さんまの寄生虫には赤・黒・白がある?アニサキスについても調査!

さんまには赤・黒・白と数種類の寄生虫が付いていることがあります。さんまに寄生虫が付いているということは聞いたことがあるけれど、実際どんな寄生虫が付いているのか知らない人も多いことでしょう。さんまが大衆魚で口にする機会も多いことを考えれば、寄生虫に関して正しい知識を持っていたほうが安心です。虫は苦手という人も、さんまを美味しく食べ続けるためにぜひ一度、さんまの寄生虫のことを勉強してみませんか?さんまの寄生虫の種類と安全性の他、さんまを安心して食べるための対処法も紹介します。

さんまの寄生虫には赤・黒・白がある?アニサキスについても調査!のイメージ

目次

  1. 1さんまには赤・黒・白の寄生虫がいる
  2. 2さんまに付く赤い寄生虫・ラジノリンクス
  3. 3さんまに付く黒い寄生虫は2種類いる
  4. 4さんまに付く白い寄生虫アニサキスは危険な寄生虫
  5. 5さんまに付く寄生虫まとめ

さんまには赤・黒・白の寄生虫がいる

皆さんも一度くらいは、さんまにも寄生虫が付いていることを聞いたことがあるのではないでしょうか?さんまには見つけやすいものから見つけにくいものまで、実に4種類もの寄生虫が付いていることがあります。色も赤・黒・白となかなかカラーバリエーションも豊富ですが、もちろん中には人にも害のある、要注意で危険な寄生虫もいます。さんまに付いているそれぞれの寄生虫の安全性と、感染の防止方法などの対処方法を紹介します。

さんまに付く赤い寄生虫・ラジノリンクス

時々さんまの肛門から、赤い糸のような変なものが出ていることがあります。さんまや鯖、かつおにブリといった青魚系に付いていることが多い寄生虫で、意外と見かけやすい寄生虫とも言えます。ラジノリンクス(Rhadinorhynchus selkirki)は赤っぽいオレンジ色をしていて、鉤頭虫類(こうとうちゅうるい)と呼ばれる寄生虫の仲間です。体長は2cm~3cmで体の幅は2mm~3mm程度と小さい寄生虫ですが、赤いためかなり目立ちます。

ラジノリンクスは内臓に寄生している

ラジノリンクスは、吻(ふん)と呼ばれる体の中に引っ込めることもできる器官を持ち、吻の表面に逆向きに並んで生えている棘を使って、宿主の胃や腸に開けた穴に自身の体を固定して付いています。通常はさんまなどの魚には胃がないため腸に寄生していますが、赤く目立つ色をしていながらも、さんまの体内に潜り込んでいるため見つけられにくく、さんまを食べるときに初めて気付くケースが多い寄生虫です。

ラジノリンクスは吻で宿主であるさんまの腸に自身を固定して、その後の一生をさんまとともに過ごします。さんまが消化した栄養素を吸い取りながら生き続け、繁殖もさんまの体内で行うことから、1匹のさんまに数匹のラジノリンクスがいることは珍しくありません。先にも紹介したように、稀に肛門から外に体の一部が出ていることもありますが、多くは体にも生えている突起を使って、さんまの腸に絡みつくように寄生しています。

ラジノリンクスは人に害はある?

ラジノリンクスはさんまの内臓に寄生しているため、食べるときになってはじめて気が付くことになりやすく、良くその安全性が気にされます。赤い色をしているため余計に目立つ割には小さいこともあり、すでに食べてしまっているのではないかと不安になって、販売店や消費者生活センター、保健所といったところに、安全性に関して問い合わせの電話がかかってきやすい寄生虫でもあります。

赤い色が余計に気持ち悪く見えるラジノリンクスですが、青魚に寄生するものの人には寄生することがないため、食べてしまっても人体に害はありません。ただしラジノリンクスが寄生していたさんまが生焼けで、生きたままだったラジノリンクスの吻が人の喉に引っかかってしまったという事例はあるため、さんまの内臓が好きだという人はラジノリンクスがいないか確認しつつ、赤いものを見つけたらはじくようにしたほうが無難です。

さんまに付く黒い寄生虫は2種類いる

さんまに付く黒い寄生虫は2種類います。しかも両方ともさんまの体表に寄生するため、見つけやすく取り除きやすい特徴があります。モノによっては水揚げされた衝撃で落ちてしまうものまでいます。出荷業者や販売店でも商品としての見栄えに影響が大きいため、先に体表に付いている寄生虫は全て取って処理してしまいます。そのためこの黒い寄生虫たちは、寄生していた痕跡以外でそのものを見る機会は少ないと言えます。

