こんにゃく芋は毒があって生食は危険?グルコマンナンやシュウ酸の毒性を解説
こんにゃく芋は主にこんにゃくとして食べる芋で、煮物や鍋物などに欠かせない食材です。こんにゃく芋には毒があり、生では食べられないことを知っていますか?こんにゃく芋にはシュウ酸カルシウムという毒があります。シュウ酸カルシウムの毒性と毒を取り除く方法について紹介します。また、こんにゃく芋にはグルコマンナンが多く含まれていますが大量に摂取すると危険があることもわかっています。毒性があるのになぜこんにゃく芋を食べるのか、こんにゃく芋を食べるメリットについても紹介します。
こんにゃく芋の毒を知らずに生で食べると危険
生のこんにゃく芋には素手で触るのも危険なほど強い毒性があるため、そのままでは売られていません。こんにゃく芋は生では食べられない危険な食材です。こんにゃく芋にはどのような毒が含まれているのか、またどのように毒性を無くして加工しているのか紹介します。
また、危険な毒性があるのになぜ手間ひまをかけて解毒してまでこんにゃく芋を食べるのでしょうか?こんにゃく芋には毒もありますが様々なメリットもある食物です。こんにゃく芋を食べるメリットについても紹介します。
こんにゃく芋の危険な毒
こんにゃく芋の生では食べられないほどの危険な毒とはどのようなものなのでしょうか?こんにゃく芋に含まれる毒性のある成分について紹介します。また、それらが含まれる食品についても紹介します。
シュウ酸カルシウム
生のこんにゃく芋に含まれる毒はシュウ酸カルシウムというものです。シュウ酸カルシウムは劇薬に指定されている危険な成分です。少量が粘膜や皮膚に触れるだけでかゆみやヒリヒリとした痛みが出ます。そのためこんにゃく芋を栽培するときはゴム手袋を着用します。
身体への悪影響
シュウ酸カルシウムは少量を摂取しただけでも、激しい灼熱感で喉が腫れ呼吸困難になります。量が多い場合は肝臓や腎臓に深刻な障害をもたらし、場合によっては昏睡状態や死に至る危険があります。
また、弱い毒性のシュウ酸であっても通常より多めの量を摂取することや体質などにより、腎臓・尿管・膀胱・尿道に結石をもたらすことがあります。尿結石は激しい痛みを伴う病気でシュウ酸カルシウムはその原因の一つです。シュウ酸カルシウムは人体で代謝できない成分ですので取り過ぎには注意が必要です。
軽いところでは山芋をすりおろすときに手がかゆくなるのもシュウ酸カルシウムの影響です。また、パイナップルを食べたときに喉や舌がイガイガするのもシュウ酸カルシウムが原因です。
シュウ酸が含まれる食品
シュウ酸はシュウ酸カルシウムの形で多くの植物に含まれています。生のこんにゃく芋の他にシュウ酸カルシウムが多く含まれる食物は山芋・里芋・筍・タロイモ・未成熟のパイナップルなどです。また、日本ではあまりポピュラーな野菜ではありませんがルバーブの葉にも含まれています。
量は少ないですがほうれん草にも含まれています。微量ですが、トマト・じゃがいも・オレンジ・コーヒー・ミックスナッツ・シリアルなどの中にもシュウ酸は含まれています。朝食に毎日コーヒーやシリアルなどを摂る方は摂取量に気を付けた方がよさそうです。
シュウ酸は水に溶けますので、ほうれん草を食べるときは水に15分程度さらすか、半分に切り茎を入れて熱湯で30秒、葉の部分を加えてさらに30秒ほどゆでるとシュウ酸をだいたい取り除くことができます。あまり長くゆでると水溶性のビタミンも流出してしまいますので注意してください。
グルコマンナン
こんにゃく芋にはグルコマンナンという成分が含まれています。グルコマンナンという言葉はこんにゃくゼリーで有名ですので聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?グルコマンナンとはグルコースとマンノースが結び付いた多糖類で水溶性食物繊維になります。
グルコマンナンは便秘解消や血糖値やコレステロール値のコントロール・中性脂肪の数値の改善に有効だと言われており、ダイエット食品としても人気ですが、身体に悪影響もあるので注意が必要です。
身体への悪影響
グルコマンナンは人の体内の消化酵素で消化されず身体の中で水分を吸って膨れるため、満腹感を得られることからご飯に混ぜる粒状のこんにゃくやダイエット中のおやつとしてこんにゃくゼリーなどが人気です。ですが、摂りすぎると身体に悪影響があります。
グルコマンナンは便秘解消に効果があるとされていますが、体内で消化されないため摂りすぎると腸に詰まり腸閉塞になる危険があります。
