ワインの酸化防止剤について!影響や酸化防止剤無添加との違いも解説!

酸化防止剤無添加ワインが売られているのを見たことはありますか?いかにも健康的なワインのイメージです。「自分が今まで飲んできたワインはどうだったのかしら?」と気になった人もいることでしょう。ワインの酸化防止剤とはいったいどんな物質で、どんな働きや影響があるのでしょうか?今まで気になっていたワインの酸化防止剤について詳しく解説しますので、安心してワインを選べるようにこの機会にいっしょに考えてみましょう。

ワインの酸化防止剤について!影響や酸化防止剤無添加との違いも解説!のイメージ

目次

  1. 1ワインには酸化防止剤が入っている
  2. 2ワインの酸化防止剤について解説
  3. 3酸化防止剤不使用のワインがある!
  4. 4酸化防止剤はワインの品質を保つのに欠かせないものだった!

ワインには酸化防止剤が入っている

ワインのラベルを見ると「酸化防止剤」という表記があります。これにはどんな働きや影響があるのでしょうか?また、「酸化防止剤無添加」というワインが売られているのを、見たことがある人も多いことでしょう。それはどんなワインなのでしょうか?一方でオーガニックワインとして売られている商品は何が違うのでしょうか?普段気になっていたこれらの疑問について、この機会にすっきりさせましょう。

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ワインの酸化防止剤について解説

それではまず初めに、酸化防止剤とはどんな物質なのかを押さえ、ワインの酸化防止剤の働きや私たちの身体への影響について見ていきましょう。

ワインに使われている酸化防止剤とは?

ワインの売り場でラベルを見るとわかることなのですが、多くのワインには酸化防止剤という記載があります。なんとなく健康によくないイメージがある酸化防止剤とは、いったい何なのでしょうか?酸化防止剤はその言葉のとおり、酸化を防止するためのものです。その他に、ワインの中の微生物の活動を抑制する働きもあります。詳しく見ていきましょう。

ワインの酸化防止剤は亜硫酸塩のことだった

下の写真でわかるように、ワインには酸化防止剤としては亜硫酸塩が使われています。説明の中に、SO2(二酸化硫黄)という表記を見かけることもあるでしょう。SO2(二酸化硫黄)は気体、亜硫酸はSO2を溶かした水溶液(ワイン)の中に存在する酸のことで、亜硫酸塩は亜硫酸を中和した時に生成される塩のことで、どれも同じ役割があります。

亜硫酸塩を使う主な目的は、ワインの酸化を防止することと微生物による汚染を防止することです。日本では、食品衛生法によってワインに使われる酸化防止剤の上限値が決められています。亜硫酸塩の上限値は350mg/L以下です。輸入ワインについても、分析表を提出しないと輸入できないように厳しく規制されています。

ワインの酸化防止剤の健康への影響は?

では次に、ワインの酸化防止剤の私たちの身体への影響を見ていきましょう。健康へどんな影響を与えるのかは、とても気になることです。

ワインの酸化防止剤である亜硫酸塩は、食品添加物として認可されている安全な物です。添加物ですので、大量に摂取すればやはり人体に悪い影響が出てきます。とは言え、ワインを1日に2本ずつ毎日数10年間飲み続けたとしても、人体に影響がない量以下に規定されてます。そして実際にワインに使われる量は、規定された数値よりさらに低い数値です。ワインの酸化防止剤の量はごく微量で、健康には影響はないと考えられています。

ただ、喘息持ちの人にとっては注意が必要です。アルコールを摂取することにより喘息を引き起こすというケースがあります。アルコールが体内で分解される時にアセトアルデヒドができて、アセトアルデヒドは白血球からヒスタミンを誘発する働きをします。ヒスタミンというのは、活動を始めると身体の中で炎症が起きてアレルギーの原因となります。

喘息持ちの人がワインを飲んだ時に考えられる影響は、ヒスタミンの誘発だけではありません。亜硫酸塩に対して敏感な体質でアレルギーがあった場合、ワインの酸化防止剤である亜硫酸塩が喘息を引き起こす可能性があると考えられています。

特にアレルギーがない人についてはどうでしょうか?実際に長い期間にわたって大量のワインを飲んだとした場合は、酸化防止剤によって人体に悪影響が出るより前に、アルコールによる悪影響の方がはるかに大きいと言われています。気にするのであれば、酸化防止剤のことより、ワインの飲み過ぎや食事でのカロリーの摂り過ぎ、深夜の飲食などについてかもしれません。