黒くて細長いサンマヒジキムシ

まさにさんまに寄生しています、といわんばかりの名前のこの寄生虫は、ペンネラという寄生虫の仲間です。サンマヒジキムシ(Pennella sp.)は、錨(いかり)のような形をした頭部を筋肉に食い込ませて、尻尾の方はさんまの体外に出しっぱなしという状態で寄生しています。さんまに寄生しているサンマヒジキムシは雌のみで、体長は7cmほどのものが多いようですが、長いものだと数10cmになるものもいる、かなり大きい寄生虫です。

サンマヒジキムシはさんまの体表に付いている

先にも説明したように、サンマヒジキムシは筋肉に頭を食い込ませて寄生しています。そのためサンマヒジキムシに寄生されたさんまは、黒い紐を体から生やしたような姿になります。見た目でもすぐにわかるため、通常は取り除かれた状態で売りに出されますが、稀に体内に隠れていたサンマヒジキムシが、冷蔵庫で保存しておいたさんまから出てきた、何てこともあります。

さらにサンマヒジキムシは、1匹のさんまに数匹付いていることもあります。1983年にこのサンマヒジキムシが大発生したときは、さんまへの寄生率が約33%にも達したことがあり、何本もの黒い紐状のサンマヒジキムシを付けたさんまが多かった年もありました。このサンマヒジキムシが多くなる年が時々あるため、さんまを選ぶ際にはなるべく寄生した痕がないものを選ぶようにしましょう。

サンマヒジキムシが付いていた、もしくは付いているさんまには、体にぽつぽつと穴が開いています。これはサンマヒジキムシが開けた穴です。表面上は付いていなくてもこのサンマヒジキムシが体内にいると、冷蔵庫で保存中に出てきて、さんまにぼこぼこと穴を開けてしまうこともあるため、穴の開いているさんまは極力選ばないように、さんま全体を良く見回してから買うようにしましょう。

黒っぽくて楕円形のサンマウオジラミ

サンマウオジラミ(Caligus macarovi Guseb,1951)は甲殻類に属する寄生虫で、色は茶褐色からほぼ黒い色をしています。ウオジラミというと、熱帯魚や金魚を飼っている人ならよく耳にする寄生虫です。種類はサンマウオジラミとは異なりますが、ペットショップなどでも専用の殺虫剤が売られているように、さまざまな魚に付く寄生虫でもあります。淡水性だけでなく海水性のウオジラミもいるのです。

サンマウオジラミもさんまの体表に付いている

サンマウオジラミは、サンマヒジキムシと同じくさんまの体の表面に張り付いて、さんまが体を保護するために出す粘膜や血液を吸って生きています。そのため、サンマウオジラミに寄生されていたさんまの表面には、黒っぽい斑点のような傷跡が残っています。体長は3mm~6mm程度で、筋肉に潜り込むこともないので、水揚げのときの衝撃だけでも簡単に落ちてしまいます。そのため売り場で見ることは稀な寄生虫です。

もしサンマウオジラミが付いているさんまを買ってしまった場合は、真水で洗うと簡単に死んではがれます。軽くたわしなどで尻尾のほうからこすって、さんまのぬめりと細かいうろこを取るついでで、全て落とすことができます。もしさんまの皮の上で何かが動いていたら、すぐに真水でぬめりごと洗い流してしまいましょう。ただし残念ですが、サンマウオジラミがつけた痕は消すことはできません。

とはいえ寄生虫に付かれた痕のあるさんまは、やっぱり買いにくいのが本心です。全体を見回してみて、黒い斑点のないさんまを選びましょう。こうすることで、サンマヒジキムシによる被害も防ぎやすくなります。他の魚選びと同様に、傷や不自然な痕のあるさんまを避けて買うのが、寄生虫の被害が最小限に抑えられた、美味しいさんまを買うコツでもあります。

さんまの黒い寄生虫2種は人に害はある?

サンマヒジキムシもサンマウオジラミも、人に寄生することはないので無害です。ただし寄生虫そのものの見た目や寄生していた痕などの、さんまへの印象悪化には絶大な効果があるのは否めません。さんまを購入する際には、とにかく肌が綺麗で傷ひとつないさんまを選ぶよう心がけましょう。

さんまに付く白い寄生虫アニサキスは危険な寄生虫

ここまでの赤と黒の寄生虫は、見た目による被害がほとんどで人体に害はありませんでしたが、白い寄生虫であるアニサキスとなると話は一変します。他の魚にも寄生していることがあるのとその危険性のため、魚に付く寄生虫の中ではもっとも有名といえる寄生虫です。さんまにはこのアニサキスの幼虫が寄生していることがあるので要注意です。

