ダルモア(スコッチウイスキー)の味と評価は?12年の特徴や蒸溜所も解説

ダルモアは歴史あるスコッチウイスキーです。ダルモア12年が一般的でスコッチウイスキーの中では比較的購入しやすい価格なのも特徴です。味や香りも評価が高く、多くのウイスキーファンの心をつかんでいるダルモアですが、ウイスキーファン以外の間ではそこまで有名ではありません。世界中でウイスキーブームとなっている今、ウイスキーの名産地の蒸留所で生まれたスコッチウイスキー・ダルモアについて調べてみました。

ダルモア(スコッチウイスキー)の味と評価は?12年の特徴や蒸溜所も解説のイメージ

目次

  1. 1ダルモアとは?
  2. 2ダルモアは12年が定番
  3. 3ダルモアの味と評価《銘柄別》
  4. 4ダルモアの蒸留所の特徴
  5. 5ダルモアはお酒好きを魅了するウイスキー

ダルモアとは?

「ダルモア」はウイスキーの産地、イギリス・スコットランドの北ハイランド地方の蒸留所で作られているシングルモルトです。ダルモアは1839年に創業、その歴史は180年にのぼります。ダルモアとはゲール語で「広大な湿地」、または「広大な草地」を意味しています。

この名前からイメージできるとおり、ダルモアの蒸留所の周りは鹿狩りが盛んな土地で、豊かな自然に恵まれています。ダルモアを作っているのは多くの国際大会で賞を受賞しているウイスキーのマスターブレンダーで昔ながらの伝統製法で作られています。またブレンデットウイスキー「ホワイトマッカイ」のメインモルトです。

スコッチウイスキーのひとつ

ダルモアはスコッチウイスキーです。スコッチウイスキーとはイギリス・スコットランドで生産されるウイスキーのことで、イギリスではスコッチ・ウイスキーの規則のもと、スコットランド地方にある蒸留所で糖化から発酵、蒸留、熟成に至るまで製造されたものなど、原料から製造方法まで細かく定義されています。

もちろん、ダルモアもその中のひとつで、製造方法はもとより、ダルモアを熟成させる樽にこだわりをもち、稀少といわれる原酒は、2005年には「ダルモア62年」が32,000ポンド(日本円で約640万円)で販売されました。

雄ジカのデザインが印象的

ダルモアといえば雄ジカのエンブレムがついたボトルデザインが有名です。鹿が多く生息し、鹿狩りがさかんな地域のためこのエンブレムが採用されているかと思いきや、このエンブレムにはスコットランドで最も偉大な王として名高いアレキサンダー3世がかかわっています。

1263年にアレキサンダー3世がこの地で鹿に襲われ怪我を負ったとき、窮地を救ったのがダルモアの創業者のマッケンジー一家で、その功績をたたえられ、雄ジカの紋章を使うことを許されたことがダルモアの印象的なエンブレムの由来となっています。


 

ダルモアの味

世界最高峰の値段で売買されるほど原酒が稀少なダルモアですが、気になるのはその味です。ダルモアはかんきつ類のような酸味と適度な甘さがあり、なめらかなのど越しのウイスキーです。また、ウイスキーらしくレーズンのような香りと厚みのある味わいでチョコレートなどと一緒に食すれば相性抜群です。

ストレートで飲めばウイスキーがもつビターさを感じさせ、水割りやロックで飲めばチョコレートのようなビターな甘さが引き立ちます。滑らかなのど越しは後に残らずウイスキー初心者でも飲みやすいのがダルモアです。

ダルモアは12年が定番

ダルモアと一言で言っても、ダルモアにはいくつか種類があり、その中でも定番となっているのがダルモアの12年です。ダルモア12年の味や香りなどをはじめ、ツイッターなどでの評価をまとめました。

12年の味と香り

まず、ダルモアの香りですが、レーズンなどの甘い香りにかんきつ類を思わせるフレッシュフルーツのような豊かな香りが漂います。そして、口に含むとウイスキーが持つスパイシーな香りが漂ってきます。