ワインの酸化防止剤が果たすさまざまな働き

では次に、ワインの酸化防止剤がどんな働きをするのかを詳しく見ていきましょう。酸化防止剤は、その言葉のとおり酸化を防止するためのものです。果汁の中の酸化しやすい物質と結合して、無害で酸化しない物質に変化します。そのことにより果汁・ワインを酸化から守ってくれます。

ワインの原料であるブドウは畑で育てられ、収穫されたあとそのまま洗わないで圧搾し果汁にして醗酵させます。ブドウの果皮には酵母などの醗酵の役に立つ微生物が存在しますが、有害な菌類・バクテリアもたくさんいます。ワインの酸化防止剤は、この有害微生物の繁殖を防いでくれます。また、醗酵が終わってワインを瓶に詰める時に亜硫酸塩を添加することによって、できあがったワインの酸化を防いで長期熟成を可能にします。

その他にもワインの酸化防止剤の働きはあります。黒ブドウの果皮からの色素抽出を促してくれます。ブドウの細胞壁を溶かすので、ポリフェノールが抽出しやすくなります。また、ワインの味にも影響を与えます。ワインに酸化防止剤を入れると、タイトな味わいになると言われています。適度な量を食わえると、クリアでフレッシュな味わいをワインに持たせると言われています。

このように、酸化防止剤はワイン造りにとって欠かせないものですが、その働きは数千年前にすでに確認されています。紀元前のエジプト遺跡では、ワインの容器から硫黄を燃やして燻蒸していた痕跡が見つかっています。人類によるワイン造りの長い歴史はには、ずっと酸化防止剤が関わってきていると言えます。

ワインを飲むと頭痛がするのは酸化防止剤の影響?

ワインを飲むと頭痛がするという人がいます。他のアルコールでは大丈夫だけれど、特にワインを飲んだあとの頭痛がひどいという人もいます。これはただの飲み過ぎによる頭痛なのでしょうか?あるいは酸化防止剤の影響だという説もありますが、どうなのでしょうか?実際に頭痛の原因を突き詰めるのはとても難しいわけですが、体質によっては酸化防止剤が合わない人もいます。

ドライフルーツには添加物として亜硫酸塩が含まれていることがよくあります。下のグラフは食品に含まれるSO2量を表しています。一番右がドライフルーツです。ワインを飲んだあとに頭痛がする人は、ドライフルーツを食べてみると、頭痛の原因が亜硫酸塩であるかどうかを確認できるでしょう。食品では大丈夫であれば、頭痛の原因は他にあると考えられます。

また、ワインにはアミンという物質が含まれています。アミンには多くの種類がありますが、ワインに含まれるアミンとしては「ヒスタミン」「チラミン」の2種類が頭痛の原因ではないかという説があります。ヒスタミンは脳の血管を拡張する作用があり、チラミンは脳の血管を収縮する作用があります。これら両方の働きにより頭痛が引き起こされるとも言われています。

ほとんどのワインには酸化防止剤が入っている

実際に売場でワインのラベルを見るとわかるとおり、ほとんどのワインには酸化防止剤が入っています。そして亜硫酸塩の量は、食品衛生法によって定められた350mg/L以下です。実際に含まれている量は、基準値よりさらに低くなっています。

世界各国で販売されているワインについても、ほとんどのワインに酸化防止剤が含まれています。EUでは規正法の条文には、残留亜硫酸塩が10 mg/l以上の場合にワインに「亜硫酸塩含有」の表示を義務づけると書かれています。実際にほとんどのワインにはこの表示があります。

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酸化防止剤不使用のワインがある!

これまでの話で、ワインの酸化防止剤である亜硫酸塩にはさまざまな働きがあり、販売されているほとんどのワインには使用されていることがわかりました。けれども実際にワイン売場を見ると、酸化防止剤無添加の商品も並んでます。

スーパーの売り場でよく見かける酸化防止剤無添加のワインとしては、日本の大手メーカーの商品が目に入ります。亜硫酸塩を使っていないという点で身体にいいイメージがあり、日常的なワインとして売り上げも安定しているようです。価格が安いことも、定着していったひとつの理由と考えられます。

酸化防止剤無添加ワインとは

では、酸化防止剤無添加ワインとはどんなワインでしょうか?一般的にワインの製造過程においては、香料・着色料・合成タンニン・酸化防止剤などさまざまな添加物が使用されます。これらを添加しないワインを無添加ワインと呼びます。酸化防止剤を添加しないワインが、酸化防止剤無添加ワインと呼ばれます。酸化防止剤を使わないとワインの劣化の可能性が高まりますので、衛生面や湿度などの徹底した管理が必要になってきます。

サントリーワインのホームページには、酸化防止剤無添加ワインの商品を開発したメンバーの話が出ています。その中に、酸化防止剤である亜硫酸塩が食品衛生法に定められた物であり、人体に悪影響がないことがはっきりと説明されています。では、なぜ酸化防止剤無添加ワインを開発したのでしょうか?

