秋鮭とは他の鮭と違うのか調査!旬と特徴や名前の読み方は?
鮭といえば、冷凍の切り身や、塩鮭として1年中スーパーで見かける馴染み深い魚です。赤い身の並ぶパックに付いている名称が少しずつ違うことには気付いていましたか?実は、鮭にも銀鮭、紅鮭、秋鮭、時知らずなど色々な呼び名があります。実はその名称には明確な区別と奥深い背景があるのです。鮭といえば身が赤いので全て紅鮭ではないの?と思うかも知れません。今回はこの中でも秋鮭について深く調べました。
目次
鮭は鮭でも秋鮭とは?
スーパーでも年中見かけるおなじみの鮭。鮭は近年日本でいちばんたくさん食べられている魚でもあります。お子さんからお年寄りまで、魚が苦手な方でも鮭なら食べられるという方も多いでしょう。鮭の塩焼きは、郷愁さえ感じる朝食の定番おかずです。
日本では平安時代から食べられていた鮭
日本で鮭が食べられてきた歴史は古く、縄文時代から食べられていたと言われています。平安時代中期には鮭が税金の代わりに納められていたという記録も残っているほどです。当時は現在の新潟県、越後から加工されて京都の朝廷に献上されたようです。
秋鮭の神秘!故郷の川に戻ってくる
日本では古くから親しまれて来た鮭ですが、鮭とひと口に言っても、実は様々な名前で売られていることにお気づきでしょうか?お店に並ぶ鮭には、秋鮭、白鮭、紅鮭、銀鮭、アトラティックサーモン、トラウトサーモンなど、実にたくさんの名称があります。今回注目するのは、秋鮭です。
鮭が産卵のために故郷の川に戻ってくるという不思議な特徴を持つことはあまりにも有名な話です。川で生まれた鮭の稚魚は、広い海で成長し、早い鮭で2年、遅い鮭で6年で生まれた川へ産卵のため戻ってきます。
この特徴は回帰性と呼ばれていますが、どうして鮭が生まれ故郷の川に戻って産卵するのか。この謎は現在もはっきりしていません。しかし、日本の川で生まれたの鮭が生まれた川に戻ってくる母川回帰率(ぼせんかいきりつ)は限りなく100%に近いと言われています。
日本の鮭は赤くない?
身が白い白鮭
実は、このように日本の川に戻って来る鮭はほぼ「白鮭」という種類です。つまり日本で鮭というと、普通は「白鮭」のことを指しています。
その「白鮭」の呼び方にも、たくさんのバリエーションがあります。この一つが秋鮭です。故郷の川に戻って来る時期が秋という特徴から、秋に獲れる鮭を特別に秋鮭と呼んでいるのです。
身が赤い紅鮭とは?
そもそも鮭の身は、赤っぽいピンク色をしているのではないの?と思う方も多いでしょう。鮭の身が白いわけではないのに、なぜ白鮭と呼ばれるのでしょうか?そもそも赤とか銀とか、鮭は色の名前がついているのはどうして?まずはそれぞれの特徴を確認しましょう。
スーパーではよく鮮やかな赤色をした紅鮭を見かけるかもしれません。紅鮭は、産卵期が近くなると、身が真っ赤になることから紅鮭と呼ばれています。実は紅鮭は日本ではほとんど漁獲されない鮭です。主に生息しているのは北太平洋と言われています。日本で売られている紅鮭は、主にロシアやアラスカなどからの輸入された鮭です。
南米から来た銀鮭
銀鮭という名称で売られている鮭もスーパーでおなじみです。こちらは南米のチリ産がほとんどです。日本では、鳥取県や宮城県などで養殖も行われています。銀鮭は脂がのっているのが特徴です。
白鮭がほんのりピンクな理由
日本で漁獲される白鮭は、紅鮭とは全く違う、薄いピンク色をしています。実は、白鮭はもともと白身の魚なんです。身がピンク色をしているのは、鮭が食べている餌に理由があります。鮭はオキアミや、カニ、エビのような甲殻類を好んで食べています。これらに含まれる色素が赤いため、鮭の身がほんのりピンクに染まっています。
この赤い色素、アスタキサンチンは、ビタミンEの1000倍の抗酸化作用があるとも言われています。アンチエイジング、美肌、シワ・シミの予防などの効果が期待できるという研究結果もあるようです。美肌効果があるかもしれないと言われると、鮭を食べたくなりますね。
秋鮭の産地はどこ?
鮭といえば北海道をイメージすることも多いでしょう。鮭は北海道のほぼ全域で漁獲されます。他にも東北などの寒さが厳しい地域でよく獲れる魚です。冬を前にして大量に穫れる秋鮭はとくに貴重な鮭と言われています。
鮭漁は北海道が有名ですが、鮭が川に戻ってくるという特徴を利用した定置網漁は、北海道の秋の風物詩です。河口付近に網を仕掛けて漁獲します。
秋鮭の旬はやっぱり秋?