グルコマンナンは元々水溶性ですが、こんにゃくは凝固剤を使っているため不溶性に変化します。不溶性食物繊維に変化した場合腸に詰まりやすくなるので注意が必要です。こんにゃくゼリーの中には凝固剤を使用していないものもあります。
また、グルコマンナンは脂肪の吸収を抑えるとされていますが、必要なビタミン類などの栄養素の吸収も阻害するため摂取には注意が必要です。1日当たりのこんにゃくの適正摂取量は250g(こんにゃく約1枚分)までとされていますので、ダイエット中の方は過度なこんにゃくの摂取には注意しましょう。
グルコマンナンが含まれる食品
グルコマンナンは主にこんにゃく芋に含まれています。こんにゃく芋はこんにゃくやこんにゃくゼリー・こんにゃく米・グルコマンナン入りのパスタ・グルコマンナンの錠剤や顆粒などの健康食品に加工されて販売されています。
こんにゃく芋の毒を解毒する方法
こんにゃく芋には毒があることがわかりましたがこんにゃく芋の毒はどのように解毒するのでしょうか?こんにゃく芋の毒を解毒する方法を紹介します。
水酸化カルシウムと混ぜる
こんにゃく芋の毒性を消すためにこんにゃくを作るときに水酸化カルシウムを使います。水酸化カルシウムは凝固剤としての役割も果たしています。皮をむいて切ったりすりおろしたりしてお湯と一緒に何回もフードプロセッサーにかけたこんにゃく芋にぬるま湯で溶かした水酸化カルシウムを混ぜます。
貝殻焼成カルシウム
こんにゃく芋の毒性を消すために、貝焼成カルシウムを使うこともあります。また、水酸化カルシウムと混ぜて使う場合もあります。水酸化カルシウムと同じように凝固剤としての役割もあります。
完全に取り除くのは不可能
こんにゃく芋の毒性を消すためにこんにゃくの製造工程で水酸化カルシウムや貝焼成カルシウムを使用し熱湯で加熱処理されますが、完全に取り除かれるわけではありません。刺身用のこんにゃく以外は調理する前に2~3分下茹でして、アクの元であるシュウ酸カルシウムを取り除いて使用しましょう。
こんにゃく芋を食べるメリット
こんにゃく芋は毒があり摂りすぎると身体に悪影響もある上に栽培するのに3年もかかる大変難しい作物です。このような毒のあるこんにゃく芋を毒を取り除く手間ひまをかけて食べるのはどのようなメリットがあるのでしょうか?こんにゃく芋には適量を守れば健康によい様々なメリットがあります。こんにゃく芋を食べるメリットについて紹介します。
上手に食べれば便秘解消
こんにゃく芋は食物繊維が豊富な食材ですので、便秘解消に効果があります。ただしこんにゃく芋のグルコマンナンという多糖類は体内で消化されませんので、食べ過ぎると腸に詰まり便秘をかえって悪化させたりひどい場合は腸閉塞になる危険があります。便秘解消のためには適量を守って摂取しましょう。
低カロリー
こんにゃく芋を使った食品であるこんにゃくはほとんどが水分ですので非常に低カロリーな食品です。低カロリーに加えて胃でふくれて満腹感を得ることができる食品ですのでダイエットでカロリー制限中の方にもおすすめの食品です。また、こんにゃくは噛み応えがあるということもダイエット中の方に適した食品だと言えます。
ごはんに混ぜて食べる粒状のこんにゃくも人気です。ですが摂りすぎには注意が必要ですので、他の食品と組み合わせながら上手に摂取しましょう。
コレステロールを下げる
コレステロールは一定量は必要な成分ですが増えすぎると動脈硬化などを招きます。こんにゃく芋は低カロリーな食品ですので食生活を改善しコレステロール値を正常に戻すことに役立ちます。また、こんにゃく芋に含まれる食物繊維は余分なコレステロールを吸着し体外への排出を促します。
生活習慣病予防
生活習慣病は食生活や運動・飲酒などの生活習慣によって発症する病気で、糖尿病や高血圧・心臓病など命に関わる病気です。生活習慣病を予防するためには適度な運動や禁煙などの生活習慣の改善が必要です。その一つの要因である食生活の改善にこんにゃく芋は役立ちます。
こんにゃく芋は低糖質ですので血糖値の上昇を抑えることができ、カロリーの取りすぎを防ぐことであらゆる生活習慣病のリスクを減らすことができます。また、コレステロール値を正常に保つことができ、動脈硬化を防げることは心臓病や脳卒中のリスクも軽減することができます。
◆こんにゃく芋は毒の危険もあるがメリットも多い
こんにゃく芋には毒もあり、食べ過ぎると身体に害をもたらす可能性もありますが、健康によい様々なメリットも多い食物です。こんにゃく芋を使ったこんにゃくなどの食品はきちんと下処理を行い適量を守って摂取しましょう。