こんにゃく芋とは?毒があって生食できない?こんにゃくの作り方も解説

こんにゃく芋は、こんにゃくの原料となる作物で、栽培に手がかかる作物です。こんにゃくは日頃よく食卓に並ぶ食材ですが、そのこんにゃくがどのように作られているか知っている人は少ないのではないでしょうか。ここでは、普段あまり見ることのないこんにゃく芋の栽培についてやこんにゃくの作り方、アレンジレシピなどを紹介します。こんにゃく芋には毒があり、生で食べることはできないので毒抜きの仕方も合わせて紹介します。

こんにゃく芋とは?毒があって生食できない?こんにゃくの作り方も解説のイメージ

目次

  1. 1こんにゃく芋とは?
  2. 2こんにゃく芋を生のまま食べるのは危険
  3. 3こんにゃく芋から作るこんにゃくの作り方
  4. 4こんにゃく芋で作った手作りこんにゃくの食べ方
  5. 5こんにゃく芋で作った手作りこんにゃくの保存法
  6. 6こんにゃく芋の生食は危険

こんにゃく芋とは?

おでんや煮物にかかせないこんにゃくは、低カロリーで食物繊維たっぷりと、ダイエットの強い味方です。そんなこんにゃくはこんにゃく芋から手をかけて作られているのを知っていますか?こんにゃく芋はサトイモ科の球茎で、こんにゃくの原料となる作物です。

ここでは、そんなこんにゃくの原料となるこんにゃく芋の歴史や栽培方法、こんにゃく芋に含まれる毒についてやこんにゃく芋から作る手作りこんにゃくの作り方、おすすめレシピなどこんにゃく芋の全てを紹介します。

こんにゃくの原料となるこんにゃく芋の栽培方法や毒のこと、毒抜きやこんにゃく芋から作る手作りこんにゃくの作り方等こんにゃく好きなら一度は食べていただきたい手作りこんにゃくのイロハをぜひご覧ください。

原産国は東南アジア

東南アジアの風景

こんにゃく芋の原産国はミャンマー、マレーシア、インドなど、東南アジアだと言われています。東南アジアの諸国からこんにゃく芋は縄文時代に日本に渡来したと言われる歴史の長い作物です。

縄文時代からしばらくは薬として用いられており、毒がある上にアクが強く、食べるまでに様々な工程がかかることからか現在食物として食べているのは日本だけのようです。こんにゃく芋はふかしたり茹でたりと火を通してもアクが残るため、生で食べることはできません。

そのまま食べると毒なので食べることができず、毒抜きの作用があるものと一緒に茹でることで毒がようやく抜けて、そこから茹でたり練ったりしてようやく食べられるこんにゃくになります。この手間をもって作られるこんにゃくを食べる人が世界的にマイノリティなのもうなずけます。

栽培には3年から4年かかる

畑仕事

こんにゃく芋の原料は、サトイモ科のこんにゃくの球茎です。これをこんにゃくの原料となるこんにゃく芋の大きさまで育てるのには丁寧な農作業と3~4年の栽培期間が必要です。こんにゃく芋の種芋は生子(きご)と呼ばれ、とても小さく土の塊と同じくらいの大きさです。

この生子を5月頃、1個ずつ丁寧に植えていきます。6月になると畑一杯に緑の葉が広がります。秋になり葉が枯れる頃には下の種芋は成長し、「1年玉」と呼ばれる大きさになります。これを掘り起こし、寒い冬の間に凍えないように貯蔵されます。2年目に掘り起こされたこんにゃく芋は「2年玉」、3年目は「3年玉」とどんどん大きくなります。

こんにゃく芋は寒さに弱く、13度以下では耐えられないため農家では様々な工夫をしてこんにゃく芋を貯蔵し、春を待ちます。翌年5月、貯蔵していたこんにゃく芋をまた1個ずつ畑に丁寧に植えます。この作業を3~4年繰り返し、ようやくこんにゃくの原料となるこんにゃく芋の大きさに成長します。

長い作業を経てようやくできるこんにゃく芋は、そこからさらに手をかけなければ食卓に並ぶこんにゃくにはなりません。こんにゃく芋から作る手作りこんにゃくの作り方は後述しますが、ここまで食べるまでに手のかかる食物は珍しいでしょう。

こんにゃく芋の花の特徴

こんにゃく芋は約5年に一度花をさかせる植物です。「カラー」や「水芭蕉」という同じサトイモ科の花の形に似ており、色は濃い赤紫色です。地面からすっと茎が伸び、葉の先にひとつだけ大きい花をつけるのが特徴です。残念なことに良い香りの花ではなく、咲くと腐臭とも言える悪臭を放ちます。

このこんにゃく芋の花が咲くのはかなり珍しく、ほとんど見かけることがありません。なぜなら花が咲くのが5年に1度なのに対し、こんにゃく芋の収穫が3~4年に一度だからです。花が咲く前に収穫してしまうのです。

