2019年01月21日公開
2024年08月29日更新
シラーという赤ワイン用品種の特徴とは?産地やおすすめワインも!
シラーは赤ワインに使われるブドウの品種のひとつで、フランスやオーストラリアが主な産地です。赤ワインに使われるブドウの品種は、シラーの他にカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、ピノ・ノワール、グルナッシュなどがよく知られています。それではシラーを使ったワインの香りと味わいには、どんな特徴があるのでしょうか?今回はシラーの赤ワインの特徴、産地、そしておすすめワインも紹介します。ぜひ参考にして、ワインのある暮らしを楽しんでください。
シラーとは赤ワイン用のブドウ品種
レストランやワインの売り場で、その日の食事にあったワインを選ぶのはなかなか難しいものです。たまたま知っているワインがあれば楽に選べますが、そんなにたくさんの銘柄を覚えられるわけはありません。
そんな時に、ブドウの品種による特徴を知っておくと、それで作られたワインの味わいや香りを想像することができます。自分はこの地域のこの品種のブドウで作られたワインが好みだと知っていると、ハズレを引く可能性は減ってきます。赤ワインに使われるブドウの品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、ピノ・ノワール、グルナッシュ、シラーなどが代表的なものとされています。今回はその中のシラーについて紹介します。
ローヌ地方が原産
シラーはフランスのローヌ地方を原産地とする品種です。ローヌ地方はボルドーに次ぐワインの生産量を誇り、南フランスを代表する生産地です。ローヌ地方で生産されるAOCワインが、コート・デュ・ローヌと呼ばれています。
単一ワインとブレンドワインに使われる
シラーは単一でワインを作られる場合もありますし、ほかの品種とブレンドされることもよくあります。原産地であるフランスのローヌ地方については、北部は単一で作る美味しいワインでよく知られています。それに対して南部は、他の品種のブドウとブレンドすることが昔から行われている地域です。
100%シラーのワインを産出する地域としては、ローヌ北部以外にはオーストラリアの南オーストラリア州、アメリカのカリフォルニア州、ワシントン州などがあります。シラーブレンドで知られる地域としては、ローヌ南部以外には、スペインのバレンシア州、アラゴン州、カスティーリャ・ラ・マンチェ州、エストレマドゥーラ州があげられます。
ブレンドするブドウの品種は、国や地域によって違います。フランスではグルナッシュ、オーストラリアではカベルネ・ソーヴィニョンとブレンドされることがよくあります。上の写真のワインは、シラーとグルナッシュのブレンドとなります。シラーそのものの味わいを知りたい場合は、原産地であるローヌ地方北部のシラー100%のワインを飲んでみることをおすすめします。
シラーの味わいや香りの特徴
ここではまず、ブドウの品種によるワインの特徴を見てみましょう。下の図にあるように、シラーはカベルネ・ソーヴィニヨンなどとともに「渋めのある重めの赤ワイン」になります。下の図のようにミディアムからフルボディに位置していますが、フルボディと言われることも多い品種です。
味わいの特徴
ブドウの特徴としては皮が厚く小粒で濃厚な色調、豊かなタンニンで酸味もあります。しっかりとした個性を主張するブドウと言われています。シラーの味の特徴を表現する時によく使われるのが、力強い、そしてスパイシーという言葉です。シラーのワインの特徴は、作られている国によって違いがあります。そのことについては、次の「主な産地とワインの特徴」で紹介します。
香りの特徴
ワインの香りには、「アロマ」と「ブーケ」の2種類があります。「アロマ」とは、ぶどうの果実に由来する香りのことです。ぶどうの香りは品種によっても大きく違いがあります。そのため、その香りに近いと思われる他の果実でワインの香りを表現します。赤ワインの場合では軽い香りから順に、チェリー、ラズベリー→いちご、ブルーベリー→ブラックチェリー、カシス→いちじく→干しぶどう、ジャムといった表現が使われます。
ワインの香りを表現するもうひとつが「ブーケ」。発酵や熟成などの過程で作られた香りですので、その過程に手間がかかっていると複雑になってきます。「ブーケ」を表現するときには、果実とは関係のない香りを使われたりします。赤ワインの場合は、「チョコレート」「なめし皮」「スパイス」「バニラ」「オーク」などといった表現が使われます。
