ケルシーはアメリカ育ちのすもも!味の特徴と旬の時期を調査!

ケルシーという名前のすももを知っていますか?山梨県のみで生産されている珍しいすももで、すももの一種でありながら実は青梅のような緑色をしています。すもも特有の酸味が少なくさっぱりとした甘さを楽しめる果実です。すももなのに、すももらしくないこのケルシーは、その歴史も特異で、日本で人気が出ず栽培が廃れていたところ、渡米して品種改良されたものが日本に逆輸入され、栽培がさ再開れるようになったのです。生産量が少なくスーパーでもあまりお目にかからないケルシーをその特徴や旬、珍しい歴史と共に紹介します。

ケルシーはアメリカ育ちのすもも!味の特徴と旬の時期を調査!のイメージ

目次

  1. 1ケルシーとはどんな果物か見ていこう
  2. 2ケルシーの味わいと旬の時期
  3. 3ケルシーの食べ方
  4. 4ケルシーは山梨生まれアメリカ育ちの美味しいすもも

ケルシーとはどんな果物か見ていこう

ケルシーとはすももの一種

大石早生(おおいしわせ)、ソルダム、貴陽など、すももには意外にたくさんの種類があります。今回紹介するケルシーはそのすももの種類のひとつです。すももというと一般的には紅色や黄色をしていますが、このケルシーは青梅に似た緑色をしています。大きさも、すももの中では大きな部類に入ります。

すももは名前に「もも」と付きますが、桃とは違って表面に産毛はなく、皮ごと食べることができます。そして強い酸味があるため、この酸味が苦手という方もいるのではないでしょうか?この酸味の強さから、明治時代には栽培が廃れ、その後アメリカで品種改良をされて甘味が強くなったものが逆輸入されたという特異な歴史があります。それではその珍しいすももの歴史を説明していきます。
 

ケルシーの歴史

ケルシーの歴史は古く、奈良時代まで遡ります。すももには西洋すももと日本すももの2種類があり、日本で「すもも」と呼ばれているのは日本すももの方で、西洋すももはプルーンと呼ばれています。日本すももは中国が原産地で奈良時代に日本に伝わってきたと言われています。万葉集には自宅の庭にあるすももの木を詠った歌が載っており、すももが生活の中に溶け込んでいた様子がうかがえます。

古来から日本で栽培されていたすももですが、桃と比べて酸っぱいということから「酢桃(すもも)」と呼ばれ人気が伸びなかったようです。そして明治時代には栽培が一度廃れてしまいます。その窮状を救ったのがアメリカ人のジョン・ケルシーです。山梨県で当時甲州大巴旦杏(こうしゅうだいはたんきょう)と呼ばれていた品種を食べたジョン・ケルシーはその味わいに驚き、母国アメリカに持ち帰りました。

そしてバークレーにある自らの農場で品種改良し栽培したところ、そのおいしさが話題になります。アメリカで広まった理由のひとつにバークレーの気候がケルシーの栽培に適していたことがあるようです。この後、大正時代にはケルシージャパンとして日本に逆輸入され、再度栽培が始まりますがあまり広がらなかったようです。古代から日本に存在するすももではありますが、多雨の日本の気候では栽培が難しかったようです。

ケルシーの産地は山梨県

逆輸入して栽培が再開されたケルシーは、現在では山梨県でのみ生産されています。山梨県はケルシーだけではなく他の種類のすももの生産もしており、生産量は全国1位。また桃やぶどうなどの果物の生産量も全国1位で果物王国として知られています。日照時間が長く湿度が低い、また昼夜の寒暖差が激しいといった山梨県の内陸性気候の特徴が雨を嫌うすももの栽培に適しているようです。

ただこの山梨県であってもケルシーの生産量は少なく、作付面積は全体の1%未満、0.87%となっています。これには熟しても緑色のままという見た目があまり大衆受けをしなかったことや中心部にある空洞によりクレームを受けやすく、農家の方があまり栽培を好まなかったということなどが理由にあげられます。

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ケルシーの味わいと旬の時期

ケルシーの旬は短い?

