたチーズの中で、最も古くから存在するトリプルクリームのチーズです。脂肪分が75%以上で、トリプルクリームだからこその味わいはとてもリッチです。ちなみに、バターの脂肪分は82%~、カマンベールは45%~です。
ブリアサヴァランは、非熟成状態で外皮はありませんが、表面は白く水気があります。その後滑らかで白くやや厚い綿毛様のカビに覆われ、中身は濃密であるが湿り気が多く、バターのようにクリーミーです。
名前の由来
18世紀の有名な美食家、ジャン・アンテルム・ブリア・サヴァランの名にちなんで命名されたチーズと言われています。そして、このチーズにブリアサヴァランと名付けたのは、また別の人なのです。
パリでチーズ商を営んでいたアンリ・アンドルーエ氏がエクセルシオールというチーズに脂肪分をプラスして味を整えました。そして、ブリアサヴァランという美食家の名を商品名にし、1930年に発売しました。
フランスの政治家で食通
ジャン・アンテルム・ブリア・サヴァランは、法律家で政治家でもありました。才能豊かで、世界に名の通った食通として有名な人でした。ブリアサヴァランを愛し、「チーズがない食事は、片目のない美女のようだ」と言い残しています。
食事を学問としてとらえたブリアサヴァランは、現代においても語り継がれる美味礼讃という書籍を執筆しました。今でも、世界のグルメ史を通しても重要な人として位置づけられています。
味の特徴
ブリアサヴァランは、牛乳にクリームを添加して作られています。ですので、クリーミーでとてもリッチな味わいだということです。チーズならではの優しい旨味もあり、心地よい酸味が爽やかさも感じさせてくれます。とにかくバランスのいい味わいのチーズなので、どんな料理とも相性の良いチーズです。
産地と製法
まず、温めたミルクにクリームとレンネット(凝乳酵素)を加えます。カゼイン(主なたんぱく質)が凝固した物(凝乳)からホエイ(乳清)を除去したものをカードといいます。そのカードを型に入れ、水分を抜くことでチーズを作ります。
産地はフランス、ノルマンディー地方やブルゴーニュ地方です。ノルマンディー地方はチーズ王国として名高く、ロアール川を越えると、広大な農地の先にあります。
フランスの最北西部で、牧草地や果樹園、穀物畑が広がるのどかな田園地帯です。メキシコ湾流の影響から年間を通して雨が降ります。そして、気温差が小さいため牧草の生育に適しています。そのため、バターやチーズの加工が盛んに行われています。
ブリアサヴァランのおすすめの食べ方
このチーズはクリーム由来のリッチな風味にほのかな塩気があります。そして乳酸菌由来の酸味が加わって、繊細ながら分かりやすい美味しさを感じられるチーズとなっています。本格チーズにありがちな臭みや刺激はなく、デザートのように食べられるのが特徴です。ブリアサヴァランのおすすめの食べ方を紹介します。
切り方
ブリアサヴァランは非常に柔らかいチーズです。カットする際も力を入れずに、優しくナイフを入れましょう。包丁やナイフでも可能ですが、チーズ専用のナイフを使うのがベストです。
オメガナイフという中心に穴が開き、刃がのこぎり状になったナイフを使います。場合によってはスプーンなどですくうのもおすすめです。
はちみつやジャム・リキュールをかける
熟成を経ていないため単体で食べるには少し物足りなさもあります。そのため、カットしたブリアサヴァランにははちみつやジャム、リキュールを垂らしたり、フルーツを添えて食べるのがおすすめです。
イメージとしてはプレーンヨーグルトに味付けするのと同じです。こうすることでリッチなヨーグルトを食べているような感覚にもなります。チーズならではのコクとほのかな塩気がより複雑な味わいを生み出しています。
パンに塗って食べる
パンに塗って食べるのも最高に贅沢です。ブリアサヴァランに合わせるパンは、ほのかに酸味があって少しライ麦が入ったパン・ド・カンパーニュなどが相性が良いです。他のものと合わせるなら、食感と味の強さ、コクを揃えるのがポイントです。
ワインと合わせる
白ワインや甘口ワインとの相性は抜群です。特にスパークリングワインと合わせるのがおすすめです。爽やかなワインの味わいとチーズのコクが絶妙なマリアージュを生み出します。
