魔法の調理法ブライニングとは?肉・魚が驚くほどジューシーで柔らかくなる!

ブライニングという言葉を聞いたことがあるのでしょうか?魔法の調理法とも呼ばれ、古くから海外でも実践されており、肉や魚を驚くほど柔らかくジューシーに仕上げることができます。ブライニングは、基本的に塩を入れた水に鶏肉や豚肉を一晩漬け込んで置いておくだけという、ごく簡単な方法で食材本来の味を変えることなく見違えるほどおいしく仕上げることができます。そんなブライニングをぜひ学んで、プロ並みの料理に仕上げてみませんか?

魔法の調理法ブライニングとは?肉・魚が驚くほどジューシーで柔らかくなる!のイメージ

目次

  1. 1ブライニングとは?
  2. 2ブライニングの仕組み
  3. 3ブライニングの方法
  4. 4ブライニングした鶏肉のアレンジレシピ
  5. 5ブライニングで肉や魚をふっくらジューシーに!

ブライニングとは?

ブライニングという言葉を聞いたことがないという方もいるかと思いますが、いったいどんな調理法なのか、詳しく見ていきましょう。

肉や魚を塩水に浸ける調理法

ブライニングとは、肉や魚を食塩水に一定時間漬けるという調理法です。基本的には、食塩水に食材を漬けることを意味していますが、塩をすり込んだり調合液に漬け込んだりすることもブライニングと呼ばれることもあります。から揚げのように調合液に漬け込んでやわらかくしてから揚げると、ジューシーで美味しく仕上がることでも知られています。

一説によると、昔船乗りが肉を海水に漬けて調理したらジューシーで美味しく仕上がった、と偶然から生まれて広まった調理法だと言われています。

マリナードもブライニングの一つ

マリナードも、ブライニングの調理法のうちの一つです。マリナードとは、肉や魚、野菜などを酢やレモン汁などをメインにした漬け汁に浸す調理法のことをいいます。マリネードはフランス語で、日本ではマリネと呼ばれています。マリネードはその語源から、もともとは海水に漬けていたことを意味しています。

筋繊維が柔らかくなる

海水に近い濃度の水に鶏肉や豚肉を漬け込むことで、肉の筋繊維が柔らかくなります。また塩は、筋原繊維タンパク質を溶かします。ひき肉などをこねるときに塩を加えてこねると粘りが強くなるのは、塩が肉の筋原繊維タンパク質を溶かしてやわらかくしているためです。

特に肉の中でも固いと言われる鶏むね肉に使われることが多く、鶏むね肉を調理する際には塩水などで下処理して一晩置いたりしないと、固くてパサパサな食感になりがちです。そのため鶏むね肉のレシピは、下処理をしてから調理する方法が大半です。

筋細胞水分が吸収される

鶏肉や豚肉などの食肉は浸透膜に覆われていて、食塩水につけることで肉の保水性が高くなります。筋細胞が水分を吸い込んで膨らむため、その分柔らかくなったように感じることができます。この水分は加熱してからも残っているため、ジューシーな仕上がりになるのです。

プロ並みの仕上がりに

肉や魚を下処理することで、特別な材料や技術がなくても驚くほど柔らかくジューシーに仕上げることができます。まるでお店で食べるようなプロ並みの完成度に近づけることができるので、塩水処理をするかどうかでかなりの差をつけることができるでしょう。

ブライニングの仕組み

肉や魚を塩水に漬けるだけで柔らかくなるブライニングは、具体的にどんな仕組みで肉が柔らかくなるのでしょうか?鶏肉や豚肉がやわらかくなる原理を細胞レベルで見ていきましょう。

柔らかくなる仕組み

には、タンパク質を溶かす効果と固める効果があります。溶かす効果は、筋繊維を溶かしてゆるませて、そのゆるみに多くの水分を移動させることで水分量が増えて肉が柔らかくなります。

固める効果では塩濃度が濃いほど効果があり、肉のタンパク質構造を崩して変性させて固めます。これにより、肉内部の水分が外に流れ出ることを防ぐことができます。

保水性が高まる仕組み

食塩水に漬けられた肉や魚には、浸透圧がかかります。浸透圧とは濃度の違う水が隣り合うと濃度を一定にするために、濃度の高い方か低い方へ水分が移動するという仕組みです。特に固い部位の鶏肉や豚肉は水分が少ないので、水分量を一定にしようという力が働き、食塩水から肉の筋細胞に水分が流れます

その際には塩のイオンの一部も肉細胞に移動することで、たんぱく質の保水能力も高まると言われています。

肉や魚はなぜ過熱で固くなるのか?

肉や魚に含まれるたんぱく質は、加熱することで縮むという性質があります。一方、脂肪は加熱しても縮みにくいです。特に鶏むね肉のように脂肪が少ない肉は、より縮んで固くなる性質を持っていて、縮むことにより水分が押されて流れ出てしまいます。そのため、水分が抜けて固くなり、パサパサとした食感になってしまうのです。

ブライニングの方法

では、鶏肉や豚肉が縮んで固くならないようにブライニングするためには、どんな方法で行えばよいのでしょうか?ブライニングの方法を具体的に見ていきましょう。

ブライン液の作り方

ブライン液の作り方はとても簡単で、水1000mlに対して塩30gを混ぜます。ここにお好みの肉を一晩ほど浸すだけです。また砂糖を入れるブライン液もあり、こちらは水100gに対して約5gの塩と砂糖を溶かします。

