胡椒の栽培方法は?日本で育てる条件や収穫までの過程を徹底解説!

胡椒の栽培方法について解説します。胡椒は気候などの条件が揃わないと栽培が難しい植物ですが、気候の違う日本でも栽培できる方法を説明します。さらに、本場の一般的な胡椒栽培の様子、種類と特徴、食べ方も紹介します。

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目次

  1. 1胡椒の栽培方法について知りたい!
  2. 2胡椒栽培の条件
  3. 3胡椒の栽培方法
  4. 4一般的な胡椒栽培の様子
  5. 5胡椒の種類と特徴
  6. 6胡椒の食べ方
  7. 7胡椒の栽培には温度管理が必須!

胡椒の栽培方法について知りたい!

洋食をはじめ和食にも良く合う胡椒ですが、どのように栽培しているか知っていますか?一般的には製品になったものを購入し使用しているので、栽培されているところを見ることが少ない植物です。この記事では胡椒の栽培方法について詳しく解説し、種類や特徴も紹介します。

胡椒栽培の条件

主な原産地はインド

胡椒の歴史は古く紀元前までさかのぼります。インド南西のマラバール地方が発祥とされているコショウ科コショウ属のつる性の常緑植物で、古代から主要な輸出品として栽培されていました。

古代ギリシアでは医薬品や食用として利用され、古代ローマ時代でも貴重な品目として高値で取引がされていました。中世ヨーロッパでは牛一頭と交換されるほど高価なもので、通貨と同じような価値があったと伝えられています。

インドの東側にある中国にも伝わり、胡は西方のこと指し、椒はスパイスという意味で胡椒と名付けられました。日本には8世紀頃に中国から持ち込まれ、中国の呼び名が現代まで使われています。

日本の気候でも栽培はできる?

胡椒の現在の栽培地は熱帯気候の地域が主な産地で、原産国のインドをはじめ、インドネシア、ベトナム、マレーシア、カンボジアなどの東南アジアです。その他にインド洋に浮かぶ島国のスリランカ、南米のブラジルなどの熱帯気候の地域でも栽培されています。

然の恵みだけで露地栽培するには、最低7℃以上の気温があり適度な湿度も必要とされている熱帯気候が最適とされています。日本の気候は北海道を除き大半が温帯に属して、この条件をクリアできるのは沖縄や九州地区しかありません

日本で栽培する場合のポイント

胡椒を栽培するには最低温度が大切で、冬があり一定期間温度が下がる時期がある日本で栽培するのは非常に難しいといえます。自然の気候を利用して作る露地栽培できるのは沖縄県しかなく、その他の地域では温度管理ができる室内で栽培するしか方法はありません

ビニールハウスなどがある農家の方ならば栽培は可能ですが、一般の方の場合には冬の季節や寒い夜間に室内に取り込めるプランターなどがおすすめです。

生育温度を保つ

温帯気候の日本で胡椒の栽培をする最大のポイントは、生育温度を保ち続けることです。熱帯気候の地域では7℃以上が必要で、日本なら10℃以上が望ましいといわれています。熱い時期には外で栽培し、冬季には室内で育て温度下がることがないように注意してください。

苗木から栽培する

日本の気候にあった胡椒栽培をすならば苗木から始めるのが最適です。原産国のインドをはじめ熱帯気候の地域でも種から発芽させるのはとても難易度が高く、挿し木で増やすのが一般的とされています。

日本で栽培する場合には、挿し木して芽がでてある程度育てられた苗木を購入しましょう。うまく成長できたら、様子をみながら少しずつ鉢を大きくしていきましょう。

胡椒の栽培方法

胡椒の栽培時期

胡椒を栽培する場合に高温多湿の場所が必要で、日本での栽培時期や方法が地域により異なります。沖縄なら原産国に近い気候ですので、挿し木を始める播種時期は3月から5月になります。それ以外の地域では気温により異なり、挿し木したり定植する時期にも違いがあります。

一年中屋外で栽培するのは難しく冬季は室内に移動し、大規模に育成するにはビニールハウスなどの大きな設備が必要です。

胡椒の育て方①初夏に植え付け開始

胡椒を日本で栽培を始める時期は温かくなり始める初夏が最適で、挿し木したり定植を行います。苗を購入する場合には、葉が青々として鮮やかで良く真っ直ぐ伸びているものがおすすめです。。気温が高く一定している場所が好みましく、難しい場合には一鉢用のビニールハウスなどで栽培すると良いでしょう。

「胡椒の木」は全く別物

ホームセンターなどで胡椒の木という植物を見ることがありますが、胡椒を栽培するときのつるとは全く別物です。胡椒の木はジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の植物で、葉も花も全てが異なる品種です。名前が紛らわしいので間違わないように注意しましょう。

