柿の渋抜きは簡単!甘くて美味しい渋抜きの方法や保存方法などを紹介

柿は好きですか?甘いお菓子がいっぱい溢れている現代にはとても地味な果物ですが、優れている部分が多数あります。もらった柿やもいだ柿が渋いとき、とても残念な気持ちになります。でも、渋柿を甘くする渋抜き方法はいくつかあります。焼酎を使ったり、柿を冷凍したり、お湯につけたり、と意外にも簡単な方法のものばかりです。きっとやってみたくなってしまうと思います。それでは渋抜き方法を紹介します。

柿の渋抜きは簡単!甘くて美味しい渋抜きの方法や保存方法などを紹介のイメージ

目次

  1. 1柿は上手に渋抜きして甘く美味しく食べよう!
  2. 2柿はなぜ渋くなる?
  3. 3柿は焼酎を使って渋抜きできる!
  4. 4柿はお湯を使って渋抜きできる!
  5. 5柿の渋抜きのその他方法
  6. 6柿の渋抜き方法は昔ながらの知恵がいっぱい!

柿は上手に渋抜きして甘く美味しく食べよう!

甘いお菓子がいっぱい溢れている現代には、とても地味でいまひとつ人気のない柿ですが、優れている部分が多数あります。栄養価がとても優れ、二日酔いや風邪予防にも効くとされています。このようにとても優れている柿ですが、たまに渋い柿にあたってしまったり、渋柿をいただいたりすることもあります。そんな時渋抜き方法を知っておくと大変便利です。ぜひこの方法を知って、上手に渋抜きして、柿を甘く美味しく食べましょう。

柿はなぜ渋くなる?

柿のタンニンが唾液で溶けることが原因

柿には甘柿と渋柿があります。渋柿は、ジュクジュクに過熟(かじゅく)するまで渋いです。渋柿の渋い原因はタンニン(渋)です。タンニンが唾液で溶けて舌を刺激するため、渋く感じるのです。対して甘柿のタンニンは唾液で溶けません。「渋抜き」とは、化学的変化、物理的変化を起こして可溶性のタンニンを口の中で溶けなくすることをいいます。タンニンを取り除くわけではありません。

渋みの原因はタンニン性物質「シブオール」の影響によるものです。このシブオールを水溶性から不溶性に変えるか、シブオールの分子を大きくして渋みを感じにくくさせると、柿は渋くなくなります。シブオールは不溶性になると褐斑(かっぱん。褐色の点々)になります。全ての渋抜きの柿に褐斑が入るわけではありませんが、褐斑が入っていれば、渋が抜けた状態の甘い柿といえます。


柿の渋さはタンニンが唾液で溶けることが原因ですが、基本の五味(甘い、苦い、酸っぱい、辛い、塩辛いの5種の味)とは異なり味蕾(みらい)で感じ取っているわけではないそうです。渋みを苦味として捉える人もいますが、両者は違います。苦味は味覚で感じますが、渋みは刺激として感じているのではないかと言われています。

渋みのメカニズムは未だ完全に解明されておらず、味覚より触覚に近い感覚であると考えられています。それを収斂味といいます。そして、タンニンはワイン、チョコレート、お茶、コーヒー等に含まれる「ポリフェノール」の一種です。

タンニンが不溶化すると渋が抜ける

説明したとおり、タンニンが唾液で溶けないようにすることを、「渋を抜く」といいますが、様々な方法があります。日に干したり、風に当てたり、お湯で温めたり、アルコールを付けたり等します。渋柿は完全に熟すと甘くなるため、ジュクジュクの柿でも大丈夫な方であれば、その状態になるのを待つのでもよいのですが、硬いうちに甘くして食べたい方には、これから紹介する方法で柿を甘くして食べてください。

柿の渋抜きはタンニンの渋みを感じさせなくすること

アルコールを酸化させると発生するのがアセトアルデヒドです。また柿が窒息の状態でも柿の内部でアセトアルデヒドを発生させます。このアセトアルデヒドがタンニンを不溶化する物質です。例えば、柿のヘタの部分に焼酎を付けて数日置いておくとアルコールが酸化して、アセトアルデヒドになります。それが柿に吸収されタンニンと結びつくとタンニンが不溶化します。そうなるとタンニンを渋く感じなくなります。

柿は二日酔い緩和の力も持つ!