塩だけでもブライニングの効果は得られますが、砂糖を入れることで細胞に入り込んだ水分の保水力をアップさせることができます。

漬け込み方

ブライニングをする前に、肉や魚の下処理をしておきましょう。皮や不要な脂肪を取り除いて、できれば筋切りをするかフォークで穴を開けておいたりすることで、よりスムーズに塩水を浸透させることができます。鶏肉は分厚い部分を開いておくと、より効果が高くなります。

方法

保存容器やジップロックなどの保存袋にブライン液を入れて、塩水処理をしたい肉が全体に浸るまでしっかり漬け込みます。ブライン液は少量でも全体を漬けることができます。できるだけ空気を抜いたほうがより効果が増します。

できれば一晩漬けこむ

一晩ほど漬け込むほどで、しっかり塩水を浸透させることができます。鶏むね肉1枚でも1~4時間は最低漬け込むのがおすすめです。あまり長時間漬け込むと味がしょっぱくなり、肉質が固くなるので注意が必要です。

素材ごとの漬け込み時間の目安

ブライニングは、素材の大きさによって漬け込み時間が多少違います。鶏肉や豚肉、牛肉で漬け込み時間がどれくらいなら効果的なのか見てみましょう。

鶏肉

鶏むね肉なら、そぎ切りをしたもので1~2時間ほど、1枚丸ごとなら最低でも2時間ほど漬けたほうが良いようです。余裕があれば4時間から一晩ほど寝かせると、よりしっとりとした肉に仕上がります。

豚肉

厚みのある豚肩ロースなどのブロック肉も、ブライニングすることで簡単に柔らかくなります。基本的には漬け込む時間は1~4時間です。香り付けにハーブや赤ワインなども加えれば味付け不要で、最低でも一晩、より味を染み込ませるなら二晩漬け込みます。

牛肉

牛肉は筋繊維が長く太いので、塩の効果で縮むと水を外に追い出してしまいます。そのため時間をあまり置くと固くなるので、1~2時間ほど漬け込みます。

ブライニングした鶏肉のアレンジレシピ

それでは、具体的にブライニングの調理法をどのように生かして料理を作るとよいのでしょうか?ブライニングを効果的に使った鶏肉のレシピを紹介します。

ハーブレモン風味の唐揚げ

  • 塩水処理をした鶏むね肉1枚
  • タイム1本
  • パセリ3g
  • 小麦粉大さじ2
  • 片栗粉大さじ1
  • 粉チーズ大さじ1
  • レモン(くし切り)適量
 
  1. 色のついた材料をすべて混ぜておきます。
  2. タイムとパセリをみじん切りにして鶏むね肉全体に擦り込み、20分置きます。混ぜて置いた粉を全体にまぶします。
  3. 鍋に揚げ油を180度で熱し、鶏むね肉を4~5分ほどきつね色になるまで上げます。最後は強火にして10秒ほど揚げてカリッとさせます。
  4. 鶏むね肉を1.5cmくらいの幅に切り分けて盛り付け、レモン、分量外のパセリを添えます。

鶏むね肉でから揚げを作るとパサつきがちですが、ブライニングすることで柔らかくジューシーになります。塩味がついているので、ハーブを揉み込むだけでおいしく仕上がります。丸ごと1枚で揚げることで肉汁こぼれる唐揚げです。

鶏むね肉のソテー

  • 塩水処理をした鶏むね肉2枚
  • ブラックペッパー少々
  • オリーブオイル少々
  • スライスニンニク少々
 
  1. 鶏むね肉の水気をキッチンペーパーでふき取り、ブラックペッパーを振ります。
  2. 熱したフライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、鶏むね肉の皮を下にして中火で4分ほど加熱します。
  3. ひっくり返したらフタをして5分蒸し焼きにし、火が通ったら完成です。

塩水処理をした柔らかい鶏むね肉は、そのままソテーで焼くだけでも美味しく頂くことができます。鶏むね肉本来の旨みが、ブラックペッパーやにんにくなどのスパイスだけで引き立てられます。

濃厚ゴマだれバンバンジー

  • 塩水処理をした鶏むね肉1枚
  • トマト1個
  • きゅうり1/2本
  • 長ねぎ8cm
  • 白練りごま大さじ2
  • 酢大さじ2
  • しょうゆ小さじ2と1/2
  • 砂糖小さじ2
  • ラー油小さじ1/3
  • おろししょうが小さじ1/2
 
  1. 塩水処理をした鶏むね肉を皿にのせてラップをして、600Wのレンジで5分加熱します。冷水に取って細かくほぐします。
  2. トマトは5mmほどの輪切り、きゅうりは太めの千切り、長ねぎはみじん切りにします。
  3. 色のついた材料を混ぜ合わせます。
  4. トマト、きゅうり、鶏むね肉を器に盛り付けて、混ぜたゴマダレをかけて完成です。

レンジ調理するとぱさつきがちな鶏むね肉も、塩水処理をすればジューシーでしっとりとしたまま調理できます。トマトやきゅうりとあわせて、食欲のない夏でも食べやすいさっぱりとしたサラダです。

ブライニングで肉や魚をふっくらジューシーに!

普通に調理すると固くなりがちな肉や魚を塩水に一晩ほど漬け置くだけで、驚くほど柔らかくジューシーに仕上がることができるブライニングを紹介してきました。簡単なひと手間を惜しまないだけで、いつもよりずっと美味しくまるでプロが作ったかのような仕上がりになるでしょう。

ぜひいつものレシピにブライニングの調理法を取り入れて、簡単に肉や魚をふっくらジューシーに仕上げてワンランク上の料理を味わってみましょう!

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