万能油ギーの使い方!ヘルシーなバターオイルの効果効能とは?
インドで伝統的な癒しの効果や効能があるとして、食べるだけでなくマッサージなどにも使われているオイルが「ギー」です。バターから不純物を取り除いたバターオイルで、美容や健康に高い効果が期待される油として注目されています。料理や飲み物に加えて、体に取り入れることで、脂肪を燃焼しやすくしてダイエットにも効果があるとされています。このギーの特徴や家庭での作り方、食べたり肌に塗ったりするときの注意点を調査しました。
ギーは万能オイル?その特徴とは?
ギーは、オリーブオイル、ココナッツオイルなどの体に良いと言われる油の中でも、「最高の油」とも言われる油です。このギーの油、バターオイルともいわれる特徴やバターとの違いを先ず紹介します。
ギーはインド伝統医学のバターオイル
「ギー」は、バターを溶かし余分なものを除いたピュアオイル、つまり不純物のないバターオイルです。ギーは、インドで誕生したもので、インドの伝統医学アーユルヴェーダでも用いられる油です。インドの人たちの暮らしの中では、食用としてだけでなく、特徴的なのは、病をいやす効果や健やかな暮らしのための効能があるものとして、生活に欠かせないバターオイルになっています。
ギーは不純物が含まれていない油で、抗酸化作用が高いということから、それ自身が腐ることがなく、長期保存が可能なという特徴があります。インドでは、100年以上前に精製されたギーがあり、香りや味わいだけでなく、ヒーリング効果も高いということで高価な価格で扱われてもいます。
ギーとバターの違いとは?
ギーとバターの大きな違いは、不純物が取り除かれているかどうかということです。インドでの作り方は、ギーの原料に、牛、水牛、ヤギのミルクを使い、そのミルクを沸騰させて煮沸殺菌した後に、乳酸発酵をさせます。こうしてできた無塩発酵バターのことを、インドでは「マカーン」といいます。このマカーンをじっくりと加熱して、溶けたものをろ過して不純物を取り除いたものがギーです。
ギーは、バターに含まれる水分、糖分、タンパク質が取り除かれているので、バターに比べて腐敗しにくく、高温になるインドであっても、常温保存や長期保存が可能なバターオイルという特徴があります。色は黄金色で、バターよりも香りが強く、バターよりも濃い味がして、バターよりもやわらかく、体温程度の温度で油状になり、少し冷えるとクリーム状になるという特徴もあります。
ギーは乳糖不耐性の人も大丈夫?
乳製品を食べると、お腹がゴロゴロしたり、下痢をしやすくなってしまう「乳糖不耐性」の人がいます。これは、乳製品に含まれる乳糖という糖質を分解する酵素が体内に少なく、日本人には多いともいわれています。赤ちゃんや子どもでも、乳製品を食べるとすぐに下痢をしてしまい、ミルクを飲んでもすぐに下痢をしてしまい、体重がなかなか増えない「乳糖不耐症」と診断される子どももいます。
ギーには、乳糖という糖質そのものも取り除かれた純粋な油分なので、乳糖不耐性の人、乳糖不耐症の子どもが食べても、問題ありません。バターオイルと効くと、乳製品を連想してしましますが、牛乳を口にすると、お腹がゴロゴロ鳴ってしまう、乳製品を食べると下痢気味になってしまうという人でも、ギーは口にしても大丈夫なバターオイルです。
ギーに期待できる優れた効果と効能
バターオイルのギーは万能な油といわれるように、食べてもよく、肌に塗ってもよいという特徴があります。このギーの優れた効果と効能で、主なものを紹介します。
ビタミンAとEによる若返り効果
ギーには、ビタミンAとビタミンEが含まれています。ビタミンAは、目や肌の健康を保つための重要な栄養素で、鼻やのどの粘膜も健康に保つ効果があります。肌だけでなく、髪の毛、爪などにも作用して、美しさを保つためには欠かせないものです。ビタミンEは、抗酸化作用が高いビタミンで、若返りのビタミンともいわれています。
ビタミンEは、生活習慣病の予防にも効能があり、アンチエイジングを求める人におすすめの栄養素です。ギーを食べることで、ビタミンA、ビタミンEを補うことができ、さらにインドでも使われているように、直接肌にギーを塗りマッサージすることで、美肌効果、肌の潤いを保つといった効能にも期待できます。
脂肪が溜まりにくいダイエット効果
ギーはバターオイルなので、脂肪になりそうですが、ビタミンA、ビタミンEの他に、中鎖脂肪酸、短鎖脂肪酸、共役リノール酸という栄養素が含まれています。中鎖脂肪酸は、消化酵素などを使わずに、すぐに小腸で分解吸収される特徴があります。消化機能に負担をかけずに、すぐに肝臓に運ばれ素早くエネルギーに代わります。そのため、脂肪として蓄積されにくい効能があり、内臓脂肪などを減らすダイエット効果もあります。