それでは、シラーはどんな香りでしょうか?シラーの香りを表現する時によく使われる言葉は、黒胡椒の香りです。特にフランスのローヌ地方のワインには強くあらわれます。ブラックチェリー、ブラックカレント、すみれの花、チョコレート、ベーコン、黒オリーブなどという言葉で表現されることもあります。これらの言葉からも力強いテイストであることが想像できます。
シラーの主な産地とワインの特徴
すでに紹介しましたように、シラーはフランスのローヌ地方が原産地です。今ではフランスだけではなく、オーストラリアをはじめとして世界中のいろいろな国で作られています。同じシラーという品種でありながら、それが作られる場所や気候によってもワインの味には違いが出てきます。ここではシラーの主な産地とワインの特徴について見ていきましょう。
フランス
シラーの代表的な産地は、フランスローヌ地方です。中でもローヌ地方北部は、シラー単一で作ることが多い地域です。エルミタージュ、サンジョセフ、コート・ロティといった名前を聞いたことがある人も多いでしょう。世界最高峰のシラーを産出する地域です。
またローヌ北部では、シラーに少し白ブドウ果汁を混ぜて一緒に発酵するという伝統的な方法で作られるワインもあります。この時に使われるブドウの品種は、ヴィオニエです。ヴィオニエを加えることにより、シラーのスパイシーさに花の香りが加わります。エレガントで華やかなワインです。この方法はオーストラリアのワインにも取り入れられています。
シラーは元々はローヌ北部が原産地ですが、ローヌ南部からフランス南部にかけて広く栽培されています。これらの地域では、シラー単独というよりはいくつかの品種のブドウを使います。ローヌ地方南部と言えば、有名なシャトー・ヌフ・デュ・パプもあります。伝統的にシラー、グルナッシュ、サンソー、ムールヴェードルといった多くの品種のブドウを混ぜて作る方法を取ってきています。
オーストラリア
シラーのもうひとつの産地と言えば、オーストラリアです。ここではシラーではなくシラーズ(SHIRAZ)という名前で呼ばれています。とは言え、最近ではオーストラリアでもシラーと表記するケースが出てきています。いずれにしてもオーストラリアのラベルではブドウの品種が大きく書かれていることが多いので、フランス産よりもわかりやすいです。
シラーの特徴はフランスとオーストラリアで違う!
原産地であるフランスとオーストラリアでは、シラーの味わいに違いがあります。ローヌ地方のシラーは、黒胡椒の香りを強く感じさせます。タンニンが強いので渋みもあります。それに対してオーストラリアのシラーズはなめらかなタンニンで、熟した果実の香りを感じさせます。
タンニンという成分は種の中にあります。フランスでは、発酵後の赤ワインに種を漬け込んでおくのでタンニンが抽出されます。そのため、エルミタージュやコート・ロティは、スパイシーで重厚なタンニンのワインに仕上がります。一方オーストラリアでは、発酵の途中の段階でいったん圧搾して、皮と種を取り除きます。そのためタンニンをあまり含まないワインになります。ブドウの皮由来の果実味を感じさせる味わいです。
フランスとオーストラリアで味の違いが出るもうひとつの理由は、樽だとも言われています。フランスではフレンチオークの樽を使っているのに対して、オーストラリアではアメリカンオークの樽で熟成を行なうことがよくあります。アメリカンオークはなんとなく甘い香りがするものが多いので、その影響も考えられるというわけです。
シラーは他の地域でも栽培されている
シラーはフランスとオーストラリア以外でも栽培されている品種です。アメリカではカリフォルニア南部のパソロブレスが知られています。その他の産地としては、アメリカワシントン州、ニュージーランド、チリ、アルゼンチン、南アフリカなどがあげられます。上の写真は、アメリカのカリフォルニア州サンタイネズ・ヴァレー地区のシラー100%ワインです。
シラーのおすすめワインを紹介
飲みやすい赤ワイン「ラ・クロワザード レゼルヴ カベルネ シラー」
クロワザードは1998年にフランスのラングドック地方カルカッソンヌに設立されたワイナリーです。こちらのワインは、シラーとカベルネ・ソーヴィニョンを50%ずつブレンドして作られます。バイオレットやブラックベリーなどの複雑な香りを持ち、しっかりとした果実味を感じさせる味わいです。