「ただ、健康志向の高まりから、酸化防止剤無添加のワインをつくれないか?という声を聞くようになりました。そこで、私たちは酸化防止剤無添加のワインをつくることにしたんです。」というコメントがありました。つまり、酸化防止剤に害があるから酸化防止剤無添加ワインが生まれたのではなく、消費者のニーズに合わせて開発されたと言えます。

酸化防止剤無添加であっても「酸化防止剤含有」?

酸化防止剤をまったく使用していないワインでも、醸造の過程で二酸化硫黄がごく微量自然発生する場合があって、食品衛生法で「酸化防止剤含有」の表記が義務づけられています。上のラベルの写真には「発酵段階で亜硫酸塩が微量自然に生成されるため、意図的な添加が皆無であっても上記に酸化防止剤(亜硫酸塩)含有と記載してます。」と書かれています。

酸化防止剤無添加ワインの賞味期限は?

ワインは一般的に賞味期限という考え方のない商品です。酸化防止剤無添加のワインの場合はどうなのでしょうか?サッポロがホームページでその点について回答しています。「当社の酸化防止剤無添加ワインはビールの製造技術の応用により、酵素や酸素などの接触を極力抑えて製造しております。なお、通常のワインと比べると香味が変化しやすいため、密封して冷蔵庫で保管し、できるだけ早くお飲みいただくことをお勧めします。」

では開封後のワインについてはどうでしょうか?この点については、アサヒのホームページのコメントを引用します。「酸化防止剤無添加のワインはやはり酸化に弱いので、一度開栓したらできるだけ早くお飲みになるのが良いでしょう。」やはり、通常のワインより早めに飲んでしまった方がいいようです。

酸化防止剤を使わない酸化防止剤無添加ワインとオーガニックワイン

一方で、オーガニックワインという呼び方があります。それはどんなワインなのでしょうか?オーガニックワインとは、有機栽培されたブドウでつくられたワインのことです。原料であるブドウの栽培については、農薬や化学肥料を使用について細かな規定がありますが、ワインの醸造方法については規定がありませんでした。ですから、酸化防止剤無添加ワインとオーガニックワインは、本来はまったく別の話となります。

ただ、EUにおけるオーガニックワインに関する規定については、2012年に変更がありました。2012年以前の規定では農法メインの厳しい基準でしたが、新しい規定では醸造方法に関しても厳しい基準が追加されました。亜硫酸添加は、赤ワインでは100mg/L、白・ロゼワインは150ml/Lを上限として認められています。

酸化防止剤無添加ワインは実はワインではない?

酸化防止剤はワインの品質を保つためには必要なものです。それを使っていない酸化防止剤無添加ワインでは、酸化防止剤に代わるさまざまな方法を用いています。日本酒のように火入れをして微生物を殺している場合もありますが、フランスではワインの火入れは違法です。殺菌のために温度を上げると酵母は死んでしまうので、味わいのない飲み物となってしまいます。

スーパーやコンビニで売られている安価な酸化防止剤無添加ワインのラベルを見ると、原料として「輸入有機ぶどう果汁使用」、「輸入ブドウ果汁使用」といった記載が見られます。本来ワインとして認められるのは生のブドウから造ったものだけですので、厳密にはワインとは言えません。ワインではなく「アルコール入りブドウジュース」だと言っている人たちもいます。

よく見かける酸化防止剤無添加ワインのほとんどが、甘口だということにも注意が必要です。「すっきり」「食事にあう」と書かれていますが、通常のワインの辛口を想像して飲むと、その甘さに驚かれるかもしれません。ワイン本来の深い香りや渋みを味わいたい人にはおすすめできませんが、逆に甘口でフルーティな味わいが好きという方には無添加ワインはおすすめです。

サントリーの「酸化防止剤無添加のおいしいワイン」

こちらがサントリーから販売されている「酸化防止剤無添加のおいしいワイン」です。商品名に「酸化防止剤無添加」、「おいしい」と入っているところが、従来のワインにはない特徴とも言えます。「ワインが苦手な方にもおすすめ」というコメントが見られるように、別の飲み物だと考えれば健康志向のニーズをとらえた現代の日本の商品だと言えます。

メルシャンの「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」

こちらはメルシャンから販売されている「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」です。こちらもネーミングに「酸化防止剤」と「おいしい」という言葉を使っていて、サントリーの商品ととてもよく似ています。「無添加カテゴリー国内ワイン売上シェアNo.1ブランド。2006年4月~2018年3月実績。」という情報があります。

山梨県産のブドウを使った酸化防止剤無添加ワイン「あじろん」

上に紹介した2つは、輸入ブドウ果汁を使った格安の酸化防止剤無添加ワインです。大手メーカーはこういった商品を販売していることが多いです。一方、地方のワイナリーに目を向けると、日本で収穫したブドウを使った酸化防止剤無添加ワインが作られています。価格も高くなる傾向がありますが、酸化防止剤を使わずに美味しいワインを作るには手間がかかっているとも言えます。

上の写真は一例として、山梨で古くから栽培される幻の黒ぶどう「アジロンダック種」を使った酸化防止剤無添加ワイン(1950円)を紹介します。芳醇なブドウらしい香りを特徴とするこの品種は、生産量が少ないブドウです。できあがった赤ワインはしっとりした甘さがありますので、フランスやイタリアの美味しい辛口のワインに慣れていると少し方向性が違うかもしれません。

私たちが普段ワインを購入するのは、スーパーやコンビニエンスストアであることが多いわけですが、日本でも地方に行くと小さなワイナリーがあります。日本のワイン造りの歴史は浅く、それでも試行錯誤しながらブドウ造りから醸造まで取り組んでいる会社がいくつもあります。まだ出会っていないとても美味しい「酸化防止剤無添加ワイン」があるかもしれませんので、旅行などの際に試してみるのもおすすめです。

オーガニックワインについて

EUで正式にオーガニックワインと名乗るためには、EUにおけるオーガニックワインに関する規定を守って認証を受けることが必要になります。2012年の新規定移行後には、それまでの農法についての基準以外にも、醸造方法に関しても厳しい規定が追加されました。そのため、2012年以降に認証を受けたオーガニックワインは、より安心できるワインと考えられます。

EUのオーガニックワインの認定を受けたワインには、上の一番右のユーロリーフというマークが貼られています。このマークは、EUの旗に由来する星と葉を組み合わせてデザインされています。

EUによる認定以外にも、民間の認定機関もあります。フランスには、上の写真のABのマークで知られているAgriculture Biologiqueというフランス農業省が定めている認証機関があります。ワインの場合は、原料であるぶどうが基準をクリアしていること、さらに酸化防止剤についてEUの定める使用基準上限の3分の2までであることが認証条件となっています。

フランスには他にもECOCERT(エコセール)というオーガニック製品認証機関があります。合成化学肥料をまったく使わず有機肥料を使い、農薬や除草剤なども使用しない厳密に管理された有機農法によって手摘みで収穫されたブドウでつくられます。こういった有機農法を5年以上続けて初めて認められる認定で、このマークを表示するためには、毎年きびしい検査をクリアしなければなりません。

ワインで頭痛になりやすい人はオーガニックワインがおすすめ

ワインで頭痛になりやすい人はどんなワインを選んだらいいのでしょうか?化学物質などのアレルギーをお持ちの方の中には、酸化防止剤の添加量が多いワインに対して頭痛などの反応があらわれる場合もあります。そういった方は、酸化防止剤無添加のワインを飲んでみることもできます。また、亜硫酸塩が原因であるかどうかを確認するには、それを多く含むドライフルーツを食べて様子を見るという方法もあります。

ただ、コンビニやスーパーで安価で売られている酸化防止剤無添加ワインは、本来のワインとは異なる製造方法で作られているため、ワイン好きの人には満足できないでしょう。そんな時におすすめできるのは、オーガニックのワインです。ワインの品質を保つために必要な亜硫酸塩の使用は、少量の範囲で認められています。オーガニックのワインはブドウの栽培から始まり醸造過程まで厳しいチェックを受けています。

頭痛の原因を解明するのは難しいことですが、ワインの中の化学物質の仕業かもしれません。ワインで頭痛になりやすい人はだけでなく健康に気を使う人には、今までより少しだけ値段は高くなってもオーガニックワインがおすすめです。安いワインを大量に飲むよりは、オーガニック認証を受けた安心できるワインをいつもより少ない量だけ飲む方が身体にはいいとも言えます。

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酸化防止剤はワインの品質を保つのに欠かせないものだった!

ワインの酸化防止剤である亜硫酸塩は、食品添加物として認可されている安全な物でした。そしてワインの品質を保つために欠かせず、ほとんどのワインに含まれていることもわかりました。特に亜硫酸塩に対するアレルギーがない人であれば、規定されている範囲内で摂取する分にはなんら問題はありません。いかがでしたでしょうか?

健康のためには、オーガニック認証を受けたワインがおすすめです。頭痛などワインによるなんらかの不調を感じる人は、できるだけ身体にいいワインと食事を選んで素敵な時間をお過ごしください。

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