短鎖脂肪酸は、中鎖脂肪酸よりもさらに分解されにくく、脂肪として体内にとどまることがありません。また太って、体に貯まってしまった脂肪があった場合、共役リノール酸は、脂肪を分解し燃焼させる酵素に働きかけて、脂肪燃焼を促進してくれます。また、筋肉の成長にも役立ち、代謝を高めてくれるので、ダイエット効果が期待できるものです。ダイエットのために、ギーを取り入れるのは、健康的なことと言えます。
目の不調を改善する
ギーに含まれるビタミンAは、目の健康に関わる栄養素です。ギーを食べることで、眼精疲労などの改善の効果も期待できますが、ギーそのものを使って、インドでは目を洗うという特徴的な方法もとられています。ドライアイを解消する効果、目のアレルギー症状を緩和してくれる効能もあります。目が健康になることで、白目の部分をクリアに見せてくれる効能もあって、目の下のクマも改善されるということです。
傷を癒やす作用がある
バターに含まれるブチル酸という成分が豊富なギーは、免疫機能に働きかけるT細胞を増やしてくれます。T細胞は、体内でウイルスから体を守る免疫機能を高める作用と、炎症やキズ、アレルギーなどを抑えるという働きを持つ特徴があります。インドでは古くから万能薬として、消炎、鎮痛といった効果も知られていて、軽いやけどや傷にギーを塗ることで、回復を早めたり、傷跡を薄くしてくれるという効果もあります。
デトックス効果が期待できる
ギーを食べることで、ダイエット効果で脂肪を燃やすだけでなく、体内の血管、リンパなどにこびりついている毒素をはがれやすい状態にしてくれるデトックス効果もあります。血管やリンパの流れがスムーズになることで、全身の代謝や血流、エネルギーの流れがよくなるので、ダイエットにもつながり、不調の改善、肌の調子がよくなる、脂肪を燃焼しやすくするといった、デトックス効果もギーにはあります。
体をサビにくくする
ギーに含まれているビタミンEは抗酸化作用の高い栄養素で、体をサビにくくして、アンチエイジングにおすすめのものです。この他に、ギーに含まれているビタミンAと共役リノール酸にも、抗酸化作用があります。特に共役リノール酸は、体内で作られることがほとんどないので、ギーを食べて体内に取り入れることで、肌のハリを復活させてくれたり、血管を若々しく保つ効能を発揮してくれます。
ギーの活用方法はたくさんある!
ギーはバターオイルで、常温保存できますが、寒い場所では、バターまで固くはなくても、クリームのようになることもあります。加熱したり、温かいものにのせたり、体温を加えることで、すぐに溶けて、簡単に使うことができます。
カレーやスープ料理に加える
ギーはいつもの料理に少し加えて味わうことができます。カレーなら、野菜や肉を炒める時にギーで炒めても良いですし、カレーを煮込んで仕上げの時に少し加えると、濃厚なバターの香りを加えることもできます。同じように、スープ料理でもギーは活用できます。ギーは焦げにくいので、炒め物に使ったり、バターの風味を少し加えたいような、シチューなどに加えるだけでも、ダイエット向きな食事にもなるといえます。
お菓子作りのバターの代用
バターを使うお菓子で、ギーをバターの代用品として使えるものがあります。注意したいのは、ふっくらとさせたいスポンジケーキやパンなどには、ギーは不向きです。焼き菓子などの、タルト、クッキー、フィナンシェなどであれば、作り方でバターに代えてギーを使うと、香りがよりよくなります。いつも食べているパンに、バターを塗るのでなくギーを塗って食べるというのも、簡単にギーを食べられる方法です。
ホットミルクやコーヒーに入れる
ギーはそのまま温めた牛乳やコーヒーに加えて、飲むこともできます。ホットミルクであれば、200ccのミルクにティースプーン1杯くらいのギーを入れてかき混ぜるのがおすすめです。小腹がすいた時に、ギー入りのホットミルクを飲むと、空腹感を和らげてくれます。牛乳の代わりに豆乳に加える方法もあります。
コーヒーにギーそのものを加えても良いですが、ココナッツオイルとギーをあわせた、ココナッツ・ギーを合わせると甘い香りになります。インスタントでもドリップのコーヒーでも、砂糖やミルクをいれるのと同じように、ギーを少し加えて飲むだけで、ギーの栄養成分を口にすることができます。
マッサージに使う
ギーは口から食べて取り入れるだけでなく、肌に直接塗ってマッサージに使うこともできます。この時の注意点は、敏感肌などの人によっては肌が赤くなるなどもあるので、心配な場合は顔などに使う前に腕の内側などに少しギーを塗り込んでみて、半日ほどおいても赤くならないことを確かめてから使ってください。また粘膜に近い部分の場合、ギーではなく手が触れることで炎症等を起こすこともあるので注意してください。
