2018年12月20日公開
2024年08月25日更新
西洋わさび・本わさび・ホースラディッシュの違いとレシピを解説!
西洋わさびや本わさびにホースラディッシュ・・・特に最後のホースラディッシュといわれても、「何のこと?」と思われる方が多いかも知れません。わさび類なんて刺身や天ぷらにちょっと添える程度に使われる脇役的存在ですから、あまり関心が向かないというのもあるでしょう。しかしわさび類の世界は奥深く、調べてみると好奇心がくすぐられ、意外に楽しいものです。そこで、ここでは西洋わさび・本わさび・ホースラディッシュの違い、それぞれすりおろしたときどうなるか、またその効能や違いに応じたレシピなど、紹介したいと思います。
目次
西洋わさび・ホースラディッシュ・本わさびの違いをチェック!
ツンとした辛さで便利なわさび
わさびというのは刺身や天ぷらだけで使われるイメージがありますが、実はそういう使い方だけではありません。鼻にツンとする香りが何ともいえない新鮮さ、清々しさを醸し出すわさびというのは、意外にもけっこう幅広い料理に応用できるのです。具体的なレシピは後で紹介しますが、何かの料理にちょっと添えて使ったり、調理の際に混ぜて使ったりするだけなので、あれば便利なのがわさびというものです。
実は表記によって種類が違う!
わさびには西洋わさびや本わさび、ホースラディッシュという大きな種類の違い以外にも、その表記によりさらに細かい違いがあります。後で詳しく説明しますが、国産だけでなく外国産のわさびが配合されていたり、粉状のわさびをいったん水で溶いて練り上げた物であったり、食品添加物をたくさん混ぜ込んだものであったりと様々です。一番良いのはわさびを自分ですりおろし、なるべく添加物が使われていないわさびを買うことです。
西洋わさび・ホースラディッシュとは違う?本わさびの意味や効能
本わさびは日本原産のわさび
本わさびと表記のあるものは、日本が原産のわさびを使用しているという意味になります。わさびは漢字で書くと「山葵」となり、飛鳥時代や奈良時代にはその存在が知られ、「薬」として使用されていたようです。そして室町時代には食事に添える「薬味」としての利用が確立され、江戸時代には貴重な食材として、また徳川家の家紋である「葵」に通じることもあって、幕府の保護を受けながら栽培が続けられてきた歴史があるようです。
さらに詳しくいうと、本わさびというのは、後で紹介する西洋わさびと対比したときの、日本原産のわさびという意味になります。本わさびの「本」は日本の「本」だと思っておくと覚えやすいです。本わさびは静岡県や長野県などが主な生産地で、綺麗な水や湧水のある場所(沢わさび)、直射日光の少ない湿った林の中にある畑(畑わさび)で生産されています。採れたての本わさびは生産地以外の身近なスーパーでは入手しにくいです。
育毛効果があると話題に
本わさびには意外な効能として、「育毛効果」という面からも実は注目されています。本わさびの葉と根に含まれる成分が毛髪の根元部分にある細胞に刺激を与え、それが毛髪を伸ばす効能があると、ある育毛メーカーが発表したようです。育毛以外にも血管の拡張やがん細胞の抑制、記憶力の向上、新陳代謝の活発化など様々な効果効能があると、色々な大学の研究機関でも発表されているようです。実際の効能は試して確認しましょう。
生わさびと表記されてるものはミックス品!
本わさびの他に「生わさび」という表記もあります。これはわさびを生の状態でそのまますりおろしているということを強調する言葉です。先にも紹介した本わさびは日本原産を強調する言葉であることを踏まえると、生わさびには生ですりおろしたという意味があるだけで、日本原産であることを保証するものではありません。よって、西洋わさびやホースラディッシュの他、粉末わさびなどが含まれている可能性が高いということです。
ただし、くどいようですが、生わさびには日本原産以外のわさびが使用されているからといって、「本わさび」が良いのかということには単純になりません。本わさびにも「本わさび入り」とか「西洋わさびブレンド」といった表記があり、例え本わさびと書かれていても、他の原産地のわさびが混ざりこんでいるからです。それに多くのチューブ入りわさびには食品添加物が入っていますので、わさび本来の味を楽しむのは難しいです。
こだわりたい人は原産地近くの販売店か通販での購入を!