ケルシーの旬は8月下旬頃から9月中旬までで20日前後となります。他の種類のすももの旬が10~40日ほどなので極端に短いわけではありません。すももは早いもので5月初旬から、遅いもので10月下旬あたりまでスーパーに出回りますが、この期間にずっと同じ種類のすももが出回っているわけではありません。

5月上旬ころから大石早生(おおいしわせ)が出回り始め、続いてソルダム、貴陽というように旬の違うすももが代わる代わる出荷されているのです。すももの中でもメジャーな大石早生(おおいしわせ)やソルダムは出荷量が多く、またすももが安く美味しいとされる6月中旬~8月に旬を迎えるので目にする機会も多くなります。自然と認知度が高くなり、すももというと大石早生やソルダムを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

ケルシーは山梨県のみの栽培で出荷量が格段に少ないということと、スーパーにすももが多く並ぶ時期と旬が少しづれているため目にする機会が少なくなります。もしケルシーをスーパーで見かけた時は、今が買い時とばかりに買い物かごに入れるのが食べ逃さないためのコツです。

ケルシーの特徴

ケルシーは3月~4月に、他のすももと同じように白い花を咲かせます。しかしその実は大きさや色、果実中心部の空洞など、他とは大きく違う3つの特徴があります。一つ目の特徴である大きさですが、ケルシーは通常のすももより大ぶりです。普通のすももの重さが50~120g程度に対し、ケルシーは140~200gです。小ぶりなすももと比べると2倍になります。

2つ目の特徴の色ですが、ケルシーは緑色です。一般的なすももは赤や赤紫色をしていますが、ケルシーは熟しても緑色のままのため、熟していないのでは?と誤解を生むこともあるそうです。3つ目の特徴である中心部の空洞ですが、ケルシーを2つに割ると、種の上に褐色の空洞があります。空洞ができる品種なのですが、切ったら空洞がありしかも褐色になっているため、傷んでいるのではないかとクレームになることもあるそうです。

ケルシーの味わい

ケルシーの味わいの特徴は酸味が少ないことです。すももは甘くなく、酸っぱいから苦手という方もいらっしゃいますが、すももの平均糖度は15~17度です。りんごの平均糖度が15度、ぶどうの平均糖度が17.5度といわれているので実は甘い果物なのですが、酸味の強さからその甘味を感じにくいようです。ケルシーはこの酸味が少ない品種なので、すももが酸っぱくて苦手という方にも楽しめる味ではないでしょうか?

すももは柔らかく、傷みやすい果物のため、完熟前に収穫されることがほとんどです。食べるときは室温で追熟させることで美味しく食べるられるようになります。果実は追熟し始めはサクサクとした歯ざわりが楽しめ、熟していくと実が柔らかくなりジューシーさを楽しむことができます。食べる時期によって違ったおいしさを楽しめるため、お得な気分も味わえます。

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ケルシーの食べ方

ケルシーは2つに分けて食べる

ケルシーは尖った先っぽからがぶり、とかぶりついて食べるのもいいのですが、2つに割ると種が簡単にとれて食べやすくなります。アボカドのように包丁で種に沿って中心部にぐるっと切り込みを入れ、左右の実を反対方向に回して半分に割ります。中の種は空洞があるためスプーンなどで簡単にとることができます。断面図はハート型になっているので、そのまま食卓に出しても可愛らしいです。

ケルシーの皮は薄く、皮はむかずに食べることができますが、皮が口に残るのが苦手だわという方はそのままスプーンですくって食べることもできます。こうすると皮をむく手間も省略でき手軽に食べることができます。生で食べる以外にはコンポートにしたり、ジャムにして食べるのも人気のようです。

ケルシーの食べ頃の見分け方

ケルシーは熟しても緑色のままのため、いつが食べ頃なのかという判断がしづらい果物です。食べ頃の目安になるのは表面についている白い粉(ブルーム)の量と色の変化です。未成熟の果実の表面は全体的にブルームで覆われていますが、追熟するにつれ、ブルームが減っていきます。果実が黄味がかり艶が出てきたら食べ頃です。

ちなみにこの白い粉は実に雨や水分が残るのを防ぎ、虫や病気から守るためのものです。農薬等が残っているわけではないのでご安心ください。食べても害はありませんが、気になる場合は食べる前に水でよく洗うか、柔らかい布で優しく磨くときれいにとれます。

ケルシーの価格はどれぐらい?

価格は大きさや品質、販売地域や天候によって変わってきて、安いものだと4~5玉で300~400円台~、贈答用の高いものだと7~10玉ほどで4000円前後で販売されています。用途や自身のお財布と相談して探してみるのがおすすめです。

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ケルシーは山梨生まれアメリカ育ちの美味しいすもも

さて、ここまでケルシーの歴史や特徴、味わいなどを見てきましたが、いかがでしたでしょうか。ケルシーは古代から日本に存在していたすももの一種で甲州大巴旦杏(こうしゅうだいはたんきょう)と呼ばれていました。日本にいたジョンケルシーによってアメリカにわたり、品種改良をされ逆輸入されたという珍しい歴史を持っている果物でした。

熟しても緑色のままという見た目や、誤解を招きやすい中心部の空洞のため、栽培は山梨県でのみと限定されていますが、安価なものは手が出しやすい価格となっています。スーパーでこの緑色のとんがったお尻を見つけた際は買い求め、すももの概念を覆されてみるのもいいのではないでしょうか。

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