マツカサウオの料理方法は?刺身が絶品・硬いウロコをもつ魚の食べ方を紹介

マツカサウオという名前の魚を知っていますか?黄色い体に大きくて黒縁のウロコ、丸みを帯びたその姿は、まさに開く前の松ぼっくりといった姿をしています。ですがこの魚の本当の特徴は、そのウロコの硬さにあります。そうそうのことでは切れないその硬いウロコに守られたその身は、実はとても美味しい白身で刺身にしても焼いたりしても絶品というのです。そんなマツカサウオの料理方法や食べ方を紹介します。

マツカサウオの料理方法は?刺身が絶品・硬いウロコをもつ魚の食べ方を紹介のイメージ

目次

  1. 1マツカサウオは硬すぎるウロコを持つ魚
  2. 2マツカサウオとは?
  3. 3マツカサウオの刺身は絶品!味や料理方法は?
  4. 4マツカサウオはクセになる旨さ!見つけたらぜひ食べてみよう

マツカサウオは硬すぎるウロコを持つ魚

マツカサウオは、とんでもない硬さを誇るウロコで、完全防備を固めた魚です。そのウロコの硬さで出刃包丁でも解体困難な魚ですが、そのウロコに守られた身は絶品と称される刺身を始め、さまざまな料理で美味とされる魚なのです。そんなマツカサウオのウロコの硬さに負けない料理方法と、美味しい食べ方を紹介します。

マツカサウオとは?

マツカサウオはキンメダイ目マツカサウオ科の魚です。北海道以南の日本の太平洋と日本海沿岸などの、やや深い岩場に好んで住んでいます。名前そのままの見た目をした魚で、開く前の松ぼっくりのような外見をしています。英語ではパイナップルにも似た外見から、Pinappule fishと呼ばれることもあります。こんなマツカサウオがどんな魚なのかから、まずは紹介していきます。

マツカサウオの特徴は?

マツカサウオの一番の特徴は、なんといってもそのウロコの硬さにあります。そのあまりの硬さに、英語ではKnight fishやArmor fishと呼ぶくらいです。体色は幼いときは黒く、成長するにしたがって黄色味を帯びていきますが、生長しきると薄黄色になるもののウロコには黒い縁取りが残り、かなり目立つ彩りをしています。夜行性のため、昼間は岩の割れ目などに隠れていますが、夜になると出てきて餌を探します。

ところがこのマツカサウオは、硬すぎるウロコのために動かせる部分が少なく、泳ぎは決して上手ではありません。胸びれと尾びれの他はあまり動かすことができないため、泳ぐ速度もゆっくりです。ですが背びれと腹びれが鋭い棘状になっていて、背びれの前半分はそれぞれの棘を交互に開けるようになっているなど、ここでも高い防御力を見せ付けます。ウロコにも棘があるため、扱いが厄介だと漁業関係者には嫌われています。

マツカサウオには、他にも変わった特徴があります。下あごに発光バクテリアを共生させているため、暗いところでは光るのです。1914年に富山県の魚津水族館で停電となったときに偶然発見されましたが、バクテリアをどうに取り込んでいるのかはわかっていません。また、背びれや腹びれを広げて威嚇しているときに鳴き声をあげたり、ひれを動かすときにパタパタと音がすることから、パタパタ魚という呼び方もあります。

マツカサウオの生態

マツカサウオはその愛嬌ある容姿から、水族館でも人気者のある魚です。ですがその生態は良くわかっていないため、ペットとしても人気はありますが、当然経験者レベルの魚です。体長は大人になっても20cmほどと小柄で、寿命は20年といわれています。ペットとしての販売もされていて、1匹6,000円前後します。群れて生活することが確認されていますが、肌の弱い魚とは怪我をさせてしまうため、相性が良くないとされています。

また餌はオキアミなどの甲殻類を好みます。ペットとして飼う場合、人口飼料に慣れさせるまでにかなりの時間を必要とすることからも、自然界でも生きた餌を食べていることが伺えます。一般的な人との係りは、食用としてよりも内臓を取って干したものを置物として売ったり、兵庫県南あわじ市沼島では、魔除けとして家の入り口に吊るしておく習慣があります。

マツカサウオの値段について

マツカサウオは、元々狙って獲る魚ではなく、定置網に勝手に入ってしまう雑魚としてあがる魚です。そのため一般的には流通していることはなく、漁港の直売所などで稀に見かけることがある程度の魚です。そのため生簀で生きたまま売られていることが多く、ペット用でもないためか値段も300円~500円ほどが一般的で、網に引っかかってひれが折れていることもあります。

マツカサウオの刺身は絶品!味や料理方法は?