数々の金賞を受賞しているラ・クロワザード レゼルヴ カベルネ シラー。ネットでの価格を見ると、1000円ほどで購入できます。まさにデイリーワインとして重宝するワインと言えます。レビューを見ると、「味わい深い」「しっかりした味で美味しかった」というコメントがある中で、「「思ったより軽め」「甘味を感じる」「女性的」という意見も見られました。
記念日に飲みたい「コート・ロティ」
コート・ロティは、コート・デュ・ローヌの中でも最も北に位置します。リヨンのすぐ南あたりから広がる地域です。コート・ロティはコート・ド・ローヌの中で最も良いワインのひとつと考えられています。コート・ロティの産地は2つの丘に分かれています。ひとつめのコート・ブリュヌは濃厚で力強く男性的な味わいのワインと言われていて、もう一方のコート・ブロンドは繊細で女性的な味わいのワインと言われています。
コート・ロティのワインは、主にシラーと白ブドウ品種のヴィオニエを混ぜて作られています。比率としては、ヴィオニエが20%以内と定められています。コート・ロティはタンニンが多く含まれていて、味わいは力強くて濃厚です。色も濃く、スパイシーな香りが強いのが特徴です。長期熟成することによって、タンニンがまろやかになって飲みやすくなるタイプのワインと言えます。
出典: http://guigal.jp
コート・ロティを代表する造り手として、世界中にその名を知られている「ギガル社」。特別な日にぴったりなワインとして、コート・ロティ・ブリュヌ・エ・ブロンド・ド・ギガルを紹介します。深みのあるルビー色。特有の深い香りとなめらかな舌触りの、バランスがいい上質なワインと評判です。ブドウの品種はシラー96%ヴィオニエ4%です。
シラーに合うおすすめ料理
料理とワインの相性については、長い歴史の中で様々な人たちに語られてきたテーマと言えるでしょう。あまり難しく考えると、レストランでオーダーするのも大変な仕事になってしまいます。自分の好きな料理の周辺だけでも少し知っておくと、より美味しく楽しく食事を楽しめることでしょう。
シラーにはお肉料理が定番!
「肉料理には赤ワイン」と誰もが聞いたことがあることでしょう。赤ワインにもいろいろな種類がありますが、ガッツリ系の力強い肉料理には、赤ワインも力強い重めのものが合います。タンニンがきいたミディアム~フルボディの赤ワイン。シラーなら肉料理にピッタリです。
フランスでは、シラーの赤ワインは鹿肉・鴨肉などのジビエ料理と相性がいいと昔から言われています。私たち日本人はジビエ料理を食べる機会があまりないので、その他の肉料理に合わせるのがおすすめと言えます。スパイシーでフルボディのシラーでしたら、やはりお肉をがっつりと食べましょう。香ばしくローストしたお肉、あるいは煮込み料理とも相性がいいです。
スパイスの効いた料理も合う!
スパイシーと表現されるシラーには、スパイスやハーブの効いた料理が合います。ワインを合わせるお料理は、フランス料理とは限りません。ふだん私たちが食べている唐揚げや焼肉、BBQであっても、いつもの味付けよりややスパイシーな仕上がりにすると良いでしょう。
煮込み料理もおすすめ
シラーは煮込み料理と合わせるのもおすすめです。例えば、牛ほほ肉の赤ワイン煮。牛肉を煮込む時にたっぷりと使うスパイスと、黒胡椒を思わせるスパイシーな味わいのシラーはよく合います。
フランス南部ラングドック地方のカスレという煮込み料理は、シラーに合うと言われています。カスレは白インゲン豆と肉を煮込んだ料理です。使われる肉の種類は、豚肉、鶏肉、ソーセージ、ベーコン、鴨、ガチョウなど。家庭によっていろいろな味があります。あまり知られていませんが、フランス料理では豆をよく使います。乾燥した白インゲン豆を使い、煮込んでオーブンで焼き上げるという手のかかる料理です。
シラーのお気に入りの赤ワインを見つけよう!
今回はシラーという赤ワインの品種について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?フランスのローヌ北部が原産地のシラーは、現在では世界の様々な国で栽培されています。地域によって異なる味わいを持つシラー。力強くスパイシーという言葉でよく表現されますが、シラー単一で作られていても、地域により気候によりその年により、またボトルの保管状態によっても変わってくるのがワインです。
奥深いワインの世界ですが、ブドウの品種を少しでも知っていると、より楽しくワインのある食事を楽しむことができるはずです。ぜひ、シラーのお気に入りの赤ワインを見つけてみてください。