胡椒の育て方②夏は直射日光に注意

胡椒の栽培方法で注意しなければならないのが直射日光です。温かい地域で栽培される胡椒ですが、意外にも強い直射日光は苦手で葉が痛んでしまます。葉は光合成にとても大切で、葉が傷むと株まで弱ってしまい生育に大きな影響がでてしまいます。遮光シートなどで日陰を作り、夏の直射日光から守る必要があります。

胡椒の育て方③秋ごろには実がなる

挿し木して3年程経過すると、秋にはたくさんの実がなります。秋は結実の時期で花穂ができ、ぶどうのような実がなるので収穫を楽しめます。完熟する前の緑色で収穫する場合と完熟して赤くなった場合とではできあがりに違いがでるので、作りたい胡椒により収穫方法は異なります。

胡椒の育て方④冬は温度管理が重要

胡椒を栽培する場合に温度がとても重要で、冬の時期に適切に管理できるように準備しなければなりません。冬季は室内に取り込み、日光の当たる場所に設置しましょう。湿度も大切で、葉に水をスプレーしたり乾燥し過ぎないように管理してください。

一般的な胡椒栽培の様子

挿し木を植える

胡椒を栽培する場合に、一般的な植物を育てるように種を植え発芽させ苗を育てることが難しいといわれています。熱帯気候の地域でも挿し木を植え繁殖させる方法をとっていて、挿し木に使う枝は病気がなく樹勢が強いのもが選ばれ、若いつるの先端を切り取って利用します

切り取ったつるは畑の土に直接挿し木するのではなく、プランターなどで一本ずつ育て苗床で3カ月から4カ月成長させたものを植え付けます。つる性の植物ですので巻き付く特徴があり、移植する場合には支柱や生木を一緒に植えておきます。つるが成長してきたら支柱や生木に沿わせるように紐などでくくり付けます。

育った苗を定植させる

育った苗を定植させる場合には、同じ高さの支柱を一定間隔で立てていき、その支柱ところに成長したつるを植えていきます。産地の熱帯気候の地域でも気候や土壌に違いがあり、国や地域により支柱の間隔や高さが異なります。

畑に移植したつるは支柱に沿うように絡みつきながら成長していき、やがて少しずつ花房をつけはじめ果実を収穫できるようになります。

実がつくようになるまで3年

胡椒は定植してから支柱に絡みながら成長を続け、高さは5mから大きなものだと9mに達するほど伸びていきます。実をつけるようになるのは挿し木を植え付けてから約3年かかるといわれ、つるの長さが一定以上にならないと花を咲かせない特徴があるからです

クリーム色の穂に果実の数だけ小さい花が咲き、花穂が10cmから20㎝くらいの長さになり垂れ下がるようになります。花が落ちると付け根がふくらみ果実ができあがりでます。

収穫の様子

胡椒の果実は伸びた花軸に柄のない実が穂状につく穂状花序といい、ぶどうの房のような形で実がつき、表面につやがある深緑色をした実がなります。成長したつるからは7年・8年目で最も多く収穫できるようになり、一つの穂には50個から60個位実がつきます。1本のつるからは15年から20年位まで実を収穫することができます。

収穫方法は穂がついているつるの根元から、実がついたままの状態で丸ごと切り取ります。果実は緑色をしていますが、完熟したものは赤くなるのが特徴です。成熟した1本のつるからは、乾燥した後で2kgの実が収穫できるといわれています。

黒胡椒にしたい場合は緑色の未熟果を、白胡椒にしたい場合は完熟した赤色の実を収穫するそうだ。

乾燥させる

収穫された胡椒の果実は、穂から外され実だけを乾燥させます。収穫の時期と乾燥の処理方法の違いにより4種類の胡椒を作りわけています。

胡椒の種類と特徴

黒胡椒(ブラックペッパー)

黒胡椒はブラックペッパーとも呼ばれ、つるについた実が熟す前に収穫したものを使用します。緑色の状態で収穫され実は、穂から一粒ずつ外され長時間かけて乾燥させたものです。緑色をした皮付きの胡椒の実を日光に長時間当て乾燥させると、表面にシワがある黒い胡椒ができあがります

黒胡椒は世界中で料理に使われている最もポピュラーな粉末調味料で、辛味の主成分のピペリンを豊富に含んでいます。野性的で爽やかな香りと、ピリッとした独特の強い刺激的な辛みが特徴です。牛肉との相性は抜群で、青魚や乳製品などの匂いの強い食材や濃い味の料理におすすめです。

白胡椒(ホワイトペッパー)