ギーでマッサージにする時には、少量をとり顔や首筋によくのばして優しくマッサージします。その後、ティッシュなどで拭き取るか、軽く洗い流します。ここでの注意点は強くマッサージしたり、ゴシゴシとふきとらないということです。ギーの効能でやわらかくなった肌や、皮膚の下の細胞を力で痛めてしまうことになるので、優しくマッサージと軽く拭き取るということに注意してください。
インドでは、ギーの癒しの効能を活用して、ギーを手に取りクルクルと回すようにして体温で温め、そのギーをおでこに塗って眠るという方法もとっています。ギーの鎮静作用の働きで、ぐっすりと良眠になります。
目のケアに使う
インドでは、アーユルヴェーダのひとつで、ギーを使って、目を洗う方法があります。自宅でもできる方法もありますが、安易に行うと目を傷めることにもなるので、十分注意して行ってください。
ギーを使った目のケアをしてくれる専門のお店では、小麦粉と水で練ったものを目の周り防波堤のようにしておき、そこに温めたギーを流し入れてから、眼をあけて上下左右と瞳を動かすことで、眼球全体を洗います。こうすることで、ドライアイや花粉症などでかゆみのある目が沈静化されます。
自宅でこの方法をするのは、ギーの温度に注意する必要もあり、難しいので、手のひらで温めたギーを指先になじませて、優しくまぶたや目の下をマッサージしたり、気になる目の下のクマに塗りこむようにして、眠るのがおすすめです。
ギーのデメリットや注意点
バターオイルのギーのよい効果や期待できる効能がたくさんありますが、デメリットもあるので、食べたり、マッサージなどに取り入れるときには、注意も必要になります。
コスパがよくない
ギーは、健康や美容、ダイエットにも効果効能が期待できて、毎日の食事にとりいれたいところですが、バターよりも3倍くらいの値段で販売されています。ギーを作るのに、それだけの手間をかけていて、不純物を含まずにピュアなオイルなので、製造にも時間もコストもかかるので仕方ないのですが、コスパが良いものとはいいにくいです。多少高くても、健康や美容のための投資、サプリメントといった考えで取り入れたいものです。
食べ過ぎると太る原因に
ギーは1gあたり8~9kcalあり、大さじ1杯で100kcal以上になります。体に良いから、脂肪燃焼をさせてダイエットしたいからと、1日に大さじ3杯も食べていたのでは、カロリーオーバーになることもあります。どんな食べ物でもそうですが、食べ過ぎると太るように、ギーも食べ過ぎてしまうと逆効果になるのでダイエットでも注意して、1日に食べるギーの量は大さじ1杯くらいにしておくのがおすすめです。
ギーを自宅でもできる簡単な作り方
ギーはインドの家庭でも日常的に作られているように、自宅でも簡単にできる作り方があります。手軽にできる作り方を紹介します。
材料
高価なギーも市販されていますが、市販されているバターを使って、自宅でギーを作ることができます。美味しくて、良質なギーの作り方は、少し高いものでも良質なバターを用意して作るというのがポイントになります。
- 無塩バター(発酵無塩があればそちらがおすすめです)
- 鍋(アルミの鍋は使わないでください)
- キッチンペーパー(油分を濾すためのもので、清潔なガーゼでも可能です)
- ギーを保存するための耐熱容器(煮沸消毒しておきます)
作り方
- 無塩バターをざっくりと切って鍋に入れ、弱火にかけます。
- バターが溶けてフツフツと沸き、大きな泡になると水分とタンパク質が蒸発してきます。この状態で火を弱めたままで続けます。
- 大きな泡がなくなり、きめ細やかな泡になって30分ほど煮詰めていきます。
- 徐々に透明になって、茶色の沈殿物と黄金色の液体になったら、火を止めます。
- キッチンペーパーで、液体になったオイルを濾して、保存容器に入れます。
- 冷めたら蓋をして完成です。
作り方で気をつけたいのは、焦げ付かないように、木べらなどで頻繁にかき混ぜると、空気が入り、濁ってしまいます。作り方での注意点は、焦げないように火加減は弱くすることと、厚手の鍋を使ることです。手作りのギーは、雑菌に触れてしまう可能性もあるので、常温保存で2~3カ月で使い切るようにしてください。じっくりと時間はかかる作り方になりますが、料理やマッサージなどにも使えるバターオイルが出来上がります。
ギーは美容と健康にいい究極の油!
バターオイルであるギーの特徴や効能などを紹介しました。美容にも、健康にも、ダイエットにも効果が期待できるギーは、バターを使って自宅でも作れるものです。作り方を参考にして手作りギーや、市販のギーを取り入れて、健康や美容に役立ててください。