マツカサウオはそのウロコの硬さから、一般的に料理には向かないように見えます。ですが、その白身は刺身など、さまざまな料理で美味しいと、知る人ぞ知る評判の魚でもあります。しかも売られているときは生きたまま、ということも多く、鮮度の心配がないため、刺身でも食べやすい魚です。そんなマツカサウオの味がどんな感じで、その硬さが自慢のウロコをどう処理したらいいのか、料理方法も含めて紹介していきます。

マツカサウオの味は?

マツカサウオは、その体長が15cmほどが一般的ということからもわかるように、食べられる身の部分は正直とても少ない魚です。マツカサウオが一般に流通しにくい理由のひとつでもありますが、小さいながらもその身の味は、加熱すれば隠れていた脂があふれ出し、身はしっとりとしていながら優しい歯切れと舌触りがあります。刺身にすれば皮目だけやや歯ごたえがあるものの、噛めば噛むほど甘味が出てきます。

マツカサウオの味の特徴は、生でも煮ても焼いても甘味が強いことです。食べられる身の量は少ないですが、その美味しさは評判になっているため、知っている人たちからは、出会うことがあればいつかは食べてみたい、と思われている魚のひとつです。それだけの旨味がその小さい体に詰まっているからこそ、硬さが自慢のウロコをなんとかしてでも食べてみたい魚なのです。

マツカサウオの肝も絶品!

肝は魚の部位の中でも、特に美味しいとされるものが多い部位です。マツカサウオの肝もその例に漏れず、鮮度の良いものは刺身でも食べられるだけでなく、文字通りの絶品とされます。マツカサウオの肝の刺身は、醤油で食べると、ウニとこれまた肝が絶品といわれるカワハギの肝の、まさにいいとこ取りのような味わいです。最初のうちはウニっぽい甘味の後に、カワハギの肝のような濃厚な味わいが口中に広がると評判の一品です。

マツカサウオのウロコを取って刺身にしてみよう

マツカサウオを料理するには、まずはその硬さが自慢のウロコを何とかしないと、とてもではありませんが料理できません。しかもそのウロコには、ご丁寧にも棘まで付いています。背びれと腹びれも鋭い棘状になっているため、捌くときには厚手の手袋をしてから捌き始めないと、ひれの棘だけでなくウロコの棘も刺さって、手が傷だらけになってしまうこともあります。手袋はきちんとしてから捌き始めましょう。

マツカサウオの捌き方は、まずエラ蓋の下から尖った包丁の刃先を入れて、一気に頭を落とします。ひれの棘をキッチンバサミで切り落としておくと、より解体するのが安全になります。頭を切り落とした面から、背中の線に沿ってキッチンバサミでウロコを切っていきます。お腹側も同様に、ウロコをキッチンバサミで切っていきます。片側を一周ぐるりとウロコを切ると、簡単にウロコをまとめて剥ぐことができます。

硬さが自慢のウロコも、剥いでしまえば後は簡単に料理できます。3枚に下ろしてアバラを削ぎ取ったら、後は刺身用に切って、肝も一緒にいただきましょう。もしマツカサウオをそのまま飾りにも使えるように下ろすなら、別の捌き方もあります。マツカサウオのウロコは外骨格のごとく全身を覆っているので、背びれのラインに沿って背中を切り開くと、ウロコと身の間にバターナイフなどを差し込むだけで簡単に剥ぐことができます。

刃物を差し込むと身が切れてしまうため、小さくて切れないものを差し込むようにしましょう。開いた背の間から、中の身やはらわたまで、簡単に抜き取ることができます。残った外殻は、エラを取って中を綺麗に洗った後に、洗濯ばさみで尻尾を挟んで干しておくと、ほとんど元の姿に戻って置物にすることもできます。中身は刺身で美味しくいただき、外殻はそのまま干して置物や魔除けに飾ってみても、面白い楽しみ方ができます。

硬いウロコのまま焼き上げる「塩焼き」

料理としては塩焼きになりますが、あまりに硬いウロコのために、中まで塩が入りません。なので実際には丸焼きと言ったほうが正しいかもしれません。ですが、せっかく焼くからには見た目にもこだわりたいもの。ひれには化粧塩をしても、そのままの姿を楽しめておすすめです。ウロコが硬すぎるので下処理はしません。そのまま塩を振りかけたら化粧塩をお好みでして、内臓もそのままに丸焼きにします。

マツカサウオは、その丈夫なウロコのおかげで自然と蒸し焼き状態になり、ふっくらと美味しく焼きあがります。あれだけ硬かったウロコももろくなり、その魚体を簡単に折ることができるようになります。ウロコも簡単に剥ぐことができるようになるので、中の白身をやすやすと取り出せるようになります。その白身はふんわりホクホクとして甘く、脂ののりも良くとても美味しいです。肝も忘れず味わってください。