白胡椒はホワイトペッパーとも呼ばれ、つるについた実が赤く完熟してから収穫し、乾燥させた後に水に漬けて外皮を柔らかくして皮を剥いたものです。白胡椒に使われるのは中に入っている白い核の部分だけで、黒胡椒に比べ刺激が穏やかになり辛さや風味がマイルドに仕上がるのが特徴です。

料理の風味や色を損なわずに辛みをつけたいときに用いられ、白身魚、鶏肉、卵料理などの比較的淡白な味わいの料理におすすめです。さらに、ホワイトソースのように白く仕上げたい料理にも欠かせないスパイスです。

青胡椒(グリーンペッパー)

青胡椒はグリーンペッパーとも呼ばれ、黒胡椒と同様に実が熟す前に収穫したものを使用しますが、長時間乾燥をしないでつくられます。淡い緑色をしていて、黒くならないように塩漬けや水煮に調味されたり、フリーズドライなどにも加工されます。タイやカンボジア料理では、炒め物料理として提供されます。

爽やかな香りと辛みが特徴で肉料理や魚料理などジャンルを問わず使用でき、彩りをつけたいときなどにトッピングとして使われます。塩漬けや水煮に加工されたものをソースやドレッシングにすると違った楽しみ方ができます。

赤胡椒(ピンクペッパー)

赤胡椒にはレッドペッパーやピンクペッパーとも呼ばれるいくつかのスパイスがあります。白胡椒と同様に実が赤く完熟してから収穫し赤い外皮を剥かずに使用するものと、ウルシ科のコショウボクという植物の果実を乾燥させたものがあります

胡椒を完熟させて乾燥させたものには強い辛みがありますが、コショウボクの果実を乾燥させたものは優しい香味があります。どちらも色合いが鮮やかで料理に添えると華やかさがでて、サラダやマリネなどにトッピングされます。

胡椒の栄養や効果

胡椒は古くから医薬品として使用されていた歴史があり、色々な栄養素を含んでいます。ビタミンB1、B2などビタミン系の成分と、カリウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、鉄分などのミネラル成分が含まれます

胡椒を摂取することで得られる健康効果は、発汗作用や利尿作用があるので体内毒素の排出効果が期待できます。さらに、血の巡りが良くなる効果があり、貧血の改善や予防、冷え性の方にも

胡椒の食べ方

調理のコツ

胡椒は栽培される方法により4種類に大きく分類けられ、加工される段階でホール、クラッシュ、粗挽き、グラインド、パウダーなど色々な種類があります。

ホールは胡椒の粒でじっくりと香りを引き出したい煮込み料理などに向いています。クラッシュはホールを粗く砕いたもの香りが持続しやすく、粗挽きはクラッシュより少し細かく砕いたものでピリッとした辛味を楽しみたいときにおすすめです。

グラインドは粗びきより少し細かい粒からパウダーまで混ざっていて下ごしらえに最適です。パウダーは細かく粉砕したもので、下ごしらえやできあがった料理など幅広く使用できます。

胡椒と合う料理

胡椒は種類により合う料理が分かれています。好みにもよりますが、黒胡椒は肉料理や青魚の料理、乳製品などの匂いの強い食材の味付けに向いています。白胡椒は淡白な味わいの料理におすすめで、白身魚、鶏肉、卵料理などに最適です。青胡椒と赤胡椒は彩りが良く、料理の付け合わせやトッピング使用されることが多くあります。

生胡椒の食べ方

胡椒商品の中でもあまり知られていないものに生胡椒があります。生といっても採れたての果実ではなく、穂についたまま塩漬けしたものです。容器の中には穂に実がついたまま塩漬けした胡椒が入っていて、一粒ずつ取って食べます。

焼いた肉や煮込み料理の上にトッピングしたり、生ハムやスモークサーモンと合わせても美味しくいただけます。魚料理はムニエルやカルパッチョなどに添えたり、マッシュポテトやベークドポテトなどポテト料理との相性が抜群です。

胡椒料理専門店も

最近、スパイスに注目をした店舗が増えていて胡椒料理専門店も存在します。世界中から農薬などを使用していないオーガニックな胡椒を集め、肉料理、魚料理、鍋料理、サラダなど胡椒をふんだんに利用したアイデアメニューが味わえます。

胡椒の栽培には温度管理が必須!

この記事では胡椒の栽培方法について紹介しました。胡椒の栽培には温度管理が重要で、最低でも7℃以上の気温と高い湿度が必要です。したがって日本で栽培するにはかなり難易度が高い植物ですが、プランターなどで小規模で育てるなら可能です。

果実を収穫できるまでは時間も掛かりますが、結実したときにはかなりの感動を得ることができます。自分で育てた胡椒は格別の味わいなはずで、ぜひ栽培にチャレンジしてみてください。

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