こんにゃく芋を生のまま食べるのは危険

丁寧に栽培されたこんにゃく芋は見た目は大きいサトイモのようで土がたくさんついていますが、切ってみると真っ白でおいしそうな見た目です。しかし、おいしそうだからといってそのまま生で食べるのはとても危険です。

こんにゃく芋には毒が含まれているので、食べられるこんにゃくにするには毒を抜いて成形する必要があります。ここからは、こんにゃく芋の毒や毒の抜き方を紹介します。

こんにゃく芋には毒がある

あやしい光

こんにゃく芋をカットして断面を観察すると、小さな白い粒がたくさん見られます。これは「マンナン細胞」と言い、コンニャクマンナンというこんにゃくの原料が含まれています。このコンニャクマンナンをすりおろし、さらに茹でてのり状にしてアルカリ性を加えるとようやく固まり、普段食卓に並ぶこんにゃくが出来上がります。

こんにゃくは栽培に手がかかる他に、食べられる状態になるまでにも多くの工程が必要です。こんにゃく芋にはシュウ酸カルシウムという毒が含まれており、その毒は茹でるなど火を通しても抜けないため、食べることができません。

シュウ酸カルシウムは日本では劇物指定されている危険な毒であり、少量摂取するだけで粘膜を刺激し、強い痛みを伴います。生のこんにゃく芋は手で触るのも危険なので、扱う場合はゴム手袋を着用します

このシュウ酸カルシウムはこんにゃく芋が属するサトイモ科の芋にも含まれており、サトイモや山芋などの皮を剥く時に手がかゆくなる特徴があります。サトイモや山芋に含まれる毒は微量ですが、こんにゃく芋に含まれる毒は特に強力です。茹でても食べられないのですから、生で食べることももちろんできません。

こんにゃく芋の毒を抜く方法

こんにゃく芋の毒を抜くには、水酸化カルシウムや貝殻焼成カルシウムと混ぜるという方法があります。こんにゃく芋1kgに対し、毒を抜く作用のあるカルシウム剤を8g使います。これをぬるま湯で溶かしておきます。

後述しますが、こんにゃくを作るときにこんにゃく芋の皮を剥き液状にしたあと、鍋に入れて火にかけます。この時にお湯に溶かしたカルシウムも一緒に鍋に入れて弱火にかけながら混ぜていくと、こんにゃく芋の毒が抜けます。料理に使う前に再度下茹ですると、アクが抜けます。

こんにゃく芋から作るこんにゃくの作り方

一からこんにゃくを作ろうと思うと時間も手間もかかりかなりの重労働です。手順は多いですが難しい箇所はありませんので、こんにゃく好きな人にはぜひ一度手作りこんにゃくをこんにゃく芋から作っていただきたいものです。好みに合わせて皮を残すなどアレンジをすることも可能です。

材料

  • こんにゃく芋1kg
  • 水酸化カルシウム(石灰)8~10gまたは炭酸ソーダ30g
  • 水またはお湯3L
  • 水またはお湯200cc

ここでは、こんにゃく芋1kg分の材料を記載しています。1kg分で作ると大量のこんにゃくができあがるので、半量の500gの場合は全ての材料を半分にしてお試しください。また、凝固剤として水酸化カルシウムと炭酸ソーダを記載していますが、水酸化カルシウムでの作り方を紹介しています。

道具

こんにゃく作りの画像

出典:

  • ゴム手袋
  • たわし
  • すりおろし器またはミキサー
  • バッド

こんにゃくの風貌からは想像できないキレイな色をしたこんにゃく芋ですが、外側は里芋のように土やツルがしっかりとついています。たわしなどしっかりと洗えるものを用意してください。
 

作り方

  1. こんにゃく芋を用意し、たわしなどでよく洗います。この時、直接触ると手がかゆくなる可能性があるので、ゴム手袋などを着用して洗います。こんにゃく芋はキレイすればするほど白いこんにゃくが出来上がります。黒くつぶつぶが入ったこんにゃくを作る場合は皮を少し残します。
  2. 皮をむいて芽を取り除きます。
  3. 水またはお湯を3リットル用意し、鍋に入れます。
  4. その中に持ちやすい形にカットしたこんにゃく芋をおろし金ですりおろして入れます。おろし金の目が荒いとアクが残ってしまうため、なるべく目の細かいおろし金を使います。またはミキサーがあれば水またはお湯と一緒にミキサーにかけても大丈夫です。
  5. 鍋を火にかけ、10~15分、粘りが出るまで混ぜながら煮込みます。
  6. トロトロの状態から、もったりとベトベトするような状態になったら火を止めて、鍋に入れたまま1時間ほど放置します。
  7. 凝固剤として、水酸化カルシウム(石灰)8~10gまたは炭酸ソーダ30gを使います。ここでは水酸化カルシウムを使った作り方を紹介します。水酸化カルシウムを水またはお湯で溶きます。
  8. かき混ぜてのり状にします。この時、すばやくかきまぜながら練っていきます。ゆっくりと練ると凝固剤が固まり、まとまらなくなってしまいます。
  9. コロコロと固まってきたら、バットなどに流し入れ、平らな状態にします。
  10. 20~30分放置し、適当な大きさに切り分けます。
  11. 別の鍋にたっぷりのお湯を沸かし、30~40分煮て臭いや灰汁を取り除きます。火を止めてそのまましばらく置いておくと、こんにゃくの弾力が増します。
  12. 水に移し替えてさらに灰汁を取り除き、完成です。食べる前にもう一度湯がくと良いです。