秋鮭が水揚げのピークを迎えるのは、まさに秋。9月から10月です。当然、新鮮な鮭が市場に多く出回っているのも秋です。
鮭は、産卵時期以外でも餌を食べるために北海道沿岸を回遊し、やはり定置網などで漁獲されています。産卵のために北海道に戻ってきた鮭を「秋鮭」と呼ぶのに対して、「時期を間違えて北海道に寄って来た」という意味から、5月から8月に漁獲される鮭のことを「ときしらず」または「時鮭」と呼んでいます。
秋が旬の秋鮭は実は脂がのっていない?
北海道では、生の秋鮭は9月~11月くらいまでが旬とされ、徐々に青森から宮城・福島へと南下します。つまり秋が一番多く鮭が獲れる季節です。秋鮭の多くは、川に上ってくる直前に産卵を控えた状態で漁獲されます。
ところが、ツウの間では、秋鮭よりも季節を外した時鮭の味がおいしいと言われています。旬と言われる秋鮭より、旬の季節以外に獲れる鮭の方がおいしいというのは、なんとも不思議な感じがします。実はこれには明確な理由があります。
秋に収穫される鮭は、近海で成長した後、水の流れに逆らって川を上り、産卵を迎えます。このとき鮭は、蓄えていたエネルギーをお腹の中の卵と川を登ることに使ってしまいます。つまり、すっかり身が痩せて脂も抜けてしまっているのです。その代わり、イクラの原料として、卵が珍重されています。
北海道のお土産として有名な木彫りのクマは、鮭を口にくわえていますが、実際のクマが好むのは、鮭の身よりもお腹に入っている鮭の卵だそうです。つまりクマは川を上ってきた鮭より、卵の方がおいしいと知っています。
秋鮭の美味しさの特徴とは?
秋鮭は、味にどんな特徴があるのでしょうか?秋鮭は、産卵のために遡上しようとする鮭が捕獲されます。産卵直前に漁獲されるため、卵に栄養をとられていたり、川を遡る遡上にエネルギーを使ってしまっています。
このため脂がのっているというよりは、脂は控えめ。さっぱりした淡白な味わいが特徴です。また、どちらかというと身が締まっているのも秋鮭の美味しさのひとつです。
身に脂が少ない秋鮭は、紅鮭やサーモンなどと比べるとカロリーが低い点も特徴です。ダイエットが気になるなら、油を使わず焼き魚としていただくといいかもしれません。一方で、身が淡白なので、バターやオリーブオイルと一緒に調理すると、適度な油分によっておいしさが増します。
古くから食べられている親しみのある魚だけあって、調理法も豊富です。塩焼き、ムニエル、ルイベ、スモークサーモン、石狩鍋、ちゃんちゃん焼き、 三平汁など、郷土色の強い料理がたくさんあるのも鮭の魅力といえます。
さけ?しゃけ?「秋鮭」の読み方は?
「秋鮭」の読み方は何通りあるの?
さて、「秋鮭」をどのように読んでいますか?「あきざけ」、「あきさけ」、「あきじゃけ」、「しろさけ」、「あきあじ」という読み方が知られています。「あれっ?!秋という漢字を「しろ」と読むの?」と思われた方も多いでしょう。
出典: http://labaq.com
ここで思い出したいのが、そもそも日本の鮭は、白鮭という種類であること。そのため、秋鮭と書いて「しろさけ」という読み方もあるんです。また、北海道の一部では秋の味という意味から「秋味(あきあじ)」とも呼ばれています。
「さけ」と「しゃけ」どっちが正しい?
鮭に関する読み方で誰もが疑問に思うのは、「さけ」と「しゃけ」はどちらが正しいか、でしょう。さて、どちらが正しい読み方だと思いますか?結論からいうと、どちらも正しい読み方です。鮭を「さけ」と読むか「しゃけ」と読むか、この読み方の違いには諸説ありますが、「しゃけ」が方言ではないかというのが有力です。
また「秋鮭」を「あきさけ」「あきざけ」「あきしゃけ」「あきじゃけ」と読むかは、言葉の専門家、アナウンサーによっても意見の別れるところのようです。
食べ頃の秋鮭のメスのお腹には、ヒグマも大好きな筋子がたっぷり入っています。秋は筋子やイクラも旬の時期です。手間がかかりますが、秋鮭のお腹から取り出した筋子からイクラの醤油漬けを手作りしてみると、特別の味わいになります。
秋鮭が食べたくなったら?
さんまと並ぶ秋に旬を迎える魚、秋鮭。旬なのに脂ののり具合がいまいちなこと、白鮭という種類なのにどうして身がほんのりピンク色なのか。本当は秋鮭はなんと読むのか?などなど、様々な秋鮭の秘密に迫りました。これでもうスーパーで鮭を見かけたら、値札に書かれた名称から適した調理法もわかっていただけるでしょう。美味しく賢く秋鮭をはじめとする鮭を楽しんでくださいね!