一方、味は、ダークチョコレートを思わせる甘さの中に酸味が引き立ち、飲むほどにレーズンなど甘さを含むベリー系フルーツを感じることができます。また、アーモンドのような味わいもあります。12年は水気がある飲み方にも向いていて、水分を含むことでドライフルーツのような甘さとチョコレートのような甘さが交わりおいしさが増します。

12年の評価

ツイッターでもダルモア12年は加水することでフルーティになり美味しさが増すという評価が多く、ストレートで飲んでも12年とは思えない芳醇さが魅力という評価が多いようです。

ダルモアの味と評価《銘柄別》

ダルモア12年の味と評価はわかりましたが、ダルモアには15年、18年、グランレゼルバ、シガーモルトリザーブといった銘柄があります。定番の12年との味の違いや評価をまとめています。

ダルモア15年

定番のダルモア12年より3年長く熟成させたダルモア15年は価格もダルモア12年より高く8000円~1万円強です。値段は12年の倍近くになってしまいますが、その分、味わい深くなっています。インターナショナル・ワインスピリッツコンペティション2010では金賞を受賞しています。

味と香り

ダルモア15年はダルモア12年と比べオレンジやレモンなど柑橘系のフレーバーが強くなっていて、熟成させているシェリー樽の芳醇な香りもしっかりと残っているのが特徴です。また甘い香りが鼻を抜けていきます。

味は、バニラと麦芽に似た甘さが感じられ、喉を通ると強めのピーティーな苦味が口の中に広がります。食後酒としても人気のあるダルモア15年は、加水するとよりフレッシュな果実のような甘さが口の中に広がります。

評価

ダルモア15年の評価は、12年と比べてかんきつ類の香りがより高く、味わい深いというものが多く見られます。また甘さと後からくるビーティーな味わいの変化が楽しめるという評価でした。余韻は短めですが、その分、口に含んだときにいろいろと楽しめる味わいです。

ダルモア18年

ダルモア18年は、高級なスコッチウイスキーに分類されます。アルコール度数は43度で12年や15年と比べ3%高くなっています。そしてダルモア18年の特徴はなんといっても樽での熟成です。シェリー樽で熟成させた12年や15年と違い、バーボン樽で14年間熟成した後、シェリー樽で4年間熟成させるというこだわりが詰まったウイスキーです。

ダルモア18年は定番の12年や15年と比べ癖があるため、ウイスキー初心者向きというよりは、ウイスキーをよく飲む人に向いているようです。

味と香り

ウイスキー熟練者向きなダルモア18年ですが、香りはナッツや麦芽など穀物類と、スパイシーな香りの中にチョコレートのような甘い香りをバランスよく感じる奥深い香りです。

気になる味ですが、果実のようなフルーティさとチョコレートやレーズンのようなウイスキー独特の甘さを感じることができます。また適度な酸味があり、後味に苦味がくる深みのある複雑な味わいです。

評価

評価では、シェリーの甘さを強く感じるという人が多く見られました。また、コクの強さがあるため、甘みのあるお酒が好きな人に勧める人もいるようです。一方で、後に残る苦味がエグさに感じる人やウイスキーの複雑な味わいを感じる前に軽く苦味が残るのが好きじゃないという人もいます。

ダルモアグランレゼルバ

ダルモアグランレゼルバは年間6万本の限定生産品です。そのためなかなか手に入りづらく、オークションサイトなどではウイスキー愛好家の間でプレミアがつくほどです。実はダルモアグランレゼルバは以前「シガーモルト」として販売されていて、2008年にグランレゼルバという名前に変わっています。またシガーとの相性を考えて作られています。

グランレゼルバとは「特別に貯蔵された」という意味を持っていて、その名前のとおり色合い、香り、味すべてにおいてリッチです。

味と香り

ダルモアグランレゼセルバはシガーとの相性を考えているだけあって、レモンや熟成オレンジなどかんきつ類の香りが特徴的で、ピートの香りも強く感じます。そのため、スモーキーなウイスキーが好きな人に好まれます。

味はシェリー樽で熟成されているだけあって、シェリーの甘さを強く感じると同時にフルーツケーキのような甘さもあります。とてもまろやかで口の中に甘さと適度な酸味は広がります。その後、ダークチョコレートやスパイシーな味わいが余韻として残ります。