こんにゃくの原料であるこんにゃく芋は、栽培に非常に手がかかる作物です。栽培に手がかかるのはもちろん、そのまま食べると毒であるため毒抜きが必要で、毒抜きのあとにアク抜きもしないと食べることができないという非常に珍しい食物であるこんにゃくは、好き嫌いがきっぱり分かれます。

こんにゃくが嫌いと言う人は、こんにゃくの独特の匂いと食感が苦手なことが多いようです。こんにゃく芋から作るこんにゃくは市販のものとは格段に違い、味はさることながら食感が違います。こんにゃく芋から作る手作りこんにゃくは、作るのに1時間ほどの時間を要しますが、こんにゃく嫌いさんにも一度食べていただきたいおいしさです。

こんにゃく芋で作った手作りこんにゃくの食べ方

スーパーで気軽に手に入るこんにゃくですが、こんにゃく芋から手作りしたこんにゃくは市販のものとは一味も二味も違うおいしさです。味もさることながら、食感はプリっとしていて市販のものとは格段に違います。保存料や添加物が入っていない身体に優しいこんにゃくのおすすめの食べ方を3通り紹介します。

できたてを生姜醤油で楽しむ

出来上がったばかりのこんにゃくは温かく、そのままのできたてこんにゃくをいただける機会はなかなかありません。温かいままのできたてこんにゃくをいただくなら、さっぱりと生姜醤油で食べるのがおすすめです。

食べ方によりこんにゃくの作り方を変えるのもおもしろいかもしれません。例えば、こんにゃくを刺身で食べたい場合は白っぽいこんにゃくの方がおいしそうに見えるため、皮や芽をしっかり取り除くのが良いでしょう。また、煮物などに入れる場合は色が真っ白よりは濃い方が色が馴染むので、調整することもできます。

こんにゃくの食感も作り方で変えられます。よく練れば弾力が強くなり、逆に軽めに寝るとこんにゃくの歯切れが良くなるので、慣れてきたらレシピによって作り方を変えてみてください。

冷やしてお刺身で楽しむ

刺身こんにゃく

出典:

出来上がったこんにゃくを水で冷やし、冷蔵庫でさらに冷やして刺身こんにゃくとしていただく方法もあります。市販の刺身こんにゃくも美味ですが、市販とは一味違った食感が楽しめます。

煮物で楽しむ

こんにゃくの煮物

おでん、田楽、煮物などこんにゃくが活躍できる料理に使うのもおすすめです。いつもとは一味違ったプリっとしたこんにゃくの食感を楽しむため、大き目にカットして料理に使ってください。料理に使う前には一度湯がいてから食べるとさらにアクが抜けて食べやすくなります。

こんにゃく芋で作った手作りこんにゃくの保存法

こんにゃく芋で作るこんにゃくの作り方やレシピを紹介してきましたが、ここからはその手作りこんにゃくの保存方法を紹介します。保存に使うタッパーなどは、清潔なものを使うようにしてください。

保存方法

手作りこんにゃく

手作りこんにゃくを茹でたあとにすぐに食べない場合は、そのまま冷ましてタッパーなどに入れ、冷蔵庫に入れて保存します。市販のこんにゃくとは違い、添加物や保存料が入っていないため、なるべく早めに食べるのがおすすめです。

保存期間

市販のこんにゃくが冷蔵庫で1週間ほど日持ちしますが、こんにゃく芋から作った手作りこんにゃくは添加物や保存料が入っていないため、2~3日で食べきるのがおすすめです。

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こんにゃく芋の生食は危険

こんにゃく芋とこんにゃく

こんにゃくは非常に低カロリーなのにお腹にたまりやすく、ダイエット効果は絶大です。さらに食物繊維が豊富なため便秘解消に役立つ他、コレステロールを下げたり血液サラサラ効果、生活習慣病にも効果のある積極的に摂り入れたい食材です。

こんにゃく芋は毒があるため生食はできませんが、毒抜きをしておいしく食べていただける食材なので、機会があればぜひ一度作ってみてください。

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