上記で見たように「本わさび」「生わさび」と表記されていても、本物の味とはいいにくいため、できるだけ本物にこだわりたい人は、原産地付近の販売所で購入するか、ネット通販の注文によって取り寄せましょう!ただ無添加といっても、チューブ商品にはわさび以外のものが入っていることはどうしても避けられないケースがあり、その場合は体に良さそうなものが含まれているかを基準にし、納得した上での購入をおすすめします。
西洋わさび・ホースラディッシュの意味や効能
西洋わさびは別名ホースラディッシュ
これまで西洋わさび・ホースラディッシュと別々に読んでいましたが、実は同じ意味であり、西洋産のわさびのことです。日本のわさびである本わさびは新鮮な黄緑色をしていますが、西洋わさび(ホースラディッシュ)は白身がかった色をしているため、用意に区別できます。西洋わさび(ホースラディッシュ)は日本においてはヨーロッパと気候が似た北海道で生産されていて、国内でも手に入れることができるものです。
ヨーロッパでは鼻炎の民間療法に使用
西洋わさび(ホースラディッシュ)は食用としてだけでなく、鼻炎治療にも活用されています。根をすりおろしたものの中に含まれる成分が、アレルギー性鼻炎の改善に効能ありとされ、ヨーロッパではハーブ療法として使用されてきました。肉料理の際の薬味以外にも、このような鼻炎改善の効能が見込まれる野菜として利用されてきたことは驚きです。本わさびにも健康に良い効能がありますが、このような点で両者に違いはありません。
本わさびよりリーズナブル
本わさびと西洋わさび(ホースラディッシュ)は、どちらも同じアブラナ科の野菜です。では本わさびとの違いは色以外で具体的に何かというと、本わさびよりもすりおろしたときの酸味や辛味が強く、本わさびより少量で十分だということです。そのためわさびチューブの中には西洋わさび(ホースラディッシュ)が配合されている場合が多く、本わさびと表記されていても50%以上も配合されている場合さえあります。
それは本わさびより西洋わさび(ホースラディッシュ)の値段が安く、しかも本わさびより西洋わさび(ホースラディッシュ)の方が加工しやすいということです。本わさびよりすりおろしたときの酸味や辛味が強いこと、値段や加工のしやすさなどの違いがあることから、本わさびよりもリーズナブルであるといえるでしょう。しかし日本原産に本わさびの風味が好きな人は、繰り返しになりますが原産地付近の販売所や通販で買いましょう。
西洋わさび・ホースラディッシュ・本わさびのすりおろし方法
風味を維持したいときは先端から
西洋わさび(ホースラディッシュ)も本わさびも、すりおろして色々なレシピに使う部分は根茎(こんけい)と呼ばれる部分で、土中に根を張った部分と茎から葉っぱや花が伸びている部分の中間にあたります。この部分がよく人目に触れている部分であり、西洋わさび(ホースラディッシュ)も本わさびも、この構造において違いはありません。健康に良い効能がギュッと詰まっていて、美味しいレシピを知っていれば大活用できる部分です。
そして根茎の先端というのは土中にある根っこに近い部分で、根茎の中で一番細胞が古い部分です。要するに、古い部分から色々なレシピで食用として活用することで、西洋わさび(ホースラディッシュ)・本わさびの残った部分の風味が維持されるということです。わさび類というのは全部をすりおろして一気に大量に使うものではありませんので、残りの風味を維持するには先端の古い細胞部分から使用するということになります。
新鮮な味を楽しみたいときは根元から
ひるがえって新鮮な味を今すぐ楽しみたいというときは、画像のように根茎の上にあたる部分、根茎から天に向かって伸びている茎の根元部分からすりおろしましょう。この部分は細胞が若く、新陳代謝が活発に行われています。香りや粘りもちょうどよく、しかも色が綺麗で柔らかく、すりおろして使うにはふさわしい部分なのです。西洋わさび(ホースラディッシュ)・本わさびの栄養が豊富で、健康に良い効能が一番期待できる部分です。
ただし、こだわりたい人には色の違いが気になるかも知れません。それはやはり、西洋わさび(ホースラディッシュ)は白色で、本わさびは新鮮な黄緑色だからです。中には日本原産の本わさびのあの色が大好きで、西洋わさび(ホースラディッシュ)の白さは嫌だという方もいるかも知れません。そういう場合は本わさびだけを特別に手に入れ、見た目の色からくる満足感にひたりながら、思い切りすりおろして使いましょう!
西洋わさび・ホースラディッシュ・本わさびに合うレシピ
新鮮な黄緑色が美しい!「本わさびを使った天ぷら」
まずは日本原産の本わさびのレシピからいきます。意外にも意外に、本わさびをそのまま天ぷらとして食べることもできるのです。天ぷら以外にも、上記の画像のように、全ての部位を食用にできます。天ぷらの作り方は、まず本わさびの根茎の部分を食べやすいサイズに輪切りします。そしてボウルに天ぷら粉を入れ、少量の水で溶かしたその中に、先ほどの薄く輪切りにした本わさびの根茎部分を入れてしっかりまぶしましょう。
そして底が深めのフライパン、できれば天ぷら鍋に、天ぷら用の油(米油を推奨)をなみなみと満たし、天ぷら粉をまぶした本わさびを火傷に注意しながらサッと入れます。天ぷら粉が薄くキツネ色になってきたら、また火傷に注意しながら取り出して、余分な油を切った後に器に盛り付ければ出来上がりです。スムーズに調理できればあまり時間はかかりません。ちなみにわさびというものは、すりおろさなければそこまで辛くないのです。
ソースにすると美味い!「お肉のホースラディッシュソースがけ」
西洋わさびとも呼ばれるホースラディッシュはソースにすると美味しいです。まずホースラディッシュをすりおろし、ボウルの中で甘くないヨーグルトに塩コショウ、細く刻んだ小ネギなどと一緒に混ぜ合わせます。これにオリーブオイルやハチミツ、白ワインなどを少量入れて混ぜてもOKです。混ぜ合わせる際に美味しい味になるようしっかり調整しましょう。出来上がったソースをローストビーフやチキンソテーなどにかければ完成です。
西洋わさび・ホースラディッシュ・本わさびの違いを覚えよう!
いかがでしたでしょうか?西洋わさび・ホースラディッシュ・本わさびの他、生わさびなど細かな表記の違い、そしてわさびの育毛を始めとする健康に関する様々な効能、すりおろしたら辛味が増す作用、わさびが使えるレシピは意外にもたくさんあることなど、色々なことが分かったと思います。これからはわさびの違いを覚えた上で、良質なわさびを積極活用し、刺激が強いので食べ過ぎない程度に、上手に摂取して健康を維持しましょう!