フグが毒を持つのはなぜ?毒のある部位と種類や処理について!

フグといえば毒を持っていると知る人は多い魚ですが、フグはなぜ毒を持っているのか、その理由はご存知でしょうか?今回はフグの持つ毒について、どういった理由で毒を持っているのか、フグの種類による毒のある部位の違いや処理についてをまとめてご紹介します。フグは好きだけれど毒についてはあまり考えた事が無かったという人は、この機会にフグの毒について知っておいた方が良いかもしれません。

フグが毒を持つのはなぜ?毒のある部位と種類や処理について!のイメージ

目次

  1. 1フグは美味しい魚だが強い毒を持っている
  2. 2フグの毒について正しい知識を知ろう
  3. 3フグが毒をもつ理由とは?
  4. 4フグの毒のある部位と種類について
  5. 5フグの毒の部位の処理は?
  6. 6フグは正しい知識を持った調理師に任せて美味しく食べよう

フグは美味しい魚だが強い毒を持っている

フグは美味しい魚である反面、とても強い毒を持った魚であるという事も知られています。どれほど美味しいと言われていても、毒がある魚なんて怖くて食べられないという人もいる一方で、フグを食べられなくなるなんて考えられないというほどに、フグという魚の味に魅了されている人もいるものです。そもそもフグはなぜ毒を持っているのか、その理由についてはご存知でしょうか?

今回はフグはなぜ毒を持っているのか、毒のある部位とはフグのどの部分なのかといった疑問から、フグ毒の処理はどの様にすれば良いのかといった情報までをまとめてご紹介していきます。フグの毒は少量であれば問題無く食べる事ができるといった噂もある様ですが、果たして本当なのでしょうか?これまではフグの毒についてあまり意識をせず口にしていたという人も、改めてきちんと理解をしておいた方が良いかもしれません。

フグの毒について正しい知識を知ろう

フグを美味しく安全に食べる為にも、まずはフグの持つ毒について正しい知識を持つ事が必要なのではないでしょうか?毒があるという事自体は知っていたとしても、一体どの様な毒なのか、万が一食べてしまった場合にはどういった症状が出るのかといった事を、知らないという人も案外多かったりするものです。まずはフグという生き物を知っていく事から始めていきましょう。

フグは専門の調理師による調理が必要

一般的に市販されている魚であれば、料理慣れしている人は丸々一匹を自分で捌いて調理をするという事もある筈です。しかし毒を持つフグに関しては、調理師免許を持つ人でなければ処理してはならないとされています。フグの持つ毒は最悪の場合命を落とす危険性も持ち合わせている為、調理師免許を持たない人の捌いたフグを食べたいと思う人は、決して多くはないのではないでしょうか?

100種以上いると言われるフグの全部に毒がある?

フグと言われて想像するのが、まん丸とした体形でトゲのある姿ではないでしょうか?しかし実はフグというのは、細かな種類を合わせると世界中で100種類以上もいるのだそうです。日本近海だけでもおよそ50種類ほどのフグが生息しており、食用とされているのはその中の22種類のフグなのだそうです。しかし100種類以上のフグ全てに毒があるかというと、実は無毒であると言われているフグもいる様です。

無毒なフグもいるが注意は必要

「カナトフグ」「サバフグ」「シロサバフグ」と呼ばれる種類のフグは毒が無いと言われているそうですが、実はこの3種類のフグは全て呼び方が異なるだけで同じ種類のフグなのだそうです。佐賀県ではスーパーなどでも普通に売られているフグなのだそうですが、猛毒を持つ別のフグと見た目がとても似ているフグであるという事もあり、素人目に判断して食べてしまうのは危険なフグでもある様です。

更にテレビのサバイバル番組で登場した事もある「ハコフグ」ですが、こちらも可食部位はあるものの「パリトキシン」と呼ばれる毒を有している部分もあるそうです。実は同じハコフグでもこの毒を持つ個体と持たない個体がいるそうなので、可食部位は無毒だから食べても大丈夫だろうと考えて、安易に素人が調理をしてしまうといった事はしない様にしておくのが無難であると言えそうです。

小さなフグほど強い毒をもつ?

大きいフグに比べても外敵から狙われる危険性が高まる為か、小さいフグの方が強い毒を持つ場合が多かったりするそうです。その為小さいフグだから多少毒があっても大丈夫だろう、などと考えてしまった場合、大きなフグよりもずっと強力な毒を取り込む事になってしまう可能性も無いとは言い切れないのです。あくまでもフグは毒を持つ魚であるのだという事を常に頭に入れておくのが良さそうです。

養殖のフグは毒をもたない?

しかし天然ではなく養殖のフグであれば、毒を持っていないのではないかという噂がある様です。けれど実際には養殖のフグであっても、毒を持っている可能性はあるものなのだそうです。無毒のフグを養殖で作り出す事も理論上では可能なのだそうですが、天然フグや毒化したプランクトンなどの影響によって、無毒で成長していたフグが毒を持ってしまう可能性がとても高いのだそうです。

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フグが毒をもつ理由とは?