柿は昔から二日酔いにも良いと知られています。二日酔いに良い物質は渋の元になっているタンニン系ポリフェノールの一種の「シブオール」です。ちなみに渋みのない甘柿はタンニン(シブオール)が不溶性になっているだけで、タンニン自体は含まれているので、二日酔い防止の効能に差はありません。柿の栄養の主なものは、ビタミンA、ビタミンC、カリウム、食物繊維です。

シブオールはアルコールの吸収を阻害し、二日酔いの元アセトアルデヒドと結びつき体外への排出を促します。ビタミンCとの相乗効果でアルコールの分解、排出を促す働きが期待されています。さらに、アルコールデヒドロゲーゼ、カタラーゼという酵素も含まれ、それらにもアルコールの分解を促す働きがあります。カリウムも含まれているので、利尿作用もありアルコールの体外へ排出する効果が高まります。

柿の様々な栄養素が二日酔いの緩和に効果を発揮します。飲酒の前に食べても、飲んでる最中に食べても、食後に食べても効果を発揮します。飲酒の前や飲みながら食べればアセトアルデヒドの吸収を遅らせることができます。また食後に食べれば、お酒のアセトアルデヒドの吸収を抑えて、二日酔いの症状を緩和してくれます。

そして柿のタンニンは特に優れた解毒作用を持つそうです。ポリフェノールの含有量は、ワインの20倍、緑茶の73倍相当だといわれています。ワインや緑茶のポリフェノールとは違って分子量の大きさが違うそうです。その構造は同じタンニンを含むワインや緑茶などと比べて非常に大きいのだそうです。

柿を食べると中に含まれるビタミンAとビタミンCが抵抗力や免疫機能を向上させるといわれていますが、甘柿100g中のビタミンC含有量は70mgです。成人女性の1日のビタミンC推奨量は100mgなので、いかに多く含まれているかわかるでしょう。干し柿の場合ビタミンCは減るものの、ビタミンAは生柿の約3倍に増えるそうです。そしてシブオールの量は生柿も渋柿も変わりません。

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柿は焼酎を使って渋抜きできる!

柿はアルコール成分で渋抜き可能!

糖蜜を原料とした連続式蒸留焼酎と米や麦を原料とした単式蒸留焼酎があります。違いはアルコール度数です。連続式蒸留焼酎は36%未満、連続式蒸留焼酎は45%以下と規定されています。お手軽にホワイトリカーでもよいし、アルコール度数が35%以上あればブランデーやウイスキーでも何でもよいです。酒の種類で柿の風味が変わって面白いです。

渋抜きに使う焼酎のアルコール度数は?

35%以上のアルコール度数がよいです。アルコール濃度が35%未満だとアルコールの酸化能力が弱く、アセトアルデヒドの産生が少ないため、うまく渋抜きできないことがあります。そのため、アルコール度数が低いとタンニンが不溶化しにくいです。渋抜き用であればアルコール度数は35%以上のものにしましょう。

渋柿のヘタにたっぷり焼酎をつけよう

アルコールによる渋抜きの方法は、まず渋柿の枝やゴミを取り除きます。そして小皿に焼酎を出してたっぷりとヘタの部分に焼酎を付けます。しかし皮の部分にはつけないでください。その部分が黒ずみ腐りやすくなるためです。ヘタ以外のところに焼酎が付いたらきれいにふきとってください。

ビニールの中に新聞紙を敷いて渋柿を入れよう

ビニールの中に新聞紙を敷いて渋柿を入れます。アルコールが乾燥しないようにするためです。また水滴を吸収するため、水滴が実について腐敗をしたりするのを防ぐためでもあります。乾燥が気になる場合は袋を二重にしてください。ビニールの中の空気をしっかり抜いて上からゴムでしばっておきます。

ビニールの口をしっかりしばって涼しい所に置こう

密閉したまま日の当たらないところに保存します。涼しいところ(20度前後の室温)が好ましいですが、寒いところですと、渋抜きのスピードが遅くなります。また、冷蔵庫に入れると、渋が抜けない可能性があります。渋抜きは一週間~10日程度。出来上がりはその時の温度などで変わってくるので、一週間~10日程度経ってまだ渋かったら再び密閉して5、6日待ちましょう。

なぜアルコールで渋抜きできるか原理が知りたい!

アルコールが酸化しアセトアルデヒドになるときに、柿に吸収されてタンニンと結びつくと、タンニンが不溶化し唾液に溶けなくなります。そのため渋みを感じなくなります。酒樽に渋柿を入れておいて渋抜きしたという「樽柿(たるがき)」も同じ原理で渋抜きを行っていたと言えます。いくつか渋抜き方法はありますが、自宅で渋抜きを行う時はこのアルコールによる渋抜きが手軽です。

柿はお湯を使って渋抜きできる!

お風呂の残り湯に入れるだけの「湯ざわし」の方法

渋柿の渋を抜くことを「さわす」と言います。「さわす」が変化して「さわし」です。「湯ざわし」とはつまりお湯で渋柿の渋を抜くことです。ビニール袋に入れた柿を、湯が温かいうちに湯に入れて、湯が冷めたら取り出す、という作業を数日繰り返します。

40度くらいのお湯が一番アセトアルデヒドのできやすい温度だそうです。温度が高すぎると渋が抜けにくかったり、味が薄く感じられたりします。早くおいしく食べるためには温度に気を付けます。お湯にじかに触れると、表面が傷みやすくなります。ビニールに入れてお湯が付かない工夫をしてください。少量ですぐに食べきれそうな時にお湯で渋抜きするとよいです。すぐ食べきるなら直入れでも大丈夫です。

湯ざわしは何日ぐらいで渋が抜ける?