ブリア・サヴァラン氏は美味礼賛の中で「普段何を食べているか言ってごらんなさい、そしてあなたがどんな人だか言ってみせましょう」「新しい星を発見するよりも新しい料理を発見する方が人間を幸せにするものだ」と書いています。
「チーズとワインの新しい美味しい組み合わせを発見する方が人生幸せだよ」とアドバイスをくれている様な表現も見受けられます。
ブリアサヴァランにおすすめのワイン
ブリアサヴァランは味わいはシンプルでおとなしく、例えるなら甘くないレアチーズケーキのようです。より美味しく味わうには、合わせるワインも含め、ちょっとした工夫が必要です。ここでは、おすすめのブリアサヴァランの食べ方と、それぞれと相性の良いワインを紹介します。
セミセコ・ロゼ
スペインが誇るスパークリングロゼワインです。カヴァのもつ心地よい泡立ちがチーズの口どけをさらにクリーミーに引き立てます。ロゼの赤いフルーツの香りがチーズのフレッシュさに溶け込むようにとても相性がいいです。
ルピヤック・ゴーディエ
さまざまなチーズに合う貴腐ワインです。そのままのブリアサヴァランと合わせるとワインが強すぎる印象です。そこで、フルーツコンポートに生クリーム感覚でブリアサヴァランを添えてみましょう。
貴腐ワインとフルーツが調和しつつ、ブリアサヴァランの乳脂肪分が味わいに膨らみを与えてくれます。それでいてブリアサヴァランの酸味がきいて余韻はさっぱりしています。
ボジョレーヌーボー2010
ジョルジュ・デュブッフ・ボジョレー2010はフレッシュでフルーティーな味わいです。クセのないクリーミーなブリアサヴァラン・アフィネと抜群の相性です。チーズの濃厚さに溶け込むワインの果実味は、まるで濃厚なチーズケーキにチェリーのソースが添えられたデザートのようです。
クローズ・エルミタージュ
思いっ切ってブリアサヴァランに黒コショウをかけてみましょう。驚く方もいるかもしれませんが、白カビまたは淡白なチーズと黒コショウはとても相性が良いのでおすすめです。黒コショウが味の接点となり、シラー主体のスパイシーな赤ワインとよく合います。
コノスル・ゲビュルツトラミネール・レゼルヴァ
黒コショウと同様に、白コショウをかけるのもおすすめです。この場合、白コショウやクミンなどの香りがあるゲビュルツトラミネールを合わせましょう。スパイシーな香りが調和し、ゲビュルツのほのかな甘みが、ブリアサヴァランの生クリーム感を引き立てます。塩を一振りすると、甘みとスパイス感がいっそう際立つのでおすすめです。
ブリアサヴァランの保存方法と賞味期限
作り手の情熱で大切に作られたチーズを、美味しく楽しんで食べるには、温度と湿度の管理が大切です。基本的な環境条件は、10℃以下の温度で暗く、適度な湿気であることです。さらにチーズのタイプによって適切な条件が異なります。状態の良いチーズを選んだり、家庭用冷蔵庫で保存する際、ぜひ参考にしてください。
保存を前提としていない
本格的なカビ系チーズは保存食の側面も持っています。しっかりと保管していれば、そう簡単に食べられなくなることはありません。一方でブリアサヴァランを始めとするフレッシュチーズは、基本的に保存を前提にしていないため、なるべく早く食べきることが大切です。
保存する場合
ブリアサヴァラを保存する際には、コンテナ型の小さい保存容器に入れます。そして、野菜室で保存するのが良いでしょう。他のチーズと違って、フレッシュチーズは水気も強いです。ラップで包む場合は定期的に取り換えて、水気がたまらないように気を付ける必要があります。
賞味期限
ブリアサヴァランのようなフレッシュチーズは、保存に適していません。ですので、賞味期限は10日前後となっています。開けたらなるべく早めに食べきることが大切です。
ブリアサヴァランはまるで極上のチーズケーキ
ブリアサヴァランは、濃厚な舌触りとクセのない食べやすさ、それでいて確かにチーズの味を感じられます。もはやレアチーズケーキなんていらない、完成された究極のレアチーズケーキと言っても過言ではありません。食事のお供に、デザートやおやつやお酒のお供に。ぜひ美食家の名のついたチーズを味わってみてはいかがでしょうか?