評価

ダルモアグランレゼルバの評価は残念ながらツイッターにはありませんでしたが、ウイスキー愛好家の評価としては、「シェリーの香りが良く、まろやかな味わいが美味しい」や「シェリーのバランスが良い」などの評価が見られました。また、ピートの香りが良いなどもあります。

ダルモアシガーモルトリザーブ

ダルモアシガーモルトリザーブは、シガーとの相性の良さを考え、原酒が配合されているウイスキーです。そのためシガーに負けない強いコクがあるのが特徴です。アルコール度数も44度と高めですが、食後酒としてシガーと一緒に楽しみたいウイスキーです。

ダルモアシガーモルトリザーブは元々ダルモアシガーモルトとして販売されていましたが、それをダルモアグランレゼルバに変更、2012年にリブランドしたものです。
 

味と香り

ダルモアシガーモルトリザーブはグランレゼルバと同じく、シガーとの相性を考えて作られているため香りはチョコレートのような甘さと、ピートのもつスモーキーさがバランス良く、かんきつ類の香りがします。

味は、シガーに負けない強いコクがあり、チョコレート、杏、梅のような甘みと適度な酸味の中に香ばしさを含んだ辛さがあります。しかし、この辛さは時間をかけて飲むことでまろやかさに変化していきます。
 

評価

ダルモアシガーモルトリザーブはツイッターでは、パワフルな味と評価されています。また「オン・ザ・ロックで飲めば軽めのシガーに合う」などの評価がある一方、ダルモアにしては安定感を感じないといったマイナス評価も見られました。

ダルモアの蒸留所の特徴

180年もの歴史あるダルモア蒸留所は、他のスコッチウイスキーと違う特徴的な蒸留所です。スチルから樽など細部にまでこだわっているダルモア蒸留所の特徴について調べました。

1839年創業の由緒ある蒸溜所

ダルモアは1839年にアレクサンダー・マチソンにより創業されました。その後、マッケンジー兄弟に売却され、ウイスキーを作り続けています。しかし、1920年の第一次世界大戦では蒸留所は大きな被害を受け、ダルモアとイギリス海軍の間で大きな訴訟となり、2年後に生産を再開しました。

ウイスキーを造り続けてきたダルモアですが1960年には顧客のひとつであったホワイト&マッカイに合併され、その後フィリピンのエンペラドールがホワイト&マッカイを買収したため、現在ダルモアはエンペラドールの傘下となっています。

スチルの形が特徴的

ダルモアの蒸留所には、ポットスチルが8現在基あります。元々4基だったのですが1966年に8基に増設されました。実はこのダルモアのポットスチルは形状も大きさも非常に特徴的なことで有名です。

ポットスチルは多くにおいて同じ大きさや形状なのですが、ダルモアのポットスチルは大きさはもとよりランタンヘッドのものや、T字シェイプなど形状がバラバラなため、蒸留するたびにアルコール度数は変化してしまうそうなのです。また、そのうちのひとつは、1874年製で今なお現役だということです。

このスチルポットはとても重要で再溜釜のネックの外側にはウォータージャケットという珍冷却装置が巻かれていて、冷却水の水量をコントロールし、スピリッツの還流率を変えられるように設計しているそうです。

さまざまな熟成樽を使用

ダルモアの蒸留所のもうひとつの特徴が「樽」です。通常スコッチウイスキーはシェリー樽やバーボン樽を使っているのですが、ダルモアの蒸留所では、シェリー樽やバーボン樽はもちろん、マディラワインやマルサラワイン、ポートワインの樽なども使っています。

中でもシェリー樽はシェリーの名門「ゴンザレス・ビアス社」の30年などの熟成に使用したシェリー樽を使っています。このようにほかの蒸留所とは違い多くの樽を使うことでフルーティな味わいを出しています。

ダルモアはお酒好きを魅了するウイスキー

スコットランドで180年にわたりこだわりぬいた製法で作られているダルモアは定番の12年なら初心者にもピッタリ、シガー愛好者にも合うものがあるなど、好みのスコッチウイスキーを選ぶことができます。甘さと苦味、スモーキーさなどウイスキーの美味しさがたっぷり詰まっているダルモアで、ウイスキーの新たな魅力を発見できそうです。

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