アブラボウズの刺身は美味しい?白身の大トロ・食べ方と注意点を紹介
アブラボウズという魚を知ってますか?知る人ぞ知る一部地域でしかみずあげされない高級魚です。アブラボウズは、ギンダラ科に分類される深海魚で、漢字では油坊主と呼ばれるその名の通り脂ののったおいしい魚です。アブラボウズについて、その生態や間違えられやすい魚との違いなどやアブラボウズは刺身で食べれるのか?その味はどうなの?食べたら下痢をするの?などの疑問に応えます。おいしい食べ方や注意点なども詳しく紹介しますので必見です!
目次
アブラボウズとはどんな魚?
そもそもアブラボウズとはいったいどのような魚なのでしょうか。あまり市場に見かけることもなく、もちろんスーパーでもほとんど見かけないし、値段も高そうなアブラボウズについてこの記事では詳しく見ていきます。
アブラボウズの学名はerilepiszoniferといいスズキ系スズキ目カジカ亜目ギンダラ科アブラボウズ属に分類される海水魚です。英名はskilfishと呼ばれています。アブラボウズという名前の由来は脂が体の40パーセント以上をしめるからと言われています。
アブラボウズの外見
アブラボウズの外見は黒い体に白いよこじまで、おいしそうには一見みえない魚です。大きくなると白はグレーになっていきます。目はとてもくりっとしていてかわいいのですが、カジカ亜目の中では最大級で体長は最大で180㎝以上体重は90㎏以上にもなり体格のいい男性ほどにもなります。また長生きでも知られ、30年も生きた個体もいるほどです。
アブラボウズの生息地
アブラボウズはどのような所に生息しているのでしょうか。アブラボウズは熊野灘から北の太平洋側やオホーツク海、カムチャッカ半島、アリューシャン列島などやや深場の岩礁域に生息しています。日本では伊豆大島の水深1000m以上の所に暮らしています。そのため浮袋が使いにくく安定して泳ぐために脂を多く蓄えると言われています。
他にも、水温が低いことから体を保護するため脂を蓄えるなど諸説あります。深海にひそんでいるアブラボウズですが、1月から3月にかけては産卵期に入るため、水深550mくらいまで少しずつ上がってきます。その時が捕獲の好時期です。
アブラボウズの値段
アブラボウズの概要は分かったと思いますが、いったいどのくらいの値段がするのでしょうか。あくまでもその時の相場で変わりますが、高級魚であるクエは1キログラム1万円相当なのに対してアブラボウズの値段は3000から6000円相当で値段はいろいろですが、しかしながら一般の魚と比べてどちらも高級魚といえるでしょう。
あまり見かけないために相場もあまりわからないし、クエに偽装されるぐらいなので安い値段なのかと思われる方も多いでしょうが、希少な魚なので良いお値段です。
アブラボウズの別名
アブラボウズは別名おしつけ、またはおっつけと呼ばれています。特に小田原地方でその名で呼ばれています。その名の由来としては、御殿女中の女房言葉としておしつけは毒見をすることですが、アブラボウズは脂が多く下痢をすることもあるため毒見が必要などの意味でおしつけが使われたと言われています。
アブラボウズは千葉県銚子港や沼津港などで取引されていますが、神奈川県の小田原で多く消費されこの地方でおしつけと呼ばれています。このおしつけは小田原のソウルフードともいわれています。小田原では、年末年始のご馳走としておしつけが食べられるため、大みそかが近づくとアブラボウズの値段はうなぎ上りにあがります。
アブラボウズとクエ
2008年業者の偽装問題があったアブラボウズとクエですが、見た目が似ているため業者が偽装しました。クエはハタ類で言わずと知れた値段の高価な高級魚です。
アブラボウズも十分値段も高い希少な高級魚ですが、さすがにクエには値段的には劣ります。またクエとは味の方向は全く違います。クエはあっさりした中にも濃厚な身の旨みがありますが、アブラボウズは脂の乗り切った甘みのある味です。機会があればぜひ食べ比べてみてください。
アブラボウズとアブラソコムツ
アブラボウズとにた名前の魚にアブラソコムツがあります。下痢ということもあり、よく勘違いされる方も多いです。どちらも脂の多い魚ですが、脂の種類が違います。
厚生労働省の自然毒のリスクプロファイルには、アブラボウズの脂はトリグリセリドであり、アブラソコムツやバラムツの脂はワックスエステルであると表示されています。また、アブラソコムツとバラムツはひどい下痢症状を起こすために食用禁止になっています。アブラボウズは食用禁止ではありません。注意食品にはなっています。