アニサキスはさんまの内臓に寄生している

アニサキス(Anisakis)は回虫の仲間で、種類によって異なるものの最終的にはクジラやイルカを宿主として成長・繁殖します。さんまはあくまで中間宿主ですが、その内臓の表面に渦巻状になって寄生しています。幼虫とはいえ体長は2cm~4cmあるので、肉眼でも白い細長い線虫が円を描いて張り付いているのを確認できます。モノによっては半透明の粘膜でできた、シストと呼ばれる袋に入っている場合もあります。

アニサキス自体は半透明の白い姿をしていますが、内臓の表面に寄生していることもあり、注意してみれば丸い白っぽい輪っかが付いているのを見つけることができます。1匹いたら他にもいることも多いので、さんまを買ってきたらすぐに内臓は取り除いて綺麗に洗うようにしましょう。アニサキスの多い内臓を取ってしまうことで、被害を減らすことができます。

アニサキスは人にも寄生する怖い寄生虫

アニサキスは本来、人には寄生しません。そのため通常はそのまま体外に排泄されます。ですがさんまなどアニサキスに汚染された魚を生で食べた場合、稀に人の胃や腸壁に進入して食い破って外に出ようとします。多くの場合、食べてから8時間以内に激しい腹痛とともに、吐き気や嘔吐の他に蕁麻疹などの症状を伴うことがあります。こういった症状は胃けいれんや胃潰瘍、虫垂炎などと良く似ているので、素人判断はやめましょう。

アニサキスはさんまが死ぬと筋肉に移動する?

実はアニサキスは宿主のさんまが死ぬと、内蔵から筋肉のほうに移動していくことが多くあります。そのため刺身用に内臓を取り除かれた状態で売っているさんまでも、アニサキスがいることがあるのです。そのため特に腹回りの筋肉は、刺身にする前に白い虫がいないか確認したり、下処理をする必要があります。写真のように他より赤くなっている身の中には、アニサキスが隠れていることが多いので特に注意して処理しましょう。

アニサキスの被害を防ぐ方法

アニサキスを確実に殺すには、やっぱり加熱処理が一番確実です。アニサキスは60℃だと1分で、70℃以上ではほぼ瞬時に死滅するので、塩焼きや煮物などしっかり火を通した料理方法なら安心して食べられます。どうしても刺身でさんまを食べたいときには、-20℃以下で24時間以上冷凍すればアニサキスを死滅させることができます。とはいえ安全面を考えたら、専門職である魚屋などできちんと調理されたものを購入しましょう。

さんまを家で調理する場合、スーパーや魚屋ですでに内臓を取って売っているさんまを買ってきて使うのも、アニサキスの被害を防ぎやすい方法です。開いた状態でパック詰めされて売られていることも多く、そのような場合は他の寄生虫の痕は確認しにくいですが、一番怖いアニサキスが残っている可能性はかなり低くなります。もちろん特にさんまのお腹近くに白い虫がいないか、しっかり確認したほうがより確実です。

アニサキスに感染したらどうする?

アニサキスに感染して起こる病気を、アニサキス症といいます。発症率は11%と低めですが、注意していたつもりでもアニサキスに感染してしまった場合は、すぐに病院に行って医師の診察を受けましょう。そのときには症状の良く似た他の病気である胃けいれんや胃潰瘍、虫垂炎と区別しやすいように、さんまをどういう状態で食べたかを伝えると、より早く正確に判断する材料になります。

アニサキス症は見落とされると胃薬の処方だけで様子見、となることも多い病気です。確かにアニサキスは人の消化器内では生き続けることができないため、いずれは死んで痛みも治まります。ですがアニサキスが死ぬまでは胃腸を傷つけられ続けるため、ひどいときにはアナフィラキシーショックを起こす可能性すらあります。アナフィラキシーショックは命に関わる場合もあるので、正確な判断が必要になるのです。

きちんとアニサキス症と判断されたときには、通常胃カメラで体内に入り込んだアニサキスを取り除くことになります。ひどい場合には外科手術が必要になった例もあります。かといって自然治癒を待つのには激痛に耐え続けなければならないので、やはり普段からアニサキスに感染しないよう、さんまの刺身を食べるときには専門家がおろしたものを購入し、さんまを調理するときは生焼けを防ぐなどしっかり過熱しましょう。

さんまに付く寄生虫まとめ

さんまには予想以上に多くの寄生虫が付いています。ですが赤と黒の寄生虫は、さんまに傷をつけて外見を悪くしたりするものの、うっかり食べてしまっても問題ありません。ですが白い寄生虫には細心の注意が必要です。さんまを安全に美味しく食べるためにも、寄生虫の知識はしっかりとつけておくべきです。これは他の魚や肉にも言えることです。正しい知識で美味しい食事を楽しみましょう。

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