残り湯だと完全に渋が抜けるまで4~5日かかるようです。また品種によってはもう少し早かったり遅かったりするそうです。40度のお湯でも、最低でも1日は浸けておかないと渋は抜けないようです。

お風呂のお湯でなくてもいい

山形庄内地方の「伝九郎柿」や鹿児島の「あおし柿」のなど、「湯ざわし」は昔から伝わる渋抜き方法です。40度程度の温かいお湯に塩を入れ、その中に12~24時間ほど柿をそのまま浸けておき渋を抜きます。気温や柿自体の硬さなどでお湯の温度や塩の量は多少変わるそうです。ただそのまま直にお湯につける場合は日持ちはしないようです。

お湯につけることでなぜ渋抜きできるか原理が知りたい!

柿を湯に入れることで酸素不足で窒息状態になり、柿の内部でアセトアルデヒドができます。その上、40度程度の温度はさらにアセトアルデヒドができやすくなります。内部で生成されるのでタンニンとの結びつきも早く、アセトアルデヒドの生成の相乗効果で渋柿が早く甘くなります。

柿の渋抜きのその他方法

柿は冷凍すると渋抜きできる

皮をむいた渋柿をラップで包んで冷凍させ、渋を抜く方法です。冷凍庫で4日以上冷凍させるとよいようです。冷凍による渋抜きのスピードとパワーは穏やかなようで、熟して柔らかくなっているにもかかわらず、少し渋が残ってしまっている渋柿に対しては有効なようです。冷凍による渋抜きは、渋が強すぎる柿には向かないようです。冷凍で渋抜きし、解凍しきらずにシャーベット状で食べるのがおすすめです。

柿を干すことで渋抜きできる

柿は皮で呼吸しています。干し柿は皮をむくので呼吸ができなくなって、柿自身がアセトアルデヒドを発生させ、タンニンを不溶化させるともいわれています。また皮をむく刺激等によってタンニンの分子同士が結合して大きくなり、タンニンを感じにくくするといわれています。以上の作用の相乗効果によって甘くなり、さらに日にさらすことでより甘さも増します。干し柿の美味しさのメカニズムはここにあるようです。

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ドライアイスを使って渋抜きできる

商業的に売られている渋柿は、炭酸ガス(二酸化炭素)で渋が抜かれています。家庭ではドライアイス(二酸化炭素)をビニール袋に入れて、密閉しておくと渋が抜けます。柿と二酸化炭素を袋に入れると、二酸化炭素の影響で柿が呼吸できなくなります。すると柿は中でアセトアルデヒドを発生させタンニンと結びつき不溶化します。渋柿に直接ドライアイスが当たらないようにします。冷凍が目的ではないので冷凍させないようにします。

扇風機の風に当てる

干し柿の原理とアルコールによる渋抜きのダブルの効果で渋を抜くことができます。皮をむいて適当な大きさに切った渋柿を、アルコール度数35%以上の焼酎などで全体を湿らせてざるに並べます。そして扇風機の風を万遍なく当たるようにしておくと、干し柿ができます。様子をみながらやりたいときは、時間を区切って風に当てても大丈夫です。扇風機をかけっぱなしであれば、丸2日程度で食べごろになります。目安は48時間です。

りんごと一緒に袋に入れる

りんごが出すエチレンガスによって渋柿の熟成を早めます。渋柿とリンゴを一緒にビニール袋に入れて暗い所に7日ほど置いておくと渋が抜けます。しかしエチレンガスによって熟成を早めているので、長時間放置すると熟れすぎてしまいます。渋が抜けて食べ頃は熟れて柔らかくなっているので、その状態でも良いという人に向いています。こちらも冷凍しシャーベット状にして食べるのがおすすめです。

柿の渋抜き方法は昔ながらの知恵がいっぱい!

たわわに実った鳥も食べない渋柿を見かけます。こうした柿の渋抜き方法を知っていれば、そのままにしておくのが本当にもったいない気がしてきますね。昔からもともとあった柿はほとんどが渋柿だったそうです。柿の種類は1000種類以上あるようですが、品種改良して甘柿になったものは17種類にすぎません。

柿にはたくさんの品種があります。それぞれの渋抜き方法が変わるということです。だから渋抜き方法にしても、アルコールが効果的なものや、湯ざわしに向くもの、はたまた冷凍がいいものなど、さまざまあるのです。だから一度でうまく渋抜きができなかったとしても、色々試してみてください。きっと甘くておいしい柿に変身させることができます。美味しい柿を効果的に食べて健康的な生活を送ってください。

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