アブラソコムツは、おむつをしてでも食べたい魚として有名ですが、販売は日本では禁止されているため、釣りなどをする人は一度食べてみたいと失敗したりするようです。いくつかのブログの中にはその失敗談があります。体に良い脂ではないためくれぐれも注意してください。また中国やアメリカなどの海外では禁止されていないため、それと知らずに食べてしまうこともありますので、くれぐれも気をつけましょう。
アブラボウズの食べ方
なかなかお目にかからないアブラボウズですが、ここではアブラボウズのおいしい食べ方をいくつかご紹介します。ぜひ参考にしてください。
刺身
アブラボウズでまず食べてほしいのは刺身です。誰しもがアブラボウズの刺身は絶品であると言います。刺身では魚くさい感じは控えめで、白身魚の大トロの味とも言われる濃厚な口の中で刺身の脂のとろっと溶けていく甘い感じは一度食べればやみつきになるでしょう。是非一度味わってみてほしい食べ方です。
アブラボウズの寿司
刺身の次におすすめなのは寿司です。少し以前になりますが、大手のすしチェーンで期間限定のメニューになったこともあるアブラボウズの寿司です。
しかしこのアブラボウズの寿司は食べ過ぎると下痢になるということもあり、一人一皿限定でした。脂ののりと、酢飯のバランスがとても合うのでおすすめの食べ方です。しかしながら、なかなかアブラボウズの寿司を扱う店は少ないため、もし見つけても確認して予約することをおすすめします。
アブラボウズの煮つけ
アブラボウズの煮つけは地域でも定番の料理です。濃厚な味付けで飽きのこない料理です。湯引きをして骨をとって甘辛く煮詰めます。やわらかい身はとてもおいしくご飯がすすみますのでおすすめです。
アブラボウズの塩焼き
アブラボウズの塩焼きもまた絶品です。脂が多いため、中から染み出た脂で表面はカリッと仕上がり中はしっとりとした焼き上がりになります。ただ脂の多さから好きな方と嫌いな方があります。
アブラボウズの酢味噌あえ
小田原地方では酢味噌和えで食べる食べ方が昔からあったという事もいわれています。あっさりとした酢味噌が脂たっぷりのアブラボウズにとてもよくあうためおすすめです。長ネギなどとぬたにしても人気のある食べ方です。
アブラボウズのちり鍋
もうひとつおすすめの食べ方は、ちり鍋です。脂がたっぷりのため、身から染み出してきて汁自体も濃厚な味わいになります。またアブラボウズ自体はカロリーも高めで中性脂肪もあるため、野菜と一緒に食べれるのもヘルシーでおすすめの食べ方です。
アブラボウズのフライ
アブラボウズのフライは切り身に塩コショウをして、普通のフライと同じく、小麦粉、卵、パン粉をつけて脂であげます。しかしさすがに脂があるため、後味が残り好き嫌いが分かれるメニューではあります。独特の上品な味わいは一度試して損はありません。
アブラボウズの食べ方の注意点
刺身や寿司など生で食べても絶品のアブラボウズですが、どのような注意点があるのでしょうか。まず、食べ過ぎると下痢をするということが、気になるのではないでしょうか。しかしいったいどのくらい食べたら下痢になったりするの?と疑問を持たれる方も多いでしょう。
その前になぜ下痢になるかということをご説明します。トリグリセリドという脂はいうならば中性脂肪ですが、この脂は胃では吸収されないために大量摂取は下痢を起こすという事です。
具体的にどのくらいで下痢をするのかは、食べ方によって違います。一般的に刺身では3切れ前後。60gほどであれば良いとされています。焼き魚などであれば120gと言われています。
しかし、これは体質によっても違ってきます。たくさん食べても下痢をしない方もあれば、中性脂肪が合わない方はほんの少量でも調子の悪くなることもありますので、注意して食べることをおすすめします。またおいしいからといって、食べ過ぎは禁物です。
アブラボウズはどこで手に入るのか
こんなにおいしいアブラボウズですが、滅多に見かけないという声を聞きそうですが、通販でも購入が可能です。ギンダラアブラボウズなどの名前で販売されています。値段は高価になりますが、クエとの食べ比べなどもできます。
アブラボウズのまとめ
アブラボウズについて詳しく紹介してきましたが、いかがでしたか。脂ののった白身魚の大トロアブラボウズの刺身が食べてみたくなったのではないでしょうか。食べ過ぎには注意して、おいしいアブラボウズを満喫してください。