ぶつ切りにして煮付ける「煮付け」

マツカサウオは煮付けにしても美味しい魚です。煮付け方は他の白身魚と同じで、醤油・酒・味醂を同じ分量で合わせたもので、味が染みるまで煮付けるだけです。問題はどうにぶつ切りにするか、ですが、単に力技では出刃包丁でも歯が立たず、トタン板を切る大型の金切りバサミでようやく切れたという話もあるくらい、とにかく硬いウロコです。なのでまずは先に全身のウロコを剥いでしまってから、ぶつ切りにしましょう。

内臓は取り除きますが、頭は一緒に入れて煮込むと良い味が出ます。身が小さいので、おかずにするにはかなりの数のマツカサウオが必要になりますが、身はふっくらと膨らんで味が濃く、甘味も豊かで美味しい煮つけが出来上がります。肝も一緒に煮付けると、驚くほどの脂が出て濃厚な味わいになります。1匹だけだと物足りなく感じてしまいますが、ぜひ試したい一品です。

マツカサウオの濃厚だしの「味噌汁」

マツカサウオの数が少ないときは、煮付けではなく味噌汁にしてみてはどうでしょうか?水にぶつ切りにしたマツカサウオをアラや肝ごと入れて、しっかり味を煮出していきます。肝や身に含まれた脂肪分だけでかなり濃厚になるため、刻みネギなど薬味を入れてさっぱり感を足すとバランスが良くなります。身もふっくらして美味しいので、単なるアラ汁以上に深い味を楽しめる美味しい味噌汁になります。

旨味がしっかりと感じられる「酒蒸し」

マツカサウオの酒蒸しは、なるべく新鮮なマツカサウオが望ましい料理です。もし生きたままのマツカサウオを買うときは、お店の人に頼んで活き締めしてもらい、血抜きもきちんとしてもらいましょう。持ち帰ったマツカサウオは、下処理は必要ありません。塩をかるく振ったら、20分ほど置いておきます。鍋にマツカサウオをそのまま入れて、酒1/2カップを入れます。

酒を入れた鍋を強火にかけて、沸騰してきたら弱火に落として、5分ほど蒸しあげます。蒸している途中で酒が切れかけたら、適量を足し続けながら蒸しあげましょう。ウロコは硬さが残ったままですが、頭を落とした後から簡単に剥ぐことができるので、中の肉と肝を美味しく楽しむことができます。お好みで醤油やポン酢をたらして食べても、美味しく楽しむことができます。

お手軽で汎用性もある「丸茹で」

塩をひとつまみ入れた水を沸かし、そのままマツカサウオを入れて5分間茹でます。茹で上がったらマツカサウオをあげて出来上がり、というとんでもなくシンプルな料理です。ですが茹でたマツカサウオはうろこが脆くなり、簡単に剥けるようになります。茹でた汁はアクを取って、他の料理の出汁にしてもおいしく使えます。さらに茹で上がった身は、そのままポン酢で食べても美味しいだけでなく、さまざまな料理に応用できます。

例えばわかめや青菜を茹でたものをマツカサウオのほぐした身と和えて、ポン酢と肝で作ったソースをかけてみたり、マツカサウオのほぐした身を入れた卵焼きを作ってみたりと、シンプルな塩茹でだからこそ他の料理に応用も利いておすすめです。もちろんそのまま食べても美味しく、一度茹でているにもかかわらず、ポン酢につけると脂が広がるくらい、旨味もしっかり残っています。ぜひ茹で汁まで美味しくいただいてください。

マツカサウオのおすすめの時期は秋?

旬ははっきりしていないマツカサウオですが、口コミで美味しいと評している人が多いのは8月ごろ~11月ごろが多いようです。ですが2月に入るとそこまで褒めちぎる味ではないとか、不味いとは言わないが平凡な味、といった評価も散見されます。マツカサウオの美味しさを味わってみたいという人は、9月~10月くらいが狙い目と言えるようです。秋になったら定置網漁が盛んな地域で、マツカサウオを探してみたらいかがでしょうか?

マツカサウオはクセになる旨さ!見つけたらぜひ食べてみよう

マツカサウオは硬さを誇るウロコとひれの棘で完全防御し、サメでものどに引っ掛けると言われるほど捌くのも厄介な魚ですが、料理方法次第ではそのウロコも気にせず美味しく食べられる魚です。しかもその身は一度は食べてみたいという、とても美味しい魚なのです。なかなか出会う機会も少ない魚ですが、もし見かけたときは一度挑戦してみてください。きっとクセになる美味しさを味わうことができるはずです。

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