しかしそもそもなぜフグは毒を持つ様になってしまったのか、その理由を知っておく必要があるのではないでしょうか?毒を持たずに成長する魚も多い中で、フグの毒がなぜ発生するのか気になる理由を一つずつご紹介していきます。フグが毒を発生させる主な理由は、防衛や生存に関係した理由が大きく関わってきている様です。

敵から身を守る防衛のため

どの様な生き物であっても、自然界の中で生き延びていく為には身を守る術を持たなければなりません。フグもまた、外敵から身を守る為に毒を持ち、食物連鎖の為に毒を作り出していると考えられています。フグはあまり速く泳ぐ事ができない為、外敵と遭遇してしまうと捕食されるしかなくなってしまいます。その為体を大きく膨らませて、体の表面から毒を放出する形で敵を威嚇しているのだそうです。

実はフグは元々毒を持って生まれる魚というわけではなく、餌として毒化されたプランクトンなどを捕食する事で、毒が体内へと蓄積していき結果的に毒を持つフグとなるのだそうです。しかしフグ以外の魚も同様の餌を食べている状態にも関わらず、なぜか毒を持つ魚になる事はありません。これは他の魚は毒を食べてしまったとしても、体内に蓄積される事なく排泄される事が理由であるとされている様です。

フグは自分の持つ毒で死なない?

フグの持つ毒は、周囲だけではなくフグ自身にとっても毒となるものなのです。しかしその毒でフグが死ぬ事が無いのはなぜなのか、その理由はフグが毒に対する抵抗力を持っている為なのです。けれど自然の広い海の中であれば死ぬ事は無いフグも、狭い水槽の中で飼われている場合には持っている抵抗力以上の毒を蓄積する事となり、最終的には体内で処理しきれない毒によって死んでしまう事となるのだそうです。

メスがオスをひきつけるフェロモンの役割を果たす

更にフグが毒を持つ理由の一つには、メスがオスを誘う為のフェロモンとしての役割があるのではないかと考えられている様です。フグの卵巣というのは猛毒を持っているという事が知られていますが、これによりオスのフグが引き寄せられてくるのではないかと言われているのだそうです。毒とわかっていて近付いてくる外敵はいない筈なので、目的のオスのみを引き寄せる合理的な方法であると言えるのかもしれません。

寄生虫から身を守るため

外敵から身を守り、子孫を残す為のフェロモンとしても有効活用されているフグ毒ですが、実はフグが毒を持つのにはもう1つ理由があるのだそうです。それは寄生虫から身を守る必要がある為で、体内にテトロドトキシンが無い状態だと、海の中に生息している様々な寄生虫が入り込んできてしまう危険性がある様です。目に見えない外敵から身を守る為に、フグの毒は欠かせないものであると考えられています。

他のフグから毒を貰っている?

フグは元々毒を持って生まれてくる魚ではありませんが、自然界に生息しているフグは他のフグから毒を分け与えて貰っているといった可能性もあるのだそうです。これは日本大学生物資源科学部により、調査したクサフグの腸内からヒガンフグの受精卵が見つかった事から、毒を持たないトラフグの稚魚に有毒卵を食べさせ、トラフグが毒化した事を確認した為にその様な可能性が浮上したのだそうです。

フグの毒のある部位と種類について

しかし実際にフグを扱い提供している飲食店も少なくありません。つまりフグには食べられる部位と毒のある部位が存在している筈ですが、フグはどの様な部分に毒を持っているのかをご存知でしょうか?続いてはフグの中で毒のある部位についてや、フグの種類によって異なる毒性の強さについてを順番にご紹介していきます。フグ毒は加熱すれば消えるという噂もある様ですが、果たして事実なのでしょうか?

毒がある部位は肝臓と卵巣と皮

フグの毒は種類によって強さや毒のある部位が異なってきますが、主に肝臓、卵巣、皮に毒性を持つフグが多い様です。フグの中でも最高級と言われている種類のトラフグの場合にも、肝臓、卵巣、腸が毒のある部位とされています。可食部位は白子や筋肉の部分となっているそうです。更にこちらも美味しいヒガンフグですが、可食部位は筋肉のみで、その他はほぼ全て毒のある部位となっている魚の様です。

フグの種類によって毒のある部位だけではなく毒性の強さも異なっており、同じ卵巣でもクサフグの場合には少量で致死量となる猛毒を有している一方で、ハコフグやハリセンボンなどは無毒とされています。毒性の強さは主に4段階に分けられており、10g以下でも致死となる猛毒、10g以下であれば致死には至らない強毒、100g以下であれば致死には至らない弱毒、1000g以下であれば致死ではない無毒という分類となっています。

フグがもつ毒のテトロドトキシン

フグは毒を持つ魚だという事は広く知られていますが、そのフグが持つ毒といえばテトロドトキシンと呼ばれる猛毒です。これは様々な技術が発達した現代において尚も解毒の方法を見つける事ができていないほどに、構造が複雑な毒なのだそうです。自然界の中で最強と言われている「マイトキシン」という毒がありますが、テトロドトキシンはその次に強い猛毒とされている程に強力な毒なのです。

ちなみにテレビドラマの犯罪シーンなどでも登場する機会の多い「青酸カリ」という毒ですが、青酸カリはほんの少量で人の命を奪う事が可能な毒である事は有名です。しかしフグの持つテトロドトキシンという毒は、その青酸カリと比較してもおよそ850倍もの毒素を持つと言われているのです。フグ中毒がなぜ怖いと言われているのか、それだけでも十分に理解する事ができるのではないでしょうか?

フグの毒にあたると出る症状

万が一フグの毒にあたってしまった場合に、どの様な症状が出るものなのかも覚えておく必要がありそうです。フグ毒の症状でも最初に自覚をしやすいのが、唇や舌に痺れを感じるという特徴です。徐々に段階を踏み頭痛や嘔吐などの症状があったり、運動や言語などに障害が出始めます。最終的には呼吸停止により命を落としてしまう事となり、発症までは早ければ2時間弱、遅くとも24時間以内となる事が多い様です。

フグ中毒になったら迷わず救急車を呼ぶ

万が一フグの毒にあたってしまった場合には、必ず早急に医療機関を受診する事が大切です。特に症状が早い段階で出る場合には危険性が高く、症状が軽いからと様子見などはせずすぐに救急車を呼ぶ必要があるそうです。ちなみに症状が食後8時間以上経過してから出てきた場合には軽症と判断されるそうなので、こちらも医療機関を受診した上できちんと処置をして貰えば命の危険は無いそうです。

フグ中毒の際の応急処置

意識がある状態であれば、救急車を呼んだ上でできるだけ多くの水を飲み食べた物を吐き出す様にしてください。上手く吐けない場合には指を使うなどする必要もあります。消化器官に毒が吸収されてしまう前に食べた物を吐き出す事ができれば、症状の進行を抑える事もできるのです。もしも既に意識が無い状態の場合には、呼吸の確認をした上で救急車を待ち、無理やり吐かせる事はしない方が良いそうです。

フグの毒の部位の処理は?

フグは非常に恐ろしい毒を持っているという事が理解できたのではないでしょうか?しかしそれでもフグの美味しさに魅了されてしまい、何度でもフグを食べてしまうという人もいるものです。毒のある部位をどの様に処理すれば良いのか、適切な処理方法さえ知っておけばフグを食べられると考える人もいるかもしれませんが、誤った処理の仕方をしてからフグ中毒になり、なぜなのかと思っても後の祭りとなってしまう恐れもあるのです。

加熱しても消えないテトロドトキシン

毒の中には加熱をすれば毒素が消えてなくなる種類のものもありますが、テトロドトキシンは加熱によって毒素が分解される事はありません。大抵の食材は火を通しておけば食べられるだろうと考える人も多いものですが、本当に加熱で毒素が分解されてくれるのであれば、フグの中に食用不可な毒のある部位は無くなる筈です。加熱したから大丈夫だろうと思い込んでフグを食べる事はとても危険な行為と言えるのです。

フグの調理には必ず専門の調理師に任せる

フグを食べ慣れている人の中には、調理師免許を持っていないにも関わらず自らフグを捌いてしまう人もいるものです。そういった人ほどなぜか自信満々である事も多い様ですが、たとえ可食できると言われているフグであっても、中には毒性の強いフグと見分けがつかないものもあったり、毒のある部位をきちんと処理しきれていない事もあるものです。フグの調理は専門の人に任せておくのが最も安心な方法なのです。

肝臓や卵巣といった毒のある部位は絶対に口にしない

ゲテモノ好きな人は鍋料理などで内臓類を好んで食べたりする人も多いものですが、フグの場合には毒のある部位は絶対に食べない様にする事が大切です。たとえフグの肝臓や卵巣がとても美味しい部分であると言われても、毒に苦しみながら命を落としたいと思う人はいない筈です。今後も美味しくフグを食べたいと考えるのであれば、ルールを守ってフグを楽しむという事も重要なのではないでしょうか?

フグは正しい知識を持った調理師に任せて美味しく食べよう

フグの持つ毒についての基本的な知識や、フグの種類による毒の強さの違い、更にはなぜフグが毒を持つのかといった疑問をまとめてご紹介してきましたが、フグの持つ毒の恐ろしさを理解する事ができたのではないでしょうか?美味しいと感じる食材は積極的に味わっていきたいものですが、危険性を持った食材であれば食べ方や処理には十分すぎるほどに気を付けなければならないものです。

フグ中毒の多くは素人が調理したフグによって起こっているものであるといった事もあり、素人が毒性のある食材を扱うというのは想像以上に危険な事であると理解できる筈です。フグ料理を食べたいと感じた際には、毒のある部位の処理や調理は専門の免許を持った調理師に任せる事として、安心できる状態でフグを楽しむ